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『ファーストフード・ネイション』-流した血や涙で作った利益はどこへ行くのか?
Fast Food Nation

原作『ファストフードが世界を食いつくす』はリサーチ本だと思うのだけど、そこからキャラクターを起こしてストーリーを作ったのはブリリアントだと思った。単に事実を伝えるドキュメンタリーとして見るよりも、そのビジネスやシステムが人々に与える影響や、その人々の思いが伝わってきて、この題材に関して少し考えてみよう、という気にさせられる。


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Produced: 2006
Directed by: Richard Linklater
Writing Credits: Eric Schlosser, Richard Linklater
Cast:
Raul: Wilmer Valderrama
Sylvia: Catalina Sandino Moreno
Coco: Ana Claudia Talancón
Esteban: Juan Carlos Serrán
Don Anderson: Greg Kinnear
Mike: Bobby Cannavale
Amber: Ashley Johnson
Brian: Paul Dano
Cindy: Patricia Arquette
Rudy Martin: Kris Kristofferson
Pete: Ethan Hawke
Paco: Lou Taylor Pucci
Alice: Avril Lavigne
昔、「動物を殺すのは可哀想だから、牛やブタは食べない」というベジタリアンのご都合主義的正義感にうんざりしたものだが、現在は「殺す・殺さない」の問題ではないらしい。「殺す・殺さない」の問題であれば、「じゃあ魚はいいのかよ、植物ならいいのか?殺すのが可哀想なら、何食って生きていくのよ?木の実?」という議論になって行くわけなのだが、現在の問題は家畜をどのように扱っているか、ということのようである。

どーせ殺して食っちゃうんだから、と思うかも知れないけど、それは違うなあと思った。一匹にかろうじて必要なスペースで横も向けないようなところに閉じ込められ、ミルクを生産する道具として扱われる牝牛。狭いところにたくさん入れられているのでイライラしてケンカするので、くちばしを切られてしまうニワトリ。

そして、人間も搾取される。人件費節約のためにメキシコからの不法入国者を使う。生産性を上げるために安全性を無視する。労働者が怪我をすれば、怪我した人の非を見つけ出して保障を払わない。

ファスト・フード会社のマーケティングをしているドンが、調査のために会うルディという農場主が、

「これはいい人対悪い人という問題ではない。"利益、利益、更なる利益"と繰り返す機械との戦いなのだ」

というシーンがあるのだけど、そうだなあと思った。確かにビジネスというものは、効率良く生産することが当たり前なのだが、ニワトリにケンカさせないためにくちばしを切ってしまう、という結論が出るのは、どっか人間的情緒がかけていると思う。

最後に出てくる牛の屠殺のシーンを見ると、あんなことまでして肉食わなくてもいい、って気にさせられる。昔は日本でも、穢多・非人といって差別されていた人達が屠殺を請け負っていた。要するに他の仕事が出来るなら、誰もやりたくない仕事なわけじゃない。それを不法入国者にやらせて、安く消費者に提供するってのもなんだかなあ。

食べ物が異常に安くなると、感謝の気持ちがなくなるじゃない。映画の中でも、ファスト・フードの店で働く高校生が、ハンバーガーのパテを焼く前に床に落っことしても気にせず焼いちゃったりというシーンが出てくる。食べ物っていう意識がない。個人経営している農場だって、結局は殺して食べるために家畜を飼っているわけなのだけど、毎日家畜の世話をして身近で過ごすことによって「ああ、これを食らって生きているのだな、私たちは」という意識はある。ある程度値が張るからこそその価値というものがわかるのじゃないかなあ。

また、環境保護の活動家の大学生たちも出てくるのだけど、これも現在のアメリカを象徴しているなあと思った。この映画ってあんまり評価されてないみたいなんだけど、ところどころに何気なく、現在のアメリカを鋭く切っているセリフとかちらりちらりと出てきて、「なるほどね」と思わされる。きっと、こういう問題に対してすでに色々知っている人から見ると、「今さら何を!」と思うのかも知れないけど、普段余りこういうことを意識していない人達に「あなたはどう思いますか?」と問いかけるには非常にいいアプローチだと思う。

それと出演者がなかなかいいよね。メキシコ人の不法入国者で、精肉工場で働くラウルを演じるのが、『70's Show』で、ちょっとおかまっぽいインド人を演じていたウィルマー・バルデラマ。今回マジメな役なので最初「どっかで見たことある・・・」と思いながらしばし思い出せなかった。その奥さん・シルビアは、『The Hottest Statet』でキョーレツに印象に残ったカタリーナ・サンディノ・モレノが演じている。実物を見たらすっごくキレイな人なんだろうけど、銀幕の中ではムチムチした身体で、すっごい普通っぽさを持ってる女優さん。この夫婦は本当に普通の、私たちが共感できる人間的なキャラで、こんな誠実な人達が大きなビジネスという機械に巻き込まれて行く様を見ると「ビジネスなんだからしょうがないじゃん」と思えなくなってしまう。

また、大腸菌に汚染された肉を平気で売っているビジネスマンにブルース・ウィリス(ビジネスマンとしては最低の職業倫理の持ち主なんだけど、ご近所のおじさんとか、レストランのお客さんとしてはすっごく気さくでいいおじさんって感じの人を好演)、こういう世の中で自分なりに誠実に生きて行こうとする風来坊的なキャラにイーサン・ホーク、その影響を受けて色々考える賢い姪・アンバー役にアシュレイ・ジョンソン(この子も見たことあるんだけど思い出せない)も、18歳の多感で理想主義、でもだからこそこの世代の子たちに色々考えて欲しいな、という役柄を好演。そのお母さん役がパトリシア・アークエットで、ああ、『トゥルー・ロマンス』でサイコーにセクシーで可愛くてぶっ飛んだ役をやっていたこの人が、時給10ドルの仕事をしながら高校生の娘を育てるスレたお母さん役を演じる年になったのね、と感慨深い。

それから、アンバーがファスト・フード店で働くブライアンにポール・ダノ(これと『リトル・ミス・サンシャイン』を見ると、現代の負け組高校生を演らせたら、この人の右に出る者はないんでないかと思う)、アンバーが出逢う革命を夢見る大学生に、『サムサッカー』からかなり成長したルー・テイラー・プッチ(名前見るまでわかんなかった)、その仲間のいかにも裕福な家庭の娘って感じの環境保護かぶれ大学生をアヴリル・ラヴィーンが結構好演していて、新旧取り混ぜたこの配役はなかなか興味深かった。

最後、屠殺場で泣きながら仕事をしているシルビアを見て本当に心が痛んだ。なんでこの人達は故郷を捨ててアメリカに来たんだろう?時給10ドルでこき使われて、不法滞在でなんの保障も権利も無い、そんな立場にいるのになぜ??と思いながら観てたんだけど、「あ!この人達の本国での生活は、これより更に悪いのか」と気が付いて、更に落ち込んだ。一見なんの関係もないように見えるけど、すっごく貧しい国があるというのも、資本主義の国が行き過ぎた搾取をしたせいなんだと思う。人生っていうのはフェアじゃないし、みんなが平等に幸せにはなれないと思うのだけど、今の企業の利益ってどこに行くのよ?と思う。一握りの人達が、使い切れないくらいのお金を持つためだったら、馬鹿げてるよね。

余談ですが、邦題の『ファーストフード・ネイション』・・・・・。いい加減「ファスト・フード」に訂正したらどうかね。もう日本人だって、マクドナルドが「First Food」じゃなくて「Fast Food」、つまり速い、即席の食べ物だってことはわかってるんだから・・・・・。

■こちらはコミカルな健康の観点から同じテーマにアプローチ『スーパーサイズ・ミー

Key Word ファーストフード・ネイション リチャード・リンクレイター エリック・シュローサー グレッグ・キニア ドン イーサン・ホーク パトリシア・アークエット アヴリル・ラヴィーン カタリーナ・サンディノ・モレノ クリス・クリストファーソン ポール・ダノ アシュレイ・ジョンソン ウィルマー・バルデラマ ルー・テイラー・プッチ
映画感想 | コメント(0) | 【2008/02/10 23:23】
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