Children of Men
2027年、原因不明のまま生殖機能が弱まった人間は、もう20年余りも子供が出来ていない。人類滅亡の危機感から希望を失った世界には暴力と無秩序が満ち溢れて、世紀末の様相。崩壊した第三国からの不法入国者を取り締まるため、イギリス政府は国境を封鎖し、武力行使で辛うじて治安を維持している。ロンドンに住むエネルギー省の官僚セオ(クライヴ・オーウェン)は、別れた妻で、反政府組織・フィッシュのリーダー、ジュリアン(ジュリアン・ムーア)に、移民の少女・キー(クレア=ホープ・アシティ)をヒューマン・プロジェクトという組織に引き渡すために必要な通行証を手に入れてくれと頼まれる・・・。
理由はともかく、こういう世の中になったらどうしよう。他人事のように見ていたけど、世界のどこかではこういう地域が存在しないとも限らないし、今、アメリカや日本が平和だからって、いつ秩序が乱れないとも限らない。 私はきっと、あの絵画やアートを世界中から集めている男の人みたいになるだろうな。世界で起こっていること、人類が直面しなければならない将来に見て見ぬ振りをし、自分が美しいと思うものに囲まれて、心の平安を得る・・・・。 しかし金がないとああは出来ないので、道端で檻に入れられている移民になる確率の方が高いな。ジュリアンのような「恵まれない人を救う」革命家根性はないし・・・。セオみたく、全てあきらめて自暴自棄に生きるってことはあり得る。 マイケル・ケイン演じるヒッピーのおっさんは良かった。ヒッピーってさー、ピース、ピースと言いながらなーんにもしないでマリファナ吸ってるだけなんで結構ムカつくんだけど、このおっさんも隠れ里みたいなところに住んでて、「私は誰の邪魔もしないから、私の邪魔もしないでくれ」みたいな感じで、こういうやつがいい人扱いで出てくる映画なんてロクなもんじゃねえ、と思ったの。 でも、キーとセオが頼ってやってくると、来るものは拒まず、しかもそのおかげで自分の静かな生活が破綻するとわかっていても、黙って運命を受け入れ、しかもキーとセオを逃がすために、自分が楯なってに時間稼ぎをしたところが偉い!ヒッピーの鏡だ。ピースピース言いながらマリファナ吸って、人にたかって生きているヒッピー達よ、この人を見習え。 後半は、キーとセオがヒューマン・プロジェクトという組織にキーと、キーの赤ちゃんを保護してもらうために奔走するのだが、さらに「うわー、こんな世界になったらいやだなー」という光景が繰り広げられる。それこそ銃弾がぴゅんぴゅん飛び交う中を、昨日今日、子供生んだばっかの身体で走り回るキーが気の毒だった。 ここで、キーの赤ちゃんがエンエン泣いている声を聞いて、みんなが感動して戦闘が一瞬止むシーンがあるんだけど、子供に思い入れのない私は感情移入できない・・・。「あれは仔犬だ、仔犬だ・・・・」と自分に言い聞かせて見たら、やっとわかったよ、その意義が。世紀末になろうとも、血で血を洗う戦争に巻き込まれようとも、毛布にくるまれたちっちゃい仔犬を見たら、「死んで欲しくない」と思うなあ。一人くらい赤ん坊救ったからってどーなんの?と思ったけど、確かにあれが仔犬だったら、例えそれがなんの足しにもならなくても、生きていてくれるだけで希望になる、という気持ちはわかった。 と色々思考できていい映画だと思ったのだが、インパクトが弱いのだな。私はこれ、キーが主人公だったら100倍面白いだろうなと思った。迫害されている移民で、臨月で、セオしか頼れる人はいないという状況で、危機感がもっと良く表現できたんじゃないだろうか。 Key Word 映画 トゥモロー・ワールド クライヴ・オーウェン クライヴ・オーエン ジュリアン・ムーア マイケル・ケイン |
chuchuさん
この映画の主人公のセオって自分から 戦わないのが珍しいですよね,弟の仇を 討とうとする奴も偶然死んでくれて事なき とかヒッピーを殺した男もそうでした~ 逃亡の美学ですね。 Hiroさん、
逃亡の美学ねえ。確かにヒジョーにヤル気のないところがポイントですね。 chuchuさん、
そうそう、この映画映像は凄いのだけど、ストーリーはそんなに捻ってないですね。 クライヴ・オーウェンが出ずっぱりでした。 http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-274.html |
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