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『赤毛のアンの秘密』-違う角度から見る楽しさ
Look at it from another angle...

こので語られている「赤毛のアンの秘密」というのは一口で言うと、『赤毛のアン』というは、アンという恵まれない女の子が健気に生きていくという教育的な読み物として広く児童に紹介されているが、実は女性であることにジレンマを感じていた作者・モンゴメリの叫びであり、しかも当時の女性の地位から、叫びきれずに下位身分に甘んじたモンゴメリの絶望を内包していることであるようです。

「赤毛のアン」の秘密
book on amazon.com
Issued: 2004
Written by: Chikako Ogura
CHAPTERS
第一章 海の風景
第二章 モンゴメリの最期
第三章 父の娘
第四章 マシュウ殺害
第五章 幸福な将来への恐れ
第六章 アンの結婚
第七章 双子の記号
第八章 「ロマンチック」の呪縛
アンは、孤児でありながら明るく前向きで、成績も男の子に負けず、仕事も持ち自立し、しかもステキな旦那さんと結婚して子供も設け、幸せな一生を送った、「女の人生の理想」として描かれでいるが、これは戦後日が女性に「自立」を奨励することによって勤勉させるが、結局は優秀な「家庭内労働力」として男に奉仕する道を自らの「幸せ」として選ぶようにしむけるのに貢献した理想像、と小倉千加子先生は分析します。

読んだことないからわかりませんが、『赤毛のアンの秘密』から察するところ、『赤毛のアン』は非常にポジティヴな、善良な、ストレートな物語のようなので、それのダークな面をことさら強調して分析している小倉先生に、アン・ファンの人たちは非難ゴウゴウのようなんですが、小倉先生は、題材が赤毛のアンだろうが松田聖子だろうが、言ってることはいつも一緒のようなので、アン・ファンの方々が夢を壊されて怒る気持ちもわかりますが、どうか堪えてつかあさい。

小倉先生が結婚を強く否定することに拒絶反応を示す女性は(男性も)多いと思うのですが、小倉先生の著書を何冊も読んで気が付いたのは、先生が結婚を否定するのは、「結婚」と「自立」が、男には両立するのに、女には両立しないからだと思いました。

そのことを小倉先生は『赤毛のアン』の物語の中に見出します。それは、アンの愛する人となるギルバートとの成績での競争で、2人は五分五分なのですが、最後にアンは負ける。そして後年、ギルバートと結婚するアンは「優しい形の降伏」をする。

つまり、女にとって自立するということは、社会で男と競争していかなければならないことなのだけど、男に勝ってしまう女は男に愛されない、というジレンマがある。その上、男に愛されないと不幸というレッテルを貼られ、その孤独に耐えられず、少女の頃の勝気さを失い、制度に飲み込まれていく女が多いことが、小倉先生には許せないのです。

それともう一つは、社会は「結婚」にロマンチックなもの、というイメージを与えることによって、多くの女性に「結婚こそが人生のゴール」と思い込ませて制度に取り込んでいることではないでしょうか。

優しくていい人なの、とか、頭が良いとか、マジメとか、顔がいいとか、「賞賛に値する美点」を持つ人と恋愛することを小倉先生は「ロマンチック恋愛」と呼んでいます。「ロマンチック恋愛」をして結婚することが幸せ、と一般に言われているし、『赤毛のアン』にも書かれているが、そんなものはウソだ、と小倉先生はバッサリ切っています。結婚というのは、始終一緒にいて全てを分かち合っていかないとならないので、価値観が違う人とか、見た目が好みじゃない人とかではイヤになってしまう。だから当は恋愛して結婚しているのではなく、結婚に向いている男をみつけて、その人を愛し求めていると思い込んでいるだけなのだと。

小倉先生がこのの中で言及している、モンゴメリの「命をかけた恋」-「情熱恋愛」と定義され、「ロマンチック恋愛」とは区別されています-の話が、私には一番印象に残っています。モンゴメリは、若いときにハーマンという青年と恋に落ちるのですが、ハーマンは、農夫かなんかで、教育もされてないし、ヅラも良くないし、洗練されてなくてラフだし、知性を尊び、面喰いであるモンゴメリの理想にはこれっぽっちも叶わない男なのにも関わらず、彼女は気も狂わんばかりにこの男を愛し、逢瀬を重ね、婚外に肉体関係を持つことに罪の意識を感じながらも会わずにはいられない。

モンゴメリは結局事情があってハーマンと別れてしまうが、事情が許しても「ハーマンと結婚していたらとんでもないことになっていただろう」と後年、日記だか文通相手への手紙だかに書いているらしい。

つまり「情熱恋愛」というのは、強烈な肉体的魅力に惹かれることであり、なぜこの人に惹かれてしまうのかなんだかわからないものであり、その愛以外のことはどーでも良くなってしまう、非生産的かつ自己破壊的なものである。そして小倉先生はどうやら、これが当の恋愛である、と言っているようなのです。

どうしてこの部分が印象に残ったかと言うと、私はこの「情熱恋愛」のような自己破壊的な恋愛ばかりしてきて、自分には「ロマンチック恋愛」のような先々何か実りのあるものに転化していくような恋愛はできないのだ、ということに長年引け目を感じてきた。しかし小倉先生は「ロマンチック恋愛」というのは結婚が目的でする妥協の産物であり、本当の恋愛とは自己破壊であっていいのだ、と肯定したからです。

小倉先生は結婚を否定している、そして私はそれに賛成しているわけですが、それは結婚が悪い、と言っているのではなく、結婚が誰にとっても幸せである、というのは違うのではないかと思うのです。

実際モンゴメリも、結婚するということは「自由を失うことである」と自覚しており、それを幸福と言うのなら幸福な将来に対して恐れさえ抱いている。しかし、結婚していない女に貼られるネガティヴなレッテル(具体的に出てくるのは、ボウエンばあさんで、モンゴメリの別の本のキャラのようなんですが、このモデルである実在の女性は大変教養のある人物で、上の学校に進学したが、後に結婚した男に捨てられ、そのせいで気が狂った、と噂されていた)を恐れて、牧師さんと安全な結婚をするが、満たされない生活を送り、精神病にかかって、最期は自殺してしまう。

モンゴメリは、当時では珍しく、自分の筆だけで生活できるくらいのお金を稼いでいた女性で、経済的には自立できたのにも関わらず、精神的にすり込まれた「女の幸せは結婚」という呪縛から逃れられなかった。その呪縛から逃れられなくて不幸な生活を送っている女は現代でもたくさんいるし、また男もそうなんじゃないかと思うのです。

フェミニズムというのは敬遠されがちですが、フェミニストの意見を聞くということは、社会にある様々な慣習やルール、当たり前だと思っていたものを別の角度から見る機会を与えてくれます。それは、正しいとか間違っているという基準でしか物事を計れない心では絶対に得ることの出来ない、全てのしがらみから自由になって人間の真理を追究する機会だと思う。小倉先生の本はこれからもいっぱい読んでみたい!

小倉先生のほかの本
■松田聖子論
■結婚の条件
■セックス神話解体新書

Key Words 本 赤毛のアンの秘密 小倉千加子
ブックレビュー | コメント(2) | 【2007/10/07 08:40】
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コメント
chuchuさん、こんにちはー。
姫の影響で、小倉先生の本を2冊読んでしまった・・・。
一番新しい本は、先生、かなりブルー入ってる感じでした。
エッセイは、気軽に読めていいですね。
↑で紹介されてる本は、ちょっと硬そうな印象ですね。

http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-332.html
【2007/11/06 17:29】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集] | page top↑
真紅さん、
へー嬉しいわ!
この本は大マジですよお。何度挫折しそうになったか。最後メモ取りながら読んじゃったもん。
【2007/11/06 20:43】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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