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マイケル・ムーアの問いかけに、あなたはなんと答えますか?!-華氏911
Fahrenheit 911


チュチュ姫のお城や、「戦争論 3」の書評なんかでも何度も書いたとおり、911テロが起こったとき私は既にアメリカに住んで、デトロイトで働いていました。デトロイトからNYまでは車で10時間と結構ご近所のノリである上に、私の友達はその頃マンハッタンのど真ん中に住んでいて、そういった意味で911テロの恐怖はとても身近でありました。


それに加えて、911テロが私の心に残っている一番の理由は、あの時私は始めて「自分が住んでいる国を攻撃される」ことの恐怖を感じ、「私」を捨て「公」のために自分が戦争に行って、この手でテロリストに一撃加えてやりたいと思ったほどの怒りを感じたことです。日本にいたときはやはり「アメリカがやってくれる」と潜在的に思い込んでいたので、自分が戦わなければ自分も自分の友達も標的にされているという危機感を感じることがなかったし、みんなで国を守っていこうという気持ちを持ったことはなかった。「愛国心」という言葉が、今までとは違う真摯な響きを持った、特別な日だったわけです。


ですから!! この映画で語られていることが真実ならば、これは由々しき問題です!! 私は完全に裏切られた気分です。しかし考えてみれば、ブッシュとビンラディンの癒着を示唆している証拠や、アメリカの軍事産業がイラクで儲けている話は、新聞記事やテレビで公開されたことで、別にわざわざCIAとかの極秘文書から入手した話でもないわけで。それを考えると「馬鹿は私?」とちょっと悲しくなりました。私は自分1人が意見を持ったってどうにもなるもんじゃないし、大統領が誰でも基本的に何も変わりゃーしねーだろ、とタカをくくっていたのです。

しかも、私は当時この戦争始める、始めないで、日本にいる友達と電話で大論争を展開し、全く~、このどアホの日本人~、おまいらみんな自分が攻撃されるわけじゃねーし、自分が戦争行くわけじゃないからそんなのんきなこと言ってられるんだよぉぉぉぉ~と思ったことがあったのですが、この映画によって、私は1つ、とても重要なことを忘れていたのを思い知らされました。


映画の中で取り上げられている、マイケル・ムーアの故郷でもあるミシガンのフリント。私はミシガンに住んでいますが、フリントと聞いて頭に浮かぶのは、道路標識によく「Flint」って載ってるなあということと、名古屋へのビジネスクラスのアップグレードのフライトが、デトロイトではなくフリント発だ、ということくらいの印象しかありませんでした。


だから、この街の映像を見て、なぜこの街がこんなに印象の薄いところなのかわかりました。マイケル・ムーアは「経済発展の犠牲になった街」と描写していましたが、良くあるアメリカの、貧しい田舎。なんだか人から取り残されたような地域。こういう産業もなく、つまり仕事のないところでは、アーミーに入るのが一番、夢のある選択なのです。大学にもいける、給料もたくさんもらえる、ここの貧しい暮らしから抜け出せる唯一の方法。

マイケル・ムーアがここで指摘しているのは、こういう「階級」がアメリカには歴然とあり、だから徴兵制度がなくてもこんな巨大な軍隊を維持していけるということ。そして「最悪の地域に住み、最悪の学校に行っていた人がいつも一番に国を守ることを志願する」、つまり、ホントに戦争に行って危ない目にあうのは、こういう貧しいアメリカ人なのです。


私は、「日本の人は何とでも言える。戦争賛成でも、反対でも。自分が行くわけじゃないから。自分の夫や、彼氏や、友達が行くわけじゃないからね」と書いたことがありますが、それは、永住権を持っているだけでアメリカ国民ではない私とて同じことだし、しかも私はフリントに住んでいる人たちよりは明らかに恵まれているし、また皮肉なことにアメリカ国民ではないことによっていわば「特権階級」に属していることになるわけです。要するにアメリカの軍隊に守られて、自分は戦争に行かずぬくぬくしていられるのは日本に住む人たちとなんら変わらぬ状況なわけで、そういう基本的なことに気づかず上記のようなことを考えてしまったことを恥ずかしいと思っています。


この映画でも、小林よしのり氏の戦争論シリーズでもそうですが、こういった政治的なテーマをエンターテイメントの世界に持ってくると、必ず知識のある人たちが「漫画で政治を学ぶような人には面白いのかもしれないが・・・」とか、「こういう重大な問題をエンターテイメントという形でしか興味が持てないとは嘆かわしい」とか、製作者側や観客の意識が高くないことに言及しているのを良く見ますが、私にしてみれば「じゃあお前ら何やってるんだ?!」と言いたくなります。確かにこういう問題に真剣に興味を持てない現代の人たちが嘆かわしいのは事実ですが、知識のある人や問題意識の強い人たちは、自分の知識や意識が高いことをひけらかすのみで、周りに「伝えよう」という意識がないと思います。


911.jpg
君はどう思う?!
だから私はマイケル・ムーアのように、こういった問題に興味があり、リサーチするほどのバイタリティもあり、エラソーな知識人たちの批判も受け止める度量があり、オーソリティからマークされてもビビらない勇気があり、その上一般の人の目の高さでこういった問題を見つめ、描写できる人がいることは素晴らしいと思います。「私見だ」「かなり偏ったものの見方だ」というような感想を言う人が多いんですけど、マイケル・ムーアが作ってるんだから、マイケル・ムーアの私見で描かれているのは当たり前なんであって、「僕はこう思うんだけど、君はどう思う?」とこの映画は問いかけているんだと思うんですよ。それに対して、自分はどう答えることが出来るのか、ということを考えさせられた一本でした。

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『ロジャー&ミー』も面白かったし、この人結構はずれないね。ここまで来たら『ボウリング・フォー・コロンバイン』も観なくっちゃ。前評判はいいですし。



映画の席 | コメント(8) | 【2005/10/08 19:03】
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コメント
予言どおり、
すっかりこっちがメインブログに…。

賛否両論あるんでしょうが、
マイケル・ムーアっていつも全力で、
それだけでも価値があると思います。

映画でも音楽でも、
手抜きしたら面白くならないですよ。
【2005/10/09 00:00】 URL | メタル馬鹿一代 #-[ 編集] | page top↑
日本にも、ムーアみたいな事をしたいと思ってる人はいると思いますが、
既存のメディアでは無理でしょうね。

自分達で勝手にタブー作って、
差しさわりのない報道ばっかしてるし。
私はTV新聞のニュースは、あまり信じてません。


911テロの時は遠い国の話って感じで、
あまり身近に感じませんでしたが、

あれから拉致被害者の帰国、
中国での反日暴動と、
日本人もかなり国に対する意識は変わってきてると思いますよ。


【2005/10/09 02:29】 URL | クマ太郎 #-[ 編集] | page top↑
この葛藤と悩みは、人間がずっと持っているものではないでしょうか?歴史が判断するという言葉がありますが、時間が経ち、その後の結果でしか、良かった、悪かったが判るのでは?人間が、将来を全て見通せれば問題はないのですが。

ある事象への見方というのは、どうしても、2つ以上あり(価値観が異なる人間は違う見方をします。)極端に言えば、どちらかに決めないといけないという事に、人々の悩みがあるのではないかと思います。しかし、もちろん、出来るだけ、事実を知り、何が正しいのか、結果を想像して見るという事は絶対に必要です。それを放棄する事は出来ません。その結果として凶とでれば、その誤りを直し、行動を修正する事しか、人間には出来ないのではないかと思います。

確かに、イラクの問題は、事実が人々に伝えられたか?という問題は残ります。しかし、概して言えば、もしビジネスの世界で例えたとすると、一致にビジネスをしていた会社同士が(どれだけクロースだったかは前提としませんが)、ある利害関係で、ブレークし、その後を経て、最後はライバル同士となり、競争し始めたという事と共通していませんか?でも、この場合、人の命に関わるという悲劇は多くはありませんが。(悲劇を、こんな単純化してすいません。)

この様な事があるとすれば、やはり、我々自身が、事実を知るという事、そして、それを具現化しているマスコミが重要な役割があると思います。しかし、人間が介在している以上、それぞれの価値観が異なるので、情報を提供する側と情報をえる側の問題は残ります。どうしても、それぞれの価値観によるフィルターが懸かってしまいます。

良い例が、9.11の後、米国のマスコミはどの様に行動したのか?そしてそれを受ける視聴者は?マスコミは逆に(ビジネスが関わってくるので)視聴者(我々が)望む情報を与えて来たのでは無いでしょうか?全てではありませんが、少数の懸念も打ち消してしまう流れだったように思えます。(もしかしたら、我々が望んだのかもしれません。)確かに、権力の圧力があったとしたら、別の問題ですが。

私自身ですが、日常、同じニュースに関わっても、なるべく多くの新聞を見ています。同じニュースでも、それぞれが、異なった見方をしまよ、面白い位です。例えば、(捏造とは言いませんが)、ある新聞が書く事実は、違う新聞では言及していないとかがあります。事実の羅列の項目が異なればそれを読む人の判断、イメージも異なるのが普通です。もちろん、全く異なる意見をそれぞれが出す場合もあります。

小林さん、ムーアさんは(素晴らしい方々ですが)、羨ましい限りです。彼等は、多くの人々に、自分を、又は、自分の考えを表現し、伝える事が出来ます。(残念ながら、私には、少しの手段しかありません。選挙くらいでしょうか?差がありすぎです。笑)しかし、同じように、彼等の表現も、多くの事実は含んでいるでしょうが、やはり、あくまで彼等の私見です。

問題は、私自身になるのだと思います。そして、どうするのか悩むのです。

長々と、すいません。
【2005/10/09 10:02】 URL | Just being a dick #-[ 編集] | page top↑
ジェリーさん、長いコメント書いてもいいですから、名前を残してくださいよ。アラシかと思ったじゃないですか。

長いコメントはホントに私は気にしませんが、こういうことを、ご自身のブログで取り上げられたらいいんじゃないですか?こういう問題に対する自分の考えを表現し、伝えることが出来る人たちを羨ましいとおっしゃってますが、ブログはとてもいい媒体と思うのですが。
【2005/10/09 22:07】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
なんか、うまくトラバはれてないみたい?
MSNブログ、互換が低いから?
【2005/10/09 22:15】 URL | メタル馬鹿一代 #-[ 編集] | page top↑
あ、本当だ!ごめん。編集出来るみたいだから。追記で直しておいて。宜しく。

あ、それと、『自分の考えを表現し、伝えることが出来る人たちを羨ましい』というのは、『自分の考えと、それを表現したOUTPUTを、多くの人に、伝えられる能力と手段を持っている事が羨ましい』という意味です。私でも、多少は、『自分の考えを表現し、伝えること』は出来るでしょう。多分。
【2005/10/09 22:47】 URL | Slowhand #-[ 編集] | page top↑
初コメントさせていただきます。

「ボウリング・フォー・コロンバイン」の時もそうでしたが、
一石を投じる作品は価値があるものだと思います。
「もう一度、考えてみよう」、そう思わせる事が大切だと…。
【2005/10/23 16:58】 URL | にぃ3&みぃ3 #-[ 編集] | page top↑
にぃ、みぃさん、コメントありがとうございます。

また遊びにきてください。
【2005/10/23 22:09】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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『華氏911』 by 右近の日々是好日。
 こんばんは。今日は、マイケル・ムーア監督の『華氏911』を観て考えたことを書きたいと思います。『華氏911』ではジョージ・W・ブッシュ批判が主なテーマになっていますが、私は『ボウリング・フォー・コロンバイン』と同じように、ブッシュという人物を通した「9・11」事 右近の日々是好日。【2005/12/26 22 : 11】
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華氏911 オリジナル・サウンドトラック metalbaka【2005/10/09 22 : 08】


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