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『天使のくれた時間』-天使じゃなくて悪魔だよ!
The Family Man

観終わって最初に思ったのは、「これって政府が一億総中産階級を目指して作った、プロパガンダ用映画みたい!」

だって、ウォール・ストリートで130ミリオンダラーの合併プロジェクトを任されているやり手ビジネスマンで、フェラーリに乗り、マンハッタンの高級アパートに住み、自分は必要なものは全部持っていると言い切っている、結構幸せそうなジャック(ニコラス・ケイジ)に、天使であるらしいキャッシュ(ドン・チードル)が、「お前には愛がないじゃないか、気付いていないのだろう?おれが気付かしてやろうじゃないか」と、わざわざ夢にして見せてしまうのよ。それって、ちょっと太めではあるがアイスクリームやチョコレートを食べると幸せで、さして体型なんか気にしていない女の子に「痩せた方がいいわよ」と言うのとあんまり変わらないんじゃない?

family-man.jpg
dvd on amazon.com
Produced: 2000
Directed by: Brett Ratner
Writing Credits: David Diamond, David Weissman
Cast:
Jack: Nicolas Cage
Kate: Tea Leoni
Cash: Don Cheadle
しかもその夢というのが、13年前に別れた彼女、ケイト(ティア・レオーニ)との結婚生活で、郊外の一軒家に子供が二人、車はSUVで、娯楽はボーリング。クソ寒い中犬を散歩に連れて行かねばならず、おまけに仕事はタイヤのセールスマンという、中産階級のステレオタイプそのものなわけだな。で、最初ジャックは余りの環境の違いに「元の生活に戻らしてくれー!」と抵抗するが、お約束どおり最後は、こちらの生活が好きになる。

このジャックとケイトの家庭というのが現実離れしている。奥さんはきれいで、子供は可愛い。義理母、義理父ともうまくやっているし、近所に住んでいるのは何十年来の幼馴染。仕事はタイヤのセールスマンだが、義理父の店で、商売は上手くいっていて、ジャックはそこでもベスト・セールスマンだ。しかもジャックとケイトは結婚13年経った今でもお互い恋し合っている。

ある夜、ケイトが慌てて寝室に入ってきて、「子供が寝たよ!」とそそくさと服を脱ぎ、ジャックとセックスしようとする。で、ジャックが「ワインでも飲んでゆっくりと」と言うと、「あなた10時には寝ちゃうからそんなヒマない」と言うケイト。するとジャックが

「君はなんてきれいなんだ・・・。大学の頃も他の子よりきれいだったけど、今は本当に美しい"女"になったね・・・」

「あなたどうしてそんな目で私を見れるの・・・。まるで過去13年間毎日私を見ていたとは思えないような目で・・・」

そりゃそうだ、このジャックは13年ぶりにケイトを見たんだから。しかしそれに感動したケイトは、この夜を特別なものにしようと化粧をし、セクシーな服に着替えるのだが、寝室に戻ってみると案の定、ジャックは寝てしまっている。やさしく布団をかけるケイト・・・・

・・・・普通はこういうのがまず諍いの要因になるのだよ!

結婚の描写が思いっ切り理想的なのに対して、「ウォール・ストリートのやり手ビジネスマン」という描写は必要以上に俗っぽくて、それがすごい作為的に感じる。フェラーリ、高級アパートもそうだが、13年前に別れた彼女(つまりケイト)から「電話ください」というメッセージが入っているのに「クリスマス・イヴのノスタルジーだ」と冷たく言い放ってかけ直さない。ジャックの同僚は「古い恋は確定申告と同じ。保存しておいて、3年経ったら捨てるものだ」なんて非情なアドバイスをする。

しかし、そもそもジャックは13年前にケイトを捨てたわけではないのだ。自分がしたい金融の仕事に有利なインターンシップをするために一年間だけケイトと離れ離れになったことが結果的に彼女を失うことになってしまったのだが、こういう岐路にみんな一度は立たされ、様々な決断を下して生きて行くもんだと思うのだが、いつの間にかジャックは仕事のために彼女も捨てる冷酷人間かのように描かれている。

さらに、夢の中の結婚生活に慣れてきたところで、天使は「ちょっと覗き見させてあげただけだよ」と言って強引にジャックを夢から起こし、現実であるウォール・ストリートの生活に戻してしまう。すると、130ミリオンダラーのプロジェクトはオシャカになりかけていて、今すぐジャックが本領を発揮してビシバシ働かなきゃならないのに、夢の中の生活で見たケイトの事が忘れられず、仕事をおっぽって会いにいってしまうのだ!

ケイトは高給取りの弁護士になっていて、フランスで事務所を開くために今夜、パリ行きの飛行機に乗るという。空港まで追っかけ、行ってくれるなと懇願するジャック。まるで13年前の逆バージョンだ。ケイトは、

「13年前、最初は辛かったけど、がんばって先に進んだの。私はもう過去のことは清算したわ。あなたも乗り越えて!」といい、飛行機に乗ろうとする。するとジャックは、夢の中での二人の結婚生活をとくとくと説明しだし、「パリへ行くのはいつでも行けるじゃないか。お願いだ、コーヒー一杯だけ、付き合ってくれないか」と迫る。

するとミラクル的にケイトがその話に感化され、「OK・・・」と言う。そして最後のシーンは暗い空港のカフェで、二人が会話をしているシーンで終わるのだ。

あのさ、これって、13年前の辛い別れを乗り越えて、自分の好きな仕事で成功した二人の男女を、無理矢理結婚生活に収めようと言うのか?だいたい、あれから13年経っていて、ケイトはもう同じケイトじゃなくなっているから、これから二人が付き合い始めたとしても、夢の中のような「理想の家庭」にはならないだろうし、現実的に考えてみると、ケイトは結局フランスに行くと思うよ。で、ジャックはプロジェクトの失敗とフォローアップをしなかった責任を取ってクビか辞任、その後もまだ本人にヤル気があれば生活レベルを落とさない程度の再就職は可能だと思うが、今までの自分の生き方を否定され、夢の中のような生活に憧れてしまったとなっては、こいつの人生はめちゃくちゃじゃないか。

とか言うと、「ファンタジーだからいいんじゃない」って言う人が必ずいるんだけどさ、これを見て幸せな気分になる人って誰なのよ。仕事が好きで独身の人たちは、自分たちがまるで「金、金、金」で生きているヤツであるかのような描写をされ、ここまでなるためにしてきた努力とか、好きな仕事、自分が向いている仕事に出会えた幸運とか、そういう正の部分はばっさり切りとられてしまっていて、見てて面白くないんじゃん。クリスマス・イブも夜遅くまで働き、クリスマス当日も朝早くから会議をやると部下にはっぱをかけるジャックを「愛する人もいない仕事人間」みたいに描いているが、ビジネスマンにしてみたら、そりゃ130ミリオンダラーの合併プロジェクトが控えているとなったらしょうがないじゃないかと思うでしょ。私が勤めている小さい会社だって、クリスマス休暇中に問題が起こって、ほとんど会社の人全員が駆り出されたことがあったけど、確かにいやだよ、そういうことは。でも、そのときみんなで問題を解決したという達成感はあるのよ!

逆に結婚して家庭を持っている人たちは、セックスだけでなく、恋どころか愛でさえどう維持して行くかでものすごい苦労し、夫も妻も働かなければ食べて行けないような状況で夫婦間がギクシャクしちゃう人もいるだろうに、性生活も愛情も問題なく、夫の収入が十分なので奥さんが非営利の弁護士をやっていられる、というジャックとケイトの家庭を見てすっごい複雑な心境じゃない?こういう夫婦が存在しないとは言わないけど、現実はもっと厳しいと思うのだが。

そして独身で仕事も特に思い入れのない私なんかから見ると、愛がなかろうが何しようが、自分の生活に満足して生きられるという幸運な人を、なんでわざわざ不幸に落とし入れるのか?!と思う。

本当はこの映画って、「やっぱり愛は、お金より大事よね」という、毒にも薬にもならないようなラブコメにしたかったんだと思うんだけど、それがなんか微妙に「仕事より結婚の方が大事」にすり替わっちゃってるのだ。それは製作者の頭の中に、「金=仕事」「愛=結婚」という、えらく単純な図式しかないからだ。・・・というのが私の意見なのだけど、ニック・ケイジって『ロード・オブ・ウォー』とか、結構考えさせられちゃう映画に選んで出たりするから、この映画もマジで「仕事と愛、どっちが大事なんだ、君にとっては!」と迫っているのかも知れないけど。いや、でもそれだと仕事と結婚の描写にバイアスかかり過ぎているしなあ。やっぱ駄作!

Key Words
映画 天使のくれた時間 ブレット・ラトナー ニコラス・ケイジ ティア・レオーニ ドン・チードル
映画紹介 | コメント(4) | 【2007/08/19 12:39】
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コメント
この映画の良さが分からないお前はかわいそうなにんげんだな…
【2008/08/31 02:54】 URL | Just being a dick #-[ 編集] | page top↑
無記名の意見さん、

いや、他にも映画たくさんあるので、これ1本くらいわからなくても、それほど困らないです。
【2008/08/31 03:49】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
読んでみて確かに と思いました。 ですがあまり深く考えすぎずに観賞すれば
それなりに楽しめると思いますよ
映画はあくまでも映画なのですから
その裏には何もありませんよ

個人的には好きな作品のひとつです

【2009/03/31 19:03】 URL | Just being a dick #-[ 編集] | page top↑
私は、深く考えずに鑑賞できないんですよ~。それと、映画には絶対「裏」があると思っている人なので(爆)。

【2009/03/31 20:43】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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