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Happiness
レストランでのデートシーンから始まるこの映画。デートしている男女は普通の、どっちかというと冴えないカップル。しかも、楽しくデートしているのではなく、女の方が別れようとしている。言葉を選んで話しているのですが、男に「お前はクソだ。俺がクソなんじゃない。お前は死ぬまでクソだ」と逆ギレされてしまう。
このシーンのすぐあとが、フィリップ・シーモア・ホフマン演じるアレンのセラピーのシーンで、アレンが 「あの女を・・・・犯して・・・・ひっくり返してもっと犯して・・・・そんなことばっかり考えている・・・・」 ってシーンなんですから、『ハピネス』というタイトルがいかに皮肉かってのがわかってもらえるかと思います。 『マグノリア』を彷彿とさせる群像劇なんですが、救いのなさが『ハピネス』の特徴ですかね。英語ではこういうの良くDisturbingと言われますね。辞書では「心をかき乱す」とか訳されてますが、「カンに触る」「神経に障る」「いや〜な気分になる」って感じですかね。 で、アレンの精神科医のドクター・メイプルウッドは、お金もあって、幸せな結婚生活を営んでいるように見えるんですけど、じつは小さい男の子を犯したくて、日夜悶々としている。その妻はなーんにも考えていない、アメリカの典型的な中産階級、その妹が冒頭で男と別れようとして罵倒されたジョイ、もう一人の妹のヘレンは、人気作家ですっごい美人で男は遊び放題で、アレンが妄想しているのはこの人、という設定。 とにかく、最後に幸せになる人がいないんですけど、完全に100%不幸になる人もいないんですよ。要するに何も変わらない!これって一番disturbingですよね。群像劇ではありますが、一応、ジョイが主人公みたいなんですけど、この人ホント、なんでこんな運が悪いの?!って感じよ。 冒頭、男を振ってるんですけど、普段は振られてばかりみたいで、お姉さんたちは家庭と仕事で成功しているのに、自分は両方だめ。ミュージシャンなんだけど、全く才能なくてそっちは全然ダメだし、行き先のないテレ・マーケティングの仕事を辞めて、亡命してきた外国人に英語を教える仕事を始めるんですけど、生徒に全然好かれないという、こういう人、本当にいるんだろうか?!って感じです。 で、フィリップ・シーモア・ホフマンも、お得意のデブで冴えない変態を演じてるんですけど、いたずら電話してマスかく、という超悲しい、危ない男です。で、隣に住んでる、美女で人気作家のヘレンに恋しているんですけど、このヘレンは『ツイン・ピークス』でドナ役を演じた、トラディショナルな美人(一般には『オースティン・パワー』の方が有名かもね)のララ・フリン・ボイルで、なんでこんなどうにもならない女に惹かれるんだよ!とイライラするのですが、結構釣り合うデブでブスのクリスティーナにやっと落ち着いたかと思ったら、クリスティーナは、自分をレイプしたアパートのドアマンを殺してバラバラにしていたという・・・・・もう、とほほでしょ? 小児性愛者のドクター・メイプルウッドは、可愛い男の子を犯す妄想ばっかり見てるんですけど、息子がちょうどその歳で、息子の友達を犯っちゃうんですよ!息子が話す友達のことを妄想するみたいで、がまんできなくなって犯りに行っちゃったり、ちょっとカマっぽい男の子がお泊りに来たとき、睡眠薬で眠らせて犯したりしてる。あーあ。で、学校で噂になって、息子が「パパ、本当にやったの?」と聞くと、「イエス」って言うんですけど、このとき息子が泣くんですね。これが可哀想ですねー。自分の父親は変態なんですよ。小児性愛を変態よばわりしていいかはわかりませんが、少なくともこの人たちにとっては変態で、お父さん自身が自分をおかしいと思ってるんですから。行き場がありません。 考えてみれば、『リトル・チルドレン』でも、小児性愛者が出てきましたよね。小児性愛者って、本当に行き場ないですよね。子供がいたずらされるのは可哀想なんですけど、子供しか愛せないって人も悲劇ですよね。このお父さんは、なんとか自分の性欲を抑えようとしてるんだけど出来ないみたいで、そうなっちゃうともう社会に受け入れられないんですもんね。 まー要するに何が言いたいかって言うと、多分、アメリカの"Go-Getter"、目標に向かって常に前進する、とか、がんばれば何でも手に入る、みたいな非常にポジティヴな姿勢に疑問を投げかけているのだと思います。手に入らないものはわんさとあるし、生まれついて持っているものは変えられない。ブスでデブに生まれてきたら、ブスでデブなんだよ!という。 こういう思想はネガティヴとされていますが、私はそうじゃないと思うんですね。というのは、「誰でも幸せになれる」と思うから、幸せになれないと不幸に感じるのであって、「自分の人生はこんなもんよ」と最初から肯定した方が、幸せじゃなくても、ストレス感じて、頭オカシクなったりはしないですよね。 ダイエットってのが一番いい例じゃないですか?みんな努力すれば、モデルみたいにきれいになれる、と思うから食べないで我慢したりする。また、努力でどうにでもなるものだ、という考えがあるから、デブの人は「努力しない人」とみなされ、バカにされる。でも、現実にモデルみたいな体型になれる人は全体の10%くらいしかいなくて、だから10代の女の子たちが拒食症で死んで行くんじゃありませんか。 だから、結局、この映画に出てくるいわゆる「Loser(落ちこぼれ)」を生んだのは、一見良いことに見える「ポジティヴ・シンキング」や上昇志向で、人間ってのは多少だら〜と生きてる方が幸せなんだよ、と言ってるんじゃないでしょうかね。私はそれ、賛成ですが。 key Word 映画 ハピネス トッド・ソロンズ ジェーン・アダムス ララ・フリン・ボイル シンシア・スティーヴンソン フィリップ・シーモア・ホフマン 映画レビュー
| トラックバック(0) | コメント(3) | ブログ・レポ | 【2008/07/07 00:40】
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観たら暗い気分になりそうな映画ですね。救いようがない。
どのエピソードもいやぁ〜な感じが漂ってますねぇ。 でも、チュチュさんの言わんとすること、わかる気がする今日この頃。「あきらめる」ってことは 意外と大切でそれによって自分がラクになるんだなぁ、と最近になって気づいたのです。 こうでなければならない、という思い込みを捨てられるとすごくラクになる。 かといって、努力を怠っていいということじゃあないんですけどね。 ある程度のラインで、ま、いっかこんなもんで!と思って自分を認めた方がいい。 上昇志向は別にいいと思うし、それを否定はしないけれど、あんまり自分に 無理させちゃあいけねぇよ!ってことですよね。 ここんところずっとモヤモヤしていた原因が、まさに「あきらめない」ことに起因していたのが 分かって、まぁいいか、って思うようになったらスッキリした〜!というタイミングと一緒だったもので・・・。過剰にポジティヴな人を見てしまうと痛々しく感じてしまって、ちょっとついてけないな〜と思ったことがあったんですが、その時に私は自分にダメ出ししちゃったんですよね。 ああいうポジティヴな姿勢がないから私はダメなんだーって。どうして自分はそうなれないんだろう?とでも、無理してる人より肩の力が抜けてるひとの方が、親しみ湧くし何より楽しいじゃん!と思って。 だから、私はそっちを目指そうと思ってマス。全然映画と関係なくてすみません。 codomoさん、
実はこのレヴュー書いたあとで、 「これって全然映画の趣旨じゃないな〜!」 と反省していたんですよ。多分映画は、全く救いの無い人たちを、全く救いなく見せることが趣旨で、別にポジティヴな姿勢を批判はしてねえだろうと(笑)。 でも私が書いたことは、本当にそう思って書いたんですけどね。だから、そこに反応してコメくれて嬉しいです。 ずっと昔に観てたので記憶がないのですが・・・覚えてることといえば ララ・フリン・ボイルが当時はかなり美女だったけど最近じゃあトリガラのようになってしまったことだけ。トホホ〜。
フィリップもいつの間にやら大物になって なんかビックリです。ポルノ俳優だのドラッグ・クイーンだのやってたのになぁ。 |
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