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『愛を読むひと』-こちらも「オスカー納得」です
The Reader

私は女優さんってすっごい大変だと思うのは、若い時には不可能とも思えるような体型を維持させられ、歳を取ると皺やたるみの醜さを大画面で晒さなくちゃいけないという、なんか女の一番イタイところを常にむき出しにさせられるところだと思うんですよね。ケイト・ウィンスレットはこの映画で、歳もそうだけど、一番人には見せたくないような自分を曝け出している!なんかさー、歳取ってくると、顔洗ってすぐはいいんだけど、夜更かしして帰って来たりしたときの、乾燥してシワになってる顔とか、バスルームの鏡で見て「うわっ!」って自分で驚いちゃうくらいなのに、そういうの平気で見せてるもん。これが女優魂じゃなくてなんだっていうんでしょうか。

the reader
dvd on amazon.com
Produced: 2008
Director: Stephen Daldry
Writing Credits: David Hare, Bernhard Schlink
Cast:
Michael Berg: David Kross
Michael Berg: Ralph Fiennes
Hanna Schmitz: Kate Winslet
しかも、ドイツ人に見えません?ケイトってば。なんか、四角四面で、面白味がなくて、ごつい感じで・・・。まあ、こればっかりは、ドイツ人の女性に対してどういう印象を抱いているかで、感じ方に個人差出ちゃうかもしれないけど、アメリカ人演じてるケイト、イギリス人演じているケイトと比べると、ばりばりドイツ人!!って感じする。ドイツの話なのにドイツ人でない人がドイツ訛りの英語で演じるという、『SAYURI』にも匹敵しそうなトンデモ設定だとは思いますが、その限られた中でも、ケイトなりの解釈で演じた「ドイツの女」ってのは、私にはめちゃ納得できた。『さらば、ベルリン』のケイト・ブランシェットもすごかったけど、こっちのケイトと比べると、カリカチュアに見えてしまう。

私はこのハンナというドイツ人女性はナチのスパイで、ユダヤ人を密告して回ったとかそーいうストーリーを想像していたのですが、全然違いました。彼女は、ナチの求人広告を見て、たまたま強制収容所の看守になっただけだったのだが、これまた、たまたまその収容所にいた人がその体験を書いた本を出したため、その収容所で何が行われていたかが、たまたま明るみに出てしまい、裁判になる。

ハンナがまだ電車の車掌さんをしていた時に肉体関係を持った15歳の男の子・マイケルがのちに通っていたロースクールの同級生も、この裁判が単なるスケープゴートじゃないかと指摘していましたが、確かにそうですよね。ハンナは、自分がアウシュビッツに送った女性たちが殺される運命なのを知っていた。

「それなのに、彼女たちを送ったのですか?」

と訊く裁判官に、

「じゃあ、あなたなら、どうしてたの?!」

と訊くと、みんな下を向いて、答えられない。ハンナは、与えられた仕事を遂行しただけで、しかも当時は、それが当たり前だったに違いない。

「この仕事に申し込まなければよかったじゃないか、と言うのですか?」

というハンナ。誰がその問いに答えられるというのだ。ナチとは言ってもほとんどの人は、生活のためにフツーにしている仕事だったのだ。私たちだって、常に仕事の倫理を自分に問いかけたりしてる人なんてほとんどいない。

36歳のハンナに本気で恋に落ちてしまう、15歳のマイケルを演じるデヴィッド・クロスくんはドイツ人らしいのですが、この子もすごいよ。36歳から60歳を演じているケイトも表現力豊かですが、デヴィッドくんは15歳のときは初々しく、23歳のロースクールの学生と時は大人びていて、ちゃんとその歳の違いが出ていた。ちょっとヒース・レッジャーに似てない、この子?すごい演技派だし、下手にハリウッドで成功してヒースの二の舞になるなよ!とか思ってしまった。

結局ハンナは終身刑になり、大人になったマイケルは、離婚して独りになったのをきっかけに、昔ハンナに読んで聞かせた本を朗読してテープに吹き込み、ハンナに送り始める。最初の小包にはカセット・プレーヤーも入っていて、何がなんだかわからないハンナがテープをかけると、あの楽しかった頃の物語りが流れ出す・・・。

私は不覚にもここで泣いてしまった。ケイトやデヴィッドくんの演技はいいけど話が退屈!とか思っていたのに、カセットをかけたら何が出てくるかもわかっているのに、こんなにベタなのに、何故か涙がボロボロ止まらなかった。なんかさー、このハンナって人、すごい孤独な人なんだよね。家族もいないし、字が読めないのだって、きっと家が貧しくて教育を受けられなかったかなんかだと思うし。裁判では他の看守たちに裏切られて自分だけ終身刑になるし、心を許せる他人なんて一人もいなかったと思う。

そんな人が、カセットが送られてくるだけのことなのに、急に生き生きしてくる。監獄に入ってんだよ!それでも人間は、誰かが自分を思ってくれていると思うだけで、何か心待ちにしているもの、それが小さな小さなたわいないものでも、それがあるだけで救われるものなのだ。

逆に、牢獄から出してやると言われても、出て会いたい人もいない、待っててくれる人もいないとなれば、シャバはただ苦労して食っていくだけの、絶望に耐えて生きていくだけのところに過ぎない。『シャウシャンク』でもあったけど、20年も牢獄へ入れて置いてまたシャバに出すのって、本当の罰だよね。ほとんど虐待に近い。まあ、受刑者も悪いことをしたんだから、当然と言えば当然だけど、牢獄に長いこといて上手く社会復帰できる人なんて、ほとんどいないんじゃないかと思う。ハンナもそう思ったのか、自殺してしまうのだけど、自分がしたことを償いたいと、被害者の娘に持っていたお金を渡して欲しいとマイケルに託す。

マイケルが、このユダヤ人のおばさんに会うところも、不覚にも泣いてしまった。おばさんは、収容所で家族がみんな死んだらしく、ハンナに同情も何もしていない。マイケルにもすっごい冷たい。この人にしてみたら、ナチのところで働いていたヤツなんて、理由なんかどーでもいい、みんな死んじまえ!くらいに思っているだろうし、彼女が収容所でした経験、失ったものを考えれば、それも当然なのだ。

マイケルは、ハンナのお金を渡す。おばさんは、お金はあんたがどっかに寄付しなさいと突っ返すが、それが入っていた古い紅茶の缶はもらっとく、という。彼女も収容所に入るとき、同じような缶を持ってたんだけど、ナチの武器を作るのに取り上げられた、という。

このおばさんは、ハンナのことを絶対許すことができない。ハンナのしたことを許せない。でも、自分が収容所で味わった苦しみを、ハンナも幾ばくかは刑務所で味わった、というところで、共感もしているんだよね。ハンナは憎きナチだから、絶対に許せない。でも、この紅茶の缶を持っていた女の人とは心が通じるというか、彼女の痛みは分かる。なんていうのかな、ハンナがナチじゃなかったら、自分が収容所に入ってなかったら、この人のために泣いて上げられたのに、みたいなすごく深い深い痛みみたいなものが感じられて、涙が止まりませんでした。

町山さんが、ケイトが主演女優賞獲ったのは「いや~やっぱ上げないわけにはいかないでしょう、最初30分くらいずーっと裸だし・・・」って冗談めかして言ってたけど、やっぱそれだけじゃないよ!すっごいよ、ケイト!こちらも『ミルク』に引き続き、「オスカー納得」です。

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最近見た映画 | コメント(16) | 【2009/04/20 07:35】
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コメント
実に興味深い。
僕も彼女は物凄く優秀な女優だと思うし、今ノリノリな時期だと思います。
【2009/04/21 23:14】 URL | GO #-[ 編集] | page top↑
GOさん、

そうですよね。ケイトすごいノッてますよね、今。

映画自体もとても良かったです。ナチって、アメリカでは特に、「悪の権化」という扱いだけど、こういう見方もある、というちょっと違った切り口(私のつたない映画体験の中では)だったので、面白かったです。
【2009/04/21 23:45】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
私は本を読んだのですが 本だと主人公がもう嫌な奴でいやな奴で 何度読むのをやめようかと思ったことか。持ってるのさえもいやだったのと 英語だから意味わかってない?と友達にあげたらその友達も「何だこれひどすぎる」とバッサリ。どうやら言葉に関係なくあわない話だったようなので オスカー獲ろうがケイト好きだろうが観る気はさっぱりなしでした。

でもチュチュさんの映画評だときちんとした映画になってるみたいなので それってきっと監督さんと脚本家さんの力量のおかげなんでしょうね。
多分本で感じられた主人公のグーで殴りたくなるくらいのグダグダぶりはばっさりカットされてるのかなぁ。
【2009/04/23 21:07】 URL | プリシラ #-[ 編集] | page top↑
プリシラさん、

主人公って、どっち?男の方?映画ではとても男が主人公とは思えないほど影薄いですから、そんなに気にならないのかもよ。
【2009/04/23 21:25】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
これ、見たくてたまらないのですよ。amazon.com利用して輸入しようかなって思うくらい。
タイタニックじゃ惚れなかったケイトですが、半年ほど前にホリディで彼女にノックアウトされ、そして今回主演女優賞を獲ったので、みたいみたいみたいって感じになっているのです。
今、私が来ているドイツが舞台なのも気になる原因の一つです。
でも、プリシラさんのコメントを見て、外さないかなぁという恐れがちょっとだけ心の奥底から沸いてきてますけど。。。
【2009/04/24 06:19】 URL | くんくん #-[ 編集] | page top↑
くんくんさん、

『ホリディ』でケイトにノックアウトってのも珍しいですねえ(笑)。

いーじゃないですか、はずしたらはずしたで。「あの映画、ほんっとにつまんなかったなー」とか後で話すのも面白いし。つまんなかったら、思いっきりこのコメ欄に書いてください。待ってます!(爆)
【2009/04/24 06:46】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
はじめまして。
映画は観ていないですが、数年くらい前だったかに、小説のほうは読みました。
僕にとって「朗読者」は、一見、特異な状況下を描いているふうでいて、
何か普遍的なもの。つまり心を揺さぶられるような、心を締め付けられるような、
リアルなラブストーリーとして感情移入できた類稀な作品だったように思います。
それゆえ個人的には、ケイトよりグウィネス・パルトローが演じていれば
映画のほうも観たかもしれない。という勝手な期待感を持ってしまいます。
気が変わるかもしれませんが、いまのところこの映画はパスかな。
【2009/06/08 19:36】 URL | K #-[ 編集] | page top↑
お言葉に甘えまして。また来ましたよ。
これは私も原作を読みました。本の印象だとこの女性、ケイトさんでも生ぬるい。キレイすぎます。白石加代子(ご存知ですか?)くらいコワモテのイメージです。あ、決して白石さんがキレイじゃないって言ってるわけじゃないんですが。ガタイのいいおばちゃんというイメージでした。でも、ケイトさんの脱ぎっぷりも観たい気もします。
【2009/06/12 17:53】 URL | ほりっち #-[ 編集] | page top↑
これ、原作読んでる人、多いですね~。私は全然知りませんでした。
【2009/06/13 01:01】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
予想以上に良かったです。
私もこれを観てケイトのオスカーは納得でした。
それにしてもかなり脱ぎっぷりが良かったですね!(笑)
私は、そういうところも含めてケイト好きです。
実は私も原作読もうと思って買いました。が、かなり最初の方で
挫折してしまい結末を知らなかったもので、映画観てびっくりでした。

私ね、釈放前にマイケルと面会したときのハンナが、ものすごく可哀想に思えて仕方なかった。
マイケルがハンナにしてくれてること(テープを送ってくる行為)と実際に会ったときの温度差
みたいなのを感じて、ショック受けたし、私にしてくれてることは、好意というよりも善意でしてくれてることなんだなって。考えてみれば当然なんだけど、悲しかったな。
結局、戦争ってやっぱりみんなを不幸にする最悪な行為なんだなって改めて認識した次第です。
あと、文盲だってことをなんで裁判で言わないんだ!って思ったけど
それを証明するすべがないことにあとから気が付いて、余計に悲しくなりました。
【2009/06/25 00:59】 URL | codomo #yBfrOqTk[ 編集] | page top↑
codomoさん、
ケイト、がんばってましたよね!ケイトの映画偉人伝で書いたけど、この人脱ぐのは気にならないんだって。さすが私と誕生日同じ(ははは)

この人、文盲なのを隠してたのは、プライドのせいじゃないんでしたっけ?私は、終身刑になろうとも文盲であることは知られたくないのかと思ってた。

好意じゃなくて善意、ってのは、確かに悲しいですよね。それは考えてもみなかったなあ。確かにそのとおりだ。
【2009/06/25 06:02】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
カセットテープのラベルに書かれた●印に泣きました(ToT)
どうも。変なコです;;
もっと甘ったるいような話なのかな~と思っていたのですが(原作は未読)、そうではなくて予想以上によかったです。
ケイトはちょっと怖いくらいにシャキシャキしていて、自分だったら恋はしないと思いますが(笑)ストッキング効果かもしれないと思いながら観ていました。あれがパンストだったら恋に落ちないですよ、多分。
二人の『想い』っていうのは、きっと一度も重なったことがなかったんじゃないかと思います。
15歳のマイケルは本当に恋していたのだろうけど、ハンナはそうじゃなかった気がする。好意はあったのだろうけど。
それが、年月と共に二人の中で変化して、またすれ違う、というか。
そうか、好意じゃなくて善意か……と。
私も考えてなかったな。贖罪なのかと思っていました。
ホロコーストに遭ったおばさんが、ハンナの紅茶の缶をギュッとするシーンも何とも言えず……
人間としては許したいんだけど、過去のことを思うとそれはできないというか。
家族の写真とあの缶を並べたことで、ハンナのことを少しだけ許したのかもしれないなと思いました。彼女がしたことは許せないけど、ハンナという女性は許したかったのじゃないかと……

それにしても、何故に『訛った英語』なんでしょう?いや、アメリカ人の中にドイツ人がいるとかいう設定ならその人は訛ってた方がいいと思うのですが、誰も彼もドイツ人なんだから吹替えのつもりで普通に喋ればいいのに。
【2009/06/26 17:45】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
結構、この映画いいよねー。

たしかに、訛る必要ないんだけど、私はケイトのドイツ人っぽさが出て良かったと思った。他の映画だったらそう思わないけど。
【2009/06/26 19:39】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
ハンナの人柄というか、不器用で正直すぎる性格を表現するのにもあっていたかもしれないんですけど……
ドイツ人を全面に……出さなきゃいけないのかなぁ。いけないのか。ドイツだから成立する話だからか。
手紙の字面とかまでも(仕方ないんだけど)英語なのが何ともやるせなくて……
この話の場合致し方ないのですが……。
そこまでこだわらないんなら、訛らなくてもえぇやん!と。
【2009/06/30 17:17】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、

確かにトンデモ設定なんだけど、私的にはほとんど気にならなかったなあ。結構ベタに感動しまくってしまった。役者さんたちも良かったし。
【2009/06/30 20:57】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
チュチュさん、
デヴィッド・クロスくん=ヒースに似てる説は初めて見ました(笑)。
この映画(原作もそうですが)の感想って、上手く言葉にできないんですよ。
私も、すっごく泣きました。

http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-694.html
【2009/07/28 09:11】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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