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『毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』-エロというより刺激的
Fur: An Imaginary Portrait of Diane Arbus

この物語は、1960年代に活躍した女性写真家の伝記に基づいて創作されたフィクションなのだが、この人の名前はディアン・アーバスである。映画の中で「ダイアン」と呼ばれて「・・・私の名前はディアンと読むの。ダイアンじゃないの」と言うシーンまであるのに、堂々と邦題に「ダイアン・アーバス」とつけたのは、何か隠された意図があるのだろうか?

fur.jpg
dvd on amazon.com

Produced: 2006
Directed by: Steven Shainberg
Writing Credits: Erin Cressida Wilson, Patricia Bosworth
Cast:
Diane Arbus: Nicole Kidman
Lionel Sweeney: Robert Downey Jr.
Allan Arbus: Ty Burrell
しかも、原題の『Fur』に対して『毛皮のエロス』と、「エロス」を足しているのはなぜだろう?確かにこの映画はエロい。例えば、マスクをしている怪しげな男、ライオネル(ロバート・ダウニーJr.)がアパートの2階に引っ越して来た後、1階に住んでいるアーバス家の配管が詰まってしまう。ディアン(二コール・キッドマン)は、詰まった配管から多量の毛玉と鍵を見つける。そしてディアンとライオネルが、アパートのインターフォンを通して会話する。

「あなた、犬を洗っているの?(Are you washing your dog?)」

「え?(Excuse me?)」

「大きい犬を飼っているの?(Do you have a large dog?)」

「犬?(A dog?)」

「お宅の犬の毛がうちのパイプに詰まって、配管に問題が出てるの(Your dog's hair is in my pipes. It's causing problems with the plumbing)」

「地下室を調べてみたらどうだい・・・(Perhaps you should check the basement...)」

このディアンの「Your dog's hair is in my pipes. It's causing problems with the plumbing」というセリフがエロい。
Plumbing(配管)とは、辞書にも載ってるくらいあからさまな膣の隠語だし、それを前提にして見ると「犬」というのは男性性器を指しているに違いない。「Do you have a large dog?」というのは直訳すると「あなたは大きい犬を持っているの?」すなわち「あなたはでっかいのを持ってるの」と聞いているわけで、「Your dog's hair is in my pipes. It's causing problems with the plumbing」は「あなたのXXXのことを妄想して、気が狂いそう」というような意味に受け取れる。

が、この映画でのエロの重要性というのは、女性が社会的に抑圧される場合、必ず性的な観念をコントロールされているので、ディアンが本当の自分を見付けて行く過程で、自分の中に押し込めたエロを開放しなければいけない、という意味において重要なのだ。だから、ライオネルが「地下室を調べろ」というのは、「自分の心の奥底を覗いてみれば?」という意味であり、それを考えると『毛皮のエロス』という邦題は、「ニコマンが出てるエロい映画かぁ~、見てえな!」といういかがわしい動機を刺激するというのと、「け・が・わ・の・え・ろ・す」という日本人の語呂に合う七音節で、なんとなく映画の雰囲気を伝えているが、ほとんど内容を表してない。

しかしなぜ「毛皮」なのだろう?伝記をベースにして創作した話なので、ディアンは本当に多毛症の男に出逢ったのかもしれないし、製作者側の意図するところはわからないが、私は「毛」というのは男性性、女性性を象徴するものだからじゃないかと思った。

私は、彼氏に「足のムダ毛を処理しろ」と言われたことがあるのだ。そんなシツレーなことを言ったばか者は後にも先にもコイツ1人だし、私は足の毛を剃ろう、なんて思ったことは未だかつて一度もないのだ。それがこのばか者のこの一言で、スカートや短パンをはいたとき、気になるようになってしまった。

ディアンが両親の主催する毛皮ショーの前に身支度をしているとき、足の毛を剃ったりまゆ毛を抜いたりしているのを見て、そのことを思い出した。女はありのままでは醜い生き物だと刷り込まれて生きてきているのだ。毛深い女は醜い、だが、動物の美しい毛皮をまとった女はセクシーだ。女の方から求めるエロは下品だけど、男にアピールするエロはセクシーと褒められる。写真家である夫の仕事を手伝える能力は評価されるが、ディアン自身の写真の才能は、必要ないものとされる・・・。

やはりライオネルは想像上の人物だろう。きっと、ライオネルはディアンの頭の中にある自分自身なのだ。毛むくじゃらで醜くて、危険で大胆で刺激的な、ディアンの男性性の部分。ライオネルが呼吸器の病気で、毎月5%ずつ呼吸が低下している、という設定は、ディアンのそういう部分が、外界からの抑圧によって窒息しかけていることを象徴しているのだと思う。

また、最後にディアンがライオネルの毛を全部剃ることによって、自分が押し込めていた自分に出逢うことを表現しているのだろう。そして、ライオネルとセックスすることによって、自分の女性性と男性性が同化するのだ。この時、ディアンはライオネルの上になってセックスするのだけど、旦那さんとするときは後ろからやられていた。この体位の違いも、ディアンの心の変化を表しているのだと思う。

私は別に、この映画の邦題がいただけないと言いたくてこれを書いたわけではない。そもそも、『Fur』を印象的な邦題にする、と言うのは難しい相談だ。カタカナで「ファー」じゃあインパクト薄いし、そもそも原題自体が内容をストレートに伝えているわけではないし。ディアンの名前の件にしても、この写真家が既に日本でダイアン・アーバスとして紹介されていたら、もうそれでいくしかないのだろうし。

ただ、この邦題に囚われないで欲しいのだ。この映画は女性が本当の意味で解放されるということがどういうことなのか、女を縛っているものの実態がなんなのかを、説教臭いことは一切言わずに、映画的な手法を最大限に駆使して表現している、エロというより、もんのすごいProvocative(刺激的)な作品なのである。

Key Word
映画 毛皮のエロス ダイアン・アーバス  ディアン・アーバス 幻想のポートレイト スティーヴン・シャインバーグ 二コール・キッドマン ロバート・ダウニーJr.
心に残る映画 | コメント(24) | 【2007/05/27 23:23】
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コメント
こんばんわ☆
TB&コメントありがとうございました。
ニコールファンそしては、彼女の美しさと彼女の演技を堪能出来た作品でした。
わたし的には満足です。
【2007/05/29 21:10】 URL | rikocchin #mQop/nM.[ 編集] | page top↑
もともと観に行くつもりだったのですが、姫様の文章を読んでますます観たくなりました。
なるほど色々隠れた意味がありそうですね。
とはいえ、観に行こうと思っている映画館では一週間限定のロードショーだそうで、観に行けるのか少々不安。
同じ週にナイトレンジャーも観に行くし(^_^;)
【2007/05/31 18:46】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
>ナイトレンジャー
えええ?!?!

うらやましい!!!!
【2007/05/31 20:59】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
あ、お好きなんですか?
でも今回は前に来た時と違って、ギターとキーボードは助っ人なんですよね。
ジェフが来ないのはちょっと残念(@_@。
て、映画の話は!?
【2007/06/01 17:17】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
ジェフが来ないナイトレンジャーなんて!

どんてるみゆらっみーっ
どんてるみゆらっみーっ
どんてるみ あーぃどーんわーなーのー!

って、くだらねーとか思いつつも胸キュウンなのです!
【2007/06/01 20:58】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
新譜を友達がダビングしてくれました。
う~む……。
若者風?
無理してるのか、今は自分達もこんななのか……?
何を求められてるのか解ってると思うんですけどね~(~_~;)
ジェフが来ないのは私もちとガッカリです。
代わりにレブ・ビーチって……
上手いけどさ~。
【2007/06/06 17:15】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
こんばんは
TB、コメントありがとうございます。

多少の異常さはありましたがあまりいやらしさ、(エロもグロも含めて)は感じなくいい作品だと思いました。
二コールの美しさがあまりえげつなさを殺したんでしょうね。
【2007/06/06 20:35】 URL | chikat #-[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
「若者風」ってなんですか、「若者風」って。若作りってこと?
【2007/06/06 20:54】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
Chikatさん、
コメ、サンクスです!そうですか、エロさは感じませんでしたか。私はどぎまぎしながら観てしまいました。
【2007/06/06 20:55】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
チュチュ姫様。

「若者風」っちうより、「若者のバンド風」ですかね。「今風」?
まだ映画観れてないから、ナイレンの話ばっかになってる~(@_@。
すんません。
【2007/06/08 17:18】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
いやいや、いいですよ、どーせこの映画大した反響もないみたいだし。私は好きですけどね!
【2007/06/08 20:42】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
観ました。
http://anythinggoes.blog.shinobi.jp/Entry/133/

やはり、姫様の深い洞察力は深い!!
とてもとても及びもつきませんけど……
人によって感じ方って違うもんですね~。
あ、こちらの記事リンクさせていただきました。

ナイトレンジャーも観ましたよ(*^_^*)
えへへへへへへへ、楽しかったです♪
【2007/06/14 17:53】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
読んだよ~!
みんな、ライオネルがチューバッカみたいで可愛いって言うんだけど、ロバート・ダウニーって、目がくりくりしているから結構笑わん?今、思うと、ライオネルの役は、無名の俳優にして欲しかったな。毛を剃られたあと、どんな人が出てくるのか楽しみじゃない、知らなければ。
【2007/06/14 21:15】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
ライオネル役が無名の人がいいっていうのは、ちょっと納得。
どんな人が出てくるのかという、ドキドキは確かになかったですね。
ロバ・ダウJrの目だからいいって感じもするんですが、あの容貌で眼光鋭いとかなり怖いし、くりっとした可愛い目が、この人も自分と同じなんだって気がするというか……
【2007/06/15 17:21】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
まーちゃん、
確かに、あのクリクリ目が、ちょっとぬいぐるみ的な可愛さだった。でも、慣れるまで笑っちゃってさー。だって鼻まで毛で覆われてるんだもん。で、子供を脅かすシーンがあるじゃない。あんとき、ロバダウJr.、「上手い!」とか思いながらも結構笑った。

栗平がこの役やったらちょ~怖かっただろうね。眼光の鋭さで言えば・・・・
【2007/06/15 21:22】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
栗平だと怖いでしょうね……私が脅かされた子どもだったら、間違いなく、泣きます(T_T)
【2007/06/18 17:24】 URL | まーちゃん #.17RNwB.[ 編集] | page top↑
映画、骨までしゃぶってますねえ…すごいです(゚Д゚;)
でも男には必要ない映画かな?
そしてニコールいまいち好きになれないのはどうしてだろう…
映画を100%堪能するにはやはり英語マスターしないといけませんね!


ナイトレンジャーってなんだーーー!(゚д゜)
コールドプレイを聴けーーー!∑d(゚▽゚*)
【2007/09/27 16:35】 URL | たける #-[ 編集] | page top↑
たけるさん、
ナイトレンジャー知らんのかー!!
若いのね、あなた。

「男に必要ない映画」なんてありません。男には、全て必要なのです。
【2007/09/27 23:51】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
若いのかは秘密だけどブラックサバスとかベイシティローラーズは大好きです。
ヒューグラントやアンソニーホプキンスも好きです。
さてそのこころは?(´ヮ`)
【2007/09/29 06:22】 URL | たける #-[ 編集] | page top↑
たけるさん、
サバスとローラズって微妙じゃない?サバスのファンて年齢層広いもんなあ。17歳から60歳くらいまでいねえ?
【2007/09/29 11:08】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
イキナリバッサリですね。
音楽の趣味なんて人によって全然違いますよ。。。

自分はツェペリとかストーンズとかピンとこないし。。。悪くはないんだけど。
【2007/09/30 10:02】 URL | たける #-[ 編集] | page top↑
たけるさん、
私はツェッペリンは大好きですけど、ストーンズがピンと来ないってのはわかります。

サバスもあんまり興味沸かないのよね。ブリザード・オブ・オズは好きだったけど。ランディ・ローズ、カンバァ~ック!!
【2007/09/30 11:04】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
こんにちは。
映画ブログをやりはじめました。
配管と毛の隠喩について、秀逸なレビューでしたので引用させていただきました。
ありがとうございます。
【2013/06/15 23:07】 URL | パニーニ #-[ 編集] | page top↑
パニーニさん、

どういたしまして。

私もこの映画のレビューは自分でも大好きです。
【2013/06/16 01:53】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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