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過酷なニューヨークをありのままに描く『What About Me』
What About Meシェアブログ1573に投稿

1992年のニューヨーク。両親に先立たれたリサは、マンハッタンに住む叔母さんのところに居候し、仕事を探しているが、学歴もスキルもないリサを雇ってくれるところはなく、ウエイトレスの仕事さえみつからない。その上、ナイーブなリサは、ニューヨークのストリート・スマートな人から1ドル、また1ドルと残り少ないお金まで騙し取られる。

What about me
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CAST & CREDITS
Produced: 1993
Directed by: Rachel Amodeo
Writing credits:
CAST
Lisa: Rachel Amodeo
Nick: Richard Edson
Paul: Richard Hell
Dougie: Dee Dee Ramone
Raping Landlord: Rockets Redglare
Tom: Nick Zedd
Vito: Johnny Thunders
Joey: Jerry Nolan
一日中仕事探しで歩き回って、へとへとになって帰って来ると、なんと叔母さんは心臓発作で亡くなっていた。大家であるスケベ親爺(ロケッツ・レッグラー)は、リサに身寄りがなくなったのをいい事に部屋に押し入りリサを強姦し、その上アパートを追い出す。

行く当てもなく、真冬のストリートに放り出されたリサは、優しく声をかけてくれた男にスーツーケースをひったくられ、残りの持ち物を一つ、また一つ、と売りさばきながら、ゴミ捨て場から拾った毛布にくるまって道端で寝る、ホームレスとなってしまう・・・

私も一応、低予算映画ってのは観たことありますが、これは低予算どころか「No 予算」映画です。白黒で、フィルムのつなぎや、音響や、俳優の演技にいたるまで、「ヘタウマ」ならぬ「ヘタヘタ」!だけど、監督/主演のレイチェル・アモーディオさんは、ニューヨーク・パンク・バンドでドラムを叩いていた女性だと言うことですから、「金をかけない」「メイン・ストリームは全く無視」「ヘタヘタ」というのは、意図的に「パンク道」としての作風なのかもしれません。

音楽をジョニー・サンダースが担当し、出演者もニューヨーク・パンクのスター達が目白押しで、アル中のホームレスにディーディー・ラモーン、道端で殺されるマフィアの男にジェリー・ノーラン、リサを自由の女神に連れて行ってくれるいいヤツにリチャード・ヘル、そしてニューオーリンズに住んでいるリサの生き別れになった兄にジョニー・サンダース、その他にも私では知らないような、知る人ぞ知るニューヨーク・アングラ・アート界の人たちがいっぱい出ているようです。

リサがホームレスになって行く過程や、他のホームレスの人たちの生活、例えば、公園で焚き火を囲んで座っていたり、ビルの地下室にもぐりこんで寒さをしのいだりする様子が、90年代初頭のクリーンナップ前のニューヨークを良く描いているんではないかと思います。また、私の大好きなジェリー・ノーランは、ヤクザの抗争のために道端で撃たれて、出てきて2分くらいで死んでしまうのですが、こういうことも、当時良くあったことなのかもしれない。(いや、でばって2分で死んじゃうことじゃなくて、道端で撃たれることが)

実際、リサをしばらくの間泊めてくれたトム(ニック・ゼッド)のアパートでTVを見ていると、警官達が公園をねぐらにしているホームレスを追い出している様子がニュースで流れ、それを見たリサがホームレスのボーイフレンド、ニック(リチャード・エドソン)を探しに行く、というシーンがあります。

リサは結局、真冬に放り出されて風邪をひいてしまったのと、ニックを探しているときにバイクに当て逃げされた傷が元で、自由の女神の足元で死んでしまうのですが、出演者もみんなアクター、アクターしていない普通の人だし、映画にはありがちの「ヒドイ生活だけど、なんとなく憧れてしまう」といような描き方は一切なく、最後の最後まで悲惨を絵に描いたような話で、観てて梅干を食べたような顔になってしまいますが、70年代初頭のパンク/グラム/アングラ・シーンで活躍していた人たちが20年かけて見て来たニューヨークのありのままの姿を脚色せずに描いているところが、「No 予算」映画でありながらレンタル屋にあったり、日本のアマゾンでも売られているくらいの知名度がある理由かなと思いました。

ええトシして何考えてんねん、あんたは、と言われそうですが、私は密かに、つか、かなりおおっぴらに、この危険で、スリージーで、汚い、ニューヨークのストリートに憧れていたのですが、この映画を観て、「わたしにゃ無理だ」と思いました。ニューヨークのタフなストリート、いや、優しい人もいるんですよ。面白いのは、リサを当て逃げしたのはレズビアンのカップルなのですが、この人たちは、傷ついたリサを、自分らが当て逃げした相手とは知らずに、「どうしたの、怪我してる。手当てしてあげるから来な」と結構優しいんです。ただ、貧しくて、警察官とかからはいい扱いをされないので、警察沙汰になるようなことからは何が何でも逃げる。

とにかく生活が大変だからお互い、助け合い、騙しあい、あげたり、もらったり、盗んだり、恵んでやったり。こんな風に生きるのはストレス溜まりそう。私、ストレスに弱いからだめだわ。

しかし、色々考えさせられる映画ではありましたよ。ニューヨークで店でもやってマジメに生きている人たちの身になって考えてみれば、ホームレスの人たちが一掃されて街がきれいになっていいことなんだけど、自分がホームレスだったら?公園を追い出された人たちは、どこへ行ったんでしょう?街は、受け入れ先もちゃんと用意してくれたんでしょうか?あの人たちは行くところがなくて、道端で死んでしまったんではないでしょうな?

印象的だったのは、アパートの地下にもぐりこんで寝ようとしたリサとニックがアパートの人を起こしてしまい、「うるせー!」なんて怒鳴られるんですが、パンクスみたいな若い男の子は「お前ら、地下で寝たら警察呼ぶぞ!」なんて、パンクスのくせに権威主義!対して向かいの部屋のおじいさんは、「あの人たちは、寒さをしのげるところを探しているだけなんだから、ほっといたらいいじゃないか」と言うところです。こういう下町的心意気っていうのが、私が憧れる「失われたニューヨーク」だったのかもなあ。



Key Words 映画 低予算 ニューヨーク
魂の映画 | コメント(0) | 【2006/11/18 23:56】
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