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『僕らのミライへ逆回転』-映画に対する愛情を感じます
Be Kind Rewind

映画データベース-allcinemaのストーリー概要がすっごく上手なので、引用させていただきます。

「まじめな青年マイクが働く小さな町のおんぼろレンタルビデオ店“ビー・カインド・リワインド”。時代に取り残された同店にも再開発の波が押し寄せ、いよいよ取り壊しの危機に。そんなある日、店を空ける店長に留守を任されたマイクだったが、幼なじみのトラブルメイカー、ジェリーのせいで、商品のVHSビデオが全てダメになってしまう。あわてた2人は、ビデオカメラ片手にダンボールや廃材を使って「ゴーストバスターズ」や「ラッシュアワー2」をリメイクし急場をしのぐ。オリジナルとは似ても似つかないチープな手作りビデオだったが、いつしかそれが評判を呼び、2人は町の住人たちを巻き込み「ロボコップ」や「2001年宇宙の旅」、「ドライビング Miss デイジー」といったハリウッドの名作、ヒット作を次々と勝手にリメイクし始めるのだったが…。」

be kind rewind
dvd on amazon.com
Produced: 2008
Director: Michel Gondry
Writing Credits: Michel Gondry
Cast:
Jerry: Jack Black
Mike: Mos Def
Mr. Fletcher: Danny Glover
Ms. Falewicz: Mia Farrow
Alma: Melonie Diaz
Ms. Lawson: Sigourney Weaver
この『ゴーストバスターズ』のリメイク・シーンが最高に可笑しくてひっくり返りました。図書館で働くおばあさんをゴーストに見立ててやっつけたり(意地悪だけど可笑しい)、夜のシーンを昼に撮らなきゃならないので、ネガティヴ効果を使うのだけど、「顔もネガティヴになっちゃう」といって、白黒コピーで顔をコピーしたのをお面にしてつけてるとことか、もう単純に可笑しい。あと、黒人のおじさんがカツラつけて、すっげえ派手で安っぽい豹柄のスカートとか穿いて、女の役やるんだけど、全く演技してないとか、そのまんまの格好でカメラ持って走ったりとか、ああいうギャグすっげえ弱いんです、私。

で、概要にあるとおり、この安っぽいリメイク(Swaded版と呼ばれている)が評判になって、遠くはニューヨークからわざわざオリジナルでなくSwaded版を借りに来る人が来るくらいになったのだけど、これってものすごく痛烈な「ハリウッド批判」なんじゃないかと思った。Swaded版は短いから少ない費用で作れるよ、とか、短いから観る方もたくさん観れるし、Swaded版の方がクリエイティヴだ、というコメントがあって、これってモロ最近の必要以上に長くて、制作費バカ高くて、CGや特撮に頼っているだけでなんのオリジナリティもないハリウッド映画を批判してるよねー。

あ、あとさ、ビー・カインド・リワインドのオーナーのMr.フレッチャーが、自分の店を持ち直そうと大型ビデオ・レンタル・チェーンをスパイしに行くんだけど、その時メモを取ってて、

「うーん・・・・カテゴリーがシンプル・・・・"アクション"と"コメディ"しかない・・・・。様々なタイトルが置いてあるんじゃなくて、タイトルは少ないけど、1タイトルの本数が多い・・・・・店員は余り映画に対する知識を持っていない・・・・」

と言うんだけど、これも最近の映画のあり方を批判しているのかなと思った。

ダニー・グローヴァーミア・ファローシガーニー・ウィーヴァーなんていう大物がさらっと出てるあたりとかも、そういう主義主張に賛成したからかしら?出演者といえば、普段私はジャック・ブラックって苦手なんだけど、この映画では彼の良さが嫌味でなく生かされていたな。全くハッタリの『ゴーストバスターズ』の歌歌ってるところなんか、ジャック・ブラックならではの面白さだったよ。

撮影を行ったニュージャージーのパサイックという町は、本当にこの映画で描かれているとおりの寂れた町で、そうだからここが撮影場所に選ばれたのか、この町を活気付かせるためにここで撮影したのかわからないけど、DVDの特典にこの町の特集みたいのがあって、85年くらいまでは景気が良くて賑わっていた町が、今ではかなり寂びれてしまった、という話を町に住んでいる人がインタヴューで言っていた。

でも、最後にジェリーとマイクが撮った映画に出てくる町の人たちは、本当にパサイックの町の人、特に若い男の子や女の子は、ここに住んでる素人さんで、この映画をこの町で撮ることは町の人たちにとってもとても楽しい経験だったようだ。

そういえば最近は、撮影費が安いとかでカナダで撮影したり、製作国がヨーロッパだと助成金が出るからって、アメリカ映画なのにわざわざイギリスの俳優使ったり、ロンドンで撮影したりして無理やりイギリス合作にしたりしてるらしいから、「映画ビジネスをアメリカに戻そう」っていう姿勢なのかもしれないな。ロクでもない特撮にお金かけてるくせに、ヨーロッパ映画を支援するための助成金を騙し取るようなことしないで、普通の金額でいい映画は取れるし、アメリカにたくさんあるであろう歴史のある街や美しい場所を、アメリカ映画が紹介して行かなくてどうする!みたいな。この映画はそういう姿勢がたくさん感じられて、なかなか好感の持てる1本だった。

PS."Be Kind Rewind"というのは、ビデオを借りたら「お手数ですが巻き戻してください」という意味でビデオに張り付けられている決まり文句みたいなものです。原題は、この常套句と、「もっと人が優しかった昔にもどろうよ」というような意味が引っ掛けてあるのかも。

ジャック・ブラックの出演作品一覧

映画 僕らのミライへ逆回転 ミシェル・ゴンドリー ジャック・ブラック モス・デフ ダニー・グローヴァー ミア・ファロー メロニー・ディアス シガーニー・ウィーヴァー
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心に残る映画 | コメント(5) | 【2008/10/30 08:14】
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『エターナル・サンシャイン』-何度失敗しても・・・・
Eternal Sunshine of the Spotless Mind

クレメンタインとジョエルのカップルは、大ゲンカの末、お互いの思い出を記憶から消し去る施術を受ける。最初、クレメンタインがジョエルを記憶から消し去り、それを知ったジョエルが怒って自分も同じ施術を受けることに決めるのだが、ジョエルが施術を受けた次の日、二人はまた見知らぬ他人同士として出会い、恋に落ちてしまう・・・・・。

この映画はジャンル的にはラブコメなんでしょうが、「恋愛とは一体なんなのだろう」ということを、ものすごーく深く掘り下げてあって、超名作だと思います。

Eternal Sunshine
dvd on amazon.com
Produced: 2004
Director: Michel Gondry
Writing Credits: charlie Kaufman, Michel Gondry
Cast:
Joel: Jim Carrey
Clementaine: kate Winslet
Patrick: Elijan Wood
Stan: Mark Ruffalo
Mary: Kirsten Dunst
Dr. Miezwiak: tom Wilkinson
一番示唆的なのは、ラストのシーンで、記憶を消去した後再び恋に落ちた二人が、記憶を消す時に吹き込んだテープを聴くところ。このテープは、施術をする前に「なぜこの人物を自分の記憶から消したいか」ということを綿々と語ったもので、医師が吹き込ませるんだけど、内容はもう、相手のことをボロクソに言っている。

クレメンタインはジョエルのことを「退屈でつまんない人間」と言ってるし、ジョエルは「クレメンタインは、好かれるために男と寝る」とか・・・・あーあ。

2年も付き合ったら、こういう風に相手のことを思ってるんだよというのを、恋に落ちて一番盛り上がってるときに聞かされるつーのは、どんなもんだろう。相手が自分のことこんな風に思っているのか!というのもショックだけど、自分が相手のことけなしまくるの聞くのも涙モンだと思う。

で、2人はどーするのか?2人は一度付き合って、全然上手く行かなかった、ということが既に証明されちゃっているのだ。部屋から出て行ったクレメンタインを廊下まで追いかけてくるジョエル。

「どうしたいのよっ!」

「I don't know, I don't know...」

クレメンタインは、「私は自分の心の平安だけを求めているどうしようもない女なの。あなたは私のこと嫌いになるのよ」と言うが、ジョエルは、

「今はキライなとこなんか一つもないよ」

「でも後でキライになるの!私はあなたといて退屈して退屈して、牢獄に入っているような気分になって、自分で自分が嫌いになって・・・・そんな私をあなた嫌いになるのよ」

するとジョエルは

「Okey」

と言う。するとクレメンタインも、

「Okey」

と言い、2人は笑い出してしまう。

この映画に関する記事を色々読んでいたら、ジョエルとクレメンタインは記憶消去の施術も何度も繰り返しているのではないか、みたいな話があった。つまり、いつも上手く行かなくなるので、その度に記憶を消去して、何度も出会い直して恋に落ちる。それもすげーなと思うのだが、結局人間って、「恋に落ちる」という感情的インパクトがキョーレツ過ぎて、あがらえなくて、何度も何度も恋に落ちるけど、恋愛関係を続けていく、と言うのは不可能、というか、人間としての幸せに背いているんじゃないか?

ジョエルの記憶が消されて行く過程で、2人がどんな付き合いをしていたかわかるのだが、どのエピソードも「そうなんだよな~」と思ってしまう。中でも一番印象的だったのは、2人がいつもの中華料理屋でディナーを食べているシーン。ジョエルが心の中で、

「僕とクレメンタインも、他のカップルと同じに見えるのだろうか?死人が食事してるみたいに・・・?そんな風にはなりたくない」

と考えている。

私も良く車を運転しているとき、信号に止まった対向車に乗っているカップルを見ていると、「あの助手席に座った女になりたくない」と思う。男が運転し、女は窓の外を見ている。会話するでもなく、2人はつまらなそうにそっぽ向いて、ちっとも楽しそうじゃない。自分で運転して、自分の聴きたい音楽をかけて、自分の行きたいところへ向かっている自分の方が、1人でもずっと幸せそうだと思う。

最初は一緒にいてあんなに楽しかったのに、急速につまらなくなる。いつもの店、いつものルーティーン。何もすることがない。2人で一緒にいて、TV観るだけ。会話をすれば口論になる。そしてクレメンタインのように、縛り付けられていると感じ、逃げ出したくなる。

だから別に、2年後にお互いの悪口を吹き込んだテープを聞かされるまでもなく、答えは出ているのだ。それまで何人かの人と付き合ったことがあれば。相手が変わるだけで、ダメになっていく過程は一緒なのだ。そんなことは経験からも知っているし、映画や小説で何千回と語られているではないか。

しかしそこが恋愛のパワフルなところなんだろうな、と思う。何度痛い目に会っても、また恋に落ちてしまう。「痛い目にあったからイヤだ」とあがらっても、落ちてしまう。そして「また同じ過程を経て、ダメになって終わるのだ」と考える同じ脳の別の場所で、「今回はいつもとは違う」なんて思っているのだ。

では映画はどういう結末を示しているのだろう?ジョエルの最後の記憶は、2人が始めてあった日の夜。消され行く記憶の中のクレメンタインが言う

「もうこれまでよ。ジョエル。どうする?」

するとジョエルは一言、

「Enjoy it」

カースティン(キルスティン改め)・ダンスト演じる、不倫の記憶を相手の男に消された女の子が言うニーチェの引用がある。

Blessed are the forgetful, for they get the better even of their blunders

これは多分、「忘れっぽい方が幸せだ。自分の大失敗からでさえ何かいいものを引き出せる」くらいの意味なのではと思うのだが、これがニーチェの『Beyond Good and Evil』から来ているというのも示唆的である。Beyond Good and Evil・・・・善悪を超越したもの・・・・・。

私の解釈では、この映画は、恋愛は先がどうなってしまうかわからない。毎回同じように終わってしまうのかもしれない。でも、それでも誰かと出逢うことをエンジョイし、関係を続けていくように努力するべきだ、と言っていると思うなア。クレメンタインとジョエルは、私たちと同じように相手の悪いところや付き合っていくことのうっとおしさがイヤで、相手を記憶から消した。このニーチェの引用は、「相手を忘れてしまうんじゃなくて、相手のイヤなところを忘れてしまえ」と言ってるんじゃないかな。相手の善悪、いいところ、悪いところを超えたどこかに、Eternal Sunshine (永遠の太陽)、つまり永遠に続く愛、があるんだよ、と言ってるんじゃないかなあ。

本当は原題の『Eternal Sunshine of the Spotless Mind』も誰かからの引用なのだが、実際の日本語訳は知らないけど、私は「the spotless mind」、つまり「穢れのない心」というのは他人のいいところも悪いところも許せる心、という意味で、それの「eternal sunshine」つまり「永遠の太陽」とjは「永遠の愛」ということで、「人を許し、受け入れられる心を持つ人は、永遠の愛を持っている」と解釈した(自分ではものすご納得)。

key Word
映画 エターナル・サンシャイン ミシェル・ゴンドリー チャーリー・カウフマン ジム・キャリー ケイト・ウィンスレット キルステン・ダンスト マーク・ラファロ イライジャ・ウッド トム・ウィルキンソン
考えさせられた映画 | コメント(9) | 【2008/10/30 00:40】
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『落下の王国』-登場人物にFall in Love
The Fall

左腕を骨折して入院している5歳のアレクサンドリアは、退屈なのか、病院中あっちこっち遊びまわっている。ある日、大好きな看護師のエヴリンに手紙を書いて、窓から投げるのだが、手紙はエヴリンに届かず、足を怪我して入院しているロイのところに届く。ロイが自分の手紙を持っているのを見て憤慨したアレクサンドリアは、取り戻しに行ってロイと仲良くなり、ロイが語る大叙事詩を語って欲しくて、何度もロイを訪ねるようになり、二人は友達になる。

THe Fall
dvd on amazon.com
Produced: 2006
Director: Tarsem Singh
Writing Credits: Dan Gilroy, Nico Soultanakis
Cast:
Alxandria: Catinca Untaru
Roy: Lee Pace
Juigi: Robin Smith
Indian: Jeetu Verma
Darwin: Leo Bill
Otta Benga: Marcus Wesley
Mystic: Julian Bleach
Evelyn: Justine Waddell
このアレクサンドリアとロイが、最初いやでね~。子供はなんかぶちゃいくだし、男は眉毛が濃くて垢抜けない感じだし。でも、物語が進んで行くに従って、だんだん愛情が沸いてきちゃって、二人とも大好きになった。特にこの子供、話の後半の方でペコちゃん人形になるんだけど、思わず「そっくり!!!」と叫んでしまった。このぷくりぷくりした顔とか、お下げとか、あ~まんまペコちゃんだ~って感じ。

ロイの方も、垢抜けないけど、まあ、怪我でお風呂にも入ってないだろうし、なんかその辺の全然かっこつけてないところが人間臭くて良かった。髪なんがぼさぼさでさ。アレクサンドリアをひざにのっけて、ベッドの周りのカーテンを引いちゃって、もう密室状態で物語りに耽る二人が可愛いし、うらやましい。

それにしても、この二人の会話って、全部アドリブ?!なんかとても普通の台詞には思えない。例えば、ロイが突然お話を打ち切って

「俺の足の指に触って。どの指か言っちゃダメだよ!俺が当てるんだから。」

ってアレクサンドリアに指を触らせて、触っているのが小指なのにロイは「親指」と言う。下半身麻痺なのだな。

するとアレクサンドリアは、親指に触り直す。で、「本当のこと言ってるの?」と訊かれて、

「イエス。ノー!イエス・・・」

ってなんとが誤魔化そうとするところとか、あれ演技じゃないよ~。すっごい可愛いんだけど。それにしても、5、6歳ってあんな感じなのですか?知能高いねー。大人みたいだ。

で、物語に登場するヒーローたちも、最初あんまり思い入れないんだけど、物語が進んで行くに従って好きになってくる。奴隷だったオッタ・ベンガはすっごいいい身体してて萌えっ!ああいう男に悪いことされたいんじゃなくて、あんな身体になってみたい!インディアンは、長ーい髪がセクシーだなーと思ったけど、緑色の衣装を着て颯爽としているところもかっこいい。美人の奥さんを守るため、剣を持って家の前で目を閉じているところなんか最高にいい男。ダーウィンと、彼のパートナーのおサルちゃん、ウィリアムは可愛い。やっぱペット飼ってるから、この二人(一人と一匹)はなんか感情移入してしまう。あと、ミスティック(霊者)はすっげえ汚らしかったのだが、悪者をばったばったとなぎ倒したあと、その上に君臨するところを後ろからパンしてくるのだが、すごい引き締まったお尻をしていて「おお!」と叫んでしまった。肉体ネタ多くてすいません。爆弾屋のルイジは、なんかフツーの、会社とかにもいっぱいいる白人って感じだったので、余り何も思わなかった。

で、このヒーローたちは、ロイが勝手にでっち上げたヒーローたちで、アレクサンドリアは、頭の中で想像力を働かせて、その登場人物を構築するのだが、それがみんな知っている人なんだよね。オッタ・ベンガは氷屋のお兄ちゃん、ダーウィンは病院の先生かなんかで、ルイジはロイの友達の役者、ミスティックは、同じ患者のおじいさん。私たちだったら、お話を読んで「ああ、この女優さんに演じてもらいたい」とか思うところなのだろうけど、設定が1920年のLAで、アレクサンドリアは映画観たことない、ってんだから、もっと身近な人を投影してくるんだろうね。

で、インディアンなんですけど、一番最後の、ロイが怪我をした白黒映画が、ロイがでっち上げた叙事詩の元ネタだと思うんだよね。ルイジのイメージの俳優さんが、足を撃たれたりとか(叙事詩では銃で、白黒映画では矢で)。で、その白黒映画ではアメリカン・インディアンが出てくるんだよね。だから私は、「あ、ロイはアメリカン・インディアンのつもりで"インディアンが・・・・"って言ったんだけど、アレクサンドリアがインド人を空想しちゃったので、それに合わせて叙事詩の中のインディアンもインド人にしちゃったのかなーとか思いながら観てました。

原題の『The Fall』はどこから来ているのだろう?きっと大元のネタは、この年代の白黒映画のスタントマンが、CGも特撮もない時代に身体を張ってスタントを演じ、ロイのように半身不随になったり、四肢を失ったりした話を「すごいな」と思ったのが始まりなんじゃないかなあ、と思うので、『The Fall』という題名は、そういうスタントものの映画に対する尊敬の念を込めているのかなあと思った。

それと、私としては、アレクサンドリアが、ロイにfall in love、つまり恋をした、ってのと引っ掛けてるのかな~と思った。深読みし過ぎ?でもさー、ロイのために一生懸命モルヒネを盗もうとしたり、退院したあと寂しがったり、あれは5歳の女の子の小さな初恋なんじゃないかしら。叙事詩の中で、ロイはアレクサンドリアのお父さん的な描かれ方をしてるけど、お父さんのような人を好きになるんじゃないのお、女の子って。で、ロイが「俺はお前の父親じゃない!」って言い続けるところが、彼氏が彼女に父親のごとくあることを要求されてブチ切れる、実際の恋愛関係を連想させて面白い。

まあ結構、理屈抜きに面白い映画でした。

PS:衣装やったの、日本人なんだよね。石岡瑛子って人。すごい、すごい。アレクサンドリアのカーディガンとか可愛かったし、ヒーローの衣装の色が、緑、黄色、あと、ダーウィンのわけわからん毛皮(あれ、モチーフは蝶?)が後ろから見るとすっげえ可愛かったりとか、あと、ミスティックのあの赤いふんどし、あれ最高!あの人の素敵なお尻に似合ってた。

key Word 映画 落下の王国 ターセム リー・ペイス カティンカ・ウンタルー レオ・ビル ジュリアン・ブリーチ マーカス・ウェズリー ロビン・スミス ジットゥ・ヴェルマ
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拾いモンの映画 | コメント(5) | 【2008/10/26 06:29】
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『P.S. アイラヴユー』-許せちゃうラブコメ
P.S. I Love You

ブログ仲間の赤姫さんが「結構面白い」とオススメしていたので借りてきました。赤姫さんは、私が観ないでスルーしている映画を「観たい!」と思わせる、不思議なブログを書く人です。彼女のオススメはいつも大体当たりなの。

ラブコメなんてどれもどっかでご都合主義なんですけど、それを許せる、許せない、ってのはどっから来るのでしょうね。この物語も、脳腫瘍で死んだ夫が、自分が死んだ後の妻のことを心配して、死ぬ前に何通も手紙を書き、自分の死後、妻に届くように画策する・・・というもので、タイミングとか考えると「こんなに上手く行くかよ!」と思うのですが、なぜかその辺「まあ、いいじゃないか」と思わせてくれる映画です。

ヒラリー・スワンクってどーも苦手なので、ケイト・ウィンズレットとかに主役のホリーを演じて欲しかったですが、まあ次第点です。ホリーの友人の一人である デニースにリサ・クドローを持ってきたのは大当たりで、パーティとかでとにかくいい男には声をかけまくる。

PS I Love You
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Produced: 2007
Director: Richard LaGravenese
Writing Credits: Richard LaGravenese, steven Rogers
Cast:
Holly: Hilary Swank
Gerry: Gerard Butler
Denise Lisa Kudrow
Sharon: Gina Gershon
Patricia: Kathy Bates
Daniel: Harry Connick Jr.
William: Jeffrey Dean Morgan
「ハイ」

「ハイ」

「あなた、独身?」

「そうだよ」

「ゲイでしょ?」

「・・・うん」

「バイ」

*****

「ハイ」

「ハイ」

「あなた独身?」

「そうだよ」

「仕事は?」

「実は、無職なんだ、ははは」

「バイ」

みたいな感じなんですけど、これがまさに リサ・クドローのキャラで、嫌味なく面白い。

もう一人の友人シャロン役は、あの伝説のレズビアン映画『バウンド』でちょおおおおおおおカッコいいレズのタチを演じたジーナ・ガーション。しかし、この二人が40代で、ヒラリー・スワンクが30代ってのもなー。ま、そんなことはいいんですけど、このシャロンのだんなとデニースの会話がいい。バーで、デニースが

「あら、見て、あのおいしそうな男。あのケツのためならコーヒーでもなんでも炒れてあげるわ」

というとシャロンの旦那が

「どうして君は男をそういう風にしか見れないの?だから君は独身なんだよ。まるで女らしくない。男みたいだ。そんな風に振舞ってて男にモテないって文句言うなよ」

と言われてデニースは

「あら、そうですか?言わせてもらいますけどね、何世紀にも渡って男は女性の目を見る代わりにおっぱいをじーっと見て話したり、信頼の握手はしないけどおしりをつねったりしてきたんだから、今、女が男のお尻を見てやらしいこと言いたかったら言ってもいい権利が神から与えられてもよさそうなもんだと思うけど?!」

というと、シャロンがぼそっと「良く言った」だって。

こういうフェミニズムっぽいやり取りって、女性向けのラブコメには良く出てくるんだけど、バカみたいとか嫌味とか、全然フェミニズムになってないじゃん!とかハズすものが多いんですが、このラインは良かったね。こういうところに製作者のセンス出ますよねえ(もしくは原作者か)。

あと良かったのは、ホリーの母親を演じたキャシー・ベイツ。この人は強い女とか演じるともちろん上手いんだけど、この役は’特に良かったね。ホリーが最終的に「自分は独りなんだ」って気が付いて泣いたとき、

「みんな孤独なんだったら、孤独だ、ということでみんな繋がっているのよ」

という、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」的理論なんですが、ここはワタクシ、泣かせてもらいました。真理ですよ!

あと良かったのはねー、ホリーがダブリンで会う男、 ウィリアム 。この役を演じたジェフリー・ディーン・モーガンがマジでアイルランド人か調べちゃったよ!いやー可愛いジェイク君が年取ったみたいな。ホリーの旦那の ジェリーを演じたジェラルド・バトラーは本当にブリティッシュ系みたいね。この人は、回想シーンでまだアイルランドに住んでるころが可愛かったなあ。それにしてもこのブリティッシュ/アイルランド訛り、いいなー!いいなー!萌えるぜ。

(ネタバレしま~す)

で、結局、そんなに都合良く死んだ旦那からの手紙が届いていたのは、ホリーのお母さんが届けていたんだよね。ホリーのお母さんはあんまりジェリーのこと良く思っていなかったし、しかも死んだ後こんな手紙を受け取ると言うのは娘にとってもいいことじゃない、と思っていたのだけど、きっと死に行くジェリーに「お母さん、お願いします!」と言われて断れなかったのであろう、気丈ではあるが人のいい、情の厚いお母さん、って感じで良かった。こういうところが結構気が利いてるというか、決してご都合主義じゃない感じがして、だから他のことは許せちゃうというのか。

ま~さ、旦那に死なれていきなり惚れてくれる男が何人も出てくんのかよ!ってのはありますけどね。

key Word
映画  P.S. アイラヴユー リチャード・ラグラヴェネーズ ヒラリー・スワンク ジェラルド・バトラー リサ・クドロー ジーナ・ガーション ジェフリー・ディーン・モーガン  キャシー・ベイツ
拾いモンの映画 | コメント(7) | 【2008/10/23 05:01】
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『恋愛上手になるために』-劇場で観るのはキツいかも
The Good Night

出演がペネロペ・クルスサイモン・ペッグ、そしてダニー・デヴィートグウィネス・パルトローと来たので、一体どんな映画なのかと借りてしまいました。そしたら監督がグウィネス・パルトローの弟で、しかも日本でも公開されるんだね。

the good night
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Produced: 2007
Director: Jake Paltrow
Writing Credits: Jake Paltrow
Cast:
Anna: Penelope Cruz
Mel: Danny DeVito
Gary: Martin Freeman
Dora: Gwyneth Paltrow
Paul: Simon Pegg
でもこの邦題は超勘違いだと思うなあ。まあ、一緒に住んでる彼女と上手く行かなくなって、夢に出てくる美女に夢中になるが、結局は彼女との仲を修復したいと思っている、というところからこの邦題なんだと想像するけど、ゲイリー(マーティン・フリーマン)とドラ(グウィネス・パルトロー)の仲って、もう恋愛、って言うより結婚なんだよね。「恋愛上手」っていうと、恋の始まりを思わせるけど、この映画は上手く行かなくなった後の話だからさ。

プロットとか設定がイマイチなんですけど、ゲイリーとドラの冷め切った関係はすっごい良く描けてましたよ。二人が毎晩ベッドに入るシーンが何度も出てくるのだけど、これが。ドラが

「暖房強くして」

と言うとゲイリーが、

「俺は汗ばんでるよ」

するとドラが

「ああ!もう!」

とイライラし出すとゲイリーは仕方なく暖房を強くする・・・・・

また違う夜は、読書しているゲイリーにドラが

「いつまで読むの?」

「この章が終わるまで」

「・・・明日早く起きなきゃなんないんだけど・・・・」

無言で電気を消すゲイリー。

しかしどんなにいや~な雰囲気になっても寝る前に

「I love you」 「Me, too」って言ってから寝るんだけど、この台詞になんら感情がこもってない。言うだけ!

また、二人がケンカをするシーンも出てくるけど、本当に実感こもってるなあ。なんだっけ、内容忘れちゃったけど、ゲイリーが

「君はいつもこうこうじゃないか!」って言うとドラが、

「それはあなたの方でしょう!信じられない、良く言うわよ!」

みたいなさ。

ほんっと、グウィネス・パルトローはこのビッチを良く演じてましたね~。地なんじゃないかと思ったよ。でもさ、結婚してるあなた!同棲してるあなた!女性は「人の振り見て我が振り直せ」、「こいつやな女だな~」と思ったら、あんたも絶対やってるわよ!私も頭ポリポリ掻かされました。ははは。

で、ゲイリーは、アナ(ペネロペ・クルス)の夢を見始めるんだけど、どうも夢の中のアナの声がドラの声のように聞えるんだなあ。ペネロペって英語にアクセントあるからわかるじゃん。声もすごい可愛いし。要するに、本当は自分の彼女にこんな風に扱って欲しい、というのの投影なんだよね、きっと。

で、夢の中でアナに会いたいゲイリーは、メル(ダニー・デヴィート)という、夢のことを教えてる先生?なんかニュー・エイジの胡散臭い人、に色々教えを請うんだけどさ、このメルの台詞に中々洞察が深いものがあったね。でもみんな忘れた(笑)。観てる時は「へ~なるほど」とか思ってたんだけど。まーその程度ってことですか。

でもすごい退屈な映画で、何度も途中で止めて「続きは明日にしよ~っと」って感じで観てたから、劇場でぶっとおしで観るにはキツイかも。なんかさ、設定が、ゲイリーは昔、ポップ・バンドでヒットを飛ばして、今はコマーシャル・ソングとか書いてて・・・・とかいう背景もなんかイマイチ生かしきれてないし、その昔のバンドのメンバーや、メルや、ゲイリーの昔のガールフレンドがインタヴューでゲイリーのことを語るシーンとか出てきて、ちょっとドキュメンタリー風?にしてるんだけど、それも意図がわからない。アイデア先行でまとまりきってない、って感じでしょうか?

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■ペネロペ・クルス出演作品一覧


key Word 映画 ジェイク・パルトロー ペネロペ・クルス グウィネス・パルトロー マーティン・フリーマン ダニー・デヴィート サイモン・ペッグ
映画レビュー | コメント(0) | 【2008/10/18 20:43】
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『ミスティック・リバー』-観る価値がある最後のミステリー?
Mystic River

一番印象に残っているシーンは、少年が3人、道端でホッケーやってたら、ボールが道の脇の排水溝に入ってしまって、そのあと、色々と事件が起こり、場面変わってティム・ロビンスが小さい男の子を連れて現れるシーンで、

「あの排水溝には、たくさんボールを落としたなあ。多分、あの中にはいっぱいボールがあるよ」

ミスティック・リバー
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Produced: 2003
Director: Clint Eastwood
Writing Credits: Dennis Lehane, Brian Helgeland
Cast:
Jimmy Markum: Sean Penn
Dave Boyle: Tim Robbins
Sean Devine: Kevin Bacon
Whitey Powers: Laurence Fishburne
Celeste Boyle: Marcia Gay Harden
Annabeth Markum: Laura Linney
と言うと、男の子が

「ホント!?」

と言いながら排水溝を覗き込むシーン。これだけで、ティム・ロビンスが最初に出てきた少年たちの一人で、未だに同じ通りに住んでいて、今は自分がお父さんになっている、ということが一発でわかるという、映画ならではの技巧が素晴らしいなと思った。

ミスティック・リバー』ってなんかものすごい映画だって印象だったので、期待した割にはただの良くできたミステリーかしら、と思いましたがショーン・ペンティム・ロビンスの演技は鬼気迫るものがありましたね。特にショーン・ペンは良かった。娘が死体で見つかり、あれはお葬式のあとなのか、それとも近所の人が心配してやってきたのか、人でごったがえしている家の裏口に出てきて、ティム・ロビンスとタバコ吸いながら泣いてしまうシーン。本当にタフで、普段は絶対弱みなんか見せない人が泣くとこう泣くのかな、と思わせる、あれだけでそのキャラを良く表している演技だった。

ティム・ロビンスも、ショーン・ペンと同じ位に具体的にこのシーンがすごい!って思ったところがあったのだけど、もう観て1週間くらい経っちゃったから忘れちゃった。この人が演じたディブは、可哀想な人だったよね。踏んだり蹴ったりだ。こういう人生を送る人が実際にいるんだから、人生って不公平だよなと思う。

本当に偶然なんだけど、ショーン・ペン監督の『イントゥ・ザ・ワイルド』とバック・トゥ・バックで観て、デイヴの奥さん役を演じていたマーシャ・ゲイ・ハーデンが、『イントゥ・・・』でも主人公のお母さん役で出てたりして、『ミスティック・リバー』で知り合ったのかなあ、なんて思った。この女優さんもすごい雰囲気あるよね。顔がいかにもその辺にいそうな平凡な顔で、それが却って女優としては個性的。

もともとこの映画が観たかった一番の動機はローラ・リニーが出てたからなのですが、この人は今回はそれほどでもなかったです。しかしこの人はいろんな役をそれなりに演じるね。今回は元ヤクザ・ジミー(ショーン・ペン)の奥さんなのですが、ジミーが昔ワルで、刑務所に入っていたとかいうのはストーリーの中盤にならないと出てこないし、それと結婚したアナベス(ローラ・レニー)の一家がちょっとヤクザっぽい家、ってのも最初わからないし、アナベスもそういう感じ全然しないんだけど、最後、ジミーが娘の殺人者と思われる男を殺して帰ってきたとき冷静に

「あなたは父親としてしなきゃいけないことをしただけだから」

位のこと言ってるんですけど、このときいきなり顔というか化粧が筋モンのおかみさん、って感じになってて、「ああ!そうか!この人たちの世界では、こういうの当然なんだ!」とか妙にストーリーに納得いかせるんだよね。いやはや、なんだかんださすがローラ・リニー、とか思いつつ観てましたよ。

期待したほどでは・・・・と言うのは正直な感想なのですが、最近のミステリーはなんだか人物設定も謎解きもしょーもないものが多いので、このくらいのクオリティの観る価値があるミステリーって、この辺が最後かなあ、と漠然と思ったけど、どうでしょうか?

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key Word 映画 ミスティック・リバー クリント・イーストウッド ショーン・ペン ティム・ロビンス ケヴィン・ベーコン ローレンス・フィッシュバーン マーシャ・ゲイ・ハーデン ローラ・リニー
アメリカ映画 | コメント(4) | 【2008/10/18 08:41】
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『イントゥ・ザ・ワイルド』-青臭くて薄っぺらいけど、欺瞞じゃないと思う
Into the Wild

一番印象に残っているのは、ロン(ハル・ホルブルック)という革職人のおじいさんとクリス(エミール・ハーシュ)の会話。ロンは家族を事故で亡くしている孤独な老人で、クリスにアラスカに行って欲しくない。

「寂しいよ」

というロンにクリスは、

「僕もだよ。でも、生きる喜びが人と繋がることからしか得られないと思うのは間違いだよ。神様は僕たちの周り、僕たちが経験できるもの全てに幸せを散りばめてくれているんだ。みんなものの見方を変えるべきだよ」

into the wild
dvd on amazon.com

Produced: 2007
Director: Sean Penn
Writing Credits: Sean Penn, Jon Krakauer
Cast:
CHris McCandless: Emile Hirsch
Billie McCandless: Marcia Gay Harden
Walt McCandless: William Hurt
Carine: McCandless: Jena Malone
Jan Burres: Catherine Keener
Wayne Westerberg: Vince Vaughn
Tracy Tatri: Kristen Stewart
Ron Franz: Hal Holbrook
この映画の中では、クリスは両親と相容れなかったことが強調されているのですが、自分が愛して欲しい人に愛されない、自分が愛したい人を愛せない、というジレンマから、人間同士の繋がり以外に本当の幸せがあるんじゃないかということを信じたかったのでしょうか。

私も色んな人間関係が破綻して、誰とも繋がれないんじゃないかと思ったとき、恋愛とか家族とか親友とか、人と人との関係というものが個人の幸せに与える影響って過大評価されているのじゃないかと思うことがあります。それは社会が個人をまとめて行く為に作った幻想じゃないのか。自由とか、自然、動物、音楽、芸術、旅・・・・本当は、こういったことが人間を幸せにするのではないか?クリスは言います。

The freedom and simple beauty is too good to pass up...
(自由と飾り気のない自然の美しさは、諦めるには素晴らし過ぎる・・・)

そしてとうとうアラスカに着いたクリスは、自分独りでサバイバルできるという強さ、賢さを自分に感じ、誰もいない、電気も騒音もない場所で色々なことを考え、日記に書き、とても充実しているように見えるし、実際そうだったのだろうな、と想像ができます。

しかし最後、かなり弱ってきたクリスは、

Happiness only real when shared

と書く。「幸せは、人と分かち合えたときにだけ現実になる」

クリスは独りになりたかったんだと思う。社会の規範から逃れたかったのだと思う。ものの見方を変えたかったんだと思う。他人からの影響、社会からの影響、人の見る目、そういうものを完全に取っ払ったら、自分てなんなんだろう、何を求めているんだろう、ということが知りたかったんだと思う。

それにしても、運命を感じませんか?2週間ですよ。クリスが死んで、たった2週間後に遺体は発見された。遺体を発見したハンターたちが、もう少し早くここに来る計画を立てていたら。クリスがもうちょっとがんばれたら。

このお話は、24歳で死んだ男の子のお話だけど、人間の人生を表しているようにも見える。人は生まれ、苦悩する。苦悩ゆえに、真実を見つけようとする。旅に出なくても、人生そのものが旅なのだ。そこでいろんな人に出会い、愛を分け合う。クリスは、自分が親と問題があったせいか、家族の課題を抱える人たちを旅の途中で救っているような気がする。

苦悩するということは、その痛みがわかる。わかるから、それに関しては、他人を救ってあげることができるのではないか。そうして旅を続け、時に働き、ときに休み、楽しいことも辛いこともある。そして人間は死ぬときに真実を知る。もしかしたら、死ぬときにしか知れないのかもしれない。クリスは、ソローの言葉を引用した。

rather than love, than money, than faith, than fame, than fairness... give me truth
(愛より、お金より、信仰より、名声より、平等より・・・・真実が欲しい)

みんな真実を知りたいのだけど、怖くて突き詰められない。それは、真実を知るのは死の瞬間だって、本能的に知っているから?

クリスが帰ろうと決めたときに、河がこちらへ渡ってきたときより大きくなって、向こう側へ渡れなくなっていた、と言うのも象徴的だなあと思った。クリスはあのときに既に黄泉の河を超えてしまったのではないだろうか。

弱ってきてから死ぬまでの間の辛さというのは、想像もつかないくらい壮絶なことだと思う。けれども、私はそれでもクリスが幸せだった、というのが信じられる。恐怖と幸福を一緒に感じることもできるのだ。

クリスのことを、誰にでもある家庭の問題くらいで大騒ぎしている金持ちの家の我がまま息子、という見方をする人もいると思う。クリスが文明や社会や人間がいないところで暮らしたい、と思っていたところが実はハンターが頻繁に出入りしているところだ、と言うのもなんかお粗末ではある。私は通常は、どちらかというとこういうのを否定したり茶化したりする側なのだが、この映画はそういう気になれなかった。家庭の問題、両親との確執なんて多かれ少なかれみんな持っている。物質主義の社会っていやだと思いながら、結局みんなそれに依存して生きている。クリスだって、銃も使えば、ジップロック・バッグも使ってたじゃないか。

でも、だからと言って、クリスのしたことが欺瞞ってわけじゃないんだよ。この子はこの子なりに考えて、実際行動に移したのだ。青臭くても、薄っぺらくても。「そんなものあるわけない」と斜に構えてしまうのは簡単だけど、本当に「ある」のか「ない」のか、突き詰めて行くのはなかなかできない。クリスは帰ろうとしたけど、帰れなかった。だから、最後は自分の意思じゃなかったかもしれないけど、やり遂げたことがすごいと思う。

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key Word 映画 イントゥ・ザ・ワイルド ショーン・ペン エミール・ハーシュ マーシャ・ゲイ・ハーデン ウィリアム・ハート キャサリン・キーナー ヴィンス・ヴォーン ハル・ホルブルック
考えさせられた映画 | コメント(8) | 【2008/10/14 09:23】
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『Smart People』-こういう映画キライ
Smart People

会社の映画友達に、「『Smart People』面白くなかったよ~」って言ったら、

「知らない。誰が出てるの?」と訊かれたので、

デニス・クエイドサラ・ジェシカ・パーカーエレン・ペイジ」と答えたら、

「そんなもん、借りんなよ!」って、やっぱりそうか~。

smart people
Produced: 2008
Director: Noam Murro
Writing Credits: Mark Poirier
Cast:
Lawrence: Dennis Quaid
Janet: Sarah Jessica Parker
Chuck: Thomas Haden Church
Vanessa: Ellen Page
James: Ashton Holmes
でもさ、エレン・ペイジはやっぱ、なんだかんだ言いながら期待していたのだがな。サラ・ジェシカ・パーカーは、女優と言うよりセレブだろ、とかなりバカにしていたのだが、正直言ってこの人が出ている映画を1本も観たことがないので、観もしないで偏見持つのもなんだかな、と思って。それにこんな老け顔で、全然キレイと思わないのになぜ美人セレブ扱いされているのか、その秘密も知りたかったし。

デニス・クエイドはまー、どーでも良かったんだけど、この人が人間嫌いで愛想悪くて、生徒のこと考えないし、他人のこと頭悪いとバカにしている、あす・ほーるな主人公、大学教授のローレンスを演じています。

高校生の娘・バネッサ(エレン・ペイジ)と、大学生の息子ジェームス(アシュトン・ホームス)がいるんだけど、バネッサは父親似で勉強ばかりし、他人をバカにするので友達もなく。ジェームスは、ただひたすら父親と疎遠。

そこへ、いい年してまともな仕事にも就けない、住むところもないローレンスの弟、チャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)が転がり込んでくる。

偶然にもこの映画をノア・バームバック監督・脚本の『マーゴット・ウェディング』とバック・トゥ・バックで観たんだけど、このローレンスってお父さん、同じくノア・バームバックが監督・脚本した『イカとクジラ』のどーしょもないお父さんにそっくりだな。大学教授で、他人をバカにしていて、そのくせ本を出そうとしてもどこの出版社にも断られる。この映画では娘がお父さんそっくりだけど、『イカ』では長男が、やっぱりお父さんに認められたくて、お父さんそっくりに他人を批判したりこき下ろしたりする。『イカ』からパクったんじゃねーか?

徹底的に『イカ』と違うのは、このお父さんがどーしょうもないのに、原因と対策があるところかな。原因=奥さんに先立たれたから。対策=新しい恋をして、子供ができたら、瞬く間にいい人になった。

つまんない話だよなー。『イカ』が面白かったのは、あのお父さんが本当にどーしょうもなくて、子供たちはそれにいいように振り回されて、最後に長男が「ああ、これはどうにもならない、自分でがんばっていくしかないんだ」と気が付いた、らしいけど、本当にどうにかなるかもわからない、ぶっちゃけ小さい弟なんか、あのままちょっとオカシイ人になってしまうかもしれない、というところにリアリティがあったからなんだよね。

こっちはさ、ローレンスが最後、いい人になっちゃうんだよね。最初は、教えている大学のクラスで生徒の名前を覚える気がないので、名札をつけさせるのだけど、子供ができてからは、きちんと出席を取るようになる、とかさ。

それとか、ローレンスのしょーもない弟のチャックが実はアーティスト・タイプで、金も家もないような生活をしているのは自由奔放だからであって、実はすごく頭がいいという設定になっていて、そのチャックが、高校生らしく悪いこともせず、父親から認められたいがために勉強ばかりしているバネッサに「人生を楽しむことを教える」というのがまたあきれる。バネッサが勉強しているのにわざとくだらない映画とかかけて、マリファナを吸わせて、バーに連れて行って酔っ払わせたり。

私こういう映画、ご都合主義でつまらないと思うんだけど、それよりも許せないのって、バネッサみたいな子を変えようとするところなんだよね。「高校生らしい」とか誰が決めるの?バネッサの人生が楽しくない、って、誰が判断するの?勉強するよりマリファナやってパーティ三昧している高校生の方が人生楽しんでるとは限らないじゃん。

ローレンスもそうなんだよね。『イカ』のお父さんがエキセントリックだったのは、文学だのなんだの教えてる大学教授だからちょっと変わってるんだけどさ、ローレンスは奥さんが亡くなったせいで傷ついて、寂しかったんだと。性善説なわけですよね。人間悪い人はいない、みんな良い人だ。ただ、辛いことがあったりすると、悪い人になってしまうけれども、幸せになれば、良い人になれるんだ。

そうだと思う?

私は賛成できないなあ。こじつけとしか思えない。しかも新しく恋をして、子供ができたら人が変わるという・・・・。つか、恋とか子供で人が変わるってことを本当に信じているか、目の当たりにした人が、「そうなんだよ!」って言ってる映画だったら説得力あると思うんだけど、この映画は、「恋」とか「子供」とか「家族」がまあだいたい一般的な人にウケるから、という理由でしかないと思う。だから登場人物にも説得力ないし。

私、こういう映画はキライだ。人間に対して洞察がないんだったら、人間描かないで欲しいよ。洞察してこういうのになっちゃうんだったら、映画作る才能ないんだと思うし。もしくは、「一般の人が面白がるのはこの程度」って思うのだったら、客をナメてるし。どう転んでもキライだ!

エレン・ペイジの出演作品一覧

映画 デニス・クエイド サラ・ジェシカ・パーカー エレン・ペイジ トーマス・ヘイデン・チャーチ
日本未公開映画 | コメント(2) | 【2008/10/12 23:34】
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『マーゴット・ウェディング』-これ、アタシじゃん!
Margot at the Wedding

ブロ友プリシラさんが紹介していたこの映画。気になっていながら食指が動かず仕舞いだったんだけど、『イカとクジラ』のノア・バームバック監督・脚本、しかも『イカ』の主人公だった家族の、お母さんと下の息子が今回の主人公と読んで「おお~これは観なければ!」と。『This Is England』もプリシラさんの紹介だし、いつもいい映画教えてくれるんだよね~。

マーゴット・ウェディング
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Produced: 2007
Director: Noah Baumbach
Writing Credits: Noah Baumbach
Cast:
Claude: Zane Paris
Margot: Nicole Kidman
Malcom: Jack Black
Pauline: Jennifer Jason Lee
Maisy Koosman: Halley Feiffer
Jim: John Turturro
プリシラさんが「いや~『イカ』同様、やな女なんですよ、このお母さんが!」って言っていたので「そうなのか~」と思って観たのですが・・・・・なんだよ、これって

アタシじゃん!!

て言うかさ~、アタシ、こういう人解っちゃうんだよね~。本人、全然悪気ないんだよ。思ってもないこと言えないし、いや、でも、相手の気持ちも考えろよ、とか思うけど、考えてるのよ!で、言葉も選んで言ってるんだけど、ズレてるんだな~。で、相手にすっごい傷つかれて、言い返されて、「なんで?なんで?!」って思っちゃうんだよね。あ~あ。マーゴットって、B型なのかな?!

しかも自惚れやで、調子に乗りやすくて(いいトシして木登りして降りられなくなったり)、ロマンチストで(ほっときゃいいのに子供の靴を届けてあげたり)、息子をものすごく愛しているんだけど、母親になりきれず男作ったり、その上その息子に依存している。本当はすっごく不安定な性格なのに、なぜか他人を寄せ付けなくて、それで姉妹とか母親とは疎遠になっちゃって、で、悪いな、と思ってるんだけど、会うとまたウザったくなっちゃうの。

まあ、この人の周りにいる息子とか旦那とか妹とかは大変だと思うけど、もーこういう人ですから!あきらめてください、としか言えません。

でも、今回は、お父さんの方がやけにいい人に描かれてるじゃん。しかもジョン・タートゥーロが演じてるし。やっぱ『イカ』で散々な描き方をしたから、今回のターゲットはお母さんの方なんでしょうか。そういえば、マーゴットがオナニーするシーンがノア・バームバックのインタヴューでも話題になってたけど、あんなのほんのちょっとじゃん。そんなすごいシーンかな。それより「うつ伏せでするのか!」とその方が気になってしまった。

超爆笑したのが、マーゴットとクラウドがポーリーンの家に着いて最初の夜のディナーで、「トシ取ると、人の名前が思い出せない」って話になって、マーゴットが、誰かの名前が思い出せなくて困ったエピソードかなんか話した後、ジャック・ブラック演じるマルコムが、

「そんなのいい方だよ。おれなんかモトリー・クルーのベーシストの名前が思い出せない・・・・」

って言うんだけど、誰も聞いてなくて、みんな他の話をしているのにジャック・ブラックが

「ミック・マーズ」

って一人でつぶやくの!!これって、IMDbで読んだら、マジにジャック・ブラックが間違えたんだけど、余りに可笑しいのでそのままにしといたらしい。

しかし、この邦題は、これまたすごいですね。『マーゴット・ウェディング』。コレだけ見たら意味不明だよ。「マーゴットの結婚式」でもないし、まるで「マーゴット・ウェディング」というスタイルの結婚式があるかのようだ。「at the」とか安易に取るなよ~。『ウェルカム・ドールハウス』と一緒で、前置詞とか冠詞とか馴染まないと思うんだったら、単純に『マーゴットが出た結婚式』でいいじゃん。『マーゴット結婚式に行く』とか。『マーゴット・アット・ザ・ウェディング』でも別に違和感ないと思うしな。ほんと、この辺のセンスはわかりません。

まあ、実際、マーゴットが行ったら結婚式自体が流れちゃった、というのがお話のポイントなのだろうが・・・・・

映画 マーゴット・ウェディング ノア・バームバック ニコール・キッドマン ジェニファー・ジェイソン・リー ゼイン・パイス ジャック・ブラック ジョン・タートゥーロ
日本未公開映画 | コメント(3) | 【2008/10/12 06:25】
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『麦の穂をゆらす風』-なんという不条理・・・
The Wind That Shakes the Barley

この映画は、一人の普通の人が、自分の意思に反して戦争に巻き込まれていく様を良く表しているなと思いました。背景は1920年のアイルランド南部の町・コーク。キリアン・マーフィ演じるデミアンは青年医師で、ロンドンに上京して病院で働くことになっていた。近所の人にお別れを言っていると、突然イギリス人の兵士たちがどやどややってきて、青年たちを壁の前に並ばせ、名前と住所と職業を言え、と怒鳴り散らす。まだ17歳のMichael(綴りはこうなんだけど、「マイケル」って発音じゃなかった)が英語で名前を言うことを拒否し、ゲール語を使い通したために、イギリス兵たちに殴り殺される。

the wind that shakes the barley
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Produced: 2006
Director: Ken Loach
Writing Credits: Paul Laverty
Cast:
Damien: Cillian Murphy
Teddy: Padraic Delaney
Dan: Liam Cunningham
Sinead: Orla Fitzgerald
Michaelの葬式で集まった青年たちは、デミアンに、ロンドンに行ってくれるな、もうイギリス人の横暴には耐えられない、独立戦争を起こすんだ、お前もIRAに参加して、俺たちと一緒に戦ってくれ、と言うが、デミアンはIRAでは規模が小さ過ぎて、イギリス軍に敵うわけがないと言って断る。

ロンドンへ行く汽車に乗るため駅へ行ったデミアンは、またもやイギリス兵たちの横暴を目にする。乗車拒否をされたイギリス兵が駅員さんに乱暴し、勇敢にも助けようとした運転士さんにも暴行を働く。これを見たデミアンはロンドン行きを止め、IRAに参加する宣誓をし、幼馴染みの青年たちとアイルランド独立のための兵士になることを誓う。

映画見てていやだなあ~と思ったのは、どこに行ってもイギリス兵に意地悪されることです。最初のシーンだって、別に普通に近所で幼馴染みたちとダベっていただけなのに、突然言いがかりつけられて、言うとおりにしないと「服を脱げ」と言われて、Michaelみたいに殺されたりする。デミアンがIRAに参加した後、Michaelの報復としてパブでイギリス兵4人を射殺するのですが、このときだって、パブでみんなのんびりくつろいでいるのにイギリス兵がどやどや入ってきていいがかりをつけてきたり嫌がらせをしたりする。

これって、今のイラクもこうなのかな、と思いながら見ていました。こういう戦争映画、私たちは時代劇として、過去に起こったこととして見てるわけですが、イラクではコレが今現在起こっているのかもしれない。アメリカが徴兵制度がないのに戦争を続けて行けるだけの兵隊を集められるのは、階級社会になっているからで、イラクに送り込まれる兵士たちは、貧乏な家庭から仕方なく来ている、教育水準の低い人たちばかりだと聞いています。それと、昔よりも精神的に不安定な人をはじく規定が緩くなっているとも聞いた。つまり、戦争における倫理をきちんと教育されていない人や、精神的に不安定な人も戦場に送られている。

今、アメリカや日本のような平和で秩序のある国々で戦争が起こっても、この映画にあるような非人道的なことなるとは考えづらいけども、実際イラクのように戦場になっている地域が2008年の現在でも存在するし、いくら戦争に置いての人権が法的に決まっていても、自分たちが接する一般の兵隊さんたちがそれをきちんと勉強して理解して、ぶっちゃけ従おうなんて思っているのかはわからないし、精神的に不安定な人だったら、戦争という緊迫した状況下で極端な行動に出ないとも限らない。この映画で描かれているようなことが、繰り返されないとはとても言えないんじゃないかと思う。

デミアンのような人間は、暴力とか人と争うということが苦手なんだと思う。なるべく争いは避けて、自分のしたいことをしたい、という。悪く言えば事なかれ主義なんだけど、良く言えば賢い。今の安定した社会だったら当たり前に存在する青年ですよね。学校に通ってきちんと勉強し、ほのぼのとしていいところだけど刺激も将来性もない田舎を出て、大都会でバリバリ働いて成功したい、という。デミアンのお兄さんのテディは、IRAの支部を指揮しているくらいなので、「目には目を」という理論で、暴力で押さえつけられたら暴力で返す、というのを肯定できる人なんだと思う。この二人を兄弟という設定にしたことでデミアンの性格がより強調されている。

デミアンとテディのどちらが正しいとか間違っているとかは言えないけど、デミアンのような人が不本意ながらも兵士になり、密告した幼馴染みを処刑しなければならない痛みを抱えてまで戦ったのにも関わらず、イギリスとの平和条約に対する意見が分かれ、兄弟であるテディと戦わなければならなくなってしまうという不条理・・・・・。

偶然にもこの映画を観た後、町山智宏さんのブログでIRAうんぬんの記事が上がってたりして、知ってるようで全然知らなかったIRAのことを多少勉強できたり、また戦争とは、平和とは、ということを考えたりできたので、いい映画だと思うのですが、余りにも希望がなさ過ぎる。全くユーモアもないし、希望もない。物語りも、だいたい筋的には読めてしまうので、途中少しうとうとしてしまいました。『硫黄島からの手紙』とか『プライベート・ライアン』とかは、不本意ながらも戦い続けた主人公たちが、何か尊厳とか崇高なものを最後に見つけることができた、というポジティヴな見方もできたんだけれども、『麦の穂をゆらす風』は最後まで不条理しか感じられず、本当にくらーい気分になってしまいます。アメリカ映画は戦争を美化し過ぎ!と言われてしまえばそれまでなんですが。

key Word
映画 麦の穂をゆらす風 ケン・ローチ キリアン・マーフィ ポードリック・ディレーニー リーアム・カニンガム オーラ・フィッツジェラルド
DVDで見た映画 | コメント(2) | 【2008/10/07 07:16】
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『Great World of Sound』-イタ過ぎて観ていられない
Great World of Sound

マーティン(パット・ヒーリィ)は、音楽プロデューサーを養成します、という広告を見て、Great World of Soundに面接に行くのですが、それがアムウェイとかああいう、セールスの会社なのです。

Great World of Sound
Produced: 2007
Director: Craig Zobel
Writing Credits: George Smith, Craig Zobel
Cast:
Martin: Pat Healy
Claewnce: Kene Holliday
Pam: Rebecca Mader
Gloria: Tricia Paoluccio
こういうのにひっかかったことありますか?私はあるんですよ。ずっとへらへらバイトとかしてて、なんかなあ、そろそろまともな仕事がしたいなあ、でも事務とかつまんなくてやりたくない、英語が勉強できるような仕事がないかなあ、なんて思ってたら、ひっかかったんですねー、英語の教材を売る仕事!

映画の中で、セミナーと称して、「音楽ビジネスとは」と説明したり、「私はこの仕事でこれだけ儲けました」って話とか、これは、お金を騙し取っているんじゃない、人助けなんだ、って強調するところとか、私が引っかかった英語教材販売とおんなじなんだよねー!

この会社は、どうやって人を騙すかというと、オーディションと称して人を集め、一曲演奏させて、「CDを作るのには10,000ドルくらいかかるけど、こちらが70%、そちらが30%負担することになるが、資本はあるのか」と、お金を出させる。3,000ドル出させるのが目標なんだけど、そんなにないなら、1,000ドルでも500ドルでもいい。そこはセールスの腕前というわけだ。

このオーディションに来る人たちは、映画を撮っているとは知らないで、マジでオーディションに来た人たちだそうで、このシーンが可笑しいはずなのですけど、全然笑えませんよ~。痛いです。みんなお金ないのですが、セールスマンに「このチャンスを逃していいのか!君は才能があるのに」とか言われて、人にお金を借りに行ったりしてまで払ってしまう。

それと、マーティンという主人公は、この仕事を、本当に才能のあるミュージシャンを発掘してプロデュースすることによってお金を稼ぐ、と真剣にがんばるし、また、時々本当に才能のある人がオーディションに来たりすると、素直に感動してしまい、「お金がない」と言われると自分のポケット・マネーで払ってでも、CDを作ってやりたいと思ってしまう。

こういうの、第三者として見ていると、なんで騙されるんだろう、明らかに詐欺だってわかるじゃん、と思うんですが、「儲かる仕事、やりがいのある仕事、人を助けることのできる仕事、というのは、大変なんだよ」みたいに言われると「そーかなー」と思ってしまうんですよ。

とにかく観てて一番辛かったのは、お金を騙し取られる人たちは貧乏な人たち、っていうことでした。「なぜミュージシャンになりたいの?」と聞くと、「もうウェイトレスなんかやりたくないから」とか言うんですよ。こんな行き場のないような生活をしている人たちが、唯一希望を持っているのは音楽で成功すること、そんなささやかな希望につけこんで、なけなしのお金を騙し取るっていうのがもう・・・・・。

主人公のマーティンもすごく貧しくて、奥さんがアーティストなんだけど、仕事としては、百円ストアで売るようなマスコットとかを作って生計を立てている。要するに内職ですよね。マーティンは、他に仕事もなく、奥さんの作るマスコットに色を塗るのを手伝ったりしながらなんとなく生きている。で、多分、これじゃいけないな、と思ったんだろうな。そして音楽に関わる仕事がしたい、本当に才能がある人を世に出してあげたい、とナイーヴではあるけど純粋な気持ちでがんばろうとしている。

これって、音楽業界のウラにある悲しい世界、という見方もできるけど、今のアメリカの悲惨な状況を表している、と思った。アメリカ、というよりも、資本主義社会って要するにこういうことなんだろうな、って感じ?貧乏人からでも金を取る、というか貧乏人が損するようにできている。マーティンも、その他のセールスマンたちも、お金がかかる学歴を手に入れられなかったせいで、こんな詐欺まがいの仕事しかできない。

私、昔は、何も会社員にならなくても、バイトでもなんでも、がんばって稼いで生きていけばいいじゃん、と思ってたけど、今、そうは行かないんだよね。時給のバイトでは、まじめに長時間働いても、自立して生きていけるようなお金を稼げない。会社の重役とかになったら、遣い切れないほどの高給が出るというのに、肉体労働でも一生懸命地道に働くよ、と言っている人たちが自立できない位の給料しか貰えないって、なんかおかしいと思う。

すごい痛いのは、マーティンは才能があると信じた女の子のお父さんを説得し、自分のポケットマネーも使ってCDを作ろうとする。でもこのGreat World of Sound自体が詐欺なわけだから、CDなんか出ない。それですごく絶望する。で、これは人を騙している、とやっと気が付くのだけど、だらだらと流されてまた別のオーディションをする。そこで本当に素晴らしい女性シンガーに出逢うのだが、この人を騙したくない、と思い、一度は契約しない、と追い返す。しかしマーティンは、お金がないと家に帰れないような状況に追い込まれて、この女性からお金を取ってしまうのだ・・・・・。

そのときのマーティンの気持ちを考えると、心が痛い。この人はいい人で、お金のために人を騙すなんて、しかも音楽を媒体としてそんなことするなんて、考えても見なかったと思う。でもそういう状況に追い込まれてしまう。こういう人がそういう状況に追い込まれてしまう社会って、なんなんだと思う。

最後は、結局辞めてしまったマーティンが、奥さんに、「今日、仕事行かないなら、この金魚のマスコットに色塗るの手伝ってくれる?」と言われて、色を塗ってるシーンで終わる・・・・。あああ!

key Word 映画 パット・ヒーリィ 音楽 セールス
考えさせられた映画 | コメント(0) | 【2008/10/04 08:58】
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やっぱり上手かった!!ウィーザー・ライブ・イン・デトロイト!
Weezer with Angel and Airwaves / Tokyo Police Club @ Palace of Auburn Hills, Michigan September 29th, 2008

スティングの息子のバンドは見逃したし、チープ・トリックニッキーのバンドは途中からしか観れなかったし、今回は遅れたくないと思って5時半に家を出発したら、道がめっさ空いてて1時間以上も早く着いてしまった。なんで本当に観たいバンドは観られないのに、エンジェルなんちゃらとか、トウキョウなんちゃらとかそういうバンドには間に合っちゃうんだろう。普段の行いが悪いのかな。うるさいっ。

weezer
しかもグランジ以降のバンドだからなのか、「フロア席」なるものを買ってしまった。要するに立ち見でしょ?立ったまま1時間も待つのなんて絶対にやだったから、車の中でしばらく日記を書いていたのだが、他にも何台か車到着。会場に向かう人を見ていると、なんか妙に男連れが多い。ウィーザーって、日本では「泣き虫ロック」と呼ばれているとマイミクさんが教えてくれたけど、まさにそういう、可愛い歌詞、切ない曲じゃない?カップルとか、キャピキャピの女の子が来ると思ってたんだけど、いかにもモテなさそうなムサい男連ればっか・・・・・

あと30分で開演なので、会場へ向かう。会場から一番遠いパーキング・スペースは、帰りにハイウェイに直で出られる出口に近いので、わざとそこに駐めるのだが、会場まで歩くと5分くらいある。チケットを見せて入場しようとすると、フロア席の人はまず誓約書にサインしろ、と言われる。要するに、モッシュ・ピットで暴れてケガしても責任取らなくていいです、という誓約書である。私は早く来たからいいけど、フロアの人一人一人にサインさせるなんて、ものすごい手間だよな。さすが訴訟社会、アメリカ。

ビール買って、その辺の手頃な席に座る。まだほとんど客来てないから、どこでも好きなところで観れる。舞台の真横からちょっと斜め前の、コーポレート・スィート(なんか、会社とかで貸しきってパーティしながら観れる部屋)のまん前の席なので、すこぶる視界がいい。ウィーザーもここで座ったまま観たいなあ・・・・・

Tokyo Police Club・・・・・なんかさー、こういうテロンテロンした音楽、ライブで観て面白いのかね~とか思っちゃった。フロアは5分の1くらい埋まってて、大きなライブ・ハウスが満杯、って感じくらい?踊ってる人3人くらいしかいない。あんまり人気ないのだな、このバンド。面白くねーもんなーとか思ったけど、もしかしたらモリッシーとかロバスミのバンドってこんな感じだったのかなーとか思って一人でニヤニヤしていた。あの頃のブリティッシュ・ニューウェーヴみたいの、思いっきりバカにしてたなあ、アタシ。わはははは。

上から見ていると、明らかにデジカメとわかるライトがぽつぽつと見えるのだけど、もう誰も取り締まらないのね、あんなの。・・・・Tokyo Police Clubのキーボードの人、ノリノリだなあ。ああいう音楽でもやっぱ好きならノレるんだなあ。

30分くらい演奏して引っ込んでしまった。またステージ・セッティング変えるの待つのしんどいけど、音楽聴きながら人間ウォッチングするのも悪くない。会場に入ったらもっと感じ違うかと思ったら、やっぱ男連れの、ルーザー・タイプが多い。

Angel and Airwaves・・・・こいつら、最初のバンドよりさらに許せねえ・・・・。まーなんとも、どんくさい子がボーカル・・・・・。こいつ、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の時のポール・ダノを思わせる。胡散臭い説教師・・・・・黒いシャツに黒いスリム・・・・しかもフィットしてない・・・・芝居っ気たっぷりのむずかゆいステージ・パフォーマンス・・・・・あ!膝ついた!だっせーやっちゃなー。音楽はさらにテロンテロンでパンチも何もあったもんじゃない。激しく退屈した。でもフロアは盛り上がってたし、客も踊ってたよ。好きな人は好きなんだねえ、こういうの。

アンコール演らなかっただけ救いだった。Angel・・・が終わった時点でもう9:15PMだし、これからステージ・セット変えて、やっぱ12AM回っちゃうかな。かったるいなあ。

とか思ってたらおもむろにウィーザー登場。オープニングは『My Name Is Jonas』、続いてすぐレズビアンの歌を演ったと思う。このオープニングは良かった。あのレズビアンの曲ってさ、キーボードで可愛く

ぴんぴんぴーん、ぴぴんぴんぴん

って入るじゃない?あのときにギターの人が、

「はろー!でとろいとー!」

ってメタルの人みたいに言って、客が、

「うぉー!!!」

って、それも、体育会系のムサい男たちが、どすの利いた声で返すの、すっごい可笑しいんだけど、アタシだけ?そう思うの?曲とファン層のギャップが・・・

しかし、やっぱりこの人たち上手いね。すごい演奏力あるし、みんな歌えるんだ。へええ。違う人がボーカルとってるなんて、思ってもみなかった。

でも、向かって右の、リード・ギター弾く人が一番すごいみたい。この人も、前座2組のフロント・マンと一緒で、「こんなだっさい奴見てて面白いかね」ってタイプなんだけど、面白いんだよ!なんでだろ?わかった!この人明らかにヘンだもん。というのは褒めているんだよ。なんというか、芸術家のヘン!だよね。岡本太郎みたいな。「ありがと~すこっとさ~ん」とか、ヘンな日本語連発してたから、こいつがきっと日本人の奥さんいるリヴァースって奴なのだろうなあ。

私が全然知らない曲もがんがんやっていて、多分あれがグリーン・アルバム以降から『レッド・アルバム』と呼ばれる最新のアルバムまでに収録されている曲なのだろう。それにしても・・・・私は結局、フロアに下ろされずに、けっこういい席に座ったままだし、フロア席のチケ持っている人は手首に黄色いバンド巻いているので、私の周りに座ってる人は、みんなフロア席の人だということがわかる。しかも私の周りガラガラで、時々観づらかったら席移動したりできちゃう。フロアを見下ろしてみると、60%くらいしか埋まってないし、1階席、2階席も70%くらいしか埋まってない。ヴァン・ヘイレンとかポリスなんてぎっちぎちだったのになあ。

『Say It Ain't So』は良かった。この曲は名曲だと思う。これもまたムサい男たちが胸筋震わしながら「サイコー!!」とか叫んでいて、笑ったけど・・・・ああいう男が実は繊細なのかなあ。『マカロニほうれん荘』のクマ先生を思い出して一人でニヤニヤする。

で、『Undone -- The Sweater Song』を演るとき、なぜかAngel・・・・のあのぽよんぽよんしたボーカルを連れてきやがった。なんか、ウィーザーのドラムの人がギター弾くので、Angel・・・のドラムの子が脇に置いてあったもう一個のドラムを叩いて、ダブルボーカルで歌ってた。ドラムだけ借りたかったのにボーカルの奴が出しゃばって出てきたのかなーとか・・・。この曲って最後すごい盛り上がるじゃない?あのときには結局ギターの人がドラムに座って、ものすごいドラム叩いてたよ。上手いねー、この人何を演らせても!恐れ入ります。

ブログ友達のまーちゃんが教えてくれたとおり、ドラムの人がギター弾くと、オリジナルだかカバーだかわからないけど、なんとなく70年代よりのハードロックっぽい曲演るのが笑った。ほんとは、ヘビメタのコピーとかするの期待してたんだけど、それはなかったね。でもアカペラは演るし、とにかく上手いので、すごい面白い。待ったかいがあった。でも私個人的にはベースがいいなと思った。あの『ピンカートン』の一曲目のブイブイ言うベースとか、『Only in Dreams』とか、ウィーザーって結構ベース印象深いよな。

そんで、忘れていた『ハッシュ・パイプ』とか、グリーン・アルバムからの曲ほんのちょっと演った。グリーン・アルバムからの曲って、2曲くらいしか演らなかったんじゃないかなあ。うろ覚えではあるけど、演ればわからないはずないし。あれが一番売れた気がするのだけど、こうしてライブで観ると、やはり1枚目と2枚目が一番強力なアルバムなのだなということがわかる。

『El Scorcho』で気分良く踊っていたら、男の子が話しかけてきた。

「一人で来たの?」

「うん」

「実は僕の友達が、君と話したいと言ってるんだけど、シャイな奴で・・・あそこのスィートでパーティやってるんだけど、来ない?」

またナンパかよ!女一人でライブ来るって、そんなに珍しいのかなあ。電話番号教えてくれて後日食事でも、ってならいいけど、こんな面白いライブ観ないで男とダベるなんてもったいないし。

「いやー、ありがたいけど、今日はちゃんとショウを観たいんで・・・・」

「そっか、残念だな!」

でもどう見てもあんた20代後半。あとでトシ聞かれて居心地悪くなるのもなんだし、断って正解でした。

最後の曲は私の知らない曲だったのだが、ギターの人がメタルみたいにギターをフィードバックさせたまま去って行ったときにはひっくり返って笑った。で、その後クルーの人がささーっと出てきて、モニターを何個も追加している。「??」と思っていたら、素人さんと思しき人が何十人もステージに出てきて、ほとんどギターだけど、クラリネットとかラッパとか持ってる人もいて(オーボエとか)、「ウィーザーと一緒に演奏しよう」企画らしい。どの曲だったかな?2曲演奏したんだけど、両方とも1枚目か2枚目のアコギの曲だった。題名が思い出せない(追記:1曲だけ思い出した!「ヒップ ヒップ」っていう曲だよ)。最初の曲はクラリネットがソロ取ったけど最悪!でも2曲目は、ベースのスコットさんのお父さん、ラッパでソロ取ったけど、めちゃくちゃ上手かった。スコットさんてオハイオ出身でミシガンと近いんで、お父さん連れてきちゃったみたい。

この辺で、さっきからドスの聞いた声で叫んでた体育系の奴がブチ切れる

「ピンカートンの曲演れー!お前らがいいのはあのアルバムだけだー!」

と何回も叫んでいて、ちょっとムカついた。別に流行りものの曲だけが好きでもいいけど、売れようが売れまいが、いい音楽をライブで聴く、ということを単純に楽しめないお前が哀れだよ!しかもピンカートン好きなんてあんた結構乙女チックなんじゃない?なんて突っ込まれたら怒るだろうなあ、このタイプの男は。やれやれ。

その後、ちょっと芝居風に、クルーの人が昔風の脚立のついたレコード・プレーヤーを持ってきて、赤いレコードをかけると、ウィーザーの曲なんだけど私の知らない曲が丸々一曲流れ、すごい退屈。ここで帰っちゃう人続出。でも私は、これは絶対、客を淘汰するためにやってるな、と思ったので、敢えて残った。ここで踏ん張った人にだけ、この後なんかいいものが観れるのだ!

と思ったらなんとアンコール一発目はニルヴァーナの『Sliver』だ!イントロのベースですぐわかったけど、まさかこの曲演るなんて思わなかったから「おおお~!!」と声に出てしまった。ニルヴァーナもう存在しないしさー、この曲がライブで聴けるってちょっと得した気分。

で、トリはやっぱ『Buddy Holly』で良かったけど、ウィーザーも既に昔の名前で出るバンドになっちゃってるんだなあ。なんか、こんなに上手い才能あるバンドが、ヒット曲だけとにかく演れよ!っていう扱い受けているのって寂しいなと思った。やっぱりこのくらいビッグになるってことは(空席は目立つといえ)、音楽ファンじゃないファンの人が付き始めるってことなんだなあ。

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音楽 ウィーザー エンジェル・アンド・エアウェイヴス トウキョウ・ポリス・クラブ
LIVE、イベント | コメント(4) | 【2008/10/02 09:58】
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「嫌いなら観なきゃいいじゃん」と言うほど馬鹿げた理論はない!とアジテイトする『姫のお楽しみ袋』

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