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『エンロン』-米国最大の経営破綻』の全貌
Enron: The Smartest Guys in the Room

日本のみなさんは、アメリカのビジネス・ヒストリー上最大の破綻と言われたエンロンの倒産をご存知でしょうか?政治・経済に興味のある人なら知っているかもしれません。私は、そっち方面、たりらりらーのこにゃにゃちわ状態なのですが、この事件は大きく取り上げられたのも去ることながら、この会社に勤めていた人が一夜にして職を失くし、退職金も何もかも全部パーになったという事実が、小市民である私の興味をそそりました。

エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版
dvd on amazon.com
Produced: 2005
Directed by: Alex Gibney
Writing credits: Bethany McLean, Peter Elkind
これは、作品の中にも出てくるべセニー・マクリーンとピーター・エルキンドという人が書いた、『The Smartest Guys In The Room: The Amazing Rise and Scandalous Fall of Enron』という、エンロン事件の全貌を暴いた本の映画化で、ドキュメンタリーの様相を呈していますが、政治・経済のことを知らなくても、「人間はなぜ悪いことができるのか」という心理的な側面を、エンロンのエグゼクティヴや社員が犯したビジネス倫理の側面から追求しており、「こんな映画観れるかな~」と心配していた私でさえ、ぐいぐい引き込まれて一気に観てしまいました。

一番印象に残っているのは、資産や売り上げを公表する書類の改ざんと、「カリフォルニア大停電」の話しです。

これらのエピソードには、この人たちが別に悪いことをしているという意識がないことが良く現れています。売り上げをいかに多く見せ、会社がヘルシーな状態であるように見せる事はアカウンタントの力量ですから、あるレベルではどの企業もやっていることであり、エンロンの人たちは「そこまでしないだろう」というレベルまでやってしまっただけで、本人達は悪いと思ってないんじゃないかという感じがする。

そして、カリフォルニアの大停電に関しては、電気の値段を吊り上げてもっと利潤を増やすために、電気の供給を止めてしまうという、考えられないことをしてしまうのですが、これをしてしまった従業員達が電話で話しているところを聴くと、電気が止まったために困っているお年寄りをネタにして笑ったりしており、全く罪の意識を感じていないのがわかる。

人間は、環境によってこういう精神状態になれるらしく、エンロンというのは、弱肉強食、マッチョ・カルチャー、金を儲けられるやつの勝ち、金があるヤツだけ着いてくればいい、頭の悪いやつの価値はない、と言ったような一種異様な企業体質を持っていたと元従業員が語ります。

一方で牧師さんと思われる人がインタビューに答えていて、何人もの人がエンロンのような大企業で仕事が出来て意気揚々としているのに、何年か経つとみんな夜、眠れなくなったり、うつ病になったり、無意識のレベルでは悪いことをしているとわかっているために、人間性が破綻していくことも語られる。


こちらが原作。著者のべセニーさんは、フツーの人に見えながらかなり頭のいい人らしく、こういう人が本当のインテリって言うんじゃないの、と思いました。
そしてもう一つ驚くべきことは、この資産や売り上げを公表する書類と言うのは、投資家にとっては「この会社はいい会社か、ここへ投資して間違いないか」という重要な指標になるものなのに、投資アナリスト達がエンロンの書類の全く初歩的なごまかし、例えば単純に計算が合ってないとか、あるべき書類がないとかに気付かなかったことです。気付かなかったというより、誰もそのことをたいしたことだと思っていなかった。と言うのは、エンロンという会社は、今までないような画期的なビジネス・スタイルを考え出し、そのことを経済雑誌なんかでセンセーショナルに「斬新!」なんて取り上げられたことにすっかりだまされていた模様。

この本の著者の1人、べセニーさんは映画の中でもインタビューに答えていますが、大学生に毛が生えた位にしか見えない、特に頭良さそうでも、派手さもない人なんですが、この人はFortune 500のレポーターで、この人が唯一「計算が合わないし、これを見るとこの会社がどうやって利益を上げているのかわからない」と指摘し、エンロンのエグゼキュティヴにインタビューを申し込み、ごく単純な質問「どうやって利益を上げているんですか?」と質問するや、エグゼキュティヴ激爆!アカウンティングのスペシャリスト6人を彼女のところに送り込み、ツジツマの合わない説明で煙に巻き「彼女は馬鹿だからわからない」と決め付ける。

べセニーさんも、周りのアナリスト達が絶賛しているし、わからない自分が馬鹿なのかと思ったそうですが、そこはやはりこの人の方が本当は頭が良かったのでしょう、「エンロンは過大評価されていないか?」という記事をFoutune 500に発表し、それが後々には、『The Smartest Guys In The Room』のベースとなる。

しかし、やるせない気持ちになりました。もう既に50歳も過ぎている人が退職金全部失うと言うのは、結構辛いでしょうね。それに、会社の体質に洗脳されて、悪いことをしていると思わず人非人になってしまう普通の人たちも、きっと自分のしていたことを今振り返ってみて、物凄い罪の意識に捕らわれているかもしれない。しかも、実際に悪いことをしたエグゼキュティヴたちは、さっさと会社の株を払い戻して、それこそ何十、何百ミリオンドルというお金を手に入れてから会社を潰しているんです。犯罪の罪に問われたとしても、拝金主義のまかり通るアメリカでは、金の力で刑務所行きを免れたり、優遇されたりするのだろうなあ。[03/25/06]

Key Words
映画 エンロン 経済 べセニー・マクリーン ビジネス



エンロン関係の洋書

エンロン関係の和書
肝心の原作は翻訳されているのでしょうか・・・
映画 | コメント(9) | 【2006/11/25 22:45】
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コメント
観たくなって探しているのですがリージョン 1しか売っていない。悲しい。プレイヤーを買うか?悩んでいます。(笑)
【2006/03/31 23:34】 URL | slowhand #-[ 編集] | page top↑
この記事を読んで、かなり観たくなりました。日本でDVD発売か劇場公開してほしいですね。
【2006/09/02 10:28】 URL | シゲ #qEjsIqRU[ 編集] | page top↑
シゲさん、
本当にねえ。劇場公開しなくても、DVDくらい出しても良さそうなもんなんですが。あと翻訳本も。
【2006/09/03 01:44】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
ごぶさたです。
昔ベアリングス銀行がたった一人の従業員によって倒産した話がありましたが、それと両極にある印象ですね。読んでみたい。
日本の場合組織の倫理腐敗ってのは案外業界的風土もあったりしますね。モラルの低い業種とそうでない業種ってあります^^;
【2006/09/16 02:27】 URL | sino #-[ 編集] | page top↑
sinoさん、
いや~ん、久しぶり!何してたんですか?
そっち関係の人たち、最近勢いがニブイですよお。みんな忙しいのかもしれないけど。

さみしーよ!
【2006/09/16 04:54】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑

こんにちは。企業のバランスシートはオンバランス。オフバランスは公表しなくてもよいザル法です。
どんなアナリストもこれだけは分かりません(爆)もっともアナリスト達の多くはサクラですからね。
【2006/10/20 12:56】 URL | tatsujin #-[ 編集] | page top↑
はじめまして。
サメといいます。

週刊文春のシネマチャートでエンロンのこと
を紹介してました。ところが、この「あらすじ」の紹介が最悪。
1度読んだだけではさっぱりわかんない。
いや、何度読んでもしっくりこない。

チュチュ姫さんのを読んで内容がとて良くわ
かりました。
すっきりして助かりました。文春に代わりに
書いてもらいたいですね。
【2006/11/18 10:21】 URL | サメ・石沢 #-[ 編集] | page top↑
石沢さん、
「サメ・石沢」なんて怖そうなHNだったので、こりゃまた「えらそーなこと書いてんじゃねえ!」なんていうコメントだったらどうしよう、と恐る恐る開けてみたら・・・あ~良かった。

私は政治経済すっげえ疎いので、知ったようなこと書けないのでかえってわかりやすかったのかもしれません。
【2006/11/18 10:39】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
こんばんは。

カリフォルニア大停電事件はショックでした。あんな非常識が一時的にしてもまかり通っていただなんて信じられません。あっちは不正も大規模ですよね。褒められたことじゃないですけど。
犯罪に先んずる規制がないってのは悲しい現実ですね。
【2006/12/03 23:55】 URL | たかゆき #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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