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『痛いほどきみが好きなのに』-滑り込みセーフ?! 2007年一押しかも?!
The Hottest State

昨日、2007年を振り返る記事を書いて、今年のベスト・ムービーを書いたばっかりなのに、最後の最後に大物が出てしまった。『ウェイトレス』も恋愛のパワフルさを教えてくれたけど、イーサン・ホーク監督作品『痛いほどきみが好きなのに(The Hottest State)』はもっとキョーレツ。『ウェイトレス』が左ジャブの連打なら、『The Hottest State』は右ストレートで、前歯4本くらい欠けてしまったって感じだ。

Hottest State, the
Produced: 2006
Directed by: Ethan Hawke
Writing Credits: Ethan Hawke
Cast:
William Harding: Mark Webber
Jesse: Laura Linney
Vince: Ethan Hawke
Sarah: Catalina Sandino Moreno
Samantha: Michelle Williams
崩壊家庭で育ち、今は大都会NYで独り暮らし。役者を目指しているが、自分の心血を注げるようなものはまだ見つかっていない20歳のウィリアム(マーク・ウェバー)が、誰かと強く繋がりたい、固く結ばれたい、という気持ちが痛いほどに伝わってくる。大都会の若者らしく、サラ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)とバーで出会い、色んな話をし(NYを歩きながら、ダイアローグだけで見せるこのシーンは、イーサン・ホークのかつての主演作『恋人までの距離』を彷彿とさせる)、サラのアパートの前でキスをする。3日後にはサラがウィリアムのアパートに、短期間ではあるが転がり込む。

「でもセックスはなしよ」

とサラは言う。

「自分のアパートを見つけたらね」

サラは、ミュージシャンになりたくてNYにやってきたので、恋に溺れたくないのだ。だからセックスしたくないのだ。ここで私は「そうか!」と膝を叩いてしまった。セックスを許す、というのは、「あなたと怒涛の恋愛の波に流されちゃってもいいのよ・・・・」と宣言することなのだな。

とにかく、誰かとの繋がりを求めていたウィリアムが頭っからこの恋愛にダイブしていちゃうのはまだしも、かつて痛い目に会い、恋愛で自分を見失うのはいやだ、自立した一個の人間になりたい、とあがらうサラが段々と変わって行くところはもう、「ダメ!ダメ!」と思いながら「行け!行け!」と後押しもしたくなってしまうという複雑さ。特に、妊娠や性病を心配し、コンドームなしでは絶対にセックスしないと言っていたサラが、ついにウィリアムを受け入れた時に

「プロテクションしてる?」

と聞くと、ウィリアムは

「・・・してない」

と言うのだが、その時の高揚感に勝てずに流されちゃって、

「It's OK!」

と言ってしまう!ああ~。女心と秋の空。

そうやって人生を棒に振ったのが他でもない、ウィリアムの母親、ジェシー。ローラ・レニーが演じているのだが、これがサイコーに可笑しいキャラ。イーサン・ホークがコメンタリーで、「Loser Mom」と呼んでいたがまさにその通りで、若かりし頃の過ち(=一目惚れ)でウィリアムを身篭ってしまい、結婚生活は破綻、そんな中で人生にシニカルな意見を持っていて、ウィリアムの恋の悩みに対して、夢も希望もないようなアドバイスを与えたりする。これがもう、内容もさることながら、ローラ・レニーの演技が大爆笑に可笑しいのだが、自分の母親がこんな感じだったら、結構孤独だろうなあ、と思ったよ。

それはさて置き、セックスすることによって更に深ーく、激しく恋に落ちて行くウィリアムが、もう、痛々しいほど純粋で、胸が詰まる思いになる。あんな風に人を愛す、というのはどんなもんなんだろう。見た目でもない、性格でもない、「サラの考えること全部が好き。サラがドレスを選ぶところ、サラのお父さんの話、サラがチョコレートを食べるところ・・・・全て好き」

なんかこう書くと、ありがちな恋愛ドラマに見えるが、『The Hottest State』がちょっと違うのは、全てが痛いところなんである。確かにありがちな恋愛の描写、そもそも、恋愛なんて結構みんな似たりよったりじゃない?でも、この映画は恋することの高揚感を描いてはいても、いつもギリギリ危ないところにいるのだ。ウィリアムがサラを愛する愛し方、わーあんなにずっぽりハマってみたい、というのと、ああ、あんなに心を全開にしたら、引き裂かれてしまう、という怖さが表裏一体なのだ。だからもーハラハラドキドキこの恋の行方から目が離せない。

案の定、終わりはやってくる。ウィリアムはサラを愛し過ぎてしまうのだ。ウィリアムがメキシコで映画を撮っている間、ギャラの半分はNYへの電話代に消え、たった3時間早く帰ってくるために$700も散財してしまう。わ、わかる!恋は盲目とは良く言ったモンです。

しかし、サラは喜ばないのである。サラはウィリアムの愛に窒息しそうなんである。なんたること!ウィリアムの気持ちもわかるけど、サラの立場に立ってみれば当然なんである。この辺の描写が残酷なくらいリアルで、最初のセックスのシーンの高揚感からこのシラ~っとした感じへ、まるで自分が恋愛しているようにどん底へ突き落とされる。マジでTVの前で頭を抱えてしまったよ。

ウィリアムとサラの恋愛の行方だけでもかなり濃縮度高いのだが、ここにウィリアムの両親の話が絡まってくると話は更に深みを増す。ウィリアムのほとんど狂気ともいえるほどのサラへの執着は、実は子供の頃失った父親の愛、母親の涙が原因じゃないかと思わせる。クリスマスの日に、父親・ヴィンセント(イーサン・ホーク)を避けるために、ジェシーが泣きながら幼いウィリアムを乗せて車で近所を走り回り、帰って来るとヴィンセントが待っていて、ジェシーと口論。ヴィンセントはただ、息子にクリスマス・プレゼントを渡しに来ただけで、すぐ帰ってしまうのだが、それさえも感情的になってしまう両親。親が離婚した人ならわかると思う、あの辛さ。辛い、という言葉では表しきれないかも。大人である両親が、自分が完全に頼り切っている大人が、ああいう風に感情むき出しで怒鳴りあったりするのって、怖いというか、不安定というか・・・・。私も良く父と母が口論しているのを見て、泣いたり心配したりしたから、なんとも胸の詰まるシーンだった。

そして、サラとウィリアムの関係にあれだけハラハラしていた私が、実は一番泣いてしまったのは、ウィリアムが父親・ヴィンセントに会いに行くところなのだ。13歳になったら引き取るから、一緒に暮らそう、と言いながら連絡してこなかった父親。大好きだっただけに恨みも深い。サラに捨てられてハートがボロボロに傷ついているウィリアムは、ヴィンセントに辛くあたる。ヴィンセントは、ウィリアムと仲良くしたいけど、できないのもわかっている、何を言っても心が通じないのがわかる。でもじっと耐える。

もう、この時のイーサン・ホークが上手いの!この人本当にチンピラ風というか、イマイチ信用できない男というか、だからこそリアルな、アメリカの平均的な四十路男というか、その悲哀、情けなさ、けして人間できている立派なお父さんでもない、ウィリアムのお母さんとの結婚も離婚も上手くやってきたわけでもない、でもだからこそ人間臭いというか、ウィリアムに「許せない」とか、自分の母親と上手くやれなかったくせに、俺とサラのことにアドバイスなんかできるのか、とか辛く当たられて、黙ってしまうところなんか、「その通りだよなあ」というのと、ウィリアムの心が傷ついているので、何も言い返さず、ただひたすら耐える、という優しさがチラチラ見え隠れして、涙が出てきてしまったよ。

最後は、サラとウィリアムは落ち着いて二人の間に起こったことを話し、それがこの恋の本当の終わりとなる。初めて出会ったカウンターを通り過ぎていくウィリアムを見ながら、涙が出そうになった。もう戻らないのだから、終わってしまった方がいいのだけど、やっぱり辛いなあ。でね、その後、ウィリアムが運転する車のバック・シートに、若かりし頃のジェシーとヴィンセントが、幸せそうに抱き合っているんだよ。

それを見て、「あー恋愛っていうのは永遠じゃない、終わってしまうものなのかもしれない。醜く終わってしまうものなのかもしれない。でも、だからと言って美しくないわけではないのだ」と思った。例え一瞬でも、そういう気持ち(the hottest state、すなわち「最も熱い状態」:このタイトルは、「最も熱い州」=テキサス、というのと、激しく恋してる心持ちをかけていると思う)になることに対する、恋愛に対する賛歌だと思う。

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Key Words
映画 痛いほどきみが好きなのに イーサン・ホーク カタリーナ・サンディノ・モレノ ローラ・レニー
心に残る映画 | コメント(11) | 【2007/12/31 22:40】
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コメント
友達が観てきて、『我慢できなかった』とメールをくれました。
一般公開はまだ先なので、私は観るかどうか分からないですが……
でも、苦手そう(~_~;)
愛とか恋とか分かんねぇ……
【2008/04/11 17:00】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
ぎゃははははは!我慢できなかったって?!

そうですか~やっぱ濃いかもね、これって。
【2008/04/11 20:59】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
これ、一応自伝的小説ってなってるんですよね?
彼女曰く「あんなストーカーみたいなら、ユマ・○ーマンに捨てられて当然」てことらしいですよ。
【2008/04/14 17:20】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
お友達は、自分がサラ(女)だったら、こういう男、やだな~という目で観ていたみたいですけど、自分がウィリアムの立場で見たら、すっげえ感情移入しますよ。
【2008/04/14 20:58】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
ん~私、感情移入できない人なんですよ。
いつも、外側から見ている感覚がある。
いわゆる『神の視点』ていうやつでしょうか?
そんなんで、何故にいつもポロポロ泣くのかと言われると分からないんですけど(笑)
ちょっと、私には厳しそうですね、この映画…。
【2008/04/18 19:11】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
神の視点!!(爆)

でもあれよ、それはそれで面白いんじゃん?確かに、恋にどっぷり浸かっている人を端から見てるとちょーバカかと思う・・・その感じを楽しむことができるかも。

まあ、別に無理に観て欲しいわけじゃありませんが。
【2008/04/18 22:07】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
確かに、無理に観る必要はないんですが、予告編だか、映画紹介でだか見た時には相当観る気だったんですよね~
それが、情報が入るにつけだんだんその気がなくなってきちゃって、ちょっと残念だなぁと思っているのです。
でも、さっき思い出したけど、私ってイーサン・ホークがイマイチダメな人だった(^_^;)
【2008/04/21 17:06】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
わかる、わかる。最初の印象とどんどん変わってきちゃうと、「どーしよー」とか思いますよね。それでなくてもたくさん新作出てるのに。

イーサン・ホークはあのダメさがいいんですよね。苦手なんだけど、見せられるよ!
【2008/04/21 20:58】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
はじめまして。

この彼女はリサ・ローブだったらしいですね。
ダメダメな感じを目当てにこの映画を見たかったのですが、このブログを読んでますます見に行きたくなってしまった!
【2008/04/24 12:59】 URL | SS #amXlFcx2[ 編集] | page top↑
SSさん、

マジ、私の一押しですので、是非観てください!
【2008/04/25 02:10】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
はじめまして。
日本ではアメリカ版が見られないのでお聞きしたいんですが
エンディングの最後の曲ってファイストですよね?
日本ではJUJUなんですが…。
別に歌が悪いわけじゃないんですけど
なんか金儲けが絡んでるようで嫌な後味が残ります。
最後に「日本版エンディングテーマ」とかって
デカデカと字幕出ますしね…。
ちょっと悲しい。

原作も読みましたが
テキサスでの結婚宣言をピークに
ガラガラ下降していく様がいいですね。
「You, The Queen」が流れてる
マーク・ウェバーの演説シーンあたりが
とても感動的でした。
【2008/05/23 15:20】 URL | tkr #tRP.xJJ.[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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