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『プリーズ・キル・ミー』-パンク前夜のニューヨークに想いを馳せる・・・
Please Kill Me: The Uncensored Oral History of Punk

読み始めたのはずーっと前なんですけど、あんまり面白くて何度もページ戻ってしまったので、書くのが遅くなりました。

Please Kill Me: The Uncensored Oral History of Punk
book on amazon.com
CAST & CREDITS
Published: 1996
Authors: Legs McNeil, Gillian McCain
CONTENTS
All Tomorrow's Parties: 1965-1968
I Wanna Be Your Dog: 1967-1971
The Lipstick Killers: 1971-1974
The Piss Factory: 1974-1975
You Should Never Have Opened That Door: 1976-1977
Search and Destroy: 1978-1980
Nevermind: 1980-1992
題名にもあるとおり、全て雑誌等のインタヴューの抜粋で、文章でどーのこーのと説明してあるところは全然ありません。それゆえ、友達の昔話を聞いているような面白さがあるのですが、逆に全く知らない人の話だと、誰が誰とか、いつなんどき、ってのがわからなくて退屈したりします。私にとってはヴェルヴェット・アンダーグランドの話がまさにそれでした。

取り上げられているアーティストは数多く、ここに名前を挙げるのも面倒臭いくらいなんですけど、まあ、イギー&ストゥージーズとか、パティ・スミス、ドアーズ、ラモーンズニューヨーク・ドールズリチャード・ヘル、デッド・ボーイズ、セックス・ピストルズなどなどで、お互いのバンドのことや、友達としてのコメントなど、交友関係や当時のシーンの感じが伝わってきます。

過去に見たニューヨーク・パンク系統のドキュメンタリー・フィルムなんかを観ると、著者の1人であるレッグス・マクニールは必ずインタヴューに答えているし、このの中で語られていることで「面白い」と思ったことはやはりミュージシャン達がそれらのドキュメンタリーで語っているのでわざわざここに記すまでもないかも。しかし、そういったフィルムでは通常バンドと関係ある人、メンバー、マネージャー、ローディまたはメンバーの家族のインタヴューが主ですが、このでは、バンドを取り巻くグルーピーやガール・フレンドの話がたくさん載っていて、それがすごく新鮮で面白い。

これを読むとグルーピーっていう観念が少し変わってきます。日で外タレのグルーピーっていうと、全然知らない外人が日に来たときわざわざこっちの方から空港まで追っかけて行って☆やっちゃう☆っていう感じがありますが、ニューヨークのシーンでの女の子達は、バンドの友達であり、彼女であり、その中でくっついたり離れたり浮気したり、普通の私達が持つような関係を持っている。

もちろん、私が持っていたグルーピーという観念そのままの話もたくさんあります。例えば、ドールズ時代のジョニー・サンダースと恋に落ちたセイベル・スター。この娘はLAのグルーピーなんですけど、13、4歳で既にイギーとストゥージーズのメンバー全員とチョメチョメ関係、ジミー・ペイジ、デヴィッド・ボウイともウハウハ。「私がまだやってないロック・スター」というリストを持って歩いていて、その中にゲイのウェイン・カウンティの名があり、「やってくれなきゃ自殺する」と言われたウェイン・カウンティが「俺はホモなんだってば!」って言って断ったら当に自殺しようとした、というエピソードにはひっくり返りました。

セイベルは、ジョニー・サンダースの大ファンで、ジョニーはセイベルのことを雑誌で見て気に入っていて(当時は有名グルーピーもロック雑誌に良く出ていたそうな)ドールズがLAに来たときセイベルが空港まで迎えに行き、お互い一目惚れで、セイベルはグルーピー引退宣言をし、ニューヨークに来ちゃうけど、ジョニサンの暴力が原因でLAに帰ってしまう。この後セイベルはキース・リチャードとも付き合い、何年かしてニューヨークに遊びに来たとき、すでにハートブレイカーズを結成していたジョニサンと再会。しかし、その時ジョニサンに紹介されたリチャード・ヘルと恋に落ちてしまう。

それから、モデルとして生計を立てていたシリンダ・フォックス。この人はドールズのデヴィッド・ヨハンセンの彼女で、短い間結婚していたこともあったようですが、デヴィッド・ボウイとも浮名を流し、またジョニサンと浮気したこともあったらしい。生粋のニューヨーカーで、シルベインから「6人目の女ニューヨーク・ドール」と言われるほどバンドとは親しかったのだけど、後にエアロスミスのスティーブン・タイラーと結婚して、確か子供ももうけたはずですが、後に離婚。

私がシリンダのこと大好きなのは、この人はジョニサンとジェリー・ノーランの死に目に立ち会っていることです。彼女の離婚後と思われる「人生で一番辛かった時期」、多分80年代中盤から後半くらいに、シリンダはジョニサンと交友を持ち続け、ニューヨークに家のないジョニサンを泊めてあげたり、ドラッグでヘロヘロのジョニサンをお風呂に入れてあげたり、ずーっと友達でいた。それだけでもこの人いい人なんだろうなと思うんですが、ジェリー・ノーランが病院で昏睡状態に陥ったときもそこにいて、朦朧と意識がない状態のジェリーがシリンダを見て、「I remember...」と、「あの頃のこと憶えているよ」と言ったってんだから、そうとう親しい友達だったと思われる。

それから、べべ・ビュエル(Bebe Buell)というモデル。この名前を聞いてもピンと来ないかもしれないけど、この人が女優リヴ・タイラーのお母さん。彼女は、レブロンやエイボンなどの有名化粧品メーカーのモデルだったんですけど、パティ・スミスに勧められてプレイボーイで脱いじゃったことからまっとうな仕事がグっと減ったというエピソードを持つ人。パティ・スミスとの出会いは、当時トッド・ラングレンの彼女だったべべを、トッドが自分の元カノであるパティに紹介したのがきっかけだとか。べべの方がずっと年下だったので、トッドとケンカしたりするといつもパティに相談しに行ったらしい。パティはいつも詩を書いたりしているのだけど、べべが訪ねて行くと追い返したりせず、時にはヘア・ブラシをマイク代わりにレコードに合わせて二人で歌を歌ったりしたそうな(これはパティが歌い始めるずーっと前のエピソードだそうです)。

べべは17歳のときトッドと知り合い、かなり長い間一緒に住んでたみたいなんですけど、付き合いだした当初からトッドは浮気三昧なくせに、「私がドールズを見に行き過ぎだっていつも文句言ってた」と、全くフツーのカップルらしい話もある。そして、そんなとき出逢ったイギー・ポップと2、3週間不倫(?)したこともあったそうな。

そのエピソードが面白い。ドラッグでへべれけになってドールズのギグに来ていたイギーを誰も面倒見て上げなかったんで、べべが介抱してあげたら、次の日、しらふのイギーがべべとトッドが住むアパートを訪ねてきたんだと。「あんなにへべれけだったくせに、私の住所を憶えていたなんて!」と、べべ。イギーは、リビングのソファにのうのうと座り「君達は昨夜、当に良くしてくれて、感謝しているよ・・・。いいアパートだねここ・・・そういえば俺、何日もお風呂に入っていないんだ・・・。ちょっと一っ風呂浴びていいかな?」とシャワーを使い、トッドがツアーに行ったのをいいことにべべとデートしたそうな。「イギーはものすごい人を操るのが上手かった」とべべも言っているけど、ヘロイン中毒の人はみんなそうだったみたい、この本を読むと。

べべはリヴが生まれてすぐ、トッド・ラングレンの子供だってウソをついていたらしい。スティーヴン・タイラーとの話は、この人にしてもシリンダにしてもほとんど載っていないから、なぜなのかとかはわからないけど。

パティ・スミスも、結果的にミュージシャンとして成功したからそうは見えないけど、元々はこのグルーピーのような女の子たちとあまり変わらなかったよう。ストーンズにかぶれていて、ブライアン・ジョーンズが死んだときには大騒ぎだったらしい。アパートにロック・スターの神棚みたいのが祭ってあって、ミュージシャンだけでなく、有名な男のアーティストをファックすることで自己を発見していくというようなコンセプトを持っていたと、友達だか、バンドのメンバーだかが言っていた。

しかし、当時、ロックバンドはほとんど男ばっかりだったわけで、女としてシーンに関わって行くということは、男のロッカーたちと深い関係になること、と思ったとしても不思議はない。パティはそんな中にいてもアーティストとして浮上してきたのだから、やはり才能があったんだね。彼女のインタヴューですごく印象に残ったのは、

「私の書く詩はほとんどが女のことを書いている。だって、女の方が刺激的だもん。でもほとんどのアーティストは男でしょ?男は誰に刺激を受けるのか?女に受けるのよ。でも私は男と恋に落ちるし、男は私を支配する。私はウーマン・リブって好きじゃないの。だから男のことは書けない。だって私は男の手の平で踊らされているだけだもん。でも女に対しては、私は男のように振舞える。男のように、女を女神として崇め、自分のアートを創るために利用しているの。」

これって、すごい!私も同じようなことを感じていたけれども、これほどはっきりと、言葉にできるほど固まった概念として意識に浮上してこなかった。こんなに明確にこのコンセプトに気がついていたとは。やはりスゴイ人なのだな、パティ・スミスは。

それと最後に、コニーというグルーピー。この人はドールズのべーシスト、アーサー・ケーンと付き合っていて、アーサーに逃げられた後は、ディーディー・ラモーンの彼女だった。

コニーは上記3人とは全然違くて、ストリートで客を拾うような売春婦だったそう。背が高く、胸もお尻も大きく、がははと下品に笑い、ジャンキーで、容姿もあまり良くなくて、売春でお金があったので、ミュージシャンにヘロインを買ってあげることで彼女として納まっていたらしい。アーサーの親指を切り取ろうとしたとか、アーサーやディーディーに言い寄ってくる女と割れたビール瓶でケンカしたとか、クレイジーなイメージのエピソードが耐えない人。付き合ってた男ともいつも殴りあいのケンカをしていたらしく、ディーディーなんか、25セント玉を指の間に挟んで突き出した拳でコニーを殴っていたという話もある。

しかし、コニーは、そんなクレイジーな面からは考えられないほど女らしかったんではないかと、ディーディーと後に結婚した女の人の話から想像される。コニーは、ディーディーに家庭を作ってあげたいと思って、お金もないのにカウチを買った。それが唯一彼女が考え付く家庭というイメージのものだったから。しかしそれをディーディーはナイフでビリビリに引き裂いた、という話し。また、ディーディー自身も、「あの頃、なんでコニーなんかと付き合っているんだって言われたけど、俺は住むところもなかったんだよ。コニーだけが、ご飯ちゃんと食べたの、とか、今夜寝るところはあるの、とか聞いてくれた。俺のこと気にかけてくれるのは、コニーだけだった」と言っている。

この人は身よりもなく、90年代にビルの踊り場かなんかでオーバー・ドーズで死んでいるのが見つかったそう。ニューヨークでは昔、廃屋になったビルでジャンキーが死んでいるのって当たり前だったらしい。コニーは、シリンダやべべやパティと違って、成功もしていなければ、きれいでもなければ、尊敬もされていず、かえって馬鹿にされていたような存在なのだが、当時にニューヨークではモデルや女優やミュージシャンとして成功して生計が立てられる女の子なんか一握りで、ドールズのギグに来ている娘達は、マッサージ・パーラーやストリップ・クラブで働いている娘ばっかリだったと言うから、きっとコニーみたいな境遇の人はいっぱいいたんだろうと思う。コニーには、キレイに生まれてこなかった女の子の悲哀とか、ニューヨークの下衆な感じ、タフさ、なんかそんなものを全て感じさせられて、とても印象に残っている。

私はこの本、当時のニューヨークがどんなだったのか、マックス・カンサス・シティやマーサー・アーツ・センターにドールズを観に行くということがどういう感じだったのか、ラモーンズが出てきたとき、CBGBってどんなところだったのか、全然知らない街や人々に想いを馳せ、自分をそこに当てはめて、こういう人と友達だったらこんな感じだったのかなあ、とか、ここに自分がいたら、こうだったかなあなんて想像を巡らせて、楽しんだ。だから、こういった女の子達の話がすごく身に染みて共感できたんだけど、男の人が楽しむんなら、『パンク』誌の創設の話しなんか絶対共感すると思うよ(マンガと、女の子と、ディクテイターズと、ラモーンズとマクドナルドが好きな人のための雑誌って、ないよな?よし、作っちゃおう!みたいな)。

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Key Wordsロック パンク プリーズ・キル・ミー
| コメント(2) | 【2006/11/06 06:37】
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コメント
コメントどうもありがとうございました。
すごく音楽についてくわしいですね。
丁寧につくりこまれたブログでとても勉強になります。
ブログというものをはじめて一ヶ月未満の初心者なものでまだまだよくわからないことだらけですが、またTBさせてくださいね。
ちなみにラモーンズはサイコセラピーという曲が好きですw

【2006/11/06 20:29】 URL | you-tarow #-[ 編集] | page top↑
はい、はい、このブログも読みました。

今、図書館から、この本が来るの、待ってる最中です。楽しみに待ってます。ご紹介、ありがとうございます。
【2010/09/09 11:09】 URL | anondah #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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