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『トランスアメリカ』-興味深い題材ながらも☆3つ
Transamerica

こんな醜いヒロインはかつて一度も見たことがございません。正直「気持ち悪いなぁ~」と思いながら観てしまいました。

transamerica.jpg
dvd on amazon.com
CAST & CREDITS
Produced: 2005
Directed by: Duncan Tucker
Writing credits: Duncan Tucker
Cast:
Bree Osbourne: Felicity Huffman
Toby: Kevin Zegers
Elizabeth: Fionnula Flanagan
Calvin: Graham Greene
その上、表情が暗いんだな。いつも悲しげな、自信がないような顔をしている。見ている方が落ち込みそうな・・・。でもそれもしょうがないよね、この人は自分のことが好きじゃないんだから。

ヒロインのブリー(フェリシティ・ホフマン)は、女性になる性転換を希望している男性なんですけど、既にホルモン剤も飲み始めて、少し胸も膨らみ、女と男の中間くらいに見える。しかし、心はすっかり女性なので、女の格好をし、化粧をし、髪も長く伸ばしている。

しかし、大変ですよ、こういう人たちは。性転換の手術を望んでも、精神科医に会って、色々分析されなきゃならない。要するに本当に正気で性転換したいと言っているのか、頭オカシイのか、他人が判断するわけよ。「あなたは自分の性器のことをどう思っているの?」と精神科医に聞かれて、「気持ち悪い・・・」とまで言ってるブリーは、とっととそんなもの取ってしまいたいのに、そんな彼女の真剣さがわからない精神科医が「あほくさ」とか思いながら仕事してんだもん、そりゃあブリーもいつも悲しそうな表情になるわな。

そして、存在自体知らなかった自分の息子なるものが現れたため、それまでとても協力的だったセラピストまでが性転換の手術を承認してくれなくなる。息子の存在とかそういうものをブリーの心の中で清算できなければダメだと言うのだ。

私だったら、自分のしたいことがあって、しっかり心に決めているのに、他人から「あなたはまだ準備が出来ていない」だの「正気で言っているのかどうか判定します」なんて言われたら、暴れます。ここら辺のくだりで、ブリーが相当フラストレーション溜まっているだろうなあと思って、可哀相になったよ。

この息子のトビー(ケビン・ゼガーズ)はすごいワルで、家出してNYで男娼をしながら生活していて、ケチな犯罪で警察に捕まり、保釈の保証人として自分の会ったこともない父親=ブリーに電話してきたのである。ブリーはLAに住んでんだよ!これまでウェイトレスとテレマーケティングで一生懸命働いて、性転換手術のために切り詰めてきたのに、この見ず知らずの男の子のためにNYまで行かねばならない。それもこれもセラピストが、そうしなければ手術の同意書にサインできないと言ったからだ。

息子に会ったはいいが、自分が父親だなんてちょっと言えないので、敬虔なキリスト教徒で人助けをしている人、というトビーの誤解をそのままにして置く。それでうまいこと実家に連れ戻して押し付けちゃおうとするのだけど、トビーの母親は既に死んでいるし、継父はトビーを性的に虐待していたらしい。とても恵まれない環境で育った、自分の息子。

ブリーも、小さいときから自分は女だと感じていたようで、そういうのを家族や友達にも受け入れてもらえなかったみたいだから、孤独という意味では共感したんじゃないかね。それに、ブリーはごく単純にいい人みたいだし、トビーを放り出すことはできなかった。

そんで、もうずーっと会っていなかった両親のところへ連れて行き、自分の息子だと打ち明け、トビーを育ててくれるように頼む。これだって大変なことですよ。ブリーのお母さんは、息子が女になりたいって気持ちなんかとうてい理解できないような人で、いきなり股間をむぎゅーっとつかんで「まだ付いてる、よしよし」なんて言っちゃう無神経な人なんだから。それを恥を忍んでトビーのことを打ち明け、面倒みてくれと頼むなんて、なかなかできることではない。

ブリーの両親は、孫がいることを素直に喜び、かなりお金もあるみたいだからトビーを引き取ることには異議なしなんだけど、まあ17歳のトビーがそれをありがたいと受けるはずもなく、その上いろいろ事件もおきてしまう。すったもんだの末、最後はハッピー・エンドなんだけどさ・・・。

私は主人公・ブリーが性転換手術に固執する姿と、最近の美容整形ブームのことを考えてしまったよ。ブリーも、整形しようとする人たちも、自分のイメージする自分と、現実の自分の姿が違うから、自分のイメージの中にある自分に、現実を近づけようとするのね。

私の友達のお母さんが、「年を取ってくると、ある日鏡を見て、『これが自分なの?』と愕然とするときがくるわよ」と警告してくれたことがあったけど、なんかわかるなー、その気持ち。そのお母さんも、16歳のときの写真をみると、本当にフランス人形みたいに可愛いんだよ!今はかなり太って、たるんで、髪の毛も薄くなってきたし、ハッキリ言って昔の面影はない。でもこの人は、全く不摂生をしないんですよ。食べ過ぎもしないし、タバコも吸わないし、健康には気を使っているんだよ。でも歳月は彼女には全く手加減しなかった。

この人にしてみたら、自分のイメージって、今の自分じゃないわけじゃない?こういう人が脂肪吸引とかシワ取りとか植毛をするってのはさ、もっともっとキレイになりたいという貪欲な姿勢じゃなくて、「自分のイメージ通りの自分になりたい」って思っているだけじゃない?

まだ若い女の子が二重になりたいとか、鼻を直したいとか言うと、「持って生まれてきたものに感謝しなさいよ」なんて言って思い留まらせるけど、この私の友達のお母さんとか、ブリーみたいな人にそれを言えるかって言ったら、言えないなあ。

ブリーは、男として生まれてきたんだから、もうずーっと、自分の容姿は自分のイメージと違っていたわけでしょ。待って待って待ち続けて、やっと思い通りに出来るようになった。もう「気の済むようにしなさい」としか言えないよな。

でも悲しいのはさ、ブリーが気持ち悪いことなんだよね。までも、性転換してホルモン剤を取り続けていれば、銀座のゲイバーのお姉さんみたいに段々キレイになって行くのかもしれないけど。あえてブリーの容姿をグロテスクにしたのは、それが現実だからか、もしくはこういう人たちの苦労を描くのにその方が良く伝わるからかもしれないな。

性転換の手術をした後、ブリーが湯船に使って自分の☆割れ目☆を手で確認し、嬉しそうにしているシーンがあって、それはそれでいいんだけど、本当にそれでブリーは自分自身のことが好きになれるんだろうか?

トビーとの旅の途中にカルビン(グラハム・グリーン)というインディアンに会って、この人はブリーが女であるということに全く疑いはなく、しかも惚れてしまうんだけど、この人とのシーンのブリーが一番美しかった。やっぱり恋って強力なのかなと思ったけど、実際はカルビンがブリーを、ブリーのイメージ通りに扱ってくれて、ブリーも自分がイメージする自分でいられるのが心地良くて、それでキレイになるのではないかと思った。

さて、それで映画として面白いかと言うと、イマイチなんすよね。最近多いなあ、こういうの。演技はものすごいいい、題材も面白い、脚本も悪くない。この映画はあまりお金かける必要なさそうだけど、最近の映画は衣装や建物なんかも、とてもお金かけて良く作ってあったりする。・・・でもイマイチ!!! 『カポーティ』も、『ブロークン・フラワーズ』も『ダヴィンチ・コード』も、みんな悪くないけど、良くもない。『ラスト・サムライ』とか『ブロークバック・マウンテン』とか、『チーム☆アメリカ☆とか、筋が通っていなかろうが、時代考証が間違っていようが、くだらないだけであろうが、心から「おもしれぇ~~~」と思える映画が観たいよ。【05/28/06】

Key Words 映画 トランスアメリカ フェリシティ・ホフマン
映画紹介 | コメント(9) | 【2006/07/12 22:14】
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コメント
こんにちわ。TBさせていただきました。

<私は主人公・ブリーが性転換手術に固執する姿と、最近の美容整形ブームのことを考えてしまったよ。
とありましたが、私はちょっと違うかなーと思います。ブリーは女になりたくてってだけじゃなくって、実際女なんです。性同一性障害って体と性別が違って生まれてきてしまうので、ブリーが性転換をしたいっていうのは本来の自分に戻りたいだけであって、ただ自分の願望をかなえるために美容整形をするのとは全く別のことだと思います。
【2006/05/29 07:31】 URL | akky #Zk/lHUeI[ 編集] | page top↑
akkyさん、
TB、コメント、サンクスです。
おっしゃることはわかりますが、美容整形する女の人も「私は本来、こんな姿ではないはずだ」と思ってするのじゃありませんかね?
【2006/05/29 07:58】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
まぃど!
男としては、ブリーの本当の気持ちは理解できない。
理解できるような顔をするのも嫌だし偽善ぽぃし。
でも、現状の自分に満足できずに悩む気持ちは、
性別を超えて理解できるものだと思う。
それを描いた映画だとオイラは思ったんですがね。
ただ、ブリーが気持ち悪ぃってのはなかったなぁ。
それはオイラが男だからかな?
【2006/08/19 02:05】 URL | 栗本 東樹 #-[ 編集] | page top↑
東樹さん、
まいど、まいど!
私としては、ブリーの気持ちがわかるのかわからないのかが、わからないよ。

ブリー、気持ち悪くなかった?・・・ああいう人が近所に住んでいたら、引いちゃって、話かけるまでにすごーく時間がかかると思う・・・性転換うんぬんじゃなくて、単純に見た目が怖い。
【2006/08/19 04:36】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
昨日やっとこ観て来ました。
友達はブリーが大泣きするところでもらい泣きして大変だったそうなんですが、私はハンカチを忘れた。という緊張感もあってか、ハンカチがないと困るほどではありませんでした。
最初の頃のブリーは確かに、近所とかにいても話しかけにくいですよね。(一度ノーメイクに近いFハフマンを何かで見て、あんまり変わらないと思ったような気も…)
でも、旅をして行くにつれてだんだんとそういう感じが薄れていくような気がしました。
ブリーが、自分を好きになっていくのと私たちとトビーが彼女を愛しいと思うようになるのとがシンクロしてるというか……
何か上手く表現できないんですけど、見終わった後、観終わった後心の平安というか、そういうのをちょっぴりもらった、という感じかな。
【2006/09/21 12:08】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
そうですか。私はラストは結構ありきたりだなーと思いました。息子とは和解できず、しかしあのインディアンの人とくっついた、なんてラストの方が(私ってシニカル?!)
【2006/09/21 21:33】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
チュチュ姫様。
う~ん、ありきたり、といえば、ありきたりですね、確かに。予定調和というか……
でも、アメリカ映画なんだからこんな感じかな、みたいな。(偏見?)
インディアンの人は最初からブリーを女の人として見てくれけど、だから却って本当のことが言えないままとかになるんじゃないかな?と。それって、あんまり幸せじゃないと思うのですね。
何にも隠さなくていい人が(両親とかももちろんそうなんですけど)身近にいるっていいなと思います。
親って、結構気を使うんですよね。私事ですが……
【2006/09/27 09:27】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
いやー、最近のアメリカ映画は結構予定調和でないものもあると思うんですけどね。でも私の場合、この映画期待し過ぎたかもしれない。

親とスムースに行かないってのは、結構ありますよ。うちもそうだし。
【2006/09/27 21:00】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
チュチュさん、こんにちは~。
フェリシティ・ハフマン熱演でしたね。
と言うかリアルだった。『プルートで朝食を』のキリアンはおとぎ話みたいだったけど、「キトゥンも毎日髭やムダ毛のお手入れしてたんやなぁ」とつくづく思いましたわ・・。
ではでは。
【2007/02/11 01:36】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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