|
The Curious Case of Benjamin Button
老人として生まれ、赤ちゃんとして死ぬ、というこの物語の発想は、どこから出てきたのでしょうかね?犬が人間になったり、男の子が女の子になったり、という話は、犬はどんな気持ちで生きているのかなとか、異性はどんな体験をするんだろうという好奇心から来ていると思うんだけど、若い肉体に老人の心、または老人の身体に若い心が入ったらどうなるか?という発想?
映画は原作のアイデアだけもらって独自のプロットを作り上げているらしく、老人としてしわしわで生まれたベンジャミンは父親に捨てられ、養老院の看護婦に拾われて、老人の中で育つ。だから容姿が老人なのは余り問題にならないので、この辺で心の葛藤ってないみたい。他の子供たちが走り回っているのを見て、自分もしたいけど身体が弱っていて出来ない、ってくらい? 原作にある50歳で大学生?!みたいなプロットは、今では現実にあり得る話なので使えないとは思うのですが、映画のベンジャミンは、肉体年齢が逆行しているという以外には、特に数奇な人生って感じしないんだがなあ。恋もし、仕事も持ち、失恋、結婚、たくさんの人との出逢い・・・・。 映画の方は多分、老人として生まれ赤ん坊として死ぬ、というベンジャミンの見た目を、ストーリーよりも映像としてどう見せるかという方に力を入れたんじゃないかと思う。「老人として生まれる」というコンセプトが最初イメージできなくてさー。冒頭、ベンジャミンのお母さんが出産後血みどろになって横たわっているシーンを見て、「げ!でっかいおじいさんを生んじゃったのかな?!」とビビったのですが、普通サイズの赤ちゃんが、ただしわしわなだけだった。 で、これが10歳とかになったらどうなるんだよ?と思っていたら、やっぱ10歳くらいの大きさになって、でもあっちこっちリュウマチとかでガタガタなの。でも年取ると小さくなるじゃん、人間って。だから10歳のベンジャミンが、ハゲで、眼鏡かけて腰が曲がってても、別に数奇とも思わないんだよね。住んでいるところも養老院だし。 青年になると、船員として航海する仕事を始めるのですが、ここでも容姿と精神が異なるためにトラブルになったり、特異な体験をするといったこともなく、普通の若者が船乗りとしてあっちこっちを旅しながらするであろう経験をしている・・・・と思ったんですけど、この映画なぜか英語がわかりにくく、英語字幕なしで観ていたから、ベンジャミンの心の葛藤を表すセリフのニュアンスとかを私が掴みきれなかっただけかもしれない。 *****ネタバレかも****** 唯一問題だったのは、愛する人・デイジーがどんどん老けていくのに、自分はどんどん若返ってしまい、結婚して子供が生まれると、普通の父親にはなれないと思い、妻子にお金を残して放浪の旅に出てしまう。原作では、年を取って衰えていく妻に魅力を感じなくなったベンジャミンが浮気し始めるかなんかだと思うんだけど、映画では、若返ったベンジャミンと、今や50歳くらいのデイジーが再会してセックスしたようなんですが、ベッド・シーンはなく、終わった後デイジーが服を着ているところを後ろから撮っている。そん時のデイジーのストッキングのはき方がすっげえおばさんぽくて、こういうところで年齢を見せているんだなあと思った。 で、それからまたしばらく経って、かなり高齢になったベンジャミンが、見た目は15歳くらいになった頃ボケが始まったらしくどっかで保護され、所持品からデイジーに連絡が行き、今やおばあさんになったデイジーが、ボケた子供になったベンジャミンを世話して、ベンジャミンは最後、赤ん坊として彼女の腕の中で死ぬ。 コレ納得行かないんだよな。生まれたときも赤ん坊で、死ぬときも赤ん坊なの?年取って若返るのはわかるけど、小さくなっていくの?だったら生まれるときにでかくないとダメじゃん!これってSFだよね。特に原作が書かれた時には、ものすごく衝撃的なコンセプトだったのでは?今は、さっきも言ったように50歳で大学生でもおかしくないし、60歳で子供作る男性もいれば、結構なんでもありなので、「数奇な人生」というのは余り説得力ないなあ。 最後、デイジーの腕に抱かれて死ぬ、というところは、なんと幸せな人かと思った。こんな幸せな死に方があるだろうか。赤ん坊として肉体的には健康なんだから痛みもなく、眠るように、しかも愛する人に抱かれて死ぬなんて、こんな幸せな人生ないよ。 PS. ベンジャミンを拾って育てる、養老院の看護婦を演じたタラジ・P・ヘンソンが最高にいいです。この人は『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』でめちゃくちゃかっこいい女の殺し屋を演じたので憶えていたんだけど、この映画ではベンジャミンを拾った若かりし頃からおばあさんになるまで、上手い!あの黒人のおばあさん特有の歩き方とか身のこなし、とても若い人が演じてるとは思えない。ケイト・ブランシェットも、病院のベッドで死に行く老女を好演。この人は演技派だから納得だけど、それにしたってどの役者さんも年齢というものを良く演じきってたと思う。ベンジャミンを演じたブラッド・ピットより、この女性陣の方がすごかったかも。ブラッド・ピットは、町山さんがラジオで言ってたとおり、25歳くらいの容姿のときの映像が、特殊メイクとかじゃなくて本当の25歳みたいでめちゃ可愛くて、『リバー・ランズ・スルー・イット』の頃を思い出させたよ。 PS2 今気が付いたんだけど、邦題『ベンジャミン・バトン』になってるんだね。確かにButtonって「バトン」っていう発音だけど、実際日本語では「ボタン」だよね。お父さんがボタン屋さんなんだからさ。ベンジャミン・ボタンのの方が、より映画に忠実な気がするのだが。 Related Article ■ベンジャミンが恋に落ちる、長距離スイマーを演じたティルダ・スゥイントンの映画偉人伝 key Word 映画 ベンジャミン・バトン 数奇な人生 |
|
コメントありがとうございました。
これから、映画レビューを参考にさせてもらってから劇場に観に行きたいと思います! 観ました。
どちらかというと『数奇な人生』よりも『数奇な境遇』かな?と思うのですが…… よく、時間が戻せたら…とは、誰でも1度くらいは思うことでしょうが、彼の場合『戻る』わけでもないし、見かけだけが他の人と逆の時間経過を辿っていくというだけですもんね。 最後に彼がハッと気づいたことが、幸福なのか不幸なのか、私にはよく分からない。 デヴィッド・フィンチャー監督大好きなのでずっと楽しみに待ってた作品でした。
なので、観終わるまでチュチュさんのレビューを読むのを我慢してました。 これ、”ファンタジー”映画ですよね? デヴィッド・フィンチャーがこういう映画作ってくるとは意外でした。 それにしても・・・ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットのふたりの若い頃のキレイなこと! あまりにビユゥゥ〜ティフォ〜!でうっとりしながら観てました。しかし、確かにチュチュさんの指摘していたような「矛盾」はありましたが、(ここ読んでから気が付いた!)私はこれ観て、普通に年老いて死んでいくのが幸せだよなぁって単純に思いました。 それと、結構長い上映時間でしたが、映画の世界に入り込んで観てたので気にならなかったです。 codomoさん、
私はやっぱこの作品は、映像的なチャレンジをするために撮られた作品としか思えないんですよね。「だからなんだ」というメッセージ性というか、そういうの余り感じなかった。主人公の境遇があんなに奇異なのに、あんま葛藤ってないし。 姫、こちらにも。
特殊メイクは確かに「ここまで来たか!」というくらい凄かったですね。 ブラッド・ピットの演技は大したことなかったと思います。 アンジーとの2ショット用にノミネートされたんぢゃ? と勘繰ってしまった・・・。 http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-641.html 真紅さん、
それはあり得る。オスカーらしい。 そうなんですよね〜。原作では170cmの白いあごひげ付で産まれて、小さな赤ん坊に成長して死ぬんですけど、そんなでかいの産めないだろうという配慮(?)か映画では小さく産まれてましたね。
「中身・外見が老人で立場が幼児」の原作では周囲の人と摩擦があったのですが、映画では「外見・立場が老人、中身幼児」でも養母の元では庇護される幼児で葛藤も少ないですし、船乗りになってからは上司の船長に命令される立場になり社会的な摩擦や葛藤が無く少し物足りなかったですね。 でも、映像技術って凄いな〜、ブラピの若い頃は本当に綺麗だったのよね〜とスタッフ・キャストのお仕事っぷりは堪能いたしました。アカデミー賞でもメイクアップ・美術・視覚効果が受賞と評価されてて順当だったと思います。 映画館で先々週観てきました。
不思議な映画でしたね。まず、伝えようとするメッセージがすごく良くて、私はこれのテーマって、「今しかない」と「永遠ということ」の表と裏みたいなものを見せられたというか、考えさせられました。見終わった時は「期待したほど、ブラピの演技はそんなに大したことなかった。ケイト・ブランシェットの方がすごかった」となんか鼻白んで劇場を出たのですが、それから色々考えていたら涙が止まらなくなって。 「今、この瞬間がものすごく大切」と思える時ってすごく少ないし、いつがそうなのか分かりにくい、でも、「今しかない」みたいな彼らにも、ちゃんと80年近くの永遠とも言える絆がある。彼らが不幸なのかすごく幸せなのか分からなくなってしまって。で、自分の身に置き換えると、身につまされるというか・・・。 陳腐ですが、「ああ、愛する人たちと一緒に年を取っていけるってすごく幸せなことね」と気付かされたり。 何と形容していいか分からない気持ちになりました。 名作なのか?と言われると、映画そのものは名作とは言いがたいかな。やっぱり特殊メイクとかに目が行ってしまうし、一大叙事詩というか、フォレスト・ガンプのような感じもしましたし、まとまりが無いというか。いい映画だとは思いますが、見る人の置かれた立場で感じることは違うと思います。 ケイト・ブランシェットはやはり上手かった・・・。彼女の方が若い子からおばあさんまで完璧だったし。あと、ベンジャミンの養母さん役の人!あの人もいい演技でした。 F1ドライバーのジェンソン・バトンもそうですが、日本では「ボタン」さんというと笑える名字になるので、多分かっこいいだけに、「バトン」となったと推測します。(ジェンソンもハンサムです)おかげで、映画を観た日本人のどれだけが、生みの父親の名字と家業が同じだと気付いたろうか・・・。だから、映画の最初に出てくるボタンの山も、日本人の大半はその伏線に気付いてないでしょうね。 lifeonmarsさん、 harumiさん、
この物語って、すごく興味深いし、色々テーマも深いのかもしれないのですが、考えれば考えるほど設定に無理があるというか、私的には消化できなかったみたいです。心が若いのに身体がガタガタとか、同世代の感性を分かち合えないとか、そういうのがピンと来なくて。 そういう感覚を味わったことのある人なら、心にぐっと来るものがあるのかも。 |
|
|
| トラックバックURL削除 |



![ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51RY%2BqtxVeL.jpg)

