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『ロード・オブ・ウォー』-これはなかなか深いです
Lord of War

この映画は、いろんなことが心に残っているのですが、最初に触れておきたいのは、奥さんであるアバ(ブリジット・モイナハン)に、ユーリ(ニコラス・ケイジ)が武器商人であるということがバレしまうシーン。

lord_of_war_poster.jpg
DVD on amazon.com
CAST & CREDITS
Produced: 2005
Directed by: Andrew Niccol
Writing credits: Andrew Niccol
Cast:
Yuri Orlov: Nicholas cage
Ava Fontaine: Bridget Moynahan
Vitaly Orlov: Jered Leto
Jack Valentine: Ethan Hawke
Andre Baptise Jr.: Sammi Rotibi
Andre Baptise Sr.: Eamonn Walker
Simeon Weisz: Ian Holm
ユーリは、売れっ子モデルであったアバのことを雑誌の広告とかで見てずっと憧れていて、武器商人としてお金を儲けだしてから色々画策して彼女に近づき、金にモノを言わせて落としてしまい、結婚までしちゃったわけなんですが、自分の仕事のことはウソをついていた。アバは、ユーリがあんまり金を持っているんで薄々「こいつヤバイ仕事してんじゃないか」とは気がついているのですが、あえて詮索しなかった。しかし、隠し事と言うものは長くはできないもので、とうとうユーリが武器商人だという事がバレてしまう。アバは、お金だったらもう充分にあるし、そんな人の道に外れた商売は止めて欲しいと言う。するとユーリは「金じゃないんだ」と言う。

「じゃあ、なんなの?」とアバが訊ねると、

「I'm good at it. 俺はこの商売に向いてるんだよ」

この映画を観た人はきっと、武器を売って世界中に戦争(悪)を拡げているユーリのモラルを疑い、彼が「俺が売らなくても、誰かが売る」「銃で撃たれて死ぬ人間より、タバコや酒で死ぬ人間の方がいっぱいいる」などと、非常に巧妙に自分がしていることを正当化していることに納得したり腹が立ったりしていると思うのですが、私は個人的に、ユーリはただ、自分に向いている仕事をしたかったんだなあということに人間臭さをを感じました。

社会に出て働いてみると、自分の好きな仕事をして、思ったようにお金を稼ぐというのは、すごく大変なことだと実感する。私はモノを書くのが好きだけど、ブログのアフィリエイトだけではとても生活していけないし、がんばってプロの物書きになっても、今、会社勤めで稼げるほどのお金を稼げるのかわからない。それに、「下手の横好き」といって、自分が好きなことが得意とは限らない。

といったことを鑑みてみると、ユーリが自分が得意なことを見つけて、しかも成功したことは、一個人の幸せとしては、非常にうらやましい。ユーリが特に武器・戦争ヲタクだったという記述はありませんが、商売相手に武器の説明をするときの要領の良さ、生き生きとした表情。セールスの仕事っていうのは、自分が「いい」と思っているものを売るときには、売れるものらしいですが、全くユーリはこの商売を嬉々としてやっているのがわかる。ユーリが一生懸命、自分を正当化しようとするのは、ユーリが悪人ではなく、モラルもあることを象徴していて、ただ、彼の得意な仕事が結果的に人道に反していたということが、悲劇だったのではと思わされます。

ユーリの奥さんは、武器商人をしているユーリを批判してこう言います。「私は女優としても、芸術家としても成功者ではないし、母親としても素晴らしいとは言えない。でも、人間としては落伍者ではない」

しかしユーリの奥さんはモラル的にユーリより優れているのでしょうか?彼女はなぜ、ユーリがヤバイことをしていると薄々気がついていながらあえて問い詰めなかったんでしょう?彼女はお金のためにあくせく働く必要がなく、自分の好きな絵を描いたり、役者のオーディションに行ったりできる「豊かな生活」が好きだったのでは?最後、彼女はユーリのしていることが許せなくて去って行くのですが、この人って、自分で武器を売ったりとかはしないけど、結局は資本主義の恩恵を受けて「豊かな生活」をしている、私達一般人を象徴しているのではないかと思いました。

自分を生かせる仕事を見つけて、ただ「いい仕事がしたい」と思っているユーリを私は嫌いになれないのですが、そういう自分自体が「資本主義の価値観」で世界を見ているなあと思わせられるのが、ユーリの弟、ヴィタリーの存在です。彼は、兄ユーリのパートナーとして大金を儲けるが、コカインにおぼれ身を持ち崩すという、ビジネスマンとしては最悪の人間だったのですが、アフリカで小さな男の子が殺されるところを目撃し、「ここで俺たちが武器を売ったら、その武器であの人たちが殺されるんだ」ということが許せなくて、自分達の商品である手榴弾で、売るべき武器を積んでいるトラックを爆破してしまい、そのために撃たれて死ぬ。

ユーリに象徴される資本主義的な価値観では「このトラック一台分の武器が無くなったって、アフリカでの戦争が無くなるわけじゃないのに、そんなのは無駄死だ」という相対的な概念で動いて行くものだと思うのですが、ヴィタリーは、「人殺しに加担したくない」という人間の絶対的な正のために命を落とす。コカイン中毒でお金もない、ビジネスの才能もないヴィタリーが、この映画の中で唯一、正しいことをしたんじゃないでしょうか。

最後に余談ですが、映画のタイトルにも繋がっていく、ユーリと、残虐なアフリカの軍族、アンドレ・バプタイズSr.の会話が面白かったことを書いておきたいと思います。

アンドレ「They say that I am the lord of war, but perhaps it is you. みんな俺を『戦争の神様(lord of war)』と呼ぶが、俺はあんたこそ戦争の神様だと思うな」

ユーリ「I believe it's "warlord." それって『将軍(warload)』の間違いじゃない?」

アンドレ「Thank you, but I prefer it my way.いいよ、正してくれなくても。俺は俺の言い方が気に入っているから。」

私はアフリカの言語のことは全然知りませんが、日本人も「of」を多用し過ぎるので、これはニヤリとしました。日本語では、名詞を形容詞として扱うとき「の」を使うので、それのイコールとして「of」が出てきてしまうのですが、英語では結構簡単に名詞+名詞で済んでしまうことがほとんどなのです。例えば「トヨタの車」なんていうと、「The vehicle of Toyota」と言いたくなってしまいますし、それでも間違いではないのですが、ほとんどの場合「Toyota vehicle」と言います。そして、ユーリのようにアメリカ人はしつこくこちらの英語を直そうとするのも良くある話です。だけどこのアンドレの場合のように、一般的には間違いとされるような言い回しの方が逆に的を得ていることもあるので、いちいち直されると、「あんたの知っている言い回しだけが正しいわけじゃないんだよ」と思うことは多々あります。この会話の場合も、アンドレはまさに「戦争の神様」と言いたかったんであって、「warlord」ではアンドレの主旨が伝わらないと思うのですが。実は、このシーンには前振りがあって、そこではアンドレが「blood bath(血の海)」のことを「bath of blood」と言って、それをユーリに指摘されるのですが、きっと大半のアメリカ人は「bath of blood とは言わないわな」とか言いながら観ていて、その後この「lord of war」が出てきたときに「そうだよなあ、lord of war とは・・・ん?!待てよ、タイトルもLord of War だしなあ。アンドレの方が正しいかも」なーんて言いながら観るかな?なんて想像すると楽しいです。

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Key Words
映画 ロード・オブ・ウォー ニコラス・ケイジ 武器商人

ニコラス・ケイジのDVD
この人も、芸暦長いですよね
映画レビュー | コメント(5) | 【2006/03/04 22:23】
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コメント
チュチュ姫さん、こんにちわ。
私も観ました。世間的な人気は今一だったのでしょうか、見る見るウチに劇場が無くなってしまいましたね。
チュチュ姫さんが仰るような、武器商人ながらも、その真っ直ぐさが見え隠れし、ユーリが誤った人間として描かれていない点を危惧した関係者も多かったのかな・・・・等と想像もそますが、私にとっては良い映画でした。
私は40歳です。ビジネスは多忙で激務ながら指揮権を持ち、辛いことも多いですが楽しく、やりがいいも満ちています。ただ数年前から自分の視野や価値観の狭さを痛感することがあります。ビジネスの為のビジネスになっていたのです。ビジネスの躍進は自分の力を判断する指標の一つとして非常に判りやすいもので、自分が存在する価値がそこにあるように錯覚してしまうのです。でも商売上の接点であるビジネスの相手と自分の間の喜びだけに目がいっているのでそう見えただけではないかと思います。簡単に言ってしまうと極度の仕事バカというところでしょうか。
ユーリがのめり込んでしまうのもそんなところなのだと思いました。
党と自分の躍進の為に倫理を忘れる政治家、世界一の資産価値の獲得にとりつかれて盲目になったホリエモンなんかはこの極限ではないかと・・・・。
ユーリは結局最後まで家族でさえもビジネスの下位概念でしか見れてませんでしたね。
ビジネスの躍進というのも、自分が社会を豊かにするメンバーの一人だという前提をもつことが必要なのだと思い、ます。
どうせ自分だかが正しくしても・・・・とういのも現代社会の問題点ですよね。
ちょっと武器商人とは離れた話になってしまいましたが、私は改めてそんな警笛をきいたような気がします。
【2006/03/07 10:58】 URL | bally #SmD5F9mI[ 編集] | page top↑
ballyさん、コメントありがとうございます。
「ちょっと武器商人とは離れた話に・・・」とおっしゃってますが、この映画はユーリという武器商人を通して、資本主義や拝金主義を痛烈に批判しているのではないかと思いますので、ballyさんが持たれたような感想はズバリ確信を得ていると思います。
また感想をお聞かせください。
【2006/03/07 22:08】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
こんばんわ&TBさせてもらいました。
確かに、ユーリーの奥さんは資本主義の中の一般人を象徴しているのかもしれませんね。ホント、奥深い映画でしたね。個人的には、ニコラス・ケイジが相変わらず良い味で、楽しめました
【2006/06/11 22:19】 URL | KORO #-[ 編集] | page top↑
Koroさん、
そうでしょ、なかなかいい映画なんですけど、あんまり話題にならなくてがっかりしました。
【2006/06/12 06:22】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
>私はアフリカの言語のことは全然知りませんが、日本人も「of」を多用し過ぎるので、これはニヤリとしました。

私もこのシーンが印象に残っています。他にもユーリーがアンドレの英語を直すシーンがあったと記憶しています。

Lord of warで、なぜ間違いなのかピンときませんし、同じような過ちを自分もしてしまいそうです。

英語って難しいですね。
【2014/08/05 14:10】 URL | ETCマンツーマン英会話 #hfCY9RgE[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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