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『ディス・イズ・イングランド』-ハッピーエンドじゃないけど希望がある
This Is England

背景は1983年、イギリスのとある町。12歳のショーンは、パンク全盛期のご時勢にベルボトムを穿いていると学校でからかわれる。からかいが前年のフォークランド戦争で死んだ父親のことに触れると、ショーンはブチ切れて、ケンカをしてしまう。校長室から開放された帰路の途中、近所のスキンヘッズがたむろしているところに通りかかる。スキンヘッズたちはショーンをからかおうとするが、ショーンが学校で馴染めず、今日もケンカしたばかりだと言うと、スキンヘッズのリーダー格であるウディは、ショーンを傍らに座らせ、話を聞いてくれる。

This is England
dvd on amazon.com
Produced: 2006
Director: Shane Meadows
Writing Credits: Shane Meadows
Cast:
Shaun: Thomas Turgoose
Combo: Stephen Graham
Cynth: Jo Hartley
Milky: Andrew Shim
Lol: Vickey McClure
Woody: Joseph Gilgun
Smell:Rosamund Hanson
こうしてスキンヘッズたちと仲良くなったショーンは、お母さんに頼んでスリムのシーンズと、Dr.マーチンのブーツを買ってくれとせがむ。Dr.マーチンは子供用のサイズがなかったので似たようなブーツを買い、スリムのジーンズを穿いて、ウディの家に行き、ウディの彼女ロルに頭を剃ってもらう。

「これで仲間の一員にしてくれるんでしょ?」と聞くショーンにウディは、

「ダメだよ。ベン・シャーマンのシャツがなくっちゃ」と冷たく言う。ショーンがしょんぼりしていると、

「サプラーイズ!」

って感じで、ロルがシャツとサスペンダーをプレゼントしてくれる。

この映画すごくいいの~!あんまり良過ぎて、レヴューが書けない。もう5、6回書いてる。言いたい事が多過ぎて、端折れないんだけど、なんとかがんばって、短くまとめます。

何がそんなにいいかって、登場人物の気持ちがすごく良くわかるところなんです。スキンヘッズたちはいわゆる町の不良なんだけど、彼らが独特のファッションをしてつるんでいるのは、仲間が欲しいからなんだなあ、と言うのが良くわかる。12歳のショーンは、父親を失くし、悲しみから内に籠もり、何者ともコネクトできないのだけど、このスキンヘッズたちは十代後半なのに、ずっと年下のショーンを優しく迎えてくれる。そういう人たちに仲間と認めてもらいたくて、Dr.マーチンを買ってくれと母親にせがむショーンが愛おしいと思った。

きっと他のスキンヘッズの子たちも、同じような気持ちを持っていて、自分と唯一つながることの出来る仲間をすごく大事にしている。こういうのを見ると、若い子たちの過激なファッションや行動で、色々なレッテルを貼るのは間違いだなあとしみじみ思う。ウディもロルもショーンも、スメルもミルキィもみんなすごくいい子なのよ。

と、ほのぼのしているところへ、コンボというちょっと年上の、20代後半くらいのスキンヘッドが3年半のお勤めを終えてムショから帰ってくる。それを迎えるウディは、コンボはオレをかばってムショへ行き、絶対にオレを売らなかった、と仲間に紹介する。

しかし話をしているうちに、コンボはかなりマズイ、とわかってくるんですね。彼はマジにWhite Power系の白人至上主義のスキンヘッドで、ジェイルで黒人に意地悪されたこととか、ものすごい敵意のあるジョークを使って面白おかしく話す。ウディの親友・ミルキィは黒人(ジャマイカン)の男の子なので、みんないやーな顔をしているのですが、コンボは、イギリスの失業者が多いのは移民のせいだ、もともとイギリス人である白人が手が出ないようないいアパートに、大勢のパキ(「ジャップ」みたいな、パキスタン人に対する差別用語)が住んでいる。

「This is England、俺たちの国を取り戻すんだ!そのための戦争をするんだ!Are you ready!」

とウディたちをアジるわけなんです。

で、ウディとロルはコンボと決別するのですが、ショーンはコンボに感化されて、白人至上主義のグループにハマって行き、観ているこちら側としては非常にハラハラする。でも製作者は、このコンボさえ悪者には描かない。コンボはショーンの痛みがわかる。怒りがわかる。それは悲しみから出てくる苦い感情で、どこにも行き場のない、ぶつけどころのない感情。

でさ、コンボが白人至上主義になってしまう気持ちさえも、見ている側にわからせてしまうところがすごいのよね。コンボのバックグランドは全く説明されないんだけど、ショーンや、他のスキンヘッズとの絡みの中でなんとなく想像できる。きっと崩壊家庭から来た、孤独な少年だったんだろうと思う。そして、人一倍、誰かに愛して欲しいと思っているのに、そういうものがみつからなかったのかな・・・・その悲しみから出る怒りをぶつける先が、人種差別だったのではないか。

でも、コンボみたいなキャラを悪者にしないからといって、「みんないい人です」みたいな日和見な話じゃないの。なぜ不良になる若者がいるのか、なぜ人種差別はあるのか、ということが良くわかる。私は自分も結構不良だったのに、このスキンヘッズたちを「大丈夫かね、この子たちは」と偏見で見てしまった。でもこの映画の製作者は、この子たちが本当はどんな子たちで、何を考えて、感じて生きているのか、良くわかっている。その真実をまっすぐ描いている姿勢と、キャラたちに対する愛情が、ものすごく私の心の琴線に触れました。

しかも1983年と言ったら、自分もこの世代で、ファッションや音楽を通してイギリスと言う国に対しても憧憬があったから、Dr.マーチンやスリムのジーンズとか懐かしかったんだけど、同時にフォークランド戦争や、サッチャー政権下のフラストレーションがあの頃のパンクやメタルに反映されていたと気付かされて、ハッとなったりもした。

最後はハッピーエンドじゃないのね。事の結末、と言う意味では。でも、10代の頃の出来事って、誰にとってもその後の人生に与えるインパクトが強いじゃない。そういう意味では良かったと思う。最後、ショーンが海に白人至上主義の旗を捨てるシーンで、『Please, Please, Please, Let Me Get What I Want』がかかるんだけど、この歌って、『ニューヨーク・ドール』で初めて聴いたときから切ない曲だなと思っていたんだけど、きっとこの曲を歌っている人は、自分が本当に、心底欲しいものを手に入れられないか、手に入れられないことがわかっているんだと思うのね。そんな胸が締め付けられるような曲なんだけど、でもすごく美しい曲で、欲しい物が実際に手に入らなかったことよりも、そのことによって湧き出た感情が美し過ぎる、って感じの曲で、この映画も、同じような美しい映画だと思ったわ。

key Word
映画 スキンヘッズ 白人至上主義
この映画がすごい!! | コメント(0) | 【2008/07/31 08:20】
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