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『脳内ニューヨーク』-60になったらもう一度観てみよう
Synecdoche, New York

ケイデン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は芝居のディレクターで、奥さんのアデル(キャサリン・キーナー)は絵描きという、アーティスト夫婦。オリーヴ(セイディー・ゴールドスタイン)という可愛い娘もいるのだが、結婚生活は冷え切っており、カウンセラー(ホープ・デイヴィス)にかかっている。ケイデンは身体の調子も思わしくなく、血尿が出たり、とにかくどよ~んと不幸そうな男。

結局、夫婦仲は修復出来なかったみたいで、アデルはオリーヴを連れて家を出てしまう。落ち込んでいると、偶然にも、才能あるアーティストに贈られる(だったっけか)奨学金?のようなものを受賞し、お金の心配をせずに自分のアートを追及する機会を与えられる。ケイデンは落ち込んだ精神状態から、大きな倉庫に架空のニューヨークを作り、その中で自分の生きている人生を再現し始める。

synecdoche new york
dvd on amazon.com
Produced: 2008
Director: Charlie Kaufman
Writing Credits: Charlie Kaufman
Cast:
Caden Cotard: Philip Seymour Hoffman
Adele Lack: Catherine Keener
Olive: Sadie Goldstein
Claire Keen: Michelle Williams
Hazel: Samantha Morton
Madeleine Gravis: Jope Davis
Maria: Jennifer Jason Leigh
Ellen Bascomb: Dianne Wiest
すっごいアーティスティックで心理学的な映画というか、色んな示唆や暗喩が隠れてそう、って感じでした。なんか、アデルが去ってからケイデンは、時間の感覚がおかしくて、例えば、アデルはケイデンの元を去った後、ドイツのアート・シーンで有名になり、娘のオリーブは、身体中に花の刺青をして、アート雑誌かなんかにセミ・ヌードを載せる。それを見たケイデンはすっごく動揺し、

「まだ4歳なのに!」

と叫ぶんだけど、実はアデルが去ってから6年くらい経ってて、オリーヴはもう11歳だよ、と他の人に指摘される。もう一個のエピソードは、自分の人生を再現する芝居は、構想を練っているだけで17年も経ってるんだけど、自分はそういう気はしていなかったり。

で、芝居の中で起こることとか、なんかごっちゃごちゃになって、すごくわかりにくいんですけど、多分ケイデン自身も、芝居と現実、現在と過去、みたいなものがごっちゃになってて、何がなんだかわからなかったに違いない。監督・脚本のチャーリー・カウフマンは、『エターナル・サンシャイン』を書いた人だからね~。あれも時系列すっごいわかりづらかったですもんね。

この主人公のケイデンって人は、本当に不幸で、ここまでなるのかな~人間て、っていうか、究極の不幸な人の人生を描きたかったのかなあ、逆に。結婚カウンセラーは全然人の気持ちなんかわかんない人だし、アデルと別れた後再婚するんだけど、その人(ミシェル・ウィリアムズ)とも上手く行かないし、好いていてくれたヘイゼル(サマンサ・モートン)には勇気を出して一緒になることができなくて、他の男に取られちゃうし、のちのち、やっとヘイゼルと結ばれたと思ったら、すぐ死んじゃうし。

一番可哀想と思ったのは、娘のオリーヴの話だよ~。アーティストの母親に連れられていったオリーヴは、母親の友達マリア(ジェニファー・ジェイソン・リー)が乳母となって育てるんだけど、身体中に花のタトゥーを入れるようにそそのかしたのもマリアで、そのために身を持ち崩し、ニューヨークで見世物になったりする。子供の頃のオリーヴがすっごい可愛らしかった(わがままだけど)だけに、こんな風に大人になったら、おとーさんとしては心が休まらないだろうなあ、と同情した。

でも、もっとひどいのは、オリーヴは年取ってから、癌かなんかになって寝たきりになってるんだよね。そのオリーヴにケイデンが会いに行くと、

「自分がこんな人間になったのは、あんたがホモで、かくかくしかじかしたせいだ!」

って言われるわけよ。要するに、母親や、乳母が勝手に色んな悪口を吹き込んで、それがトラウマになってオリーヴはこんな人生を歩んだ。ケイデンとしては、オリーヴがこんな風になったことをアデルやマリアのせいだと思ってたのに、当のオリーヴはケイデンのせいだと思っている。

「謝ってよ!」

ってオリーヴに言われて泣きながら謝るケイデン。謝りたくなんかないのに。自分のせいでもないのに。

「ホモの相手とアナル・セックスしたことも、謝って。許してくれ、って言いなさいよ」

ケイデンはホモでもないし、男と寝たことなんかない。でも、自分の娘の死に際だし・・・・「許してくれ」と言う。

「NO!!! 許せない!!!」

と言って、オリーヴは泣き出す。

これキツイですよ~。ドイツまで会いに行っても会わせてもらえなかったり、ものすごく心配していたのに。離婚すると親権とかすっごい争うけど、なんかコレ見ると、気持ちわかるわ。片方の親に、あることないこと吹き込まれて、子供がグレたり、または間違った情報で自分のことキライになられたりしたら、ものすごく辛いもんね。

ここからネタバレつーか、エンディングに触れます。

で、結局ケイデンは、何十年も芝居の構想練ってるだけで全く完成せず、最後にエレン(ダイアン・ウィースト)を芝居の中の自分の役に抜擢する。芝居の中では、自分が芝居を監督するシーンもあるのだが、それは自分を演じるエレンがしているわけじゃない。そうして、また芝居と現実がごっちゃになって、現実のケイデンも、エレンに監督されるようになる。いつもエレンの声が頭の中で響いて、「トイレに行きなさい」とか、「お尻をふきなさい」とか、全ての行動がエレンに支配される。

で、最後、もう出演者もクルーもみんな死ぬか辞めてしまった、崩れかけた巨大なニューヨークのセットの中で、最後に残ったのはケイデン本人と、ケイデンの母親役の女の人。

ケイデンは、頭の中のエレンが言うとおり、「お母さん、肩にもたれかかっていい?」と訊く。いいと言われ、お母さん役の人の肩にもたれかかって、

「ああ、やっとこの人生をどう演じればいいか、アイデアが沸いてきたよ」

というと、頭の中の監督が

「死になさい」

と言って、ケイデンは自分の人生を終わらせてしまう。

救われね~~~~!!!!なんて救われない人なんだろ。でも、この最後はなんか納得したなあ。ここまでは「わけわかんない映画だ」って思って観てたんだけど、この最後って、あり得るなーって思った。みんな死ぬときはこう思うんじゃないかしら。「ああ、やっとどうしていいかわかった」って。そう思ったときが死に時なのかも。きっと、すっごく深い映画で、もう一回観たら「ああ~」なんて思うかもしれないんだけど、もう一回観たくねーなー。少なくとも当分は。でも、60歳くらいになって観たら、また違う重みがあるかもしれない。

いや~しかし良くこんな個性派の人ばっかり集めて来たモンです・・・
■チャーリー・カウフマンがストーリーを書いた『エターナル・サンシャイン
フィリップ・シーモア・ホフマン映画偉人伝
■サマンサ・モートンが印象的だったマイケル・ジャクソンの映画 『ミスター・ロンリー
■ミシェル・ウィリアムズが若くてぶちゃいくな『キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!
キャサリン・キーナー映画偉人伝
■エミリー・ワトソンは『パンチ-ドランク・ラブ』の彼女だ!
■ダイアン・ウィーストの若い頃『ハンナとその姉妹
■ジェニファー・ジェイソン・リーが初々しい『初体験/リッジモント・ハイ』と、やっぱ個性派『マーゴット・ウェディング
■ホープ・デイヴィスのいや~なお姉さん役が最高!『プルーフ・オブ・マイ・ライフ
■どっかで見たことあると思ったら『リトル・チルドレン』に出てたセイディー・ゴールドスタイン

映画感想 | コメント(2) | 【2009/09/05 07:52】
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コメント
カウンセラーの人の足が虫に刺されたのか、腫れてたり。
靴がきつすぎて壊死しかけているのか紫色だったりすることの意味が読み取れず……
悩んでます;;

ケイデンの本当の人生なのか?
ただの夢なのか?
死を前にして走馬灯のように駆け巡る記憶なのか?

もう一度見ても何も分からない気がします。
カウンセラーの足の意味も。
まず、もう一度見たくないし(-_-;)
【2009/12/17 18:11】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
>死を前にして走馬灯のように駆け巡る記憶なのか?

コレじゃん?なんか、いちいち意味があるんだろうけど、それは瑣末なことで、総体的に観て「あ~そうか~」って思うような映画なんじゃないのかなあ。
【2009/12/17 21:48】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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