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『ランド・オブ・プレンティ』-911後のアメリカを語るヒューマン・ドラマ
Land of Plentyシェアブログunundifinedmovieに投稿

ラナ(ミシェル・ウィリアムス)は、父親が伝道師だったためにアフリカで育ち、テル・アヴィヴに住んでいたが、病気で亡くなった母親の手紙を叔父・ポール(ジョン・ディール)に渡すためにロサンジェルスにやってくる。ホームレスの為の伝道施設で牧師のヘンリー(ウェンデル・ピアース)を手伝う傍ら、長い間音信不通だったポールを探しあてるが、USASFの一員として、テロリストのねぐらを突き止めることしか頭にないポールは、ラナのことを邪魔に思って突っぱねる。ある日、ポールがマークしているハッサム(ショーン・トーブ)というパキスタン人が路上で走行中の車から撃たれて死に、ポールはこれがテロリスト同士の暗殺であると考える。ハッサムが死ぬ前にホームレスの施設で会話を交わしたラナは、この事件がきっかけでポールと話すようになり、二人はハッサムの兄のヨセフ(バーナード・ホワイト)に会いにデス・ヴァレーに出かける・・・。

landofplenty.jpg
dvd on amazon.com
Produced: 2004
Directed by: Wim Wenders
Writing Credits: Scott Derrickson, Michael Meredith
Cast:
Lana: Michelle Williams
Paul: John Diel
Hassan: Shaun Toub
Henry: Wendell Pierce
Jimmy: Richard Edson
Sherman: Burt Young
Youssef: Venard White

私の書き方がヘタクソなのか、概要だけ見ると面白いサスペンス映画みたいですが、実は911の後遺症を抱えたアメリカを、ラナとポールという対照的な二人を通してセンチメンタルに描いた、ものすごいまったりした映画です。

ポールは、ヴェトナムの退役軍人で、戦争の後遺症を抱え悪夢を見てうなされたりする上、隠しカメラやマイク、武器や各種の探知機などを搭載したすごーく怪しい改造車を乗り回し、中東の人に対する差別用語である「アラブ」を連発しながらハッサムを追っかけまわすので、「テロリストを撲滅する機関に属しているという幻想を抱いているだけで、本当は頭がおかしいのでは」と思いながら観ていました。無線で仲間と交信するシーンもあるのですが、実際に出てくる仲間はポールのことを「ボス」と呼んでいるジミー(リチャード・エディソン)という人だけで、このジミーは寂れた街工場みたいなところに一人で住んでいて、ポールが回収してきた液体の試験をその工場でしたりするので、ますます怪しい。二人とも「アメリカが危ない」とか信じている偏執狂だ、というのが物語のオチ?!とか。

途中、張り込みをしているところを警官に職務質問され「俺はUSASFだ」と言うと警官が納得した模様なので、ちゃんとした仕事としてテロリストの捜査をしているようなのですが、USASFがなんだかわからなかったので調べてみたら、「United States Army Security Force」の略で、本当にテロリスト捜査をしているUSアーミーの一部でした。しかし、USASFが本物であればあったで、こういうところで働いている人がポールのような、ターバンを巻いている男を見れば皆テロリストとみなす、偏った世界観の人って言うのも怖い話です。いや、待てよ、本人がそうだと言っているだけで、やはりUSASFに属しているというのは幻想なのかもしれない。でもそうするとどうやって生計を立てているのかわからないし。とにかく、観終わった今でもイマイチ確信が持てません。

ラナは、日々神様に感謝する敬虔なキリスト教徒で、テル・アヴィヴでテロの実態や、アメリカ人がパキスタン人に嫌われているのを現実に知りながらも性善説を信じ、ハッサムがホームレスであることから共同墓地に入れられることを知ると、なんとか彼の家族を見つけてあげようとするという、「純粋真っ直ぐ君」的なキャラクター。アップルの白いおしゃれなノート・パソコンを持ち歩いていて、ヘッドフォンでセンチメンタルなオルタナティヴ・ロックを聴きながら、テル・アヴィヴに住む彼氏と思しき人とチャットしたり、TVカメラでお互いの姿を写したり、iPodで音楽を聴きながら一人で屋上で踊ったり、デジカメのビデオ機能でロサンジェルスのホームレスの様子を録画したりする。テル・アヴィヴに住んでいる彼氏も「ホームシックだったらこれを観て」と、テロで死んだ人の葬式の映像を送ってきたりする。

アップルのノート・パソコンやiPodやデジカメやオルタネティヴ・ロックは、ラナが現代の若者であることを表わすための小道具なのだと思いますが、こんな恵まれた生活をしている人がホームレスを助ける、という図式自体になんだか嫌悪感を覚えました。別に貧しい人を助けるのに自分も貧しくなくちゃいけないってことはないのですが、自分はがっつり資本主義の恩恵を受けながら、資本主義によって生み出された貧しい人たちを助けるってのは矛盾してるなあと。

しかしそれが実態というか、それゆえこのポールとラナのキャラクターは、結構わかりやすいアメリカ人のステレオタイプなんだなと思いました。二人がハッサムの亡骸をヨセフに届け、墓地で会話をしているシーンがあるんですけど、そこでポールは、911がきっかけで、良くなりかけていたヴェトナム戦争の後遺症が再発し、テロリスト撲滅に執着するようになったと言います。一方ラナは、911が起こった時テル・アヴィヴにいて、近所に住んでいたパキスタン人が歓声をあげていて、アメリカ人があちらでは嫌われていることをポールに話します。この会話を聞きながらポールがテロに対して強硬なアメリカ人、ラナが平和主義的なアメリカ人を表わしているのかなと思いました。

そして、撃たれて死んでしまったハッサムはテロリストではなく、ポールが怪しいと思っていた行動は、本当にホームレスでお金がなかったハッサムが小金を稼ぐためにしたことであり、しかもハッサムを撃った犯人は、裕福な白人家庭の若者がドラッグでハイになってやっただけだということがわかる。

最初からポールの行動が偏執狂に見えるくらいだったことや、ハッサムが実際にテロとはなんの関わりもなかったことなどから、この映画はラナのスタンスからポールのような人に対するメッセージと思われ、二人を血の繋がった家族という設定にしたことで、アメリカの二面性を強調したとも考えられる。

911からまだ5、6年しか経っていないのに、『ユナイテッド93』や『ワールド・トレード・センター』のように映画化してしまうのは節操がなさ過ぎるけど、こうした形で「その後」のアメリカを語る、というのは悪い企画ではないし、ミシェル・ウィリアムス、ジョン・ディールを始めとして、堅実な役者揃いなのは良かったのですが、少し重みがないように感じました。特にラナがしょっちゅう聴いているオルタネティヴ・ロックが自己陶酔的なイメージを強調してしまったと思う。ホームレス問題や中東の人に対する差別など、イラクでの戦争の影に隠れがちな問題も上手く絡ませているし、あまり感情的にならずに冷静な視点でツッコミ入れていたら、このテーマがもっと生きたのではないでしょうか。

Key Words 
映画 ランド・オブ・プレンティ ミシェル・ウィリアムス
| コメント(2) | 【2006/12/27 09:00】
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コメント
チュチュ姫さん、今年もよろしくお願いします。TBが反映されるといいのですが。
ラナが帰国したときはリュック一つ背負って「これが全財産よ」って言ってたのに、マック持っててビックリしましたね、確かに(笑)
てっちゃん元気そうでよかったです。ではでは。
【2007/01/05 21:53】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集] | page top↑
真紅さん、
今年も宜しく!

ラナの全てが、今時のアメリカの若者という感じがします。それは好きじゃないんだけど、性格描写としてはスルドイ。

てっちゃんは、ちょっと皮膚炎になって病院通いです。金かかる~
【2007/01/05 22:23】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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