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『イントゥ・ザ・ワイルド』-青臭くて薄っぺらいけど、欺瞞じゃないと思う
Into the Wild

一番印象に残っているのは、ロン(ハル・ホルブルック)という革職人のおじいさんとクリス(エミール・ハーシュ)の会話。ロンは家族を事故で亡くしている孤独な老人で、クリスにアラスカに行って欲しくない。

「寂しいよ」

というロンにクリスは、

「僕もだよ。でも、生きる喜びが人と繋がることからしか得られないと思うのは間違いだよ。神様は僕たちの周り、僕たちが経験できるもの全てに幸せを散りばめてくれているんだ。みんなものの見方を変えるべきだよ」

into the wild
dvd on amazon.com

Produced: 2007
Director: Sean Penn
Writing Credits: Sean Penn, Jon Krakauer
Cast:
CHris McCandless: Emile Hirsch
Billie McCandless: Marcia Gay Harden
Walt McCandless: William Hurt
Carine: McCandless: Jena Malone
Jan Burres: Catherine Keener
Wayne Westerberg: Vince Vaughn
Tracy Tatri: Kristen Stewart
Ron Franz: Hal Holbrook
この映画の中では、クリスは両親と相容れなかったことが強調されているのですが、自分が愛して欲しい人に愛されない、自分が愛したい人を愛せない、というジレンマから、人間同士の繋がり以外に本当の幸せがあるんじゃないかということを信じたかったのでしょうか。

私も色んな人間関係が破綻して、誰とも繋がれないんじゃないかと思ったとき、恋愛とか家族とか親友とか、人と人との関係というものが個人の幸せに与える影響って過大評価されているのじゃないかと思うことがあります。それは社会が個人をまとめて行く為に作った幻想じゃないのか。自由とか、自然、動物、音楽、芸術、旅・・・・本当は、こういったことが人間を幸せにするのではないか?クリスは言います。

The freedom and simple beauty is too good to pass up...
(自由と飾り気のない自然の美しさは、諦めるには素晴らし過ぎる・・・)

そしてとうとうアラスカに着いたクリスは、自分独りでサバイバルできるという強さ、賢さを自分に感じ、誰もいない、電気も騒音もない場所で色々なことを考え、日記に書き、とても充実しているように見えるし、実際そうだったのだろうな、と想像ができます。

しかし最後、かなり弱ってきたクリスは、

Happiness only real when shared

と書く。「幸せは、人と分かち合えたときにだけ現実になる」

クリスは独りになりたかったんだと思う。社会の規範から逃れたかったのだと思う。ものの見方を変えたかったんだと思う。他人からの影響、社会からの影響、人の見る目、そういうものを完全に取っ払ったら、自分てなんなんだろう、何を求めているんだろう、ということが知りたかったんだと思う。

それにしても、運命を感じませんか?2週間ですよ。クリスが死んで、たった2週間後に遺体は発見された。遺体を発見したハンターたちが、もう少し早くここに来る計画を立てていたら。クリスがもうちょっとがんばれたら。

このお話は、24歳で死んだ男の子のお話だけど、人間の人生を表しているようにも見える。人は生まれ、苦悩する。苦悩ゆえに、真実を見つけようとする。旅に出なくても、人生そのものが旅なのだ。そこでいろんな人に出会い、愛を分け合う。クリスは、自分が親と問題があったせいか、家族の課題を抱える人たちを旅の途中で救っているような気がする。

苦悩するということは、その痛みがわかる。わかるから、それに関しては、他人を救ってあげることができるのではないか。そうして旅を続け、時に働き、ときに休み、楽しいことも辛いこともある。そして人間は死ぬときに真実を知る。もしかしたら、死ぬときにしか知れないのかもしれない。クリスは、ソローの言葉を引用した。

rather than love, than money, than faith, than fame, than fairness... give me truth
(愛より、お金より、信仰より、名声より、平等より・・・・真実が欲しい)

みんな真実を知りたいのだけど、怖くて突き詰められない。それは、真実を知るのは死の瞬間だって、本能的に知っているから?

クリスが帰ろうと決めたときに、河がこちらへ渡ってきたときより大きくなって、向こう側へ渡れなくなっていた、と言うのも象徴的だなあと思った。クリスはあのときに既に黄泉の河を超えてしまったのではないだろうか。

弱ってきてから死ぬまでの間の辛さというのは、想像もつかないくらい壮絶なことだと思う。けれども、私はそれでもクリスが幸せだった、というのが信じられる。恐怖と幸福を一緒に感じることもできるのだ。

クリスのことを、誰にでもある家庭の問題くらいで大騒ぎしている金持ちの家の我がまま息子、という見方をする人もいると思う。クリスが文明や社会や人間がいないところで暮らしたい、と思っていたところが実はハンターが頻繁に出入りしているところだ、と言うのもなんかお粗末ではある。私は通常は、どちらかというとこういうのを否定したり茶化したりする側なのだが、この映画はそういう気になれなかった。家庭の問題、両親との確執なんて多かれ少なかれみんな持っている。物質主義の社会っていやだと思いながら、結局みんなそれに依存して生きている。クリスだって、銃も使えば、ジップロック・バッグも使ってたじゃないか。

でも、だからと言って、クリスのしたことが欺瞞ってわけじゃないんだよ。この子はこの子なりに考えて、実際行動に移したのだ。青臭くても、薄っぺらくても。「そんなものあるわけない」と斜に構えてしまうのは簡単だけど、本当に「ある」のか「ない」のか、突き詰めて行くのはなかなかできない。クリスは帰ろうとしたけど、帰れなかった。だから、最後は自分の意思じゃなかったかもしれないけど、やり遂げたことがすごいと思う。

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key Word 映画 イントゥ・ザ・ワイルド ショーン・ペン エミール・ハーシュ マーシャ・ゲイ・ハーデン ウィリアム・ハート キャサリン・キーナー ヴィンス・ヴォーン ハル・ホルブルック
考えさせられた映画 | コメント(8) | 【2008/10/14 09:23】
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コメント
コメントありがとうございました!
ショーン・ペン大・大・大好きなんですが、
『イントゥ・ザ・ワイルド』は未だ観れてなくて……
でもゼッタイに観に行きます♪♪


監督二作目の『クロッシング・ガード』に、
魂どうにかなっちゃいそーなくらい惚れてマス(笑)
【2008/10/14 13:45】 URL | アナーキー・スカイウォーカー #-[ 編集] | page top↑
観て来ましたよ。
何でか、寝ちゃうんじゃないかと心配してたんですけど、大丈夫でした。
クリスは究極の自由を手に入れるために究極の孤独が必要だと思っていたのかもしれないんだけど、一人きりで暮らしながらも、今まで父親に言えなかったことを一人芝居のように言ってみたり…というのが、何だか裏腹だなと思ったりしたけど、この感じはすっごいよく分かります。
青臭い潔癖さだけでなく、自分が忌み嫌うものと同化することの恐怖が彼を荒野へと駆り立てたような気がしました。

何か、即身成仏みたいだなぁと思った。
いろんな意味で。
【2008/10/16 17:15】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
>自分が忌み嫌うものと同化することの恐怖が彼を荒野へと駆り立てた

この気持ちは私も良くわかるのだけど、結局荒野つっても人間の手の入ってないところなんてもうないんだなと思ったよ。バスはあるし、ジップロックはあるしさ。
【2008/10/16 21:13】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
>結局荒野つっても人間の手の入ってないところなんてもうないんだなと思ったよ。バスはあるし、ジップロックはあるしさ。


そうだね、宇宙だって人の手が入ってしまったものね。
歯も磨きたい、シャワーも浴びたい。
ただ、一人になって自分を試してみたかったんだろな。
最後はあんなことになったけど、生きることにすごく執着してて、大学卒業後は自分の心の声に従って生きてみたんだろな。

真実の探し方はいろいろあるけど、彼は実際旅することで追い求め、最後は見つけられたのでは。

彼の行動は欺瞞じゃないと思ったよ
【2008/10/22 22:36】 URL | 茶 #-[ 編集] | page top↑
茶さん、

この子はこれで良かったんだと思うね。死んじゃって可哀想だけど、死ななきゃわからないこともあるし、この子が欲しかったのはソレだったのではないかと思います。
【2008/10/22 22:42】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
今年の第7位ですよ(いつもそんなこと決めているワケじゃないんですけど)。
他のブログで「肉親に心配かけて、この身勝手な小僧が大嫌いだ!」って意見が3分の1くらいあってビックリしましたよ。
……まあ逆に云えばそんなに繋がって居心地の良いってことなんだろうけど、「断ち切りたい」って考えって誰にでもあると思っていたんで意外でした。
【2008/12/03 08:31】 URL | クマノス #VFkxEMUo[ 編集] | page top↑
>肉親に心配かけて、この身勝手な小僧が大嫌いだ!

これって一番簡単に出てくる意見なんじゃないかなあ。アタシも最初思ったの。いるじゃん、どーでもいいことぐちぐち考えてるヤツ。でも観ている内に、この子は結構マジなんだなーと思えてきたんだよね。
【2008/12/03 22:42】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
このコメントは管理者の承認待ちです
【2010/09/08 21:55】 | #[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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