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『恋愛適齢期』-なんたって、大人のラブコメですから
Something's Gotta Give

ジャック・ニコルソン演じる63歳のレコード会社社長のハリーは、20代のの女としか付き合わない、という結婚経験なしの、筋金入りプレイボーイで、新しい彼女のマリンに、週末を別荘で過ごそうと誘われてやってくるのですが、芝居の脚本家であるマリンの母親・エリカも、別荘で脚本書きの仕事をしようとやってきて、鉢合わせしてしまいます。自分の娘がこんなジジイと付き合っていると思うと、エリカは憤りを隠せないのですが、結局その夜は、エリカの妹のゾーイも交えて、みんなで一緒に夕飯を食べる。

Something's gotta give
dvd on amazon.com
Produced: 2003
Director: Nancy Meyers
Writing Credits: Nancy Meyers
Cast:
Harry Sanborn: Jack Nicholson
Erica Barry: Diane Keaton
Julian Mercer: Keanu REeves
Zoe: Frances McDormand
Marin: Amanda Peet
このゾーイの役がフランシス・マクドーマンドなんですが、この人が夕飯の席ですごいこと言うんですよ。

ゾーイは「女が63歳で一度も結婚したことなかったら、オールド・ミスなんてバカにされる。ところが男のあなただと、哀れむどころか、独身万歳!みたいにこぞって賞賛する(これは、ハリーのことが「かっこいい独身男」みたいな内容で雑誌に掲載されたことに関して言っているんですけど)。さて、そこで私の姉だが、容姿端麗で、しかも最も成功した劇作家の一人でありながら、50歳過ぎでバツイチなので、毎晩一人きりで寂しい夜を過ごしている。こんなことは言いたくないけど、彼女と釣り合うくらいの歳の独身男たちはマリンのような若い女を選ぶのよ。で、蚊帳の外に置かれた50女は、自分磨きに精を出し、どんどん知的で興味深い人間になっていく。しかし男と言うものは-みんな知っている通り-知的で興味深い女を怖がるのよ。特に年齢のいった男は・・・。明らかに50女は最も不幸な層だと思わない?」

これでこの夕飯はぶち壊しになってしまうのですが、これを観ているお茶の間もいやーな空気が漂いますよねえ。これは大学でウーマン・スタディなんかしているゾーイが、感情的になって言ってるんじゃない、The Matter of fact(単なる事実として)ちょっとジョーク交じりに言ってるっていういう設定にはなってますが、要するに年齢を重ねた女性は知性的で非常に面白いのに、男はそれを愛でるだけの脳みそがないから、若い女のケツばっかり追っかけまわして、おまけに世間はそういう男を容認するどころか、かっこいいと褒め称えているってどうよ!と言ってるわけなんですね。

こういう映画をアメリカでは一般にChic Flickと呼んでいるんですが、これは映画に対する蔑称ですね、普通。「女が好きそうな映画」「女向けの映画」ってことで、男はすっごい観るの嫌がるのですが、何でかって言うと、Chic Flickってのは、上記のようなことを映画開始から30分でフランシス・マクドーマンドみたいな女優に言わせといて、あとで回収しないんですよね。つまり、年齢のいった女って、こんなに魅力的なのよ、それに気が付かない男の方が不幸でしょ?みたいな、最後に何らかの形で納得させてくれなかったら、「あーまた女どもがなんか文句言ってる」って思われちゃうわけですよ。

で、キアヌ・リーヴス演じる医者のジュリアンは、女性の知性を愛でることが出来る、非常に数少ない素晴らしい男として描かれているわけなんですね。彼は芝居が大好きで、エリカの脚本の大ファンで、「僕は君の知性を恐れたりしない」とか思いっきりセリフにも出てくるくらいなんですから。しかもエリカより20歳も若い36歳で、超イケメンで、しかもドクターですよ!本当は50女は、こういう男に愛されるべきだ、と言っているんでしょうか?

でも、ジュリアンがエリカに魅かれる動機が今一はっきりしないんで、説得力ないんですよね。彼女の作品のファンだからって、恋に落ちると言うのは違うでしょ?唯一これかな、というシーンは、エリカが電話で友達と無邪気に話しているのをじっと見ているジュリアンが、「この人、可愛い人だな」という感じで

「フッ」

っと笑い、エリカをディナーに誘うんですね。その後、ジュリアンはディナーの席で、自分は同い年くらいの女に興味がないわけではないが、魅かれる相手がいない、エリカ、君はセクシーだ、とか言って、首筋にキスして、

「君がいい匂いがする、っていうのはわかっていたよ・・・・」

って言うんですけど、なんかコレを聞くと、ジュリアンは加齢臭とかが好きな「熟女好き」なんじゃないか?!と思えてくるんですね。

しかもエリカって人は、

「これは・・・・石鹸の匂いよ・・・」

なんて、すっごいベタな謙遜しか出てこなくって、「こいつ本当に知的なのかよ!?」と思えてくる。頭いいんだったら、ちょっと実生活でマネしたくなっちゃうよな、かっこいい切り返ししてくださいよ、って感じです。

で、ハリーの方も、エリカを好きになっちゃうんですけど、こっちも説得力ないんですね~。唯一考え付く理由は、心臓発作やって、ついにテメーもジジイだと認めざるを得なくなったハリーが気弱になっているところを、エリカがたまたま面倒見てあげたから、としか思えないんだよね。しばらく一緒に暮らさなければならなくなったのですから、一緒にいる内に情が沸くってことがある、というのは否定しませんが、そうなると、さっきのフランシス・マクドーマンドが投げた爆弾が不発に終わっちゃうんですね。だって、エリカが知的で面白い女だから魅かれたのじゃなくて、面倒見のいい女だからだったら、遊ぶ女は若い女、家で面倒見てくれるのは古女房みたいな、そういう意識から抜け出てないじゃないですか。

そいでエリカはどうかっていうと、ジュリアンよりハリーに魅かれてしまうのですが、これもまた説得力ないんですよね・・・。ハリーが心臓発作で養生するため、エリカの別荘に滞在し始めてから、散歩に誘ったり、同じ家にいるのにメイルのチャットしたりし始めて、ある日二人とも夜更かしなので、夜中にキッチンで落ち会ってパンケーキを作ることになったのですが、そん時突然エリカが

「私はどうしてこんなにもあなたに魅かれるのかしら」

みたいなことを言い出すのですが、私にとっては寝耳に水、ってか、そうなの?!って感じなんですよ。唯一考え付く理由は、もうずっと男と生活したことなかったから楽しくってハマっちゃった、としか思えないんですね。

邦題の『恋愛適齢期』っていうのは「恋愛に適齢期なんてないんだよ、エリカを見て!恋に落ちて泣いたり喚いたり傷ついたり、50過ぎたってこんなもんよ」という、明らかにエリカが主体のタイトルだと思うのですが、原題の『Something's Gotta Give』っていうのは、「(何か重要なもののために)手放さなくちゃいけないもの」というような意味なのですが、そうなると主人公はハリーなんですよね。

というのはですね、ハリーはエリカに恋するんですけど、独身のジゴロ的生活が捨てきれないんですね。セックスした後エリカが舞い上がって、来年の誕生日に一緒にパリに行こう、なんていうとしら~っとしてたりとか、「セックスは二人でするもんだけど、寝るのは一人でするもんだ」と、自室に帰っちゃってエリカをがっかりさせたりとか。こんときははなぜかすぐにエリカの寝室に戻ってきて、「一緒に眠ったらどんな感じか試してみたい」なんて言って一緒に寝るんですが、心臓発作の後遺症がどうやら落ち着いたらしく、シティに帰っていいとなるとすっごいあっさり帰っちゃって、電話の一つもよこさない。で、エリカがたまたまシティでハリーを見かけると、若い女と一緒にいる。口論になるとハリーは、

「私は今更、誰かのボーイフレンドになんかなれないよ」なんて言うわけなんですよ。

要するに、エリカはコミットメントして欲しいので、ハリーは独身貴族的な生活をあきらめなきゃならないのですが、全然そこに気がついてないんですね。

そんで、少女のように傷心になったエリカは、ジュリアンとくっついて、ハリーとの情事の一部始終を脚本に書き、芝居は大当たり、ジュリアンも「君が書いた中で最高の作品だ」と絶賛。で、誕生日にはジュリアンとパリに行くんですが、ハリーは、エリカを追っかけてパリに来る。

で、エリカはハリーを取るんですが、ハリーは独身貴族的生活はどーしたのよ、っていう、そこらへんの説明がないんですよ。エリカがここまでハートブレイクだとか散々大騒ぎしといて、ハリーが独身貴族生活をすっぱりあきらめて来た、っていうくだりがばっさり端折られちゃってると、納得行かないじゃないですか。

そんで最後は、マリンが生んだ赤ちゃんを抱き上げて孝行爺と婆になったハリーとエリカって、こんなベタなラストにするんだったら、フランシス・マクドーマンドに爆弾投げさせる必要がどこにあったんだよ!とツッコミたくなっちゃうんですが、まーこのベタな大団円を見ると、この爆弾は単なるスパイス、というか、なんたって「大人のラブ・コメ」ですから、少し箔をつけたかったってだけで、さして意味なんかなかったんでしょうねえ。

要するに、あんまり理由付けのないエピソードを繋げただけの捨て映画だったんですけど、わざわざ主人公を年配の男女に設定したり、フランシス・マクドーマンドに爆弾投げさせたり、高い金払ってジャック・ニコルソンなんて怪優を持ってきたり、それに、キアヌがなかなかチャーミングなんですよ。こんだけ正の要素が揃っているのに、勿体無いですよねえ。あとほんのちょっと脚本叩いてれば、『リトル・ミス・サンシャイン』みたいなちょっと面白い作品になったかも知れないのに。

key Word
映画 ナンシー・マイヤーズ ジャック・ニコルソン ダイアン・キートン キアヌ・リーヴス フランシス・マクドーマンド アマンダ・ピート
恋愛映画・ロマンティックコメディ | コメント(4) | 【2008/06/30 05:25】
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コメント
観た当初、こんな話「絶対ありえねぇ!」って思ったのを思い出しました。
ずいぶん前に観たんで細かい内容忘れてましたがキアヌが出てなかったら観てないです。
Chic Flickって・・・脚本書いてるのがNancy Meyerだから余計にイタい感じですね。
【2008/06/30 21:28】 URL | codomo #yBfrOqTk[ 編集] | page top↑
codomoさん、
こんな長いレヴュー読んでくださって、ありがとうございます。

私はま、なんでもあり得るかもしれないと思って観るようにしてるんですけど、この映画は「これはあるだろう」と思わせてくれる上手さはないですよね。少なくとも「うーん、50になっても恋愛はいいなあ!」なんて思わせて欲しかったんだけど、単なる作り物のお話の域を超えませんでしたね。
【2008/06/30 22:23】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
これってダイアン・キートン世代の夢なんですよね きっと。
年とって誰にも相手にされないけど せめて夢だけでも観たいわ…と。観たのは本当に前なのでよく覚えてないんですが 二人でパンケーキとか パリとか なんか年はとっても乙女なことは忘れないのよね!みたいな感じですね。アメリカは若い女性が珍重されて 年よりなんて…みたいな雰囲気あるから なんでしょーか。フランス人なら「女はワインと一緒」って言ってくれますよー(笑)

でも私も50代でキアヌに言い寄られるなら嬉しいです!夢見たいです!(爆)
【2008/07/06 21:16】 URL | プリシラ #-[ 編集] | page top↑
プリシラさん、
私だって、50になったら、36のキアヌに言い寄られたいですよ!

解せないのは、なんであのぶよぶよしたジャック・ニコルソンを選んじゃうのか・・・・・
【2008/07/06 23:01】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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