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『麦の穂をゆらす風』-なんという不条理・・・
The Wind That Shakes the Barley

この映画は、一人の普通の人が、自分の意思に反して戦争に巻き込まれていく様を良く表しているなと思いました。背景は1920年のアイルランド南部の町・コーク。キリアン・マーフィ演じるデミアンは青年医師で、ロンドンに上京して病院で働くことになっていた。近所の人にお別れを言っていると、突然イギリス人の兵士たちがどやどややってきて、青年たちを壁の前に並ばせ、名前と住所と職業を言え、と怒鳴り散らす。まだ17歳のMichael(綴りはこうなんだけど、「マイケル」って発音じゃなかった)が英語で名前を言うことを拒否し、ゲール語を使い通したために、イギリス兵たちに殴り殺される。

the wind that shakes the barley
dvd on amazon.com
Produced: 2006
Director: Ken Loach
Writing Credits: Paul Laverty
Cast:
Damien: Cillian Murphy
Teddy: Padraic Delaney
Dan: Liam Cunningham
Sinead: Orla Fitzgerald
Michaelの葬式で集まった青年たちは、デミアンに、ロンドンに行ってくれるな、もうイギリス人の横暴には耐えられない、独立戦争を起こすんだ、お前もIRAに参加して、俺たちと一緒に戦ってくれ、と言うが、デミアンはIRAでは規模が小さ過ぎて、イギリス軍に敵うわけがないと言って断る。

ロンドンへ行く汽車に乗るため駅へ行ったデミアンは、またもやイギリス兵たちの横暴を目にする。乗車拒否をされたイギリス兵が駅員さんに乱暴し、勇敢にも助けようとした運転士さんにも暴行を働く。これを見たデミアンはロンドン行きを止め、IRAに参加する宣誓をし、幼馴染みの青年たちとアイルランド独立のための兵士になることを誓う。

映画見てていやだなあ~と思ったのは、どこに行ってもイギリス兵に意地悪されることです。最初のシーンだって、別に普通に近所で幼馴染みたちとダベっていただけなのに、突然言いがかりつけられて、言うとおりにしないと「服を脱げ」と言われて、Michaelみたいに殺されたりする。デミアンがIRAに参加した後、Michaelの報復としてパブでイギリス兵4人を射殺するのですが、このときだって、パブでみんなのんびりくつろいでいるのにイギリス兵がどやどや入ってきていいがかりをつけてきたり嫌がらせをしたりする。

これって、今のイラクもこうなのかな、と思いながら見ていました。こういう戦争映画、私たちは時代劇として、過去に起こったこととして見てるわけですが、イラクではコレが今現在起こっているのかもしれない。アメリカが徴兵制度がないのに戦争を続けて行けるだけの兵隊を集められるのは、階級社会になっているからで、イラクに送り込まれる兵士たちは、貧乏な家庭から仕方なく来ている、教育水準の低い人たちばかりだと聞いています。それと、昔よりも精神的に不安定な人をはじく規定が緩くなっているとも聞いた。つまり、戦争における倫理をきちんと教育されていない人や、精神的に不安定な人も戦場に送られている。

今、アメリカや日本のような平和で秩序のある国々で戦争が起こっても、この映画にあるような非人道的なことなるとは考えづらいけども、実際イラクのように戦場になっている地域が2008年の現在でも存在するし、いくら戦争に置いての人権が法的に決まっていても、自分たちが接する一般の兵隊さんたちがそれをきちんと勉強して理解して、ぶっちゃけ従おうなんて思っているのかはわからないし、精神的に不安定な人だったら、戦争という緊迫した状況下で極端な行動に出ないとも限らない。この映画で描かれているようなことが、繰り返されないとはとても言えないんじゃないかと思う。

デミアンのような人間は、暴力とか人と争うということが苦手なんだと思う。なるべく争いは避けて、自分のしたいことをしたい、という。悪く言えば事なかれ主義なんだけど、良く言えば賢い。今の安定した社会だったら当たり前に存在する青年ですよね。学校に通ってきちんと勉強し、ほのぼのとしていいところだけど刺激も将来性もない田舎を出て、大都会でバリバリ働いて成功したい、という。デミアンのお兄さんのテディは、IRAの支部を指揮しているくらいなので、「目には目を」という理論で、暴力で押さえつけられたら暴力で返す、というのを肯定できる人なんだと思う。この二人を兄弟という設定にしたことでデミアンの性格がより強調されている。

デミアンとテディのどちらが正しいとか間違っているとかは言えないけど、デミアンのような人が不本意ながらも兵士になり、密告した幼馴染みを処刑しなければならない痛みを抱えてまで戦ったのにも関わらず、イギリスとの平和条約に対する意見が分かれ、兄弟であるテディと戦わなければならなくなってしまうという不条理・・・・・。

偶然にもこの映画を観た後、町山智宏さんのブログでIRAうんぬんの記事が上がってたりして、知ってるようで全然知らなかったIRAのことを多少勉強できたり、また戦争とは、平和とは、ということを考えたりできたので、いい映画だと思うのですが、余りにも希望がなさ過ぎる。全くユーモアもないし、希望もない。物語りも、だいたい筋的には読めてしまうので、途中少しうとうとしてしまいました。『硫黄島からの手紙』とか『プライベート・ライアン』とかは、不本意ながらも戦い続けた主人公たちが、何か尊厳とか崇高なものを最後に見つけることができた、というポジティヴな見方もできたんだけれども、『麦の穂をゆらす風』は最後まで不条理しか感じられず、本当にくらーい気分になってしまいます。アメリカ映画は戦争を美化し過ぎ!と言われてしまえばそれまでなんですが。

key Word
映画 麦の穂をゆらす風 ケン・ローチ キリアン・マーフィ ポードリック・ディレーニー リーアム・カニンガム オーラ・フィッツジェラルド
DVDで見た映画 | コメント(2) | 【2008/10/07 07:16】
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コメント
ケン・ローチの映画は普段はもう少し温かみ、というか悲惨な中にも希望があるのが多いのですけど、これは陰惨な雰囲気でしたね。おそらく個人的な思い、みたいなのがかなり入ってるんでしょうね。
【2008/10/08 19:05】 URL | GO #-[ 編集] | page top↑
GOさん、
役者さんもいいし、題材もいいし、いい映画なんですけどね。ケン・ローチさんはアイルランド人じゃなくてイギリス人だって話なんですけど、そうなの?
【2008/10/09 00:06】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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