|
In the Valley of Elah
概要を書こうと思ったんですけど、なんかこの映画、趣旨が今一ピンと来ないので、allcinema.netから引用させていただきます。
あらすじ: 退役軍人のハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、イラクから帰還してくるはずの息子マイク(ジョナサン・タッカー)が脱走したという知らせを受ける。息子を探すために現地へ向かい、地元警察のサンダース刑事(シャーリーズ・セロン)と捜索を開始。真実が明るみに出るとともに、ハンクは知らなかった息子の素顔を知ることに……。(シネマトゥデイ)" ということなんですけど、まず、トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドンが「重厚な演技のアンサンブル」どころか全く意味なかったですね。もちろんみなさん演技派には違いないんですが、「ハマリ役」とかそういうのではないんですね。特に失踪した兵士の母親役なんか、別にスーザン・サランドンじゃなくても、こういう映画で母親役しか演じない無名の女優さんで十分だったというか。トミー・リー・ジョーンズも、『ノーカントリー』の保安官役は、「やっぱこれはトミー・リー・ジョーンズだったから面白い!」と思えるのですが、この映画は別に無名の人でも・・・・・ (ネタバレしますのでご注意) 脱走兵の父親が知らなかった息子の素顔ってのは一体なんだったんだろう、と興味を惹かれたのがこの映画を観た動機だったのですが、Post-Traumatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害)だた、と言うオチだったときは正直「なーんだ」と思ってしまいました。それ自体がどーでもいいことだと言ってるわけではなくて、そんなの大問題だと言うことはみんな知っていて、「アメリカの闇」でも何でもないし、ぶっちゃけ「正義のために何をすべきか」なんてことは全く描かれていません。そこが描かれていたら、すごい映画になったかもしれないんですけど、ただ起こったことを描写しているだけで、これなら元になった実話のドキュメンタリー観た方がずっと面白かっただろうなと思いました。 同じ戦争を背景にした映画で実話に基づいている点でも同じなのに、これの前に見た『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』はすっごい面白いと思ったのね。なぜかというと、『チャーリー』は、この物語の中で屈託なく、純粋に、正しいことをしようとしているチャーリー・ウィルソンと、彼がしたことが結局どうなってしまったかということを知って見ている私たちの視点がズレているからなのよ。それを言うなら、『キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!』もこの『告発のとき』よりずっと面白いと思う。これも、ウォーターゲート事件というそれこそアメリカだけではない、世界を揺るがすような事件が、実はあっぱらぱーのティーンエイジャーによって引き起こされていたという、いわば「ツイスト」が入っていたからなんだよね。 『クラッシュ』もこの映画も、こういう「ツイスト」がないから、ドキュメンタリーみたいになっちゃうんだよ、ポール・ハギス!って全部コイツのせいにしようかと思ったら、この人『ミリオンダラー・ベイビー』とか『硫黄島からの手紙』とか素晴らしい映画の脚本書いている人なんだよね。やはり監督っていうのは、映画に及ばす影響が他のエレメントより大きいのだろうか。さっきも書いたけど、『クラッシュ』と『告発のとき』に「んじゃこの問題のために何をすべきか」ということが描いてあったら、両方ともすごい映画になったと思うんだよね。ただ、そうしたらものすごい賛否両論生んで、絶賛もされるけど批判もすごいと思うんだ。ポール・ハギスって人は、絶賛はされるけど大批判はされないという、ギリギリの線で社会問題を扱っているような感じがして、そこが日和見的で好きになれないんだよな。 でもま、色々考えはしましたので、悪い映画ではないと思います。というのは、脱走したマイクを探すお父さんのハンクも元軍人なのだけど、この人の時代には戦争による心的外傷後ストレス障害なんて余り問題にならなかったんじゃないのかな、と思ったの。まあ昔は、今よりもっともっと軍とか政府の「都合悪いことは隠蔽」ってのが激しかったのだと思うのだけど、それだけではないな、と思った。 劇中、やはりイラクから帰って来たばかりの兵士が飼い犬をバスタブに浸けて溺死させ、結局は自分の奥さんも殺してしまう、という話があって、それを見て思ったのですが、昔は、軍人のお父さんって言ったら、厳しくて当たり前だったわけじゃん。すぐ殴ったり、怒鳴ったりしても「まあ、軍人さんだし」みたいな。ところが今は、そういうの許されないじゃない。だからストレス溜まるんじゃないかと。もちろん、私だって奥さんや子供が殴られたり怒鳴られたりする家庭はイヤだけど、殺し殺されの戦士にもなり、家では優しいお父さんしろって言われても、人間にはキャパってものがありますし。いい人にならなくちゃいけない、というプレッシャーが、この心的外傷後ストレス障害ってのを増幅させているんだとしたら、まさに『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』のテーマになっていた塞翁が馬ですな。 最後に、さっき役者さんの話でシャーリーズ・セロンに触れませんでしたが、この人は男の世界である刑事部屋でセクハラに会いながらもがんばってハンクを助ける、という、モロ『スタンド・アップ』のタイプキャストでしたね。これも、もっと地味でブスな女優さんの方が真実味あったかとは思うのだけど。この人の小さな息子にハンクが原題にもある『Valley of Elah』の話を聞かせるシーンがあるんですけど、これも全く回収されてませんね。つか、ハンクは権力にチャレンジして真相を突き止めたのかもしれないけど、映画自体は何もチャレンジなんかしてないので。あ、そいで、シャーリーズ・セロンなんですけど、やっぱこの人いいね。女で「ファック」って言って様になる、数少ない女優さんの一人だなーと、つくづく思いました。 key Word 映画 告発のとき トミー・リー・ジョーンズ シャーリーズ・セロン スーザン・サランドン ジョシュ・ブローリン 映画感想
| トラックバック(0) | コメント(4) | ブログ・レポ | 【2008/06/01 00:38】
本袋 | 映画袋 | 音楽袋 | 記事袋 ************************************************** 遠くに住んでるあの人に(私とか)・・・アマゾンのギフト券 ************************************************** |
|
chuchuさん、コメ&TBありがとう。
『クラッシュ』はあまりに緻密な構成があざとく感じられて、逆に作品のテーマを弱めている感じがしたんだけど、これは正攻法で悪くなかったと思う。 シャーリーズって、普段はブロンドに染めているんだね。地味でビックリ。 http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-494.html 真紅さん、
いやー、いつも反対意見の記事ばっかTBしてすいません。 シャーリーズさあ、この役はキレイ過ぎますよ。すごい違和感あった。田舎町の、子持ちの女警官がこんなきれいでスタイルいいわけねーだろ!という(笑) で、なんか、トミー・リー・ジョーンズも、スーザン・サランドンもそうなんですけど、名優なんだけども有名でイメージ強過ぎちゃってるんで、却ってこの、事実に忠実な物語をつぶしちゃってる気がするんですよ。リアリティがない、という。 だから、ドキュメンタリーをそのまま観た方がインパクト強いかな、と思ったんですけれども。 はじめまして!
トミー・リー・ジョーンズと他のふたりの女優も大好きなので楽しみに観ていたのですが、息子の秘密にガッカリです。 正直、そんなこと・・・という感じでして。 確かに人間としては大変なことでしょうけれど、ここまで話を膨らませていると、観ている方は麻薬とか政府がらみのなんやかやを期待してしまうんですが、映画の見すぎですかね?笑 後になりましたが、いつも楽しく読ませて頂いています。 映画選びの参考になりますし、正直な評価がいいですね。 とんびさん、
はじめまして。こちらこそ宜しく。 最近のハリウッド映画のミステリー関係って、なんだかさえないですよね。落ちが出尽くしちゃった感と、あと、最近の保守的な傾向が、真実を突いたイタイ落ちは避けているような気がします。 |
|
|
| トラックバックURL削除 |




