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『トレイター』-テロリスト実態のダイジェスト
Traitor

アメリカでテロ活動をするムスリム教徒のサミール(ドン・チードル)と、それを追うFBIのロイ・クレイトン(ガイ・ピアース)を通して、テロリストの実態を描き出している作品です。ドン・チードルがテロリストの役なのだから、テロリストにかなり同情したお話になっているのはおわかりかと思います。サミールはすごく教養も知性もある、普通の人、というか普通の人よりもっと人間らしい、しかもとても真摯に神を信じている人として描かれています。

traitor
dvd on amazon.com
Produced: 2008
Director: Jeffrey Nachmanoff
Writing Credits: Jefferey Nachmanoff, Steve Martin
Cast:
Samir Horn: Don Cheadle
Roy Clayton: Guy Pearce
Omar: Said Taghmaoui
Chandra Dawkin: Archie Panjabi
でもサミールは、お父さんがテロで殺されて、結局武器商人として生きていかなきゃなくなって、そういう過程で親友になったのがテロリストのオマールで、なんだかこうなってしまったのは運命としか思えない。

ガイ・ピアース演じるロイ・クレイトンのキャラも、単なる正義感の強いFBIではなく、大学でアラブ語(だったかな。この辺疎いので失礼な表現してたらごめん)のクラスをたまたま取ったことから中東の文化や歴史にハマってしまい、現在に至る、といった役柄。このキャラには共感してしまった。私も英語にハマってアメリカのことをもっと知りたいと思った人だから。ロイの仕事は、素晴らしい文化を持っているなあ、と自分が感心している人たちを捕まえるやことなんだもの。歴史や文化や言葉を知っているからこそ、この仕事にはピッタリだけど、だからこそテロリストになってしまう人たちの気持ちもわかり、ジレンマが多いだろうと思う。

興味深かったのは、スペインだかイタリアだかで、アメリカ人の多いビーチを爆破したテロリストが生きて捕まるんだけど、本当は自分も自爆してパラダイスへ行くはず(そして40人の処女とセックスしているはず)だったので、生きていることに非常に不満(爆)。まあそれはさて置いて、それを尋問するロイが面白い。

ロイは、君が口を割らなくても、明日の新聞に君が生きて捕まったことが載れば、テロリスト側は自動的に君が我々に情報を流したと理解する。そうしたら結局君は殺される。今なら、私たちが操作して、君を死んだことに出来る。君が協力してくれれば、というようなことを言って、テロリストを懐柔する。

これでしゃべっちゃう人が結構多い、とこの映画では描かれている。で、そりゃそうだ、と思う。テロは秘密厳守だし、どこにスパイが入り込んでいるかわからないので、少しでもその疑いがある人は殺されてしまう。だから、一端生きて捕まったら、何を言っても信じてもらえない。だからみんなあっさり寝返るんだろうな。

サミールも、長年知り合いの彼女シャンドラ(アーチー・パンジャビ)に会いに行ったためにシャンドラがFBIに質問を受け、それを知ったテロリストたちが、サミールを処刑することにする。しかしその直後に、アメリカ合衆国がサミールを今追っているテロリストの一番に名を挙げたため、テロリストたちはサミールを信じる。これは面白いと思った。オマールは、

「アメリカがお前を殺したがっているんだよ!」

と言ってすっごい喜ぶのだ。それは、アメリカに憎まれるほどの活動をしたことが誇らしいのと、ここまでアメリカに憎まれているということはサミールはスパイではない、とみなされ、処刑されないで済むからか。どちらにしろ、世界が違うと誇りに思うことととか嬉しいことが違って興味深い。

テロリストの教育のシーンがあり、そこで「アメリカはイギリスに対してテロをやったんだ。彼らは歴史を忘れてしまったらしい」と言っているのを聞いて、確かにそうだよな、と思った。アメリカは散々イギリスに逆らい、世界各地を攻め、搾取し、殺し、そして今のような大国になった。そういう歴史を自慢しているかのようにも見える。でも他の国がやると、とんでもないことをしているかのように批判する。完全なるダブル・スタンダード。

あと映画的に「上手い」と思ったのは、みんなが英語でしゃべっていることを正当化するのと、登場人物の背景を上手くシンクロさせているところ。サミールもオマールもそれなりに裕福に育ったらしく、ヨーロッパに留学したり、アメリカに住んだりして、英語が超上手い。初めて二人が会うシーンで「英語上手いね」「君も」という会話があったり、二人ともイエメンの監獄に入れられているとき、夢は英語で見るんだ、俺もだ、という会話があったりする。

「自分の国の言葉をしゃべっているからって、必ずしもほっとするとは限らない」

というオマール。これが、現在のテロの複雑さを良く表してるな、と思った。彼らには家と呼べるような国も言葉も実態としてない。なんかそういう実態のないもののために命を掛けるって、どういうことだろう。テロリストたちがロイの懐柔に応じて寝返ってしまう気持ちがわかる。自分が何を守るために戦っているのか、いつもはっきりしたヴィジョンを持ち続けるのはすごい難しそうだ。

だからこそ信仰と言うものが強力だなと思える。実態のないものを信じる力。私のように無宗教な人には、こういう心理は頭では理解できてても、心ではなかなか難しい。

と、テロリスト関係の内情にものすごく洞察のあるいい映画なのですが、映画的に魅力的かというとそうでもない。最近の映画に共通して、長い!物語は結構きっちりしているので、「ここ削っちゃえばいいじゃん」というところがないので仕方ないのですが、2時間以上あったよ。しかし、現在の時勢をダイジェスト的に伝えてくれる、観て良かった、と思えた映画でした。

■すごい好演だと思います。ガイ・ピアースの出演作品一覧

key Word 映画 ドン・チードル ガイ・ピアース
今日観た映画 | コメント(2) | 【2009/02/01 23:19】
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コメント
確かに長かったです~。
昔の映画って90分くらいでまとまってるか ものすごく長いかのどっちかだったような(そんで途中で休憩が入る)。あれは映写機の関係だったと聞いたことがありますが風情があっていいです。

と 話はずれてますが イスラム世界の裏側を書こうとした映画で私は好きでした。
【2009/03/15 21:16】 URL | プリシラ #-[ 編集] | page top↑
プリシラさん、

時事ネタとしては、上手い映画ですよね。
【2009/03/16 21:09】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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