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『マイティ・ハート/愛と絆』-夫を失った妻の回想録
A Mighty Heart

これは、パキスタンで誘拐され、首を切られて殺されたジャーナリスト、ダン・パールの奥さん、マリアンが書いた回想録を、アンジェリーナ・ジョリーの主演で映画化したものです。妊娠5ヶ月の時に夫が酷い殺され方をしたこの女性が不憫なので、余り辛いことは言いたくないのですが、非常に面白くない映画でした。

マイティ・ハート/愛と絆 スペシャル・コレクターズ・エディション
dvd on amazon.com
Produced: 2007
Director: Michael Winterbottom
Writing Credits: John Orloff, Mariane Pearl
Cast:
Danny Pearl: Dan Futterman
Mariane Pearl: Angelina Jolie
Asra: Archie Panjabi
ウィキで読んだんですけど、このマリアン・パールと言う人はキューバの血が入った人で、この人の役を白人であるアンジェリーナ・ジョリーが演じるのはおかしい、という批判があったらしいんですね。でも、マリアン本人が、「肌の色は関係ない、私とアンジェリーナは心が通じ合ったし、アンジェリーナに演じてもらって本望だ」というようなことを言っている。

このエピソードから私が想像したのは、アンジェリーナ・ジョリーがマリアンの著書を読んで感銘を受け、これを是非映画化したいと思った。マリアンは、アンジェリーナ・ジョリーが主演で映画化されれば、ネーム・ヴァリューがあるから、この問題をもっと世の中の人に知ってもらえる、と思ったのかもしれない。

実際DVDでは映画が始まる前に、このパール夫妻の友人でもあると言う女性ジャーナリストが出てきて、この映画が作られた目的は、ジャーナリストたちが大変な危険にさらされながら取材していること、また、報道する内容に関わらず、政治的に利用するためにテロリストに誘拐されたり、殺されたりすることが多いこと、そして、ジャーナリストこそが一般市民に今何が起こっているのかを伝えられる存在なので、こういう事実があるということを一般の人たちに知ってもらい、過酷な条件の下で取材しているジャーナリストたちを応援してもらうことだ、というような趣旨のことを言っていました。

映画で時事問題などに興味を持ってもらおう、という姿勢はすばらしいと思うのですが、この映画に関しては、アンジェリーナの名前だけに頼り過ぎて、映画のクオリティを追求してないんじゃないか、という印象を受けます。実話に基づいた映画でむちゃくちゃ面白い映画なんかたくさんありますよね。このお話も、行方不明になった人を探し出すという立派に面白いミステリーになりそうなんですけど、起こった出来事を時系列どおりに進めるフラットな展開、事実としてわかっていることしか描写せず、絶対誰も知らない部分を再構築しない想像力の欠如などが気になります。

特に後者、「絶対誰も知らない部分を再構築しない」というのは想像力の欠如よりも、ダンがどのように誘拐されて監禁されたか、という未知の部分を「想像したくない」んじゃないか、と思いました。そりゃそうですよね、自分の夫がどんな恐怖にさらされたか、どんな酷い目を受けたか、知りたくないという気持ちはわかります。でも、そういう「腫れ物にさわる」ようなストーリー展開が、この映画がインパクトに欠ける一番の要因じゃないかなと思いました。

まあ、誘拐されたダン・パールがどんな扱いを受け、どんな恐怖を味わったか、というのは、小心者の私だって知りたくないのですけど、こうしてわざわざ映画にする目的は、私のような平凡な人間が、傷つくのが怖いから見たくない真実をあえて見せることによって、該当する問題をもっと深く考えてもらおうとすることなのではないでしょうか?そうなのだとしたら、当事者が直視するのを避けている映画が私たち第三者に何かしらのインパクトを与えることなんてできるのかしら?

例えば『ミュンヘン』なんか、ものすごく痛かったですよね。これも、映画的にすごく面白いかと言われたら「イマイチ!」なんですけど、ヴァイオレンスはもちろんのこと、精神的に追い詰められて行くところも、痛いところを避けずにズバっと描きましたよね。

マイティ・ハート/愛と絆』は、残されてしまった妻、マリアン・パールの苦悩を描くことだけで十分だ、と思ったようなんですけど、それでは力及ばずという印象です。もう繋がっていないダンの携帯に「I love you」とテキスト・メッセージするマリアンには共感しましたけど、他のところでは彼女の痛みとか焦燥みたいなものが余りにも感じられないので、非常に退屈でした。ダンの死を伝えられた時マリアンが泣き叫ぶシーンなんか、観客が「見たくないなあ」と思うような感情的なシーンのはずなのですけど・・・・うーん。

私はアンジェリーナ・ジョリー嫌い!って公言しているので、アンジェの演技が下手、とか言うと「そりゃあんた嫌いだから」と言われちゃうと思うんですけど、このマリアンって人は、自分もジャーナリストであるせいか、冷静で気も強いみたいで、こんな状況で妊娠もしているのにがんばるんですね。それが最後がーっと崩れるのがこの、ダンの死を知るシーンで、製作者的にも「ここはアンジェの見せ場!」と思ったらしく、結構長いシーンなんですが。・・・・ほとんど傍観。全く感情移入しなかったなあ。いや、多分私が冷徹なビッチなだけ、ということもあり得ますし。

いや、でもマジに、それはダンが酷い目にあった、というのが実感としてわからないからじゃないかなあ、と思うんですよね。もし、ヴァイオレンスを使わないでこういう映画を作りたいと思ったんならそれもいいんですけど、それならそれで、何か他の表現方法で、ダンの状況や感情を観客に伝えないと、やっぱり待っている側のマリアンの感情だけじゃドラマ性が薄いと思うし、だから自己満足な映画に見えてしまうのではと思いました。

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■アンジェリーナ・ジョリーの出演作品一覧

key Word 映画 マイティ・ハート/愛と絆 マイケル・ウィンターボトム アンジェリーナ・ジョリー ダン・ファターマン アーチー・パンジャビ
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DVDで見た映画 | コメント(4) | 【2008/09/28 22:35】
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『あぁ、結婚生活』-ああも言えるし、こうも言えるし
Married Life

「人は、他人の不幸の上に幸福を築くことはできないと思う。そういうことができちゃう人もいる、でも、良心の価値がわかる人にはできないと思うんだ。君はいい人過ぎる、そういうことするには」

あぁ、結婚生活 [DVD]
dvd on amazon.com
Produced: 2007
Director: Ira Sachs
Writing Credits: Ira Sachs, Oren Moverman
Cast:
Harry Allen: Chris Cooper
Richard Langley: Piercw Bronsan
Pat Allen: Patricia Clarkson
Kay Nesbitt: Rachel MaAdams
この映画、すごく面白いですよ。特にテーマに興味がなくても、観終わった後、この映画は何を言わんとしてるのか、価値観はどこにあるのか、何が正しい道だったのか、何人かで観たら意見が割れるような、上手い作りになってます。

クリス・クーパー演じるハリーは、50歳で全く安定した生活を送っているのに、ケイ(レイチェル・マクアダムス)という若い未亡人と一緒になりたくて、奥さんのパット(パトリシア・クラークソン)と別れようとしている、自分は、ケイといるときが一番幸せだ、結婚生活は空虚だ、でも、離婚することでパットを傷つけるのは忍びなくて、なかなか踏み切れない、と親友のリチャード(ピアース・ブロスナン)に打ち明けるのだが、ケイを紹介されたリチャードは、ケイに一目惚れしてしまい、マジに恋に落ちてしまう。

しかもリチャードは、実はパットにも愛人がいることを知ってしまう。相手の男ジョンはリチャードともハリーとも友達の男。パットは「私たちは本当に愛し合っているの。でも、ハリーは他に誰もいない。私しかいない。だから離婚はできない」という。リチャードにとってはいい風向きではない。自分はケイを寝取りたいのに、ハリーとパットが円満に別れられては困る。そこでリチャードは、冒頭の台詞をパットに言って、ハリーと別れるべきではない、と言う。

一方ハリーは、なんとパットを殺すことを計画する。自分に捨てられることによってパットが傷ついたり、不名誉な思いをさせるには忍びないから・・・・。パットの心臓病の薬に毒を混ぜて、心臓発作に見せかけて殺そうとチャンスを狙っている。

(ネタばれしちゃいます)

リチャードは、ハリーに隠れてケイをデートに連れ出し、くどきつつ冒頭の台詞を言って、ケイにも良心の呵責を感じさせ、最後には完全に絡め取ってしまいます。んで、最後に、今度はケイがハリーに冒頭の台詞を言って、別れようとする。

で、面白いのは、実はリチャードとケイがくっついちゃって、自分は愛人と親友を両方失くした、と気づいたハリーは、奥さんを救おうとするんですね。自分の結婚生活は不毛だ、とか言ってたけど、親友と愛人を同時に失った後では、結婚を失いたくない。慌てて家に帰り、奥さんが毒を飲まないようにする。

一年くらい経ってから、リチャードはハリーとパット夫妻にケイをフィアンセとして紹介する。「可愛い人ね」何も知らずに言うパット。この夜、ハリーはリチャードに、自分がパットを殺そうとした顛末を打ち明ける。

この後、ケイとリチャードは結婚し、パーティの席でパットの愛人のジョンは他の女と一緒にいる・・・・・・。

私が可笑しいと思ったのは、みんな自分が離婚するって言ったら、相手がものすごく傷つくだろう、と思っているのに、実はみんな別れて他の人とくっつきたがってる、って言うこと。冒頭の「他人の不幸の上に幸福は築けない」って台詞が、ギャグになっちゃっているわけです。しかもこの台詞は、愛のない結婚生活でカラカラに乾いているハリーがやっと見つけたオアシスのように思っているケイを、寝取ろうとしているリチャードから発せられる。

リチャードは、ハリーやパットやジョンの不幸の上に自分の幸福を築いたのでしょうか?これは人によって意見が異なると思います。ケイはハリーを愛していると思い込んでたけど、この二人がくっついたら上手くいかなかったんじゃないかなあ、とか、なんだかんだ言っても、ハリーとパットは幸せなんじゃないかなあとか、ジョンは彼女ができたみたいだし、とか、最後いろいろ思うんですね。本当に、個人的な結婚観で意見は全然違ってくると思います。

それと、その結婚観自体がチャレンジされますよね。この映画では、結婚している人はみんな別れたがっている。心はバラバラ。でも失いそうになると慌てて取り戻そうとする。そのくらい尊いものだ、と言っているのか、こんな中身のないものにしがみついて生きてるんだよ、人間は皆、と言っているのか、どっちにでも取れちゃいますよね。それとか、自分が思っているほど結婚相手にとって自分は大切じゃないんだ、という取り方もできるし、逆に全く心が通じ合ってないように見えても、いざとなると実はお互いがかけがえのない存在なんだ、と言っているようにも見える。

私の個人的な結論は、「どっちに転んでもOK!」でしたね。年齢関係なく、愛と情熱に流されて電撃離婚するもよし、ぐっと自分を抑えて不毛(と思われる)結婚に留まってもよし。なんか、どっちにしても自分が感じる幸福/不幸はあんま変わらないんじゃないかと思った。プラマイゼロ、つーか。よっぽど暴力を振るわれるとか、なんかそういう具体的な不幸な要因があるのでなく、漠然と不毛な、愛されていると感じない結婚、もしくは人間関係ってのは、言われているほど幸福と言うものに対するインパクトはないのかも?仕事つまんないけど給料結構いいし、とか、もっと素敵な家に住みたいけど今の借家でもこと足りてるか、とか、その程度のものなのじゃないか?と。

クリス・クーパーはみんな知ってる優良な性格俳優ですが、今回良かったのはピアース・ブロスナンでしたね。「この人が出演してる映画って絶対一本も観た事ないだろうな」と自信を持って言えるのに顔はよーく知っているというコイツ誰?とか思ってたら、90年代にジェームス・ボンド演った人なんだってね。そりゃあ知ってるはずだ。この人が案外演技派で、パットとジョンの逢引を目撃しちゃってオタオタするところとか、上手いのよ。観てて面白かった。ナレーションも全編通してこの人だったしね。

あと、クリス・クーパーの若い愛人を演じるレイチェル・マクアダムスはいいね。『パニック・フライト』の時、デコっぱちで変な顔だけど、しぐさや雰囲気が可愛い娘だなあ、と気に入ってたんですけど、この映画でもすごいいい感じです。クリス・クーパーの奥さん役のパトリシア・クラークソンは、トシなんだろうけど、すごいキレイでスタイル良くって、トシでも保つ人は保つなあ、と感心した。

key Word 映画 あぁ、結婚生活 アイラ・サックス クリス・クーパー ピアース・ブロスナン パトリシア・クラークソン レイチェル・マクアダムス
| コメント(2) | 【2008/09/28 08:11】
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祝3周年!-自己紹介のページ
Author Profile

チュチュ姫

3周年です!2周年の時は「おおー、良く続いたなあ」と感動しましたが、今年は「はええなあ、一年経つの」と結構淡白な私。しかし、映画を観て、ブログに感想を書いて、皆さんのコメもらって、色々語り合う、ということがものすごく私の物の考え方や受け取り方に影響を与えていて、ブログやってなかったら学べなかったことがたくさんあるなあ、とつくづく思います。

これからも宜しくお願いします。

コメントに色々禁止設定をしたら「コメできない」と言う人がいたので、禁止解除して、承認制にしました。トラック・バックに関しては承認制度を取っていたのですが、スパムがひどくて完全禁止にしました。関連記事をリンクさせたい方は、コメントと共に記事のURL貼ってもらって結構ですから。もしくはお気軽にprince55chu@hotmail.com へ連絡ください。

チュチュ姫トリビア

■10月5日、東京は錦糸町生まれ、てんびん座。千葉は浦安で育つ。7歳の誕生日に日記帳をもらったのをきっかけに書くことが好きになる。

■95年にアメリカに渡り、ワシントン州シアトルに1年住んだあと、ミシガン州に移動し、2001年に大学卒業。現在は日系自動車会社で働いている。

■血液型はB型。「B型以外には見えない」と良く言われる。B型の研究というサイトに載っている分析にピッタリ当てはまった性格ですので、ご興味のある方はどうぞ。

■2年間、カンフーを習っていたことがある。そのときのあだ名は「アサシン」

■「チュチュ姫」のHNは、"Princess Chu"と呼ばれるようになったことから思いついた。「チュー姫」だとマヌケなので「チュチュ」にした。最初はとにかくブログを始めたかったので、あまり深く考えずにつけたHNだが、最近好きになってきた。というのも、時々、うちの飼い犬が可愛らしいことをすると、「かわいいでチュ~~~~~!!!!」と自分が叫んでいることを発見したため。姫の部分は、私の自己中な性格を反映していて、いいかもしれないと思い始めた。

■ジムに通い始めてもうすぐ2年。今年の3月から毎朝、出勤前に1時間運動している。しかし本当に運動だけでは体型維持できず、食事の方もコントロールしている。んなわけで最近平日は軽いものしか食べない。トースト1枚、小さいりんご1個、チーズ1カケ、牛乳1杯とか。朝と夜体重測って増えてないのが目標。

■休日だけはまあもう少し豪勢に食べる。朝はパンケーキにメープル・シロップ。なんだかこれを食べないと「お休み!」って感じがしない。昼は、パスタに野菜やえびを入れたり、最近会社の上司が鮭釣りに行ってしこたまいくらをもらったので、いくらスパゲティとか。あと、すごい可愛らしいブレックファストのレストランを見つけたので、時々友達と行く。

■犬を飼っている。チュチュ姫の親バカ振りを知りたいという酔狂な方はチュチュ姫親バカ日誌を参照のこと。

■セキセイインコを飼っている。メスは「パーディ」オスは「バーディ」のつがいだったのだが、オスのバーディが5月23日にお亡くなりになった。残されたパーディが可哀想だから、また一羽連れて来ようかと思ったら、パーディは独身生活を楽しんでいるらしい・・・。

■尊敬している人:小倉千加子、上野千賀子、小林よしのり、マイケル・ムーア。バッシングされようが何しようが、言いたいことはオブラートに包んだりせずストレートに言える人は大好き。それにこの人たちは、こまっしゃくれた表現で煙に巻くようなことはせず、誰にでもわかるように伝えようとしているところに頭が下がる。

■それから、貧乏でも、ヤク中でも、アル中でも、一生をミュージシャンとして終えた人は尊敬する。

■好きな俳優は、ケイト・ウィンズレット、ローラ・リニーキリアン・マーフィーフィリップ・シーモア・ホフマンクリスチャン・ベイル。そいから、ハビエル・バルデムはやっぱりいいですね。

■最近観て面白かった映画は、『コレラの時代の愛』と、『This Is England』。

■夏は野外コンサート目白押しで、7月にモトリー・クルー、バックチェリー、6AMなどが出るクルー・フェストに行って、8月はスティーヴ・ルカサー、9月はジャーニー/ハート/チープ・トリックと、80年代に激しく逆滑りしてますが、どれもなかなか良かったので、やっぱ若きゃいいってもんじゃねーな、と改めて感動。この後、ウィーザーが控えてます。AC/DCも11月に来るんだけど、この人たちは結構さんざん東京で観たからなあ、と躊躇してます。

チュチュ的ファンタジーを掻き立てるミュージシャンリスト(常時更新)
ブルース・ディキンソン、ポール・ディアノ、スティーヴ・ハリス、ジェリー・ノーラン、ディーディー・ラモーン、ジョーイ・ラモーン、ニッキー・シックス、デイヴ・リー・ロス、ピート・バーンズ、スチュワート・コープランド、ジョン・ポール・ジョーンズ、ダフ・マッケィガン

その他筆者の人間性が暴かれている記事はこちら
[PREVIOUS PROFILES]
■2008年5月自己紹介アップデート
■2008年2月自己紹介アップデート
■2周年記念自己紹介アップデート
■2007年上半期自己紹介アップデート
■2007年年初の自己紹介
■オリジナル自己紹介
[PRINCESS BULLSHITS]
■ジェイク・ジレンハールとの相性を占ってみる
■デトロイトのダウンタウンて、こうよ?!
■チュチュ姫、凹みの記録
■氷の世界
■チュチュの日曜大工日記:キッチン
■チュチュの寝室初公開!
■チュチュの日曜大工日記:リビングルーム
■チュチュ姫の脳内を探る
■姫のパーフェクトな一日
■森林浴で癒されてくださーい
■姫2008年新年の誓い
■姫2007年のまとめ
[THE TRIUMPHAL RETURN OF PRINCESS]
■チュチュ姫様2006年日本ご訪問の覚え書き
■2007年チュチュ姫日本凱旋記
[BATTON TO THE PRINCESS!]
■あなたを***に例えると?バトン
■酒バトン
■2006年〆バトン
■良く当たる心理テスト
■今の仕事やめることにしました!
■チュチュ的恋愛観
■子供の頃に読んだ本を教えてください
[PRINCESS IS LEAN AND MEAN]
■下半身改造計画と姫の野望
■チュチュ姫ワークアウト・ダイジェスト
■姫の野望-その後
■姫の野望シリーズその3
■姫の野望シリーズその4
■姫の野望シリーズその5
自己紹介 | コメント(8) | 【2008/09/24 22:15】
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『Black Sheep』-イマサンだけど、テーマに共感
Black Sheep

幸せのレシピ』のレヴューで、「やっぱり、こういう(安易な)映画ばっかり観てちゃダメだな。怖そうでも、辛そうでも、観た後何かが心に残るような映画を観なくちゃと心に決めました」って書いて、観た映画がこれかよ!と自分でもトホホなB級映画です。だって、DVDのカバーに書いてあった

「There are 40 million sheep in New Zealand, and they're pissed off!」


Black Sheep
Produced: 2006
Director: Jonathan King
Writing Credits: Jonathan King
Cast:
Henry: nathan Meister
Grant: Oliver Driver
Experience: Danielle Mason
Angus: Peter Feeney
Mrs. Mac: Glenis Levestam
Tucker: Tammy Davis
っていうのに爆笑しちゃったんだもーん。しかもカバーのの写真が最高!普通の大人しそうななのに、なんだかおどろおどろしい!

プロットはですね、ニュージーランド農場を地道に経営してたお父さんが死んで、その後を継いだ長男がとんでもないヤツで、金儲けのために様々な遺伝子操作をして新種のを作るが、その過程でできた有害廃棄物が原因で、大人しいたちが凶暴になり、人間を襲いに来る、というホラー/コメディ

かなりグログロなのを覚悟していたのですが、そっちの方は、全然平気でした。『プライベート・ライアン』以降の戦争映画を観れる人なら、こんなのちゃちでウソ臭いので気持ち悪くもなんともない。B級ファンの人はこの安っぽさがたまらないのかな~とか思いながら観てました。

映画としてどうよ?!と言われたら、うーん、イマサンくらいなんですけど、やろうとしていることには好感持てました。要するに、利益のための動物虐待を皮肉っているのだと思うのですが、ねえ。もっと上手い人がやったらものすごい可笑しくて、しかもゾッとして、最高な作品になったんじゃないかなあ、なんて思いました。コーエン・ブラザーズとかさ。

つーのは、私としては、人間がに対して行っている極悪非道をめちゃくちゃグロに描いて欲しかったのよ。一つだけ、逆さ吊りにされた羊が、生きたまま皮をはがれ、身体を開かれて、ドクドク言っている生きた心臓が見える、という図があって、

「うわー、グロい~良く考えつくなあ、こんなの!」

とキモいので笑ってしまう、という映画的な楽しみも味わいつつ、

「もしかしたらこれってマジで起こっていることなのかもしれない」

と漠然と頭に浮かんできて、ゾワっとする・・・・そして実際にこういう出来事に興味を持つようになる・・・・という映画の醍醐味!というのにはちょっと程遠い。

羊たちが凶暴になるのも、そういう実験を人間たちがしているのを目撃して、それで怒ったところに凶暴になる薬品を摂取してしまい暴れる!っていう感じにしてもらえたら良かったんだけど、結構闇雲に暴れてるしなあ。でも、つぶらな瞳にふかふかの毛玉のような可愛い羊が、その愛くるしい容貌のままで人間を食っているところとか結構笑うけどね。

観てる最中ずっと、「なんでアタシこんな映画観てるだろ~でへへ」と自分で自分を笑っちゃうような映画でした。

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■最近私もこの主人公のように動物愛護になってきちゃってるような気がする『イヤー・オブ・ザ・ドッグ

key Word 映画 ニュージーランド 羊 ホラー コメディ
B級映画 | コメント(0) | 【2008/09/24 02:31】
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『幸せのレシピ』-観やすくてベタ過ぎ
No Reservations

『お楽しみ袋』読んでくれている人たちは、私のことをきっと、言いたい放題言ってる図太いビッチだと思っていると思うんですけど、私、こう見えても結構繊細なんですよ。でさ、映画も、いい映画だってわかっていても、あんまりハート・ブレイキングなものって、観たくないのよね。だから、やたら感動しそう、とか、人生の悲哀みたいなものをまざまざと見せるようなものを観ると、影響受けすぎちゃって辛いから、つい避けてしまう。


幸せのレシピ 特別版
dvd on amazon.com
Produced: 2007
Director: Scott Hicks
Writing Credits: Carol Fuchs, Sanda Nettlebeck
Cast:
Kate: Catherine Zeta-Jones
Nick: Aaron Eckhart
Zoe: Abigail Breslin
Therapist: Bob Balaban
で、こういう映画借りちゃうんだナ。こういういわゆるラブコメって、観やすいからさ!アーロン・エッカート好きだし。

しかしこれはな~。いきなり出だしから暗い!主人公ケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)のお姉さんが死んじゃって、残された子供・ゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)を引き取る。独身で子供を持ったことがなし、シェフとして仕事人間のケイトは、母を失った悲しみで傲慢になっているゾーイを持て余す。しかも自分のたった一つの聖域であるキッチンに、新しいシェフ、ニック(アーロン・エッカート)がやってきて、好き勝手やりだす・・・・。

しかもケイトは、精神分析医(ボブ・バラバン)にセラピー受けてんだよね。それって、怒りっぽいからだっけ?忘れちゃったけど。

こういうドラマが薄っぺらくなるのと、予想に反していい映画になるのとは、どこに差があるのだろうなあ。私は、この映画のキャラがみーんな余りにベタ過ぎる、読めちゃい過ぎる、って思ったんだけど、ベタってのは、上手く転べば「王道」だし、ラブコメってのはある意味王道を行かないとラブコメにならないわけじゃない。

んで一応、この映画はラブコメ、ラブ&コメディなんですよね?その割には全然面白くない。まずキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ダメ過ぎ!この人コメディの人じゃない~!全くそっちのセンスが感じられない。ニックと一緒に料理するシーンで、ニックが何やっているのか気になって仕方なくて肩越しに覗いたりするのだけど、そういうところが普通なんだか可笑しいというか微笑ましいものなのだが、とってつけたような演技なんだよな~。この人が演技できないと言うのじゃなくて、キャスティングが悪いんじゃないかと思えちゃう。アーロン・エッカートも、面白くない。『サンキュー・スモーキング』の時は良かったので、脚本とか演出がダメなのか?

それとさ、ニックが厨房ではいているパンツとか、勘弁してよ~って感じ。私もレストランで働いたことあるので、シェフのカッコってあんなもんだと思うけど(動きやすく、しかも汚れてもいいよれよれの)、つか、そう思えば確かにリアリティはあるのだけど、あれをアーロン・エッカートにはかせないでくれよ、というガッカリ感。

あと子供!この子『リトル・ミス・サンシャイン』のあの女の子なんだってね。大きくなったなあ。とにかく、うーん、やっぱり演出なのかなあ。この子名子役だもんね。お母さんが死んだとわかって泣いたりするところとか上手いんだけど、全然響いてこない。またそれを受けるキャサリン・ゼタ=ジョーンズがでくの坊だしさ。お母さんが死んだばかりでセンシティヴになっている、というのはわかってあげたいけど、なんかすげー自己中でイライラした。ケイトの同僚が急に産気づいたためバタバタしてて、ゾーイのことを迎えに行くのが遅くなってしまう。迎えに行くとゾーイは怒っている。

「You forgot me(私のこと、忘れた)」

と言うゾーイに、「忘れたんじゃないわ」とケイトが言うんだけど、このシーン、すっごいムカついた!なんかこれって、他人を意のままに操ろうとする大人がやる駆け引きみたい、と思った。私思うに、母親を失っておばさんとかと住むことになった子供って、わがままになるんじゃなくて、もっと怯えてると思うんだよね。急に保護してくれる人がいなくなってさ。でもこの子、ものすごい横暴なんだよ。もしかしたらケイトとゾーイは、私が思っているより親密な関係で、我がまま三昧できる関係なのかもしれないけど、なんかこの反応、全く共感できないな~と思った。

そして、ケイトとゾーイとニックが3人でピザを食べるシーン。テーブルを取っ払って、キッチンに敷物を敷いて、「サファリなの」とゾーイが言う。で、楽しい時間を過ごす3人をわーと見せる・・・・。で、最後疲れきったゾーイは幸せそうな寝息をたてている・・・・・

このシーンが超ベタで、完全にしらけてしまいました。なぜ、なぜこんなにシラーとするんだっ!3人の演技がわざとらしかったし、カメラ・プレイがなんともありがちで・・・・あああ~!

で、仕事のことでケンカ別れになるが、ニックが遠くへ行ってしまうとわかるとケイトが彼のアパートを訪ね、一緒に料理をし、めでたく結ばれる、と。

原題の『No Reservation』も、かなりベタですもんね。要するに、「予約が要らない仲」という恋愛関係と、レストランの席を予約するのとかけているのですが、レストラン舞台の映画なら誰でも思いつきそうなタイトルだし、またこのタイトルに内容や台詞が絡んでくる、みたいなことは一切ない。

観終わったあと、「やっぱり、こういう映画ばっかり観てちゃダメだな。怖そうでも、辛そうでも、観た後何かが心に残るような映画を観なくちゃ」と心に決めました。

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■観る度に「ん~~~、こんな奴だったっけ?」と疑問に思う、クライヴ・オーウェンと同じ下降線を描いている、アーロン・エッカートの出演作品一覧

key Word 映画 幸せのレシピ スコット・ヒックス キャサリン・ゼタ=ジョーンズ アーロン・エッカート アビゲイル・ブレスリン ボブ・バラバン
| コメント(8) | 【2008/09/22 07:23】
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『ヴァージン・スーサイズ』-なんだったんだろう?
Virgin Suicides

マリー・アントワネット』が結構良かったので、同じコッポラ=ダンスト作品であるこの映画、興味があって借りたんですけど、結構豪華な配役ですね。美人5姉妹の下から2番目のラックスがキルスティン、姉妹のお父さんがジェームス・ウッド、お母さんがキャサリン・ターナー、末娘の自殺未遂の後、精神分析をするシュリンクがダニー・デヴィート、ラックスに惚れちゃうスケこまし高校生がジョシュ・ハートネット、ナレーターがジョヴァンニ・リビシ。これってやっぱコッポラ家のコネなのでしょうか。

virgine suicides
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Produced: 1999
Director: Sofia Coppola
Writing Credits: Jefferey Eugenides, Sofia Coppola
Cast:
Mr. Lisbon: James Woods
Mrs. Lisbon: Kathleen Turner
Lux Lisbon: Kirsten Dunst
Trip Fontaine: Josh Hartnett
もー笑っちゃたのがジョシュ・ハートネット演じるスケこまし高校生・トリップ。真っ白いワイシャツで、肩に制服の上着をひっかけ、学校の廊下を歩いて来るところをスローモーで撮っちゃうんだもんなあ。『マリー・アントワネット』のフェルゼンもそうだったけど、ソフィア・コッポラ、自分の趣味丸出しで撮るからねー!いや、でもそこが好きなのよ。自分の作品なんだもん、自分の「萌え」を前面に押し出して、見せてちょうだい!

あと、全然知らなかったんですけど、これって、ミシガンの郊外のお話なんだよね。ふーん。原作があるのですが、なぜミシガンが舞台なのだろう?だいたい、ミシガンとかオハイオとかの中西部の近郊都市が舞台の時って、アメリカの典型的な郊外都市の退屈さ、保守的さ、痛々しいほどの普通さ、みたいなものを描くときに良く使われる。『ロンサム・ジム』もそうだったもんね。そんなつまんないところに住んでるアタシって、なんなの?!とか思いますが。

この話でも、17を頭に美人5姉妹がいて、みんな思春期なんですけど、お母さんが厳格なカソリックかなんかで異常なくらい娘たちに厳しい。最初、一番末の娘が自殺して、4姉妹になったあと、キルスティン演じる14歳のラックスが、ジョシュ・ハートネット演じるトリップとセックスして家に帰って来なかったためにお母さんがパニくって、4人とも学校辞めさせて、家に閉じ込めっきりにしてしまう。で、ラックスのロック・レコード焼いちゃったりするお母さん。

やだーそんな家!!そりゃあ自殺もしますがな。異常だよねー、そこまで行くと。一日中家にいたら気が狂うだろうね。部屋の空気が臭くなってきそう。

で、この一連の出来事の経緯を語っているのが、近所でこの女の子たちに恋心を抱いてた男の子が成人した後、この出来事を振り返ってる、みたいな感じなのですが、正直言ってなんだか良くわかんない。観てる時は結構面白いんだけど、この映画が何を言わんとしているのか、何も言ってないのか、全然わからん。

他の人のレヴューも読んだんだけど、青春を描いているとか、思春期の訳わかんなさを描いているとか、その辺なんでしょうなあ、と思うのですが、これ!と確信をついたレヴューはありませんでした。あと、背景になっている70年代のミシガンでは、五大湖の汚染が問題になっており、劇中でも木が枯れてしまってがんがん切り倒したりしているのに姉妹たちが反抗する、みたいなシーンもあるので、その汚染問題に関して詳しく書いているレヴューもあったんですけど、いかんせん映画の中での描かれ方が中途半端なので、せっかく背景の詳細がわかっても「うーん、ホントにこれって関係あんのかな~」ってなんだか納得できない。

みんな音楽がいいって言ってたけど、私もそれには賛成でした。選曲がいい、というよりも、生かし方が上手いね。ハートの『マジック・マン』を、ジョシュ・ハートネットのスローモー・シーンに持ってきたりとか、『Crazy On You』だっけ?ラックスが突然トリップの車のドアを開けてキスするところ。なんかトリップがさー、運転席に座って、ラックスに対する燃える思いを沈めようと「はー」なんてため息つきながら落ち着こうとしているところへラックスがばたん!といきなり入ってきてキスし始める。あれはいいシーンだったなー。

あと、プロムでトリップとラックスがテーブルの下に隠れて酒飲みながらキスし始めるところでかかるのが『I'm Not In Love』なのよね。この曲って、未だに真意が掴めない曲なんだよな。大好きなんだけど、なんでこの歌の主人公が、「私は恋してない」と言うのかがわからない。もう傷つきたくないから?それとも相手をじらしてるのかな?すごくドリーミーなのだけど、ものすごい冷めているようにも聞こえるし、悲しくも聞こえる、不思議な歌。なんかこの雰囲気が、この2人にピッタリ合ってた。

つー感じで観ているときは面白かったんだけど、観終わったら「なんだったんだろう」って感じの映画でした。

key Word
映画 ヴァージン・スーサイズ ソフィア・コッポラ キルステン・ダンスト ジェームズ・ウッズ キャスリーン・ターナー ジョシュ・ハートネット ダニー・デヴィート
DVDで見た映画 | コメント(13) | 【2008/09/15 03:12】
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このライブがスゴイ!!ジャーニー・フォーエバー!
Journey with Heart and Cheap Trick @ DTE Energy Music Theatre, Michigan September 9th, 2008

いつものことなんですが、今回も「あーかったりい~野外かよ~行きたくねーなーさみぃだろうなあ夜何着て行ったらいいかわかんないよ~」と文句タラタラで行って来ました。大体、チケット買った直後が超盛り上がっていて、毎日のようにそのバンドのCDばっか聴いて、ライブに行く頃が一番盛り下がってんだよね。

Journey Poster
デトロイト公演のポスターじゃないんだけど、これしか見つからなかった
その上、ミシガン野外コンサートのメッカであるDTE Music Thatre別名Pine Knobはうちからめっさ遠い上に、今回開演が7時なので、会社から即効帰ってもチープ・トリックは見逃してしまうかもしれないという危機感でストレス溜まりまくり。

スティーブ・ルカサー一緒に行ったKさんとの参戦だったのですが、営業の長の割にはあっさり5時に退社してサクッと迎えに来てくれたので、「これは行けるかもしれない~!」と思ったのも束の間。道路工事してやがる~!なんで今なの?!明日からにしろよ~!と車の中で走る勢いだった私とKさん。Pine Knobの駐車場に車を入れ、会場まで走っていく途中でチープ・トリック始まっちゃった!

「あ!この曲知ってる!きんこんかんこんって!」

だってKさん。私は知らんがな。このオープニング・ソングを聴きながら、入場の長~い列に並ぶ。アメリカは武器とかチェックするから、入場に時間がかかるんだお~。

2曲目が始まったところでやっと入場。とりあえビールもピザもあきらめて、走る走る!しかしすっごいデブが階段をものすごいゆっくり上がっている!張り倒して行くべきかどうか、真剣に考えていたらKさんが、

「ちゅー!こっちだ!」

あ、あのー、そのものすごい傾斜を上がっていくんですかっ(汗)しかし背に腹は変えられん。「ロビン~!今行くぜー!」と気合入れて(マジに叫びました)、芝生の傾斜を駆け上がる!と書くとさわやかだけど、トシなので思ったほど早く走れなくてもどかしい。

やっと芝生席の最上段から入り、どんどん下に下がって行くと・・・・おお~演ってる演ってる!ロビン・ザンダーだ!リック・ニールセンだ!ベースの人、なんだっけ!!この人が一番好きなのに名前が思い出せない。ピンクのベース持って、くりくりの短髪で、メガネかけて、なんかウィーザー風の(しかもウィーザーより可愛くてスタイリッシュ)なおじさんになってる!この人昔、激可愛かったもんなあ。

Kさんはもう芝生に座り込んじゃったので、一人でコーフンして観る。1、2曲目は逃しちゃったが、3曲目はどうだ!と思ったらまた知らない曲で、うーん、やっぱ私の好きな『Heaven Tonight』からの曲は演らないのかな・・・とか思っていたら、ロビンのMC。

「・・・・30年前に、武道館でライブした時・・・・・」

ここで客が一斉に「うぉー!!!!」やっぱ『アット・ブドーカン』はアメリカでも有名なのだな!

「みんなにわかってもらいたくて、この曲名をものすごくゆーっくり言ったのを憶えているよ・・・・今考えるとバカみたいだけど・・・・・こんな風に・・・・・

あーい うおーんと ゆううううう つううううう うわん みー!」

で、ちゃっちゃっちゃっちゃっ と軽快に『I Want You To Want Me』。その後、今度はリック・ニールセンのMCで、

「ミシガンはロイヤル・オーク出身のトム・ピーターソン作曲の、この歌です!」

とかいって、ベースソロから入る曲。でも知らない。曲はどーでも、トムってミシガン出身なんだ!うわーなんか嬉しいぞ!

その後、またリックが「おお!ジャーニーのジョナサン・ケインさん!参加してくれるんですか?!」

とか何とか言って、ジョナサンをキーボードに迎えて『Surrender』を演奏。ああ~やっと好きな曲だよ~と思ったこっからがすごい。『Heaven Tonight』『Auf Wiedersehen』と立て続けにキタ~!!!正直『Heaven Tonight』は超かったるかったけど、『Auf Wiedersehen』のあのわけわかんないオープニングが、実はトムがベースをびろびろびろって弾いてたんだとわかり、すっげえ感動~!

と思ったらあの独特の刻みが「じゃららら どっどっどっどっどっど ぱ~らら~ん」と始まりったところで「おおおおおおお~!~!~!~!」。なんたってこの歌めちゃくちゃ好きだから!!

この後は記憶にありませんが、確かあと2曲くらい演ってあっさり30分くらいで終わってしまいました。

Cheap Trick T
このTシャツ可愛いよね。後ろのツアー日程の一番目が日本だよ
で、「絶対チープ・トリックのTシャツ買わなきゃ!」と人ごみを掻き分けてTシャツ屋に直行、帰りにKさんの分もビールとピザ買って芝生席に戻ろうとしたら、大渋滞で全く動かない。もうほとんど東京の満員電車並みの人で、しかもアメリカ人譲り合わないから、こっち来る人とあっち行く人が押し合いへし合い状態でどこにも進まない。

なんとかKさんのところまでたどり着くとKさんも

「DTEにこんなに人入ったの、見たことない」

見回してみると、ホント、芝生席、足の踏み場もない!25ドルって破格に安いなあと思ってたら、定員以上人入れてるとしか思えない。あこぎな商売してんなー。

チープ・トリックの時リック・ニールセンがMCで、「今日はマニラからのお客さんもいる」って言ってたのは、ジャーニーの新しいボーカルのことを言ってるんだと思ってたら、良く見ると本当にフィリピン系らしき人がお客さんに沢山いるんだよね。そりゃそうだよね、あたしたちだって、日本人がジャーニーに入りました!なんて言われたら見に行っちゃうよねー、ってKさんと言いながらピザを食べ、ビール飲み、タバコを吸い、なんか幸せ~。

いい具合に酔いも回ってきたし、腹もこなれたし、早くハート始まんないかな~と思っていたら、ハートの面々がゾロゾロと出てくる。妹のナンシーが

「ハーイ。ウィ・アー・ハート」

って言って、ねーちゃんも含めた他のメンバーが、楽器も持たずにかたわらにたたずんでいる。ナンシーは、

「実は、ねーちゃんのノドの調子が悪くて、声が出ないので、今日はお休みしまーす。でも、チープ・トリックジャーニーという、ロック界最強のバンドが見れるんだから、いいよね!それじゃ!」

だって。で、ゾロゾロと戻って行くハートの面々。・・・・目が点・・・・・

あり得ね~!!あんた、野球のピッチャーじゃないんだから、中2日とかできないんだってば!ツアーする体力ないんなら、するなよ!かなりがっかり。

ハートが欠席することは決まってたらしく、セッティングはすでにジャーニー用にされていて、結構間髪入れずにジャーニー登場!

やっぱ今回は、ジャーニーの新しいボーカルのアーネル・ピネダがどんだけ歌えるのか、というのが一番の話題だったわけですが、しょっぱな2曲全く知らない曲で幕開け。3曲目は多分『Stone in Love』だったと思う。忘れてた~この曲!でも踊れるよ~やっぱいいな~ジャーニー!

『エスケイプ』の曲演ると、客の盛り上がりが違う。やっぱこの辺はむっさヒットしたんだろうなあ、アメリカでも。

で、この後『Keep on Runnnin』を演ったのですが、あれ?アーネル君がいない。しかし歌は聞こえている・・・誰が歌ってるんだろう?と思っていたら、大画面に大写しになるドラムの人・・・・・

きっぽん らーにん!
きっぽん はーぃでぃん!
きっぽん らーんにんあうぇーーーーーーー!!!!

なんかものすごい熱唱してるよ!!!!実は、この前に「ドラムすっげえパワーだなー」って感心してたのね。スティーブ・スミスできる人いるのかなーとか思ってたら、すげえじゃん、このドラムって。そしたら、歌も歌えるんだ、この人!しかもすっげー上手いの!この人の声もスティーブ・ペリーに引けを取らないよ。しかもあんなパワー全開でドラム叩いて、あんな声量でスティーブ・ペリーの歌を見事歌いこなすなんて!!!

惚れた!惚れたぜ!あんた誰?!

この人のせいで、アーネル君の存在がかすむ。いや、アーネル君もめちゃくちゃ上手いんだけどさ、この人が上手いのってバラードなんだよね。『Who's Crying Now』とか、久々に聴いたよなー。

わんらー ふぃーずざふぁー
わんはー ばーんずでぃざぁー
わんだー ふーずくらぁ~いんなー

いやーこのムード歌謡みたいなところがいい!!

『Lights』が始まったときは腰抜けるかと思ったし。いやー腹の底から一緒に歌いましたよ。でもこの歌のアーネル君の解釈キライ。この人高音とか結構サボる。まー長いツアーだからしょうがないんだろうけど。

『Open Arms』も演奏したし、『Separate Way』も演ったし、この辺結構盛り上がったなあ。アーネル君ってさ、歌よりも「カモン!デトロイト!」って言う言い方が、『ライブ・エナジー』のときのスティーブ・ペリーにクリソツなんですよ~。そっちの方が歌より感動したよ。

で、この辺で「じゃあ、ニューアルバム、『レボリューション』から2曲演ります」と言うと、Kさん

「じゃ、ちょっとトイレ」

ってあっさり。私もかなり溜まってたんで、え~そんな!って感じだったのですが、なにしろあの混みようで、2曲で帰ってこられるかも疑問だったから、ガマン、ガマン。

この2曲も悪くなかったんだけど、まあぶっちゃけ昔の曲を期待して行ったので、退屈。アーネル君が曲紹介で「チェンジ・フォー・ザ・ベター!」って言ったら、前にいたおっさんが、「ベター!」って笑ってた。「たー」の長音が短かくて、アメリカ人には可笑しいんだよね。私は言語学勉強したから理屈ではわかるけど、全然違って聞こえないけどさ。なんたってスティーブ・ペリーみたいに「デトロイト」って言えちゃうんだからさ。

で、この新曲2曲終わった後、なんと『La Do Da』なんか演りやがった!!!すっげえ意外な選曲!またドラムが上手いから、すげえかっこいいんだ!フロアタムとか入るともう最高。もしかしたらドラム・ソロも来るかな、と思ったけど、そこまで『ライブ・エナジー』してくれなかったなあ。

確かこの辺で『Mother, Father』を演るんだけど、これもドラムの人が歌う。なんで時々この人が歌うのか不明。アーネル君を休ませたいのか、アーネル君が歌えないのか。でもとにかく、ドラムの人の歌がすっごい良くって、胸の前で両手を握り締めたまま、ハート型の目で大スクリーンを観ていたよ、私は。だってさー、考えられないよ、あんな全開で歌って全力で叩いてんだよ!いつ休むの?!なんて体力!ああ、男らしい~!この曲って昔あんま好きじゃなかったけど、この人が歌ったのは一生忘れないだろうなーっつーくらい良かった。スティーブ・ペリーほどコテコテにドラマチックじゃなく、ちょっと感情を抑えたようなところがいいのよ!

そしてぶったまげたのは『Feeling That Way』を演ったこと。私さー、エスケイプとフロンティアーズのツアーは両方とも日本で観たけど、調度グレッグ・ローリー辞めたばっかりだったから、彼がスティーブ・ペリーとツイン・ボーカルとった曲って、全然演らなかったと思うのよね。そもそもグレッグ・ローリーのファンだったアタクシとしては、この曲聴くのはライブでは初めてかも!と思うと涙出そうになった。

そんでまたさー、ジョナサン・ケインがグレッグ・ローリーのパート、上手いのよ!あの『ブラックマジック・ウーマン』を歌ったほどのグレッグ・ローリーのエロいボーカルを、できるじゃん!ジョナサン!昔、借りてきた猫みたいだったくせに、すっかり自分のバンドみたいな顔して、ジョナサン・ケイン。そりゃそうだよねーもう20年くらい在籍してるんだもんね。キーボードはもちろん、ギターも弾くし、エロいボーカルもできる・・・・。こんなすごい人だったんだ。

二ール・ショーンも、私的には別にどってことないギタリストだったの。この人の早弾きって、「ごごごごごごご」って音の塊にしか聞こえないじゃん。ああいうのキライでさ。でも今回ライブ見て思ったのは、この「ごごごごごご」のあとに「きーーーーーーーーーーーん」って、ネックとボディの境目のとこのフレット思いっきりチョーキングするのがこの人の得意技なのね。ともすればカンに触りそーな際どい高音なんだけど、『Lights』のソロとか、ああいう泣きのソロになるといいよねー。スティーブ・ペリーの独特なボーカルも、もちろんジャーニーなんだけど、やっぱりニール・ショーンのギターがジャーニーなんだな、と思った。野外で風に吹かれながら聴いていると、すっごいこの人のソロいい!と思った。

もちろんベースのロス・ヴァロリーも上手いし、コーラスもできるし、とにかくね、ぶっちゃけあんまりジャーニー期待してなかったのよ。チープ・トリックの方が観たかったのね。でもやっぱあれよ、こういう実力あるバンドは、底力が違うなあ、と思った。もちろんチープ・トリックもいいバンドなんだろうし、当時は勢いもあったと思うんだけど、今聴くと、昔の曲を演ってくれて懐かしい、ってノスタルジーしかないんだよね。『Auf Wiedersehen』なんてすげえ大好きな曲なのに、正直レコードの方が良くてがっかりした。私の好きな小粋なドラムとか、刻みの独特な音とかが再現されてなくてさ。

でもジャーニーは、昔「だっせええええ」とか思ってた曲とかでも、生で魅せられる!やっぱこの人たち、すごい!あんなおっさんになってもなんでも、すっげえパワーだしさ。もちろんあれよ、チープ・トリックが調子悪かっただけかもしんない。全公演観れるわけじゃないから確かなことはわからないけど、この日だけでみると、もうバンドの格が全然違うなあと思った。

とか思ってウルウル感動していたら、『Wheel In The Sky』のイントロが。この曲絶対演らないわけないと思ってたから驚きはしなかったけど、始まったとき感動して泣きそうになったよ。ただでさえドラマチックな曲なのに~~~~!!!!

Journey T
買うのが遅かったのでこれしかサイズが残ってなかった。悪くはないが
おーおうお~おうお~ まーままままー

の後の、

「ふぉーつもろー!」

ってところは、お約束どおり客にマイクを向けて大合唱!ああ~『ライブ・エナジー』と一緒だー!アレンジも一緒だーここでリズムが「だかだかだかだか」になる~!最高ですううううう!!!!

と完全に酔いまくっていると、わー!!!

えにうぇいゆうぉーんに
 
ざっつざうぇいゆにーっで 

えにうぇいゆうぉーんに!!!

って『ライブ・エナジー』通りに『Anyway You Want It』始まっちゃったよ~きゃあああああああ!!!私の前にいたお姉さんも狂ってる~!やっぱこの曲いい!ニールのカンに触るギター・ソロ最高!

しせほ~~~~~おお~おおおおおるどん~!ほーるどん、ほーるどん、ほおおおおるど~~~ん!!

って、アーネル君、がんばる!!ス☆テ☆キ~!!!

この曲が最後だったんだけど、電気消えない。アンコール、演るのか!何演るんだろう?デトロイトだから『ディキシー・ハイウェイ』演るつもりかな?でも余りにもマイナー過ぎるよな~。『Anyway You Want It』出しちゃった後で盛り上がれる曲なんかあったっけ?なんか忘れてる?・・・・

アンコールに戻ってきたジャーニーは、なんか私の知らない曲を演った。左後方の、『エスケイプ』以降の曲全部歌ってたお兄さんが歌ってたから、私が憶えてない『フロンティアーズ』とかからの曲かも

「なんだい、こんな曲演るためのアンコールかよ」

と腐っていたら、あれ?もう一曲演る気らしい。

だったた たた だたたた だったた たた だたたた

とブルースのセッションが始まる・・・・この時点で「あ!!!そうか!!!」と思ったんだけど、ニール・ショーンの「ぴろりろ~~~~」ってフィルが入らない!でもこのゆる~いブルースセッションの後に演るのだな、演るのだな、『Lovin, Touchin, Squeezin』を!!!と思っただけで感動。思わせぶりなところが人の心を捉えるね、ジャーニー!だてに何十年もスタジアム・バンドやってない!

みんなで「ら~らら ら~らら ららら ら~ら ら~らら ら~らら ららららら~」と大合唱し、公演は終わる・・・・・

帰り、コーフンの余り「ジャーニーのTシャツも買いたい!」とTシャツ屋によったがために駐車場から出遅れ、ものすごい渋滞に巻き込まれて、しかも工事のせいでハイ・ウェイはとろとろ運転。帰ってくるのに2時間もかかったが、ラジオでジャーニーの『Lights』がかかり、ボーカルがアーネル君かどうか、聞き入る私とKさん

「これスティーブ・ペリーじゃないな!」

と2人で合意して、すげー満足気な私たち。「声が子供っぽいねー」とかさんざんアーネル君のボーカルこき下ろして「やっぱスティーブ・ペリーに敵うわけないんだよないんだよな!」なんてノスタルジーに浸る私たちって、バカみたい!

tetsu Sept
置いて行かれて、帰ってきたらふてくされて寝ていたてっちゃん
次の日一番でドラムの人のこと調べちゃった。名前はディーン・カストロノヴォちゅー人で、ジャーニーには2000年に参加。スティーヴ・スミスのファンと公言しているらしい。「げ~すげーオヤジじゃん!」と思ったらアタシとタメじゃん。アタシとタメの人ってこんなオヤジなのね、ショック!でもあんた歌もドラムもめちゃくちゃ上手いから許す。

ジャーニーってさ、私にとっては始めてのハード・ロック体験だったのね。それまでサザンとか山下達郎とか聞いていた中学生が『ライブ・エナジー』をラジオで聞いてぶっとんで、思わずラジオの前で踊らずにはいられなかったよ。カストロノヴォもアーネル君も、私と同世代で、ジャーニーのファンで、そういう人たちが今ジャーニーで演奏してて、なんか「みんなの夢を乗っけて走り続けるジャーニー!」って感じですっげえ感動したー!

ジャーニーばんざーい!!Journey, Forever!!

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音楽 ロック ジャーニー チープ・トリック ライブ デトロイト ディーン・カストロノヴォ アーネル・ピネダ
ライヴレポ・感想 | コメント(16) | 【2008/09/13 11:25】
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『コレラの時代の愛』-あなたの幸福観にチャレンジするストーリー
Love in the Time of Cholera

とりあえずこの題名がすごいですよね。"コレラ"と"愛"ってのが私の中ではどうも相容れなくて、ジョークとしか思えなかったの。タケチャンマンとかで純愛映画のパロディやるときにつけるような題名じゃない?しかし映画が始まってみると、コテコテの純文学・純愛映画。ロミオとジュリエットみたいな、思春期の燃え盛る恋。手紙を交換し合うだけの仲。髪の毛を一房切り取って、手紙に忍ばせると、受け取ったほうは恍惚の表情で匂いを嗅いだりする!時代設定は1900年くらいで現代みたいにすぐセックスできないから、純愛の方が逆にエロい。このトチ狂った状態を、コレラとかけているのか?

cholera
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Produced: 2007
Director: Mike Newell
Writing Credits: Ronald Harwood, Gabriel Garcia Marquez
Cast:
Florentino Ariza: Javier Bardem
Fermina Urbino: Giovanna Mezzogiorno
Juvenal Urbino: Benjamin Bratt
Hidebranda: Catalina Sandino Moreno
Transito Ariza: Fernanda Montenegro
Ricardo Lighthouse: Jhon Alexander Toro
Don Leo: Hector Elizondo
しかし娘の父親は金もない若造に大事な娘を傷ものにでもされたら困るってんで、田舎に引っ越してしまう。何年か経って娘がシティに帰ってきて、市場で再開する二人。しかし女の子は、「私たちの関係は愛じゃない。ただの幻想だったのよ」と男の子を袖にする。

女の子のフェルミーナ役は、一貫してジョヴァンナ・メッツォジョルノが演じるんですけど、男の子・フロレンティーノはウナクス・ウガルデという若い俳優が演じてて、市場でフロレンティーノがフェルミーナに声をかけるシーンでハビエル・バルデムに変わるんですけど、フェルミーナが突然冷めてしまったのは、久々に会ったフロレンティーノが激しく様変わりしていたせいか?!と思って一人で爆笑してしまいました。ウナクス・ウガルデも別にハンサムじゃないけど、アレが数年後にバルデムになってたら、私でも「あれは幻想だったのだわ」と思うよ。

で、フラれて失意のフロレンティーノが家でよよよと泣いてるところでまたひっくり返って笑ってしまいました。『宮廷画家ゴヤは見た』でも書いたけど、こういうヘタレな演技上手いんだよね~バルデム!この辺で「この映画ってマジでギャグなのかもしれない」と思い始める・・・・・。

傷心のフロレンティーノは、フェルミーナがいないところに行けば傷が癒えるだろうという母親の計らいで、遠いところに仕事を見つけてもらって、船で旅立つ。夜、フェルミーナのことを忘れられず、塞ぎこんで廊下を歩いていると、たまたま通りかかった部屋のドアが開き、一瞬にして部屋に引きずり込まれ、ズボンのチャックを下ろされ、女の人に乗っかられ、セックスさせられ、「これは起こらなかったことと思いなさい」と部屋から放り出される。全部で5分にも満たない出来事である。廊下で前を抑えて隠してボーゼンと立ち尽くすフロレンティーノ。このバルデムのあっけにとられた表情がが可笑しくて、またひっくり返る。振り返ってみると、犯されていたバルデムの表情も最高に可笑しかった。

やっぱりこの映画ギャグだ!

と確信した直後追い討ちをかけるように、今度は未亡人とのセックスシーン。ここも終始冷静なフロレンティーノに対して、すっげー大声で死んだ旦那のことをあえぎあえぎ話しながらヤリまくる未亡人が超笑う。

で、一夜明けて。

フロレンティーノは、この2回のセックス体験のことをノートに記録し、この後千人切り目指してヤリまくるのである・・・・・

キスもしたことない、手も握ったこともない女を50年間想い続ける傍ら、何百人という女と犯りまくる男っていう設定がもう既におちょくっていると思うのですが、ギャグがキツイだけで、内容は深いです。少なくとも、私とパティさんはこれを観た後、何時間も愛や人生や幸福について大議論を闘わせました。

フロレンティーノのキャラがおちょくってるのは、ものすごい保守的な結婚観・恋愛観・人生観・幸福観を持つ人たちだと思います。要するに、フェルミーナのような人生を歩む人たちだと思う。初恋は初恋であるがゆえに激しく官能的だけど、そんな一時の感情は幻想である。女のために安定した生活を約束してくれる生活力のある男と一緒になるのが、女の幸せである・・・・・。

これはすごく一般的な、今でも多くの人が無意識に信じていることだと思う。この映画は、こういう考え方を否定したり批判しているのではなく、フロレンティーノのようなナンセンスなキャラを突きつけることによって、本当にこの恋愛観、幸福観が自分の内から湧き出たものなのかどうかを、見ている人に自分で考えさせようとしているんだと思う。

それだけでなく、フロレンティーノと関係を持つ数々の女性たちを通して、セックスや恋愛に対する様々な解釈を提示しているんだと思う。船でフロレンティーノを襲った、愛もクソもない、ぶっちゃけ前儀もいらない、本当にちんこ突っ込むだけでいい女もいるし、セックスしたら、自分が一番でなくちゃヤダという、一番最後の大学生の女の子みたいのもいる。私とパティさんは、この色んな女の人の反応についてかなり盛り上がって議論しました。

加えてフェルミーナの夫となったフナベル、老いて気が狂ってしまうフロレンティーノのお母さん、フェルミーナのおおらかないとこイルデブランダ、フェルミーナのお父さん、フロレンティーノの下世話なおじさん、それぞれの登場人物一人一人が独自の恋愛感、幸福感を持っているのですが、みんな書くとくどいので、一番象徴的なフロレンティーノのフェルミーナへの手紙の一節を。

Think of love as a state of grace, not the means to anything, but the alpha and omega. An end in itself.

愛に目的なんかない、愛はそれ自体で完結している。愛は単に神の恩恵を受けている状態だと思えばいいのです。

これは、何かを愛することが幸福なのであって、愛することによって幸福が得られるわけではない、と言ってるんじゃないかと思う。つまり、フロレンティーノの場合、フェルミーナを愛したことによってかなり辛い思いもしたわけですよね。フラれるし、フェルミーナがフナベルと結婚したり、フナベルの子を身ごもったりする度に傷ついたりさ。ぶっちゃけ結婚もできなかったし、家庭も築けなかったし、回りからは男色家だと思われたりした。誰かを愛することはいいことばかりじゃない。辛いこともイヤなこともある。しかし人を愛する、ということ自体が幸福なのだ、とフロレンティーノは言ってるんじゃないかなあ。

フェルミーナは対照的に、初恋は幻想であると決定し、世間一般から見ればなんの不満もないような生活を送った。男前で優しく、生活力もある旦那。安定した生活、子供も持った・・・。しかし、フェルミーナは不幸なのよね。それはきっと、フェルミーナは愛を幸福を手に入れる手段にしたからだと思う。

でもさ、私も含めて、ほとんどの人はフェルミーナと同じだよね。だってさ、フェルミーナみたいなパターンってすごい多いじゃない。恋愛と結婚は違うって、長年連れ添っていけるような人を選ぶのだけど、上手くいかなくなると「ああ、やっぱりあの人と一緒になった方が幸せだったかな」みたいなの。アタシの友達にも今一人いるし、私も過去の彼氏にそう思ったことある。でもそれってさ、フェルミーナを見ていると「調子いいよな~」と思う。人の振り見て我が振り直せ・・・・。

フロレンティーノみたいな人の方がめずらしい。逆に言うと、フロレンティーノは愛でしか幸せになれないのよ。だからそれほどフェルミーナに執着するし、50年間も待てたんだと思う。フェルミーナが代表する私たち「普通の人」は、愛以外にも幸福になる手段があるから、恋愛をあきらめたりしても生きていけるんじゃないかなあ。だってフロレンティーノって愛のために死ねるなら本望だって言ってんだよ。私は死ねないもん。

だから却って、フロレンティーノが色んな女とやりまくるのは理解できる。フロレンティーノは、千人切りの話をおおらかに語れる友達のリカルドに「なんでお前はそう女にモテるのだ」と聞かれると、

「多分、私は愛が欲しいだけで、彼女たちを傷つける気がない、ということが、女たちにはわかるんだよ・・・」

なんて言う。つまりフロレンティーノは、男らしさを誇示するためのセックスはしないんだよ。セックスによって愛が欲しい、「神の恩恵を受けている状態」を一緒に体験したい、と思っているだけなんだと思う。愛しているのはフェルミーナであっても、愛がないと生きていけない男なんだから、フェルミーナから受けられないのであれば、他から調達してくるしかないもんね。

んーなんか取り留めないレヴューでごめん。愛とか幸福とかって、深く考え過ぎちゃうなあ。結局わかってないのよね、私。この物語を書いた人は、そういうこと一生懸命考えて、何らかの回答に達したんじゃないかと思うんだけど、それがこの映画で提示されているのかいないのか、私は良くわからない。でも自分の信じる愛だの幸福だのの捕らえ方にものすごいチャレンジされました。

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映画  マイク・ニューウェル ハビエル・バルデム ジョヴァンナ・メッツォジョルノ ベンジャミン・ブラット カタリーナ・サンディノ・モレノ ヘクター・エリゾンド フェルナンダ・モンテネグロ
映画紹介 | コメント(13) | 【2008/09/08 08:55】
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『ウェルカム・ドールハウス』-こっちの方がよっぽどイタイです
Welcome to the Dollhouse

7th gradeっていくつだ?12、3歳?いやー、主人公のドーン、可哀想だよな。アタシも中学のときいじめた子がいたよ。ブスで、頭悪くて、ダサくて、なんか見ててイライラすんだよね。こういう子が自分の子だったら、何て言って上げられるだろう?大人になった今だったら、こういう子が結構垢抜けて可愛くなったり、可愛い子が結構ちんちくりんになったりすることもあるから、「負け組みがずーっと負け組みってわけじゃない」って言ってあげるしかないなあ。でも毎日学校行くの苦痛だろうしね。

ウェルカム・ドールハウス
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Produced: 1995
Director: Todd Solondz
Writing Credits: Todd Solondz
Cast:
Dawn: Heather Matarazzo
Brandon: Brendaon Sexton III
しかもこの子は家でも疎外されてるしさー。妹のミシィはすっごい可愛くて、お母さんのお気に入りで、あからさまに差をつけられる。お兄ちゃんは学校でもドーンのようにダサ系の扱いされてるみたいなんだけど、お兄ちゃんの方はもう開き直って、モテようとか愛されようとか思わない、自分だけがんばってわが道を行くって悟っちゃったみたいなんだけど、ドーンは女の子だからかなあ、「愛されたい」「ポピュラーになりたい」って切実に思ってるんだよね。お兄ちゃんみたいになれれば楽なんだけど、こればっかりは努力してそうなれるってもんでもないしねえ・・・。本当にどうしてあげたらいいかわからないわ。

ドーンをいじめるガキ大将のブランダン、この子はいいね~。容赦なくドーンをいじめるんだけど、本当はドーンのことが好きなの。でもこの「好き」は多分、自分が孤独なのをドーンの中にも見たからなんだろうなあ。けしてドーンのこと可愛いとか思ったからじゃない。負け組み同士で傷をなめ合いたかったのよ。しかも、ドーンは人気ないから、自分でもやすやすと受け入れてくれる、なんていう打算もあったのかもしれない。だから、ドーンが「私はスティーヴが好きだから、あなたの彼女にはなれない」って言ったとき、傷ついただろうなあ。

ドーンが好きになっちゃったスティーヴは、お兄ちゃんの友達の高校生で、バンドやってんだけど、典型的なヒモタイプ。かっこよくて、ギターも上手くて、女にモテて、でも努力はしないし、人からの批判されるとすぐ怒るし、でも自分は必ずロックスターになると信じているタイプ。あんまり他人のこと気にしないから逆に、ドーンとも普通にしゃべったりするので、ドーンは受け入れてもらえたような気になってしまう。

とまあ色々あるんだけど、やっぱりドーンは誰からも愛されてないんだよね。ブランダンは家出してニューヨークに行っちゃうし、スティーブはもちろんドーンなんか対象じゃないし。ミシィが誘拐されたりして、私はマジに殺されてたらいいのに、と思っちゃったけど無事に帰ってきて、誘拐されたせいでますます親の愛情を独り占めするようになるし。ドーンの状況は全く変わらないまま、映画は終わってしまう・・・・・。

こんな身も蓋もない映画作るの誰だよ?!と思ったら『ハピネス』のトッド・ソロンズ監督なのね。わかる~!『ハピネス』も救いないもんなあ。『ハピネス』って続編出るらしいじゃん。いやーたまたま『リアリティ・バイツ』とバック・トゥ・バックで見たけど、こっちの方がよっぽどイタイ。自分でどうにもできないし、年齢的に。

PS
いつものことですが・・・・・『ウェルカム・ドールハウス』って邦題は、反則だと思いませんか?これだと「ドールハウスさん、よくいらっしゃいました!」って意味に変わっちゃうでしょ?「トゥ・ザ」っていうのがカタカナにすると収まり悪い、とか思うんだったら日本語の題名付けなよ。『人形の館へようこそ』でも『ドールハウスへようこそ』でもでいいじゃない。別に捻らなくても。こういうセンスがわからないんだよな~。

key Word
映画 ウェルカム・ドールハウス トッド・ソロンズ ヘザー・マタラッツォ エリック・メビウス ブレンダン・セクストン・Jr
考えさせられた映画 | コメント(20) | 【2008/09/02 08:53】
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『リアリティ・バイツ』-前評判ほどでは・・・
Reality Bites

私、『僕たちのアナ・バナナ』を観た時、「ええ~ベン・スティラーがラブ・ロマンス系なんて信じられない~」と思ったのですけど、もう『リアリティ・バイツ』の頃からそうなんですね。私にとってはベン・スティラーって『ドッジボール』とかあの辺のフラット・パック系のイメージ強くて。そしたらディレクターもこの人で、ってことはウィノナ演じるリレイナとできちゃう役柄も自分で演出しているのよね。まあ考えてみれば『ポリー MY LOVE』とか『メリーに首ったけ』もラブコメだもんね。

リアリティ・バイツ (ユニバーサル・セレクション2008年第9弾) 【初回生産限定】
dvd on amazon.com
Produced: 1994
Director: Ben Stiller
Writing Credits: Helen Childress
Cast:
Lelaina: Winona Ryder
Troy: Ethan Hawk
Vickie: Janeane Gatofalo
Sammy: Steve Zahn
Michael: Ben Stiller
Tami: Renee Zellweger
Reality Bitesってのは「現実はイタイ」という感じの意味だと思うのですが、どの辺がイタイのでしょう?やはりリレイナが、大学を優秀な成績で卒業しているのにマトモな仕事に就けないとか、親友のヴィッキーはエイズじゃないかと怯えているとか、その辺ですかね。まあ結構大学出た後の青春時代の終わりという普遍的な内容ですよね。

その中でも私的に一番イタイな~と思ったのは、イーサン・ホーク演じるトロイが、リレイナに言うこの台詞ですよ。

You can't navigate me. I may do mean things, and I may hurt you, and I may run away without your permission, and you may hate me forever, and I know that scares the living shit outta you 'cause you know I'm the only real thing you got.

"俺を操縦することなんかできないよ。俺はお前に意地悪なことするかもしれない、傷つけるかもしれない、お前の許可なくどっか行っちゃうかもしれない。それでお前は俺のこと一生大嫌いになるかもしれない。でもお前にとっては俺だけがリアルな存在だってことがわかってるから、俺のこと嫌いになるのがものすごく怖いんだろ?!"

いってぇ~こりゃイタイ!これは真実だよ!まさに「リアリティ・バイツ」!ど~しょうもないトンデモ男、バカでガキでロクでなしで、金はないわ、仕事はないわ、浮気性だわ。それなのに、なんでベン・スティラー演じるマイケルじゃダメなんだろう?バリバリ働いて、金持ってて、仕事だってなかなかアート性もあるし、優しいし、一生懸命だし、「きれいだよ」とか気持ちいいことも言ってくれるし、結構いい男なのに。

でも自分が「リアルに」感じるものって、あるのよね。賢い人は、「同じ苦労するなら、こっちの方が色々特典がある」っていう選び方ができる。例えばさ、同じ金出して家買うなら、新しくできた方が価値もあるし設備も新しいしとか。でも古い家なんだけど、なんだかこの雰囲気が好きだ、それにお金出してもいい、と思っちゃう人・・・・・

最後、トロイとリレイナがアパートに引っ越して、これから一緒に住むんだな、と思わせるところで終わるんだけど、あーあ、苦労するぜ~こんな男と一緒になったら!とか思いつつ観てしまったよ。でもさ、トロイはふらふらして全くヤル気ないんだけど、この子が一番頭いいみたいなのよね。これを観ていて、こういう頭いい子がヤル気にならない現代社会の問題ってなんなのかしら?と思った。で、結論は、今の社会って、安定し過ぎているのではないかと思った。

昔は、天候で作物ができなくて、飢饉で村が一掃されちゃったり、イナゴが大量発生しただけでみんな飢え死にとかしてたじゃん。トロイみたいな子は、そういう混沌とした時代だったら自分から率先して「ああしよう、こうしよう」ってがんばる人だったかもしれない。今みたいに、大体どう生きればOKみたいにあらかじめ先が見えちゃう世の中だとヤル気起きないのかも。

でもそういう悩みって贅沢だよね。まーそもそもこのジェネレーションX世代の悩みって贅沢なのよ。スターバックスで4ドルもするコーヒー飲みながらアフリカで飢えてる子供たちを憂うみたいなとこあるじゃん。しかも仕事ない、金ない、って言いながら毎日スタバ行くという、本末転倒みたいな。

この映画は昔からおススメしてくれる人が沢山いながら今までスルーしちゃったのですが、今回観ようと思ったきっかけは、ローラ・リニーが出てる、というのを発見したからなんですよ。そしたら見つける前に終わっちゃって、もう一回観るハメに。そしたらレネー・ゼルウィガーも出てるらしいんだけど、全然どれだかわかんないよ~!知ってる人教えて。

key Word
映画 リアリティ・バイツ ウィノナ・ライダー イーサン・ホーク ジャニーン・ガロファロー スティーヴ・ザーン ベン・スティラー ジョン・マホーニー レニー・ゼルウィガー
DVDで見た映画 | コメント(4) | 【2008/09/02 07:50】
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『ザ・フェミニズム』-フェミニストは愛の戦士だ!
We fight for real love!

上野千鶴子さんと小倉千加子さんという、自分の本でもズケズケ言いたいことを言う二人の対談って~!もうすっげー面白いですよ。でも断って置きますけど、この二人が結託して男とか社会とか男に依存して生きる女を攻撃している、というような内容を想像しているのだったら大違いです。

feminism
book on amazon.com
Issued: 2005
Written by: Chizuko Ueno, Chikako Ogura
CHAPTERS
大阪公開対談:小倉千加子、六年の引きこもりから復活すること
「フェミニスト」とは誰のことか/女性知事の登場は「フェミニズムの勝利」か?/林真理子はフェミニストか/代議制民主主義ほどフェミニズムから遠いものはない/少子化は女の復讐か/生存を賭けた結婚/新・専業主婦志向とは?/ハイクラスな女の「自己保存」/予言-「癒し系結婚」が本格的少子化をもたらす/フェミニズムはシングル女のバイブルか/フェミニズムは衰退したか/誰に向かって語るのか/フェミニズムは田中真紀子を支持するべきか/社民党はフェミニズム政党か/夫婦別姓は支持しない/正しいフェミニズム?/
東京密室対談:他のフェミニストたちにはとても聞かせられないこと
主婦フェミニズムとは?/ウーマンリブとフェミニズム/八十年代フェミニズムの正体/専業主婦とフェミニズムは結託できるか/性的自由は自由の根源/対幻想をフェミニズム/フェミニズムは強者の思想か/フェミはなぜ嫌われる?/広がる女女格差とフェミニズム/東電OLと雇用機会均等法/パラサイト時代の結婚/フェミニズムは何を達成したのか/リベラリズムはフェミニズムの敵である/クィア理論は是か非か/「老後は女同士で」という欺瞞/援交と新・専業主婦は、家父長制につく白アリである/フェミニズムが目指すもの
この二人全然気が合わない!「あんたあん時はこう言ったやん」とか「そういう言い方されると不愉快」とか、互いに互いの「フェミニズム」をツッコミまくる。しかも揚げ足取りの、重箱の角つつきの、ああ言えばこう言う、かなり恥も臆面もなく醜く争ってて、タイトルに『ザ・フェミニズム』とあるとおりに「さあ、フェミニズムというものをズバッと突きつけてくれよ!」と思う人にとってはなんじゃこりゃ~って感じになっちゃうかもしれません。

でもこれがフェミニズムの実態だと思うんですよね、アタシは。本の中でも語られている通り、フェミニズムって言っても女性を解放したいのか、女の地位を上げたいのかによっても違うじゃない。奇しくも私がついこの間『ダークナイト』で書いたけど、マギー・ジレンホールは女の地位を上げたい人なのよね。それに、フェミニズムの問題ってのは、他のあらゆる社会問題と関わってくる。結婚/離婚/非婚、少子化、老後の生活、職場、給料格差・・・・加えてゲイ・レズビアンの問題、性の問題など、突き詰めていくと「人間の幸福とは?」みたいな哲学的なところまでいってしまう。

一つ「うーん」と思ってしまったのは、二人とも「自由恋愛で不倫やってる女が一番かわいそう」と言ってるくだり。風俗嬢とか援助交際とか、男にヤラせるんだったら金取るか、妻という地位に座って養ってもらうんならまだしも、タダ乗りさせるとは何事だ、みたいな。この理論で行ったら、不倫って一番対等な関係に見えるんだけどなあ、私には。お互い自分の生活があって、女は男から金取らないし、男は女にパンツ洗えの夕飯作れのという要求もしない。デートしてセックスして楽しいときを過ごし、「じゃあ、また!」って自分の家に帰るから四六時中ベタベタしてうざったい関係でもない。でも一夜限りの関係じゃなくて何度もデートするんだったら、お互い気に入ってるわけじゃん。

上野さんは「対幻想とフェミニズム」という章で、対幻想というのは、お互いに特別な個人であっても、それは相手の性的自由の束縛までは含んでいない、という関係のことと言っている。「感情があることは認めるよ、でも感情とルールは違う」と。つまり愛し合っているという「感情」において二人は特別なのであって、他の人とは寝ないという「ルール」でお互いに特別であるのではない、と言っていると私は解釈したのですが、そうすると不倫と言うものが、女が好きになってしまった男がたまたま結婚していた。しかし男も結婚はしているけど愛しているのはこの女だ、という関係であるならば、上野さんの言う「特別な人」なのじゃないかなあ。「自由恋愛で不倫する」ってそういうことじゃないの?私だったら妻の座について養われていても「特別な個人」じゃない方が、よっぽどかわいそうだと思うし、ぶっちゃけこの場合、「特別な人」がいるのにそれに精神的にも肉体的にも縛られない不倫してる女の方がいいとこ取りだと思うが。

最後に二人はフェミニズムが目指すもの、という題目で締めくくろうとするんだけど、これが全然まとまんないんだよね~(笑)。でもさすが頭いい人たちだから、筋は通ってるよ。問題は3つあって、一つ目はフェミニズムが女性解放であるならば、何が解放なのかは個人によって違う「これが女の解放です!」って他人に押し付けられても、それは真の解放ではないから、個々が決めなくてはいけない。二つ目は、フェミニズムは男社会による「女とはこうあるべきだ」という決め付けと戦っているわけだけど、じゃあ「女とは何か」というのをフェミニズム側から「これです!」って言われても、やはり個々が「これが自分よ、これが自分という女よ」というものがなければ結局は押し付けになってしまう。最後に、もしフェミニズムが現在の男中心のシステムを覆して新しいシステムを作るとすれば、今度はそのシステムによって縛られる人も出てきてしまう。

この結論は賛成なのだけど、非常に女性的だなと思った。女性的で好き。男は、それでも「これ!」っていう集団としてのゴールを決めて、誰かが上に立って、誰かが歩兵になって、頂点を極める、って言うことに拘泥するけど、女は一人一人の要求を尊重して、誰かが歩兵になって犠牲になったり、誰かが上に立ったりしないような解決策を見出そうとする。解決しないんだけどさ~そんなことしてると!でも男の方法は即効性という意味では優れているけど、結局は戦いが繰り返されて行くので、一時的には解決したように見えても実はしてないのよね。現在の社会を見ればそれは明確ですよね。

フェミニズム/フェミニストと言っても一口で語れないことから、上野さんも小倉さんも「こんなヤツフェミニストじゃねえ」と他のフェミニストを批判してみたり、逆に「世間でフェミニストとして認められているのがコイツラだったら、自分らはフェミニストじゃないんじゃないか」と自己分析したりしているんだけど、私はフェミニストというのは、性別という概念や社会での性差別に関して「え?そうだっけ?」と思ったことは積極的に口に出していく人のことだと思うから、この二人はフェミニストだと思う。それにフェミニズムってのはイズム(主義)なんだから、なんかを成し遂げるとか解決するシステムじゃなくて、生き方ってことでしょ?

小倉さんは対談の間中、漫才に徹してるんだけど、最後に大真面目にこう言ってます。

"人間が自分の感情の潜在的可能性を開く時、最初に変わるのは他人との関係です。「制度化されたいかなる関係にも似ない、密度の濃い関係を数々もたらすことは可能だ」とフーコーは言ってます。(中略)問題なのは誰と誰が制度の外でセックスしているかではない。誰と誰が愛しあっているかなんです"

フーコーは愛を「他人を喜ばせることが出来る一切の事柄の総計」であると言い、小倉さんがフェミニストであり続けるのは

"私は人を、周りの人たちを喜ばせ続けたい。何でか言うたら、世界が色彩にあふれて見えるから。愛が飛び交う濃密な関係をあっちこっちでみんなが実践すればいいと思う。"

なんて言うんですよ!超ハードコアな、こわーいフェミニズムのお姉さんみたいな顔して、こんなロマンチストなんだ。私は小倉さんがフェミニストとして怒っているのは、形ばかりで愛のない関係を強要する制度なんじゃないかと思った。またはそれを疑問も抱かず許容している人たち。フェミニストとは愛のために戦う戦士なんですよ。美しいじゃありませんか!

小倉先生のほかの本
■松田聖子論
■結婚の条件
■セックス神話解体新書
■赤毛のアンの秘密

Key Words 本 ザ・フェミニズム 上野千鶴子 小倉千加子
たまには真面目なお話もしましょう | コメント(0) | 【2008/09/01 04:17】
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「嫌いなら観なきゃいいじゃん」と言うほど馬鹿げた理論はない!とアジテイトする『姫のお楽しみ袋』

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