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キュートな佳作-『プラダを着た悪魔』
The Devil Wears PradaシェアブログSpectatorに投稿

ニューヨーカー紙のような雑誌の編集者になりたくてオハイオの田舎からニューヨークに出てきた女の子・アンディ(アン・ハサウェイ)が、ファッション雑誌『ランウェイ』のキレモノ編集長・ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタントとして奮闘するというコメディです。

devil_prada2.jpg
dvd on amazon.com
CAST & CREDITS
Produced: 2006
Directed by: David Frankel
Writing credits: Aline Brosh McKenna, Lauren Weisberger
Cast:
Miranda Pristly: Meryl Streep
Andy Sachs: Anne Hathaway
Emily: Emily Blunt
Nigel: Stanley Tucci
Nate Adrian Grenier
この映画の見所は、なんといってもアン・ハサウェイ。すっごいキュート!大学出たての女の子の役がハマっています。彼女が雇われる『ランウェイ』は、ハイ・ファッションの雑誌という設定なので、アンディが面接に着ていくコートや、初日に着ているセーターなんかは「ださい」とかいってみんなにバカにされるのですが、ブロー・ドライさえしていない長くてふわっとした髪型といい、最初の頃のアンディのファッションは可愛い。

知的な理由から雑誌の編集者になりたいと思っているアンディは、ファッション雑誌なんてバカにしていたし、その編集長のアシスタントなんてちょろいと思っていたのでしょうが、このミランダという編集長がすごい。絶対人を褒めないし、物凄い要求が高い!

ミランダがフロリダに出張したとき、台風が来て、ニューヨークへ帰れる便が全て欠航。だが、娘の発表会が見たいミランダは休暇を取ってお父さんとすごしているアンディに電話してきて、何が何でもニューヨークに帰らせろ、とすごむ。お父さんと食事とかしながら結局、航空会社に電話して一日が終わってしまった可哀相なアンディに、週末娘の発表会に行けなかったミランダが言ったセリフが凄い。「今まではね、痩せてスレンダーな娘をアシスタントとして雇ってきたんだけど、みんな全然仕事ができなくてね・・・。だから今回は、デブでも頭のいい娘を雇ってみよう、と思ったんだけど・・・。がっかりね。」

これ以外にも、ミランダは爆笑名セリフがいくつかあって、一緒に観に行った友達との間では流行語になっている。

*The details of your incompetence do not interest me.
「あなたの無能さのディテールに興味はないわ」
アポの確認ができていなかったアシスタントに、要するに「言い訳は聞きたくない」と言っているんだけど、きっつ~。

*Yes, move at a glacial pace. You know how that thrills me.
「いいわねえ、氷河のようなその動き。ワクワクするわね。」
ゲスト・リストをみせて、といったら、アンディがそれをかばんから取り出すのに時間がかかったので、「早くしろ」と言っている。

*please bore someone else with your... questions.
「そういうつまらない質問は・・・他の人にしてくれる?」
カルビン・クラインのスカートを15枚買って来い、と言われ、「どんなスカートですか?」と質問したら、答えがこれだ。

もちろん、アン・ハサウェイはデブじゃないんですけど、キャメロン・ディアスとかあの辺のスレンダー・タイプではない。少しぽっちゃりしていて、そこがまたピュアな感じで可愛い。おっぱいもでかくて、アーミー・グリーンのノースリーブなんか着た時は、男が好きそーなムチムチ加減。

そんなアンディが、この仕事で上司に認められるには、自分もファッショナブルにならなければいかんと、ハイ・ファッションをまとい出すのですが、そこの描写が結構良かった。家を出るときと地下鉄に乗る前、地下鉄を降りた後、信号を渡る前、渡ったあと、と、ショットごとに違う服を着ていて、ファッション・カタログのよう。個人的にはああいう服、着心地悪そうで嫌いだけど、この写し方がなかなか洒落ていた。

あとのお話はご想像の通り、泣きの笑いのしながら少しずつ認められて行くアンディ、しかしあまりに仕事に打ち込み過ぎてボーイフレンドや友達が離れて行ってしまい、仕事を取るか、それより大事なものはあるか、という選択を迫られる。

アン・ハサウェイも良かったし、なんと言ってもメリル・ストリープの鬼編集長ぶりがハマりまくっていて面白かったので、このハリウッド王道的なストーリーにはちっとがっかりしましたが、キュートな佳作ではあります。デートで行くにはいい映画だと思う。[7/31/06]



Key Words
映画 プラダを着た悪魔 アン・ハサウェイ メリル・ストリープ 爆笑名セリフ お洒落な映画
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★☆今から見たい映画☆★ | コメント(13) | 【2006/11/29 05:24】
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ランシド『インデストラクティブル』-たまにはメンバーが全員生きているバンドを聴いてみよう!
Indestructible / Rancidシェアブログ1130に投稿

インデストラクティブル
cd on amazon.com

1. Indestructible 2. Fall Back Down 3. Red Hot Moon 4. David Courtney 5. Start Now 6. Out Of Control 7. Django 8. Arrested In Shanghai 9. Travis Bickle 10. Memphis 11. Spirit Of'87 12. Ghost Band 13. Tropical London 14. Roadblock 15. Born Frustrated 16. Back Up Against The Wall 17. Ivory Coast 18. Stand Your Ground 19. Otherside


最近良くイーメイルで話している旧友、K姉妹のおねえちゃんが最近お気にで、2007年の来日公演にも行く、と鼻の穴を膨らましている(いや、見たわけではないが)ランシド。私もたまにはメンバーが全員生きているバンドに親しみたいと思い、チェック!チェック!

いきなり今風の元気がいいパンクで始まり引いてしまいましたが、このアルバムがどーのこうのというより、「私は一体どういう音楽を求めているのだ」ということの良い指標になったね、これを聴いたことで。そもそも、なによ、「今風のパンク」って?! 今風って、最近の音楽ぜんっぜん聴かないアタシが、今風が何かなんてわかってんのかね?

と自分を批判してもしょうがないのだが、とにかく!このバンドのことは何も知らない私、VH1でちょこっとリサーチしてみたら、このアルバムは、ランシドの他のアルバムに比べるとバラエティに富んでいて、スカ/レゲエ調の曲、ラップの影響、ハードコア・パンク、オフ・スプリングやブリンク189(数字合ってる?!)などを髣髴とさせる曲が入っている、と書いてあったのだけど、本当にその通り。

スカ/レゲエ調(と思われる)『Red Hot Moon』を聴いていて、私は基本的に「スカ/レゲエ調」といわれるものは好きじゃないのだな、と思った。この曲は、ちょっとラップっぽいくだりもあるのだけど、それも「またかよ」と言うか、ちょっと辟易としてしまった。『8マイル』でも書いた通り、アートとしてのラップ・ミュージックって素晴らしいなと思うんだけど、あまりにも蔓延し過ぎてない?逆に言えば今更ラップの影響を受けてない音楽なんてないのかもしれないけど。

私が好きなのは、『David Courtney』と『Roadblock』!この2曲は、『Spirit of 87』みたいな、オフ・スプリングの影響がモロ見えちゃうような曲より、「お、これがこのバンドの音なの?」って思わされる。あと『Out of Control』とかは、ウンチク垂れる前にクビが勝手に振れてしまってます。「Out of control! Out of control!」というサビが、かなり使い古された表現とはいえ、やっぱりあがらえない。逆に次の『Django』の「Just like a deadman does!」って言うサビはすごい新鮮な響きでかっこいい。

全体的には、ベースがかっこいいね!私はベースってこだわりあるみたいで、ベースが印象的なバンドは大好き。でも基本的にランシドって、私にはドラマチック過ぎる。ボーカルのスタイルなのか、コード進行なのか良くわからないけど。歌詞は、『Ghoast Band』は「なんのことを言っているのかな?」と興味深いし、『Spirit of 87』は、状況が目の前に浮かんでくるようで好きなんだけど、総体的に見ると詩的じゃないというか、暗示がなくてストレート過ぎて、あまり面白くない。『Arrested in Shanghai』なんて説明文みたいで途中で萎えたよ。

こうして書いていると、思ったより好きだな、このバンド。自分の好きな曲を振り返ってみると、速い曲ばっかりなので、やっぱり根がメタルなのは一生引きずって行くらしい。なんでもこの一個前のアルバムがバリバリのハードコアばっかりなんだという情報を仕入れたのだけど、そっちの方が好きかもしんない。



Key Words 音楽 パンク ランシド インデストラクティブル
洋楽CDレビュー | コメント(2) | 【2006/11/26 12:17】
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たかがブログ、されどブログ-『超文章法』を学べ!
Can you really write?シェアブログ1172に投稿

最強「文章力上達」マニュアルという、エグい帯がついているこの『超文章法』、軽いエッセイから自分史、報告書や論文までを対象に「書きのワザ」についてのウンチクですが、私のように映画評やCD評、書評なんかを書くのを楽しんでいる者にも参考になりました。

「超」文章法
book on amazon.com

Issued: 2002
Written by: Yukio Noguchi
CHAPTERS

1.メッセージこそ重要だ
2.骨組みを作る(1)-内容面のプロット
3.骨組みを作る(2)-形式面の構成
4.筋肉増強-説得力を強める
5.化粧する(1)-わかりにくい文章と戦う
6.化粧する(2)-100回でも推敲する
7.始めればできる
「メッセージこそ重要だ」というのが第一章に来ているところが、ズバリ題に入る野口さんのウンチクらしい。確かに「書きたい!」と言うことがすでにあれば、文章がヘタクソだろうがなんだろうが、勢いで読ませちゃうものなのですが、それが明確でないことの方が多いのも事実。ではそのメッセージを見つけるために出来ることはというと、「考え抜くしかない」と書いていてあって、「そ、そんなご無体な」って感じなんですが、実際それしかないなと言うのは実感としてわかるところ。

私の場合は評を書くわけですから、題材は既にある。しかしそれに対して何を書きたいかを模索することが、「メッセージ探し」と言うことになりますが、「この映画つまんなかった」「この曲大好き!」「なんとも思わない」などはすぐ出てくるけど、「なぜキライか」「なぜ好きか」「なぜなんとも思わないか」というのがばっと頭に浮かんでくることはまれで、ほとんどの場合よーく自分と向き合って考えてみないとわからない。

しかし、一旦「これに関して書こう」と思ったら、いつもそのことを考えているもので、犬の散歩の時も、シャワーを浴びているときも、ご飯を食べているときも、それを考えている。だからいつかは出てくるし、それにこの考える過程が、実は書くことより面白い。

それから、こので指摘している「書き出しが大事」「言い訳するな」「印象深く終えよ」などは「そーなのそーなの」とうなずきながら読んでしまうところ。しかし私は終わりが尻切れトンボになってしまうことが多い。別に誰かを説得しようとか思っていないので、書きたいことをわーっと書いて終わっちゃう。書き出しは、結構こだわる。自分が人のを読むとき、最初でぐっと掴まれないと、絶対最後まで読まないから。言い訳は、してあるものを読むとやっぱりインパクト弱いので、自分では絶対したくないけど、「・・・と思う」ってのを連発しているときが良くあって、「いっかーん、・・・だ!って言い切らなきゃ」と変えることもしばしばある。

また、「比喩を使え」「具体例を出せ」「引用を使え」というアドバイスも的を得ているなあと思う。それって頭の中に絵を浮かばせることだから、あるとないとではインパクトが違うもんね。私は特に、アメリカに住んでいるからこそわかる日とアメリカの共通点や違いを、日の人にどう上手に伝えるかといつも考える。

私が日本にいたとき感じていたのは、アメリカだと、なんでも格好良く見えちゃうってこと。アホなこと言っていても英語だとカッコ良く聞えるし、田舎の町でもアメリカっぽくていいな、なんて思ったり。そういう先入観を持って映画や音楽を鑑賞して、かなり間違った解釈を自分がしていたので、英語のセリフや歌詞のニュアンス、ゼスチャーや表情の意味、歌や物語の背景などを、「アメリカでは、こうなんです」ってただ言われてもわかんないから、「日本だったら、コレみたいな感じ」と比喩や具体例を出して、日本人の感性に訴えようと試みる。それから、セリフや歌詞の引用は、印象的でいいんだけど、音楽雑誌のインタビューに出てくるような「翻訳日本語」だと、アメリカ人はみんな陽気で頭が良くてインテリみたいに聞えてしまうので、本当にしゃべっている雰囲気やニュアンスで日本語にして伝えようと気を使う。

ちょっと本筋からそれてしまいましたが(すげー悪い書き方の見本みたいになっちゃった)、この他に『超文章法』が強調しているところは、てにをはや、文章のねじれ、文と文のつながりを明瞭にするなど、作文のクラスでも教えてくれるようなことなのですが、これが簡単なようでいて難しい。というか、時間をかけて良く読めばわかるのだけど、勢いに乗って書いているときは、とにかく言いたいことをがーっと書いてしまいたいので、後から読むと主語と述語が呼応してないなんてのは当たり前、てにをははぐっちゃぐちゃ、「・・・だが・・・だが・・・だが」で果てしなく文が繋がっていたり、直すのに一苦労。

しかしこれは野口さんも指摘している通り、原稿用紙のマス目を埋めているわけではないので、削除、挿入、カット&ペーストが自由自在に出来るコンピューターで書いている限りあまり問題にならない。野口さんはさらに「だからワープロで書いている限り、書き始めれば必ず仕上がる、まずは始める事が大事」と最後の章を締めくくっている。

私は、こういうこだわりのある人のウンチク聞くのが好きで、もちろん大変いい勉強にはなったのですが、野口さんの著書を読むのは、おおむね面白いからです。本人がアドバイスしている通り、比喩や引用や具体例を良く使ってあるのだけど、物知りだから引用はシェイクスピアからスティーブン・キングまでだし、具体例も、本業の経済学から『プリティ・ウーマン』や『フルメタル・ジャケット』までと、趣味の広さが窺える(「多岐に渡っている」と言おうとしたけど、陳腐な表現を使うな、というのもこの本に書いてあるアドバイス。日本語では使える類語辞典がないので、英単語から逆引きして日本語の類語を探すのですが、野口さんも同じことをしているんだって)。それから比喩も可笑しくて、野口さんはなぜか「さらなる」という言葉が嫌いなのだけど、なぜかというと「髭を蓄えた警官が威張り散らしているのだが、ズボンがずり落ちている」と言う感じなのだ、ってどんな感じだよ!こういう人と一緒に飲みに行ったら、すっごい面白いだろうなあ。(と、やはり尻切れトンボで終わってしまう私の書いたものは)



野口先生の著書
「超」シリーズ以外にもまっとうな経済書も書いておられます。


Key Words 本 超文章法 野口悠紀雄 ブログ
実用書 | コメント(5) | 【2006/11/26 10:19】
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『エンロン』-米国最大の経営破綻』の全貌
Enron: The Smartest Guys in the Room

日本のみなさんは、アメリカのビジネス・ヒストリー上最大の破綻と言われたエンロンの倒産をご存知でしょうか?政治・経済に興味のある人なら知っているかもしれません。私は、そっち方面、たりらりらーのこにゃにゃちわ状態なのですが、この事件は大きく取り上げられたのも去ることながら、この会社に勤めていた人が一夜にして職を失くし、退職金も何もかも全部パーになったという事実が、小市民である私の興味をそそりました。

エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版
dvd on amazon.com
Produced: 2005
Directed by: Alex Gibney
Writing credits: Bethany McLean, Peter Elkind
これは、作品の中にも出てくるべセニー・マクリーンとピーター・エルキンドという人が書いた、『The Smartest Guys In The Room: The Amazing Rise and Scandalous Fall of Enron』という、エンロン事件の全貌を暴いた本の映画化で、ドキュメンタリーの様相を呈していますが、政治・経済のことを知らなくても、「人間はなぜ悪いことができるのか」という心理的な側面を、エンロンのエグゼクティヴや社員が犯したビジネス倫理の側面から追求しており、「こんな映画観れるかな~」と心配していた私でさえ、ぐいぐい引き込まれて一気に観てしまいました。

一番印象に残っているのは、資産や売り上げを公表する書類の改ざんと、「カリフォルニア大停電」の話しです。

これらのエピソードには、この人たちが別に悪いことをしているという意識がないことが良く現れています。売り上げをいかに多く見せ、会社がヘルシーな状態であるように見せる事はアカウンタントの力量ですから、あるレベルではどの企業もやっていることであり、エンロンの人たちは「そこまでしないだろう」というレベルまでやってしまっただけで、本人達は悪いと思ってないんじゃないかという感じがする。

そして、カリフォルニアの大停電に関しては、電気の値段を吊り上げてもっと利潤を増やすために、電気の供給を止めてしまうという、考えられないことをしてしまうのですが、これをしてしまった従業員達が電話で話しているところを聴くと、電気が止まったために困っているお年寄りをネタにして笑ったりしており、全く罪の意識を感じていないのがわかる。

人間は、環境によってこういう精神状態になれるらしく、エンロンというのは、弱肉強食、マッチョ・カルチャー、金を儲けられるやつの勝ち、金があるヤツだけ着いてくればいい、頭の悪いやつの価値はない、と言ったような一種異様な企業体質を持っていたと元従業員が語ります。

一方で牧師さんと思われる人がインタビューに答えていて、何人もの人がエンロンのような大企業で仕事が出来て意気揚々としているのに、何年か経つとみんな夜、眠れなくなったり、うつ病になったり、無意識のレベルでは悪いことをしているとわかっているために、人間性が破綻していくことも語られる。


こちらが原作。著者のべセニーさんは、フツーの人に見えながらかなり頭のいい人らしく、こういう人が本当のインテリって言うんじゃないの、と思いました。
そしてもう一つ驚くべきことは、この資産や売り上げを公表する書類と言うのは、投資家にとっては「この会社はいい会社か、ここへ投資して間違いないか」という重要な指標になるものなのに、投資アナリスト達がエンロンの書類の全く初歩的なごまかし、例えば単純に計算が合ってないとか、あるべき書類がないとかに気付かなかったことです。気付かなかったというより、誰もそのことをたいしたことだと思っていなかった。と言うのは、エンロンという会社は、今までないような画期的なビジネス・スタイルを考え出し、そのことを経済雑誌なんかでセンセーショナルに「斬新!」なんて取り上げられたことにすっかりだまされていた模様。

この本の著者の1人、べセニーさんは映画の中でもインタビューに答えていますが、大学生に毛が生えた位にしか見えない、特に頭良さそうでも、派手さもない人なんですが、この人はFortune 500のレポーターで、この人が唯一「計算が合わないし、これを見るとこの会社がどうやって利益を上げているのかわからない」と指摘し、エンロンのエグゼキュティヴにインタビューを申し込み、ごく単純な質問「どうやって利益を上げているんですか?」と質問するや、エグゼキュティヴ激爆!アカウンティングのスペシャリスト6人を彼女のところに送り込み、ツジツマの合わない説明で煙に巻き「彼女は馬鹿だからわからない」と決め付ける。

べセニーさんも、周りのアナリスト達が絶賛しているし、わからない自分が馬鹿なのかと思ったそうですが、そこはやはりこの人の方が本当は頭が良かったのでしょう、「エンロンは過大評価されていないか?」という記事をFoutune 500に発表し、それが後々には、『The Smartest Guys In The Room』のベースとなる。

しかし、やるせない気持ちになりました。もう既に50歳も過ぎている人が退職金全部失うと言うのは、結構辛いでしょうね。それに、会社の体質に洗脳されて、悪いことをしていると思わず人非人になってしまう普通の人たちも、きっと自分のしていたことを今振り返ってみて、物凄い罪の意識に捕らわれているかもしれない。しかも、実際に悪いことをしたエグゼキュティヴたちは、さっさと会社の株を払い戻して、それこそ何十、何百ミリオンドルというお金を手に入れてから会社を潰しているんです。犯罪の罪に問われたとしても、拝金主義のまかり通るアメリカでは、金の力で刑務所行きを免れたり、優遇されたりするのだろうなあ。[03/25/06]

Key Words
映画 エンロン 経済 べセニー・マクリーン ビジネス



エンロン関係の洋書

エンロン関係の和書
肝心の原作は翻訳されているのでしょうか・・・
映画 | コメント(9) | 【2006/11/25 22:45】
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『ロンサム・ジム』-ブシェーミ監督の、オフ・ビートな人間ドラマ
Lonesome Jimシェアブログ1573に投稿

オハイオ、インディアナ、ミシガンと言えば、「Mid West(中西部)」、Flat(平坦)で、Boring(退屈)なところの代名詞のように言われています。ここは東京を拠点に言うのなら茨城、栃木、群馬って感じ?千葉、埼玉のように電車で行って帰って来るほど都会に近くもなく、上京するとなったら住むしかない位の遠さ。

lonesomejim.jpg
Produced: 2005
Directed by: Steve Buscemi
Writing credits: James C. Strouse
Cast:
Jim: Casey Affleck
Anika: Liv Tyler
Sally: Mary Kay Place
Don: Seymour Cassel
Tim: Kevin Corrigan
Evil: Mark Boone Junior
このスティーブ・ブシィーミ(コメンタリーで本人が自己紹介で、「スティーブ・ブッセミ」と発音していた)監督作品の『Lonesome Jim』では、主人公のジム(キャシー・アフレック)は、ライターになりたくてインディアナからニューヨークに上京するが、夢破れ、無一文で実家に戻ってくるのですが、完全に打ちのめされている。

脚本を書いたジェームス・ストロウズは、インディアナ出身で、撮影の行われた街は彼の故郷、ジムの家も本当にストロウズの両親の家で、お父さんと姪っ子さんたちまで実際に出演している。家族の名前もみんなストロウズの本当の家族の名前。大都会でライターになろうなんて思ったら、夢破れて田舎に帰った人なんて沢山いたんだろうから、そういう人の話にインスパイアされたのでしょうか。

夢破れたジムには同情するのですが、なかなか素直に感情移入できないようなキャラクターに作り上げています。お母さん(メリー・ケイ・プレイス)の財布からお金を取ってバーに行き、昔の知り合いに会うと、のこのこ帰って来たのが恥ずかしくて避けるくせに、仕事着のまま飲んでいる看護婦のアニタ(リヴ・タイラー)に話しかけるときは「・・・マンハッタンに住んでいる頃、病院が近くにあったよ」とか、ニューヨークに住んでいたことをさりげなく自慢する。

それとか、30過ぎても最低賃金で働き、2人の娘の養育費を払えなくて両親と住んでいる、お兄さんのティム(ケヴィン・コリガン)に「俺もどうしょうもないけど、お前は悲劇だな。良く生きていられるな」などと言ったり、ジムのことをスゴイ心配しているお母さんが「息子達が幸せそうじゃないのは、私達のせい?親として、何か間違ったことをしたかしら・・・正直に教えて」なんて言うお母さんに「親になっちゃいけない人もいるってことだよ」なんて淡々と言ってしまう。

しかしジムのような状況では、自分のことも大嫌いだろうし、怒りや悲しみを他人に投影して意地悪になってしまうのは誰にでもあることなのですが、こうして目の前に見せられるとなかなか受け入れることはできない。そもそも、ライターになるなんて、どこでもできるじゃん。役者だったら、肉体的に都会にいて、色んなところに顔売らなきゃならないだろけどさ。このインターネットのご時世に、書くだけ書いて、あっちこっちに送るのなんて簡単じゃん。書きもしないでエロビデオ観たり、女引っ掛けたりしてる間に書けよ!とか思ってしまう。

リヴ・タイラーが演じる看護婦のアニタは、未婚の母なのだが、デートに息子を連れて行ったり、ジムとバーで出会った夜は自分の働いている病院のベッドにジムを連れ込んだりするキャラクター。デートの際はジムの家に息子を連れて行き、ティムの娘に子守をさせて、自分らはジムの部屋でチョメチョメとか・・・。息子可哀相!とか思ったけど、うちも母親と2人きりだったから、良く考えたら状況は一緒だなあ。女1人で子供を育てるとなると、女として生きることと、母親として生きることが両立できなくて大変だよね。

つーような役柄なのだが、ジム、テイム、それから二人の叔父にあたるイーブル(マーク・ブーン・ジュニア)が、こういう田舎街の、将来にあんまり希望のない人たちの性格をズバリ描写しているのに、このアニタは、リヴ・タイラーがハリウッド的過ぎて、イマイチ説得力がない。看護婦の安っぽいユニフォームを着せても、中古の型が古い車を運転していても、きれいに整えられた眉とか、プクッとしたモデル系の唇とか、スベスベのお肌、さらさらの髪、何を取ってもシングルマザーで、重労働の看護婦で、バーで男を引っ掛けて、子供を放ってセックスしちゃう「出口のない女」には見えない!

それを考えると、『グッドガール』で田舎のださい女を巧みに演じたジェニファー・アニストンは結構上手いのかもしれないな。それとも、リヴ・タイラーが生まれたときからハリウッド暮らしだから、やっぱり理解できないのかしら?中西部の田舎の人たちなんて。

ブシェーミ監督作品なので、彼が演技をするときに見せるようなすっごいオフ・ビートな感じが漂ってはいるのですが、それほど面白いとは思わなかった。全体にジムに同情できないような作りにしてあるにも関わらず、ストーリーの結末はかなりありきたりかなあと思ったし。オフ・ビートなインデペンデント系のテイストと、派手さのない淡々としたドラマの中間を行くような話で、丁度そのときの自分の気分にハマれば楽しめるかもしれません。



KEY WORDS
映画 ロンサム・ジム スティーブ・ブシェーミ リヴ・タイラー
今日のレンタルDVD/ビデオ | コメント(0) | 【2006/11/24 00:23】
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『おい、ディーディーいる?』-トシ取らないとわからない、若さ(バカさ)の代償
Hey, Is Dee Dee Home?シェアブログ1573に投稿

ディーディーって、いい男だなー。ステージでプレイしているところがちょぉぉぉカッコ良くって、「おっ」と思ったんだけど、あの間延びしたようなしゃべり方をしながら大きな目をくりくりさせたり、笑うとくちゃっと可愛い顔になっちゃったり、すっごいチャーミング。

deedeehome.jpg
dvd on amazon.com
CAST & CREDITS
Produced: 2003
Directed by: Lech Kowalski
Writing credits:
CHAPTERS
1.new york city
2.coping dope
3.chinese rocks
4.lyrics
5.heroin guru
6.no remorse
7.post ramones
8.paris
9.four stilettos
10. closing credits
このフィルムに納まっているインタヴューが行われたのは1992年だというから、1952年生まれのディーディーは40才か・・・。スリムにコンバース、肩幅が狭くて足なんかひょろひょろで、日本人みたい。体中刺青だらけで、「これはいついつ入れた、彼女とケンカしたときに・・・」「この『Too tough to die』は死にたくないと思ったときに入れた」と、刺青一つ一つを説明したりとか・・・。ううう、こういう男はチャーミングだけど、危険だ。こういうヤツに魅かれているようでは、一生幸せになれないわっ。

監督のレック・コワルスキは、『Born to Lose: The Last Rock'n'Roll Movie』に挿入するためにディーディーにインタヴューし、『Hey, Is Dee Dee Home?』は、そのディーディーのポーションだけをまとめ、2002年にでディーディーが死んだ後、発表したものらしい。

内容は、どんな風にディーディーとジョニサンがヘロイン仲間になったか、『チャイニーズ・ロック』はどういういきさつでハートブレイカーズの曲になってしまったか、なぜディーディーとジョニサンは仲が悪いのか、あの有名なフランスでの確執の真相は、などなど、ディーディー側の話を聴いてみたいファンなら必見、そうでない人には、ディーディーが座ってしゃべっているだけの、なんのこっちゃな1時間です。

レック・コワルスキは、ヘロイン・アディクトになんらかの魅力を感じているらしく、インタヴューの内容はほとんどがヘロインについて。毎朝ジェリー・ノーランが「ヘロインやりに行こう」とディーディーに電話してきたとか、ハートブレイカーズがライブの後お金をもらうと、みんなでヘロイン買ってパーティ三昧だったとか。

Please Kill Me』でリチャード・ヘルも語っていたけど、70年代初頭のニューヨークでは、ヘロインは全然危ないものだと思われていなかったらしい。「廃墟になったビルの5階とかで違法に売られているにもかかわらず、長蛇の列で、まるで人気映画を観るために並んでるようだった。みんなきちんと並んで、順番待ちをしている間におしゃべりしたりしてさ。当時は、ヘロインが中毒になるなんて、誰も思ってなかった。2週間使用しなければ、体から完全に排泄されて、それでOKだと思ってた」

40歳になったディーディーは「なんであんなにお気軽だったのかわからない。何歳でヘロイン始めたのかなんて・・・恐ろしくて言いたくない」と言っていたけど、70年代にヘロインやっていた人が廃人になったり、ばたばた死に始めてからじゃないの?みんな本当にヤバイと思い始めたのは?

だって話聞いてると、タバコみたいだもん。今はどーだか知らないけど、私が中学、高校の頃なんて、タバコ吸う→不良→かっこいいって感じだったもんね。そんで15,6歳の頃は、吸って具合悪くなってもすぐケロッと直っちゃうし、たいしたことでもないと思ってんのよ。それがトシ取るに従って真剣に具合悪くなったりして、止めようと思う頃には中毒になっていて、なかなか止められない・・・。

ディーディーもヘロインに関して、全く同じようなこと言っていた。それでもなんとか止めたんだけど、また始めてしまったときは、既に結構年くってたので、一回やると2,3日動けないんだって。で、また動けるようになるとまたやってしまう。それで何回も止めたり、また始めたりしたという話しなんだけど、タバコも全く同じだもんね。

ただ、身体に与えるダメージは、ヘロインの方が大きいみたい。年取って来てからタバコ吸うと、次の日まで残るなーって感じするけど、2,3日動けなくなるってのは、相当だよ。ディーディーは、このインタヴューの10年後に、ついにオーヴァードーズして死んでしまうんだけど、若い頃普通にやっていたのをやっただけなのに、身体が受け付けなくなっていたんじゃないかなあと思った。

ディーディーはヘロインを始めた事をかなり後悔していて、『チャイニーズ・ロック』も、作曲しなきゃ良かったと思っていたみたい。この曲のおかげで、まるでヘロインの教祖みたいに扱われるし、そもそもジョニサン達との確執が始まったのも、この曲のせいだし、みたいな。でも、反ヘロインみたいな曲を書いたりはしたくないんだって。「俺がどうこう言うことじゃないしさ、やりたかったらやればいいんだよ。ただ、その代償は自分で払うことになるってことさ」

若いとき、一時の快感のために冒した罪の代償を支払う-この意味がしみじみわかる私は年寄り臭く大人になったなあ。若いときは命は永遠だと思ってはちゃめちゃやるし、少し大人になってきた頃は、「今はこうでも将来良くなる」と信じている。でもトシを取ってくると、若いときにカル~イ気持ちでしてきたことが、今でも脈々と血管に流れていることに気がつく。いいことも、悪いことも・・・。

だけど、それを若いときに知ることはできないので、これが人生というものなのね。ジョニサンもディーディーも、あんな輝くような音楽を創り出して、それのおかげで救われた人がたくさんいるのに、本人達は結構哀しい最期だったりして、フェアじゃないわ、なんて思ったけど、なんだかんだ言いながら好きなことして生きてきたんだから、これでいいのかも。会社でスケベなおっさんと働かないで済んだだけでも幸せってもんよね。



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Key Words
音楽 パンク ディーディー ラモーンズ ヘロイン 
お気に入りミュージシャン | コメント(1) | 【2006/11/23 13:13】
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イギー&ストゥージーズ『Raw Power』-どうしても好きになれないの!
Raw Power / Iggy and the Stoogesシェアブログ1130に投稿

Raw Power
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1. Search And Destroy 2. Gimme Danger 3. Your Pretty Face Is Going To Hell (Originally titled 'Hard To Beat') 4. Penetration 5. Raw Power 6. I Need Somebody 7. Shake Appeal 8. Death Trip


イギー・ポップストゥージーズって、すっごい評価されていて、ファンの人も回りに多いし、ラモーンズニューヨーク・ドールズもみんな「イギー、イギー」って言ってるし、どんなすごいバンドなのかと思っていたら、

期待し過ぎたかな~。

第一印象はぶっちゃけ「古クサ!」音といい、曲調といい、「こういうのどっかで聴いた・・・・」という感じ。そんなこと言ったら、ラモーンズもドールズも、時代的には古いんだろうけど、私にとっては「今までこんなの聞いたことない」個性が感じられたんだけど、ストゥージーズは、「こういうの、もういい」って感じ?

でも、大抵の場合、何度も聴いていると良さがわかってきたり、印象が変わったりするものなので、カーステで毎朝聴こうと思ったんだけど・・・いつもかけてしばらくすると、無意識の内に違うCDに取り替えている!気がつくとドールズの歌に合わせて歌っていたりして、「あれ?!イギー聴いてたんじゃなかったっけ?!?!」って、コワ~。

で、環境が変われば、印象も変わるかと思って、今度は掃除のお供として聴き始めた。お風呂の掃除とかしながら・・・。どもそうすると、『Penetration』に入る「ぴろ ぴろ ぴろろろ」とかいうエレピとかに失笑してしまう。「なんだかなー」って感じで。

致命的なのは、私、イギーのボーカルってそもそも好きじゃないのかもしんない。甲高い声で歌ったり、低い声で歌ったり、がなったりバラエティに富んでいるんだけど、どれも作り過ぎに聞えちゃう。「あぉぅ!」とか「いぇぃいぇぃいぇ~」とかもちっともかっこいいと思わないしさ。

でも、もしかしたら歌詞がむっちゃくちゃかっこいいのかと思って、聞き取れないところは調べたりしてみたんだけど、どれも良くあるロックの歌詞って感じだもんなあ。『Search and destory』は、「Look out honey, 'cause I'm using technology」なんて、ビビッドな言葉や韻があったりしてカッコいいけど、他は目の前に情景が浮かんでくるでもないし、深く共感するでもないし、言葉遊びがいかす!とかも思わないし、思考のユニークさに「おお!」と思わされるでもないし。

やっぱ一応、ストゥージーズはミシガンのバンドだし、好きになりたくって色々やってみたけど、ダメだ。気分の問題とか、そんとき求めているものと合致しないと好きになれなかったりするんで、あと何年かしてもう一度聴いてみたらいいかもしんないけど、今回は打ち切りってことで!

追記:「Raw Power」ってかっこいい言葉に聞こえるけど、「実力」って意味なのね!今日たまたま見つけちゃった。



Key Words 音楽 イギー・ポップ ストゥージーズ Raw Power
洋楽CDレビュー | コメント(6) | 【2006/11/19 23:07】
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過酷なニューヨークをありのままに描く『What About Me』
What About Meシェアブログ1573に投稿

1992年のニューヨーク。両親に先立たれたリサは、マンハッタンに住む叔母さんのところに居候し、仕事を探しているが、学歴もスキルもないリサを雇ってくれるところはなく、ウエイトレスの仕事さえみつからない。その上、ナイーブなリサは、ニューヨークのストリート・スマートな人から1ドル、また1ドルと残り少ないお金まで騙し取られる。

What about me
dvd on amazon.com
CAST & CREDITS
Produced: 1993
Directed by: Rachel Amodeo
Writing credits:
CAST
Lisa: Rachel Amodeo
Nick: Richard Edson
Paul: Richard Hell
Dougie: Dee Dee Ramone
Raping Landlord: Rockets Redglare
Tom: Nick Zedd
Vito: Johnny Thunders
Joey: Jerry Nolan
一日中仕事探しで歩き回って、へとへとになって帰って来ると、なんと叔母さんは心臓発作で亡くなっていた。大家であるスケベ親爺(ロケッツ・レッグラー)は、リサに身寄りがなくなったのをいい事に部屋に押し入りリサを強姦し、その上アパートを追い出す。

行く当てもなく、真冬のストリートに放り出されたリサは、優しく声をかけてくれた男にスーツーケースをひったくられ、残りの持ち物を一つ、また一つ、と売りさばきながら、ゴミ捨て場から拾った毛布にくるまって道端で寝る、ホームレスとなってしまう・・・

私も一応、低予算映画ってのは観たことありますが、これは低予算どころか「No 予算」映画です。白黒で、フィルムのつなぎや、音響や、俳優の演技にいたるまで、「ヘタウマ」ならぬ「ヘタヘタ」!だけど、監督/主演のレイチェル・アモーディオさんは、ニューヨーク・パンク・バンドでドラムを叩いていた女性だと言うことですから、「金をかけない」「メイン・ストリームは全く無視」「ヘタヘタ」というのは、意図的に「パンク道」としての作風なのかもしれません。

音楽をジョニー・サンダースが担当し、出演者もニューヨーク・パンクのスター達が目白押しで、アル中のホームレスにディーディー・ラモーン、道端で殺されるマフィアの男にジェリー・ノーラン、リサを自由の女神に連れて行ってくれるいいヤツにリチャード・ヘル、そしてニューオーリンズに住んでいるリサの生き別れになった兄にジョニー・サンダース、その他にも私では知らないような、知る人ぞ知るニューヨーク・アングラ・アート界の人たちがいっぱい出ているようです。

リサがホームレスになって行く過程や、他のホームレスの人たちの生活、例えば、公園で焚き火を囲んで座っていたり、ビルの地下室にもぐりこんで寒さをしのいだりする様子が、90年代初頭のクリーンナップ前のニューヨークを良く描いているんではないかと思います。また、私の大好きなジェリー・ノーランは、ヤクザの抗争のために道端で撃たれて、出てきて2分くらいで死んでしまうのですが、こういうことも、当時良くあったことなのかもしれない。(いや、でばって2分で死んじゃうことじゃなくて、道端で撃たれることが)

実際、リサをしばらくの間泊めてくれたトム(ニック・ゼッド)のアパートでTVを見ていると、警官達が公園をねぐらにしているホームレスを追い出している様子がニュースで流れ、それを見たリサがホームレスのボーイフレンド、ニック(リチャード・エドソン)を探しに行く、というシーンがあります。

リサは結局、真冬に放り出されて風邪をひいてしまったのと、ニックを探しているときにバイクに当て逃げされた傷が元で、自由の女神の足元で死んでしまうのですが、出演者もみんなアクター、アクターしていない普通の人だし、映画にはありがちの「ヒドイ生活だけど、なんとなく憧れてしまう」といような描き方は一切なく、最後の最後まで悲惨を絵に描いたような話で、観てて梅干を食べたような顔になってしまいますが、70年代初頭のパンク/グラム/アングラ・シーンで活躍していた人たちが20年かけて見て来たニューヨークのありのままの姿を脚色せずに描いているところが、「No 予算」映画でありながらレンタル屋にあったり、日本のアマゾンでも売られているくらいの知名度がある理由かなと思いました。

ええトシして何考えてんねん、あんたは、と言われそうですが、私は密かに、つか、かなりおおっぴらに、この危険で、スリージーで、汚い、ニューヨークのストリートに憧れていたのですが、この映画を観て、「わたしにゃ無理だ」と思いました。ニューヨークのタフなストリート、いや、優しい人もいるんですよ。面白いのは、リサを当て逃げしたのはレズビアンのカップルなのですが、この人たちは、傷ついたリサを、自分らが当て逃げした相手とは知らずに、「どうしたの、怪我してる。手当てしてあげるから来な」と結構優しいんです。ただ、貧しくて、警察官とかからはいい扱いをされないので、警察沙汰になるようなことからは何が何でも逃げる。

とにかく生活が大変だからお互い、助け合い、騙しあい、あげたり、もらったり、盗んだり、恵んでやったり。こんな風に生きるのはストレス溜まりそう。私、ストレスに弱いからだめだわ。

しかし、色々考えさせられる映画ではありましたよ。ニューヨークで店でもやってマジメに生きている人たちの身になって考えてみれば、ホームレスの人たちが一掃されて街がきれいになっていいことなんだけど、自分がホームレスだったら?公園を追い出された人たちは、どこへ行ったんでしょう?街は、受け入れ先もちゃんと用意してくれたんでしょうか?あの人たちは行くところがなくて、道端で死んでしまったんではないでしょうな?

印象的だったのは、アパートの地下にもぐりこんで寝ようとしたリサとニックがアパートの人を起こしてしまい、「うるせー!」なんて怒鳴られるんですが、パンクスみたいな若い男の子は「お前ら、地下で寝たら警察呼ぶぞ!」なんて、パンクスのくせに権威主義!対して向かいの部屋のおじいさんは、「あの人たちは、寒さをしのげるところを探しているだけなんだから、ほっといたらいいじゃないか」と言うところです。こういう下町的心意気っていうのが、私が憧れる「失われたニューヨーク」だったのかもなあ。



Key Words 映画 低予算 ニューヨーク
魂の映画 | コメント(0) | 【2006/11/18 23:56】
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『チェルシー・ホラー・ホテル』血がどぴゅーとか出る、ディーディー・ラモーンのB級ホラー小説
Chelsea Horror Hotel>シェアブログ1170に投稿

こういうの、スプラッターホラー小説って言うの?そういうジャンルはあるのでしょうか?犬を殴ろうとしたイジワルなおばさんの腕を、肘から先、がっぷり咥えて引きちぎり、それをびゆーんと投げてしまう犬。地下室に放置されたバス・タブに、動物の血や内臓を入れ、そしてピラニアを放ち、夜な夜ないけにえをそこに放り込んで儀式をするカルト教団。

Chelsea Horror Hotel
book on amazon.com
CHAPTERS
1.the demon alcohol
2.the chealsea hotel lobby
3.straight and gay
4.1,800 dollars a month
5.something bad is happening
6.this evil place
7.no one could stay sane here
8.holloween, chealsea hotel, oct 31, 1997
9.friday the 13th, march 1998
10. vali
11. the crewka crewka
12. chinese rocks
13. 33rd and 8th
14. i kill joe
15. i make a deal with leonardo
16. henry's damn dogs
17. it gets hard to tolerate
18. bambie
19. fernando
20. what a faker she is
21. some kind of love
22. room #421
23. a big profit
24. grandma and i take a day off
25. the junkie grandmother
26. nice kaundry and dry cleaning
27. till tomorrow comes
28. misery
29. more misery
30. one last time
31. i saw the devil instead of the ramones
そんなの、『ソウ』を観ても悪夢に悩まされる私が、良く毎晩寝しなに読んだなーと思われるかもしれませんが、そこはやはりディーディー・ラモーン、B級ホラー的な可笑しさがあります。

背景は1997年のニューヨーク。ディーディーが当時の奥さんバーバラと、飼い犬のベンフィールドとチェルシー・ホテルに住んでいる。最初の数章は、登場人物紹介のつもりなのか、チェルシー・ホテルに住んでいる「Lowlife」、アル中やヤク中、ホームレスやピンプなんかの描写で、これ実話なんだと思ってた。

それが中盤、ディーディーの飼い犬、ベンフィールドがイジワル婆さんの腕を噛み切り、空気を吸い込んで2倍の大きさになってディーディーを守ったり、地下鉄の駅のトイレでディーディーがシド・ヴィシャスの亡霊を見たり、カルト教団の地下室での儀式、なんて出てくるので「フィクションなのかー」と思ったけど、この辺はまだ、ジャンキーが見る妄想の描写とも取れた。

しかしその後、ディーディーがチェルシー・ホテルのロビーで腕から血を吹いている男を野球のバットでめった打ちにして殺したり(このシーンは結構早くに出てきて、妄想かと思っていたんだけど)、トランスベスタイトのバンビを、奥さんのバーバラと一緒にめっためたに切り裂いて、目がポロっておっこっちゃうくらいにして殺したり(うう、『デビルマン』のマンガ版みたいっ)、どんどん殺人を繰り返していく。

で極めつけはカルト教団のヘッドがジョニー・サンダースジェリー・ノーランで、デッド・ボーイズのスティフ・ベイターや、シド・ヴィシャスもこれに参加しており、チェルシー・ホテルを崩壊させ、みんな地獄に落ちるんだけど、「その前にヘロインやって、ギグをやろう」って!なんのこっちゃ~!

あ、あと、ディーディーらしくて可笑しかったのは、地下で悪魔の集会が行われているとき、デビルが人間に乗り移って、何千何万と集まったドブネズミやゴキブリたちにスピーチするのだけど、そのときゴキブリを始めとする虫たちは、「ひざまずいて、触覚や手とおぼしきものをみんな一斉に上げたり下げたりして、デビルをあがめていた」。私、虫って大嫌いなんだけど、なんかこれって可愛い~!

そんなハチャメチャな小説でありますが、ラモーンズの歌の世界に通ずる異様な可笑しさ、描写のユニークさが反映されているし、シド・ヴィシャスや、ジョニー・サンダース、ラモーンズ等に対してディーディーがどう思っているのかが間接的に解る。ジョニサンがカルト教団のリーダーで、地獄を覗いてみたら、ラモーンズのメンバーがこちらを見上げて笑っていた、とかさ!でも、地獄に落ちる前にギグろう、って話になったとき、嫌だ嫌だと言いながら「う、つ、ついにジョニー・サンダースとジェリー・ノーランとプレイするのか、俺は」なんて思っているところが、なんだかんだ確執があっても憧れていたんだなあ。

インタヴューとかでも、ディーディーは結構音を言う人みたいだけど、こういうフィクションを書くっていうのは、自分でも気がつかないような潜在意識とかが表に出てくるものだから、当に深い深~いところでのディーディーの思考は、この小説にはストレートに反映されているのかなーと思いました。読んでソンはなかったね。



Key Words  スプラッター ホラー ディーディー ラモーンズ
お気に入りミュージシャン | コメント(1) | 【2006/11/18 22:26】
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リチャード・ヘルとヴォイドイズ『ブランク・ジェネレーション』-なかなかとぼけてていいです
Blank Generation / Richard Hell & Voidoidsシェアブログ1130に投稿

ブランク・ジェネレーション
cd on amazon.com

1. Love Comes In Spurts 2. Liars Beware 3. New Pleasure 4. Betrayal Takes Two 5. Down At The Rock And Roll Club 6. Who Says? 7. Blank Generation 8. Walking On The Water 9. The Plan 10. Another World 11. I'm Your Man 12. All The Way


リチャード・ヘルさんは、ジョニー・サンダースとハートブレイカーズのオリジナル・メンバーだったという経歴から興味があったのですが、後に『プリーズ・キル・ミー』で読んだところでは、「初めての短髪ロッカー」「ビリビリのTシャツを安全ピンで止めるのを始めた人」で、セックス・ピストルズのスタイルを創りあげたマルコム・マクラレンは、この人からインスパイアされたとか。しかもマルコム・マクラレンは、このアルバムのタイトル曲『ブランク・ジェネレーション』のような曲を書けとピストルズを奨励し、ピストルズのファースト・アルバムにその曲が入っているらしい(聴いたことないけど)。

そして、ハートブレイカーズの代表曲のようになってしまった『チャイニーズ・ロック』を書いているとき煮詰まったディーディー・ラモーンが助けを求めたのがヘルさんで、その流れでハートブレイカーズが『チャイニーズ・ロック』を演奏することになったという、いわばニューヨーク・パンク史上、欠かせない方なわけですな。

ああ、あと、ドラムのマーク・ベルさんは、後にラモーンズのマーキー・ラモーンになる人。

と、そういう先入観でこのアルバムを聴くと、ちょっと違うかも。ラモーンズのようなストレートなパンクじゃないし、ハートブレイカーズのようなストレートなロックンロールでもない。ジャズっぽいコード使いとか、シャンソンぽい曲、スイングみたいなの、フランク・シナトラみたいな曲もあるし、ブルース・ブラザーズみたいな曲もあるし。

それって、ギターの人なのかな、と思いました。全く歪んでないクリアなエレキの音で、でもポロロンって感じじゃなくて、私のシロウト的な感性で言うと、一番硬い弦をパンパンに張って、一番硬いピックでガリガリ弾いたような、なんとも言えない硬い音。

そして、リチャード・ヘルのボーカルが「あっは~ん」とか「ひ、ひゃ~」とかいう感じの、悪く言えばバカにしているようなボーカルで(カート・コベインとかも「あうっ」とかやるじゃない、時々。あんな感じ。個人的には、とぼけた感じがViolent Femmes ぽいと思いましたが)、最初、耳障りな感じがしたんですけど、楽曲はキャッチーでかっこいいし、結局は好きになってしまいました。(特に2曲目『Liar Beware』の「おぅおぅおぅおぅおぅおぅおぅお!」っての)

リチャード・ヘルが元々は詩人で、後には音楽家ではなく物書きになった経緯を知って聴いたので、歌詞がどんな感じか興味あったのですが、「これぞ私が思う英語の歌詞」って感じです!「何を言っているのかはわかるけど、なんの話やら意味不明」

例えば4曲目の『Betrayal Takes Two』なんか「人生の衝撃は僕ら自身の中で高まる・・・僕らが脱線してしまった本筋から・・・本棚から本を叩き落し・・・それから家に火をつけて、モーテルとくっついてるバーで会い、追った傷全てにキスをした。僕らは本当に生まれ変わったんだ・・・」とか、

なんのこっちゃね~ん!

9曲目の『The Plan』という曲も、人間関係とかに疲れた男が家にこもって電話にも出ず、一ヶ月かかってとあるプランを練り、昔から知っている女の子とともにそれを実行していく様子が淡々と綴られているのですが、何、これ、近親相姦の曲?! それとももっと抽象的な内容なのですか?!

でも、ヘロインとか薬物に関する話なんだろうなあ、と推測される一節も多くて、『New Pleasure』なんかは、まさにそれじゃないかと思うのですが、他の曲にもちょこちょこと、ヤクとか中毒に関する記述が見られたりする。

私が大好きな『Down at the Rock'n'roll Club』はそんな中でも一番歌詞が簡単なんですが(だから好きなのかも)、ボーカルも可愛くって、

みんなに「リチャード、今夜は出かけるの?」って聞かれたが
どうも気分が乗らないなあ

(と静かに歌ってからいきなり大きな音で)

でもシャツをビリビリに破いて
鏡にポーズを取ってみる
いやぁ!出かけるぞ!

うわーお!
イエ~
スコッチのソーダ割り!
イエィ!!

この「うわーお!」っていうのが、喉のゴロゴロ言うところを鳴らした、ホンマもんの叫びで、感心します。その次の「イエ~」ってのはスゴイ低音で、「スコッチのソーダ割り!イエィ!!」ってのが「酒が飲めるぞ!」って言っているようで笑う。

この叫び→低音って言うのをこの曲の中では何度か繰り返すんですけど、それがまさに「ロックンロール・クラブ」で色んな人がしゃべっているのを表しているようで楽しい。

要するに少しシアトリカルなのね。

その他にもこの曲には、

ストリートの空気は薄く、ぼんやり明るい夜
クラブの前には活力のないむき出しの目がたむろしている
でもドアを開けるとノイズが床を揺り動かす
毎晩毎晩来ているけど、今夜が一番!

なんて、これってCGBGのことかなあなんて情景が頭に浮かんでくるような描写がいい。

でもさすがは詩人、韻も良く踏んでるし、「Pompous jerk」とか、「Perpetual jive (dive)」とか、「Berserk」とか、あまりロックの歌詞でお目にかからないような単語がいっぱい。たくさん勉強させていただきました。

と歌詞の話しばっかで退屈されたかもしれませんが、さっき言ったように音楽的にもキャッチーで特に最初の3曲と5,6曲目なんかはノリノリ。ヴォイドイズって、パンクというよりニューウェーブ系に影響を与えたんじゃないかなあと思う。っつってもあんまり知らないからなんとも言えないけど。

でも確かに私のCDコレクションに新しい空気を吹き込んでくれたことに間違いはないです。



Key Words 音楽 リチャード・ヘル ヴォイドイズ ブランク・ジェネレーション
おすすめ音楽♪ | コメント(2) | 【2006/11/13 10:08】
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ジーン・シモンズ、これを聴けぇ!ヴァン・ヘイレンの伝説のデモ
Listen to this Gene / Van HalenシェアブログMETALに投稿

20061112114450.jpg

1.ON FIRE 2.WOMAN IN LOVE 3.HOUSE OF PAIN 4.RUNNNIN' WITH THE DEVIL 5.SHE'S THE WOMAN 6.LET'S GET ROCKIN 7.BIG TROUBLE 8.SOMBODY GET ME A DOCTOR 9.BABE, DON'T LEAVE ME ALONE 10.PUT OUT THE LIGHTS
Gene Simmons Produced Demos: Recorded at Village Recorder Studios, Los Angeles and Electric Ladyland Studios, New York, May, 1976

11.I'M THE ONE 12.RUNNNIN' WITH THE DEVIL 13.SOMEBODY GET ME A DOCTOR 14.IN A SIMPLE RHYME 15.I WANNA BE YOUR LOVER 16.LAST NIGHT 17.BAD WOMEN 18.ERUPTION 19.HOUSE OF PAIN 20.DOA 21.YOU REALLY GOT ME
Live at Civic Auditorium, Pasadina, California, USA, February 8, 1978


マイケル・アンソニーを聴いて「俺はべーシストになる」と決心した旧友Jちゃんがコピーしてくれたヴァン・ヘイレン海賊盤です。中に「やあ!諸君!」みたいな、デブリのしゃべりを意識したようなご丁寧な解説がついていて、それによると最初の10曲は、76年にスターウッド(LAのライブ・ハウスだよね、これ)でヴァン・ヘイレンを観てすっかり気に入ったジーン・シモンズが、自費でプロデュースしたヴァン・ヘイレンの一番最初のデモで、ジーン・シモンズ自らほとんどのレコード会社に営業したが誰も興味を示さなかったという、いわば失敗作?!

しかし、解説では、これは『77 Warner Bros. Audition』という25曲入りデモや『10 Song Warner Bros. Proposed 1st LP Demos』という、コアなファンだったらみんな持っている海賊盤とも違う、今まで公開されていない貴重な音源だ!と力強く語っています。

で、内容はどーかと言うと・・・イ、イモくさっ!『On Fire』は、デイブの声がわっかーい!この曲とか、タイトル見て「あ、知ってる」って物は大体がアレンジがあまり洗練されていないだけで、ほとんど同じ曲。『Somebody Get Me A Doctor』なんて、あの「じゃーんじゃーんじゃーん、じゃーんじゃーんじゃじゃーん・・・うう~うう~うう~」っていうドラマティックな出だしが、コンセプトは同じなんだけど、今一歩ダサいコードになっているのが面白い。

『House of Pain』って、『1984』に入っていた曲だけど、76年に既に存在していたのね。「ずじゃじゃじゃじゃじゃじゃーん、ぴよ~ん、ずじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃーん」っていうところが同じなのと、シメのギターソロに入る前の「じゃーんじゃーんじゃーんじゃーんじゃーんじゃーんじゃーんじゃーんじゃ~ん」(べべろっ、べべろっ、べべろっ、べべろって入る前の)切り替え部分をしょっぱなに持ってきている以外は、全く違う歌。『Woman In Love』という曲は『Van Halen II』に入っているけど、これとはタイトルが同じだけで、全く別モンの曲です。

それとか、『She's The Woman』っていう曲は途中のリフが『Fair Warning』の一曲目、『Mean Street』のギターソロの前に出てくるちょおぉぉぉかっこいいリフで、こういうのこねてこねてこねまくって、完成品になるまでいろんな風に使うのだな、とか、創作過程を想像すると面白い。

他のボツ曲は、ヴァン・ヘイレンの曲というにはリフが当たり前過ぎてイモくさいのですが、モトリー・クルーだったら喜んで使いそうな曲ばっかりです。こういうこと書くと「モトリーバカにすんじゃねえ」とかたわけたコメント残していく人が出て来るんだろうけど、わたしゃモトリーのファンなんだよ!モトリーは洗練されてないところがいいの!

11曲目から終わりまでは78年にカリフォルニアはパサディナで録音されたライブ。音はイマイチだけど、演奏は相変わらず上手い。手堅いマイケル・アンソニーのベース、きっちり弾いているというか、なんでもきっちり弾けちゃうエディ、文字通り血沸き肉踊るヴォーカルのデブリ。ドラムのおにいちゃんは、ドラム・ソロがめちゃくちゃしょぼかったけど、それ以外は他の方々に迷惑をかけることなくプレイしている。

しかしなんですな、最初からこんなに上手くて、全然成長が見られないバンドってのもめずらしいよね。初期の頃のライブって結構笑えちゃうもんだと思うんだけど、ヴァン・ヘイレンはこの頃でも超上手いもん。メタバカさんにもらった『ダラス・ダイヴァー』や、You Tube で観たUSフェスに全く引けを取らない。安心して聴けちゃう。

一曲目が私の大好きな『I'm The One』で、こりゃもういきなりキレます。『In A Simple Rhyme』も好きなんだけど、これってライブで聴くといつもがっかりする。スタジオ版の美しさも疾走感もなくて。全然違う曲みたい。ライブだと、歌のところの良さが全然出てないし。『Last Night』は、曲そのものは『Diver Down』に入っている『Hang 'em High』なんだけど、あのかっこええ「れざあ~、くろすひずさぁ~い」って呪文のようなヴォーカルではなく、ちゃんとメロで歌っていて、「は~んげむはぁ~い・・・」という替わりに「ら~すなぁ~~い」と言っているので、あとで歌詞を変えたみたい。

デイブのしゃべりというかあおりもこの頃から様になっているし。こんな人、ライブ・ハウスで観たら度肝抜かれるだろうな。すごい、すごい。『Somebody Get Me...』の前のしゃべりで、「Everybody's got appropriate state of mind~?」とかなんとか言ってあおっているところがあるんだけど、Great とかCrazy とか、いわば「ロック然」としている言葉じゃなくて、appropriate なんて長くて納まりの悪い言葉を使っているところが可笑しくてひっくり返った。それとか、ドラムソロの終わりかなんかに「来週のぉ~、金土にぃ~ウイスキーに来る人~?!ヴァン・ヘイレンがプレイするぜぃ~!」ってちょっと歌っちゃったりして、もう、こういうのデイブ微笑ましい。

で、最後の曲は『You Really Got Me』なんだけど、今まで大人しく、しかしすんごいかっこいいプレイをしていたマイケル・アンソニーが、イントロでブチ切れて、「かもんえヴぃばり!いゃぁぁぁ~~~~~!!!!」ってすんごいハイ・トーンで叫んじゃったところが「おお!~!!」。マイケル・アンソニーて、きちんと評価されているのかなあ。この人ベースも上手だし、歌もめちゃくちゃ上手いのに。

■ヴァン・ヘイレンの関連記事はこちら


Key Words 音楽 ロック メタル ヴァン・ヘイレン 海賊盤
ハードロック | コメント(3) | 【2006/11/12 22:48】
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ジョニー・サンダース&ハートブレイカーズ『デッド・オア・アライヴ』-どーせなら鬼になりきって、全部見せろ!
Dead or Aliveシェアブログ1551に投稿

In Cold Blood』を観たとき、ジョニサンがかんっぜんにラリッていて、「これを発売したヤツは鬼です」と言い放ったアタクシですが、前言撤回だっ。

jtdoa.jpg
dvd on amazon.com
Produced: 1986
SONGS
Prelude-Heartbreaker's Arrived at airport
1. Chinese Rocks
2. Pipeline
3. Personality Chrisis
4. One Track Mind
5. Too Much Junkie Business
6. Born to Lose
7. Hurt Me
8. You Can't Put Your Arms Around A Memory
9. Eve of Distruction / Like a Rolling Stone
10. In Cold Blood
11. Seven Day Weekend
12. SO Alone
13. Just Because I'm White
14. Baby Talk
15. Do You Love Me
16. Sad Vacation
こちら『デッド・オア・アライヴ』でも相当キテいるようで、ボーカルが重ねてあるんですけど、スタジオで重ねる分を録っているジョニサンもかなりキテいるのか*、歌ってないところに声が入っていたりして、最初「誰が歌ってるんだろう?!」とマジで考えていたワタクシ。それに、ウォルターも一緒に歌っているのに、ジョニサンの声を重ねたもんだから、ウォルターの声はキレイさっぱり消えちゃっていたりして。うーん、なんでジョニサンのビデオっていつもずさんなんだよぅ。

もういっそさ、全く編集なしでありのままを見せたらいいのに。このフィルムは、ジョニサンが出演している映画『Mona et Moi』や、アナーキー・ツアーの時の映像を挿入したり、『Hurt Me』はスタジオで録った映像に変えてみたり、『In Cold Blood』も、ジョニサンが暴走し出すと唐突に曲の途中でカットしてみたりしていたけど、いろいろ小細工しても、どーせきちんと編集しないんだったら同じことよ!見せてよ、赤裸々に!本当のジョニサンのライブがどんなだったかをさ!つまんなかったら自分で早送りするし!

でもま、この『Mona et Moi』って映画、レンタル屋にもないし、ちらっとでも観れたのは良かったけどね。ボーナスでワン・シーン丸々入ってるし。これ結構可笑しいの。背景がパリなので、ジョニサンが一応きちんと朝食を食べようと、わざわざフランス語で「牛乳ってなんて言うの?」なんて練習してさ、キオスクみたいな店に行ったとき、

「カフェオレ、カフェオレ」

って注文するんだけど全然通じなくて結局、

「あーもうっいいや!じゃあラッキー・ストライク、フィルターなし!」

って英語で言うとタバコは買えたりとか!

それから、これは一応ハートブレイカーズ再結成ライブなので、オリジナル・メンバーによる『L.A.M.F.』からの曲が聴けたのは嬉しかった。でも、ジェリー・ノーラン、大分パワー落ちていたなあ。ドールズの頃『パーソナリティ・クライシス』の叩き方が超かっこ良くてファンになってしまった私だけど、このフィルムでは、頭も振らないし、肩をくねくね上下させたりもしないし、全然つまんない叩き方だもん。

それに『パイプライン』でリズムがひっくり返っちゃって、ベースがジェリーのところへ行って直させたり、あのちょぉぉぉーかっこいい『Baby Talk』の弾丸ロールはちゃんと演ってたけど、コーラスから戻るときに入れ忘れて、へんな風に曲が終わっちゃったりとか。ジョニサンがラリって訳わかんなくなったのか、ジェリーが悪いのかははっきりわからないけど。

ギターも後から重ねてる可能性高いよ。『So Alone』なんて重ねているどころか、明らかに弾いているのに音を完全に消してあるから、相当ひどかったんじゃない。

もうここまで来ると、ジョニサンであればいいっていうか、『So Alone』歌うとき必ず座っちゃうとか、『Do You Love Me』ではヘンな踊りを披露しちゃうとか、どのビデオ見てもあまり大差ない。ボーナスで、『Born to Lose - The Last Rock'n'Roll Movie』のトレイラーが入っているんだけど、これが結構初期の頃のハートブレイカーズみたいなので、これはちょっと違うかも。ウェイン・カウンティも出てて、ディーディー・ラモーンがインタヴューに答えているみたいだし。

余談ですが:特典が面白かった

1.After Gig Scene とタイトルがついているが、さっき言った映画『Mona et Moi』のワン・シーンで、ギグのあとお金を分けているところなのだけど、内容はともかく、ジェリー・ノーランが出ずっぱりでワタクシとしてはちょっとコーフン。でもこの映画に出ているジョニサンは顔色が真っ白で蝋人形みたい。

2.Interview -これは、まんま『ゴッド・セイブ・ザ・クィーン-パンクロック・アンソロジー』に使われている。この時、「ニュー・アルバムのプロモーションで、トリオでマーキー5日間ギグ演ってる」と言っているので、それが最後の『Sad Vacation』の映像らしい。上記の映画でもウォルターはいないので、同じ時期なのかな。

3.『Born to Lose - The Last Rock'n'Roll Movie』のトレイラー。まだちょっと髪が長いジョニサンが鋲打ってあって肘まである、ロブ・ハルフォードみたいなアーム・バンドしててかっちょええ。

4.Credits & Books-ニーナ・アントニアのジョニサン伝記本『イン・コールド・ブラッド』の紹介。これは色々レアな写真とかもあるらしいし、アマゾンで簡単に買えるので、いつか読むつもり。

5.Catalogue-このビデオ発行元のジャングル・レコードだかの他のDVDの紹介があってさ、DVDの一部を観られるんだけど、まあ、デッド・ケネディズとかバズコックスとかはわかるし、ジョニー・キャッシュも私はこの人結構パンクしてると思うからいいんだけど、Divine Shoot Your Shot & Live at the Hociendo ってのがすごかったよ。トランスベスタイトですんごぉぉぉぉい太っている人が歌ってんだけど、ヘドウィグのデブ版みたいな。こういうのジャンルとして好きな人にはどってことないんだろうけど、わたしゃ度肝抜かれました。

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Key Words 音楽 ライブ デッド・オア・アライヴ ジョニー・サンダース ジェリー・ノーラン ハートブレイカーズ

*追記
今考えてみると、重ねているボーカルって、あえて録ったんじゃなくて、スタジオ版録音そのままダブしてるかもしれない・・・・詐欺だぁ~!
| コメント(0) | 【2006/11/12 11:27】
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『プリーズ・キル・ミー』-パンク前夜のニューヨークに想いを馳せる・・・
Please Kill Me: The Uncensored Oral History of Punk

読み始めたのはずーっと前なんですけど、あんまり面白くて何度もページ戻ってしまったので、書くのが遅くなりました。

Please Kill Me: The Uncensored Oral History of Punk
book on amazon.com
CAST & CREDITS
Published: 1996
Authors: Legs McNeil, Gillian McCain
CONTENTS
All Tomorrow's Parties: 1965-1968
I Wanna Be Your Dog: 1967-1971
The Lipstick Killers: 1971-1974
The Piss Factory: 1974-1975
You Should Never Have Opened That Door: 1976-1977
Search and Destroy: 1978-1980
Nevermind: 1980-1992
題名にもあるとおり、全て雑誌等のインタヴューの抜粋で、文章でどーのこーのと説明してあるところは全然ありません。それゆえ、友達の昔話を聞いているような面白さがあるのですが、逆に全く知らない人の話だと、誰が誰とか、いつなんどき、ってのがわからなくて退屈したりします。私にとってはヴェルヴェット・アンダーグランドの話がまさにそれでした。

取り上げられているアーティストは数多く、ここに名前を挙げるのも面倒臭いくらいなんですけど、まあ、イギー&ストゥージーズとか、パティ・スミス、ドアーズ、ラモーンズニューヨーク・ドールズリチャード・ヘル、デッド・ボーイズ、セックス・ピストルズなどなどで、お互いのバンドのことや、友達としてのコメントなど、交友関係や当時のシーンの感じが伝わってきます。

過去に見たニューヨーク・パンク系統のドキュメンタリー・フィルムなんかを観ると、著者の1人であるレッグス・マクニールは必ずインタヴューに答えているし、このの中で語られていることで「面白い」と思ったことはやはりミュージシャン達がそれらのドキュメンタリーで語っているのでわざわざここに記すまでもないかも。しかし、そういったフィルムでは通常バンドと関係ある人、メンバー、マネージャー、ローディまたはメンバーの家族のインタヴューが主ですが、このでは、バンドを取り巻くグルーピーやガール・フレンドの話がたくさん載っていて、それがすごく新鮮で面白い。

これを読むとグルーピーっていう観念が少し変わってきます。日で外タレのグルーピーっていうと、全然知らない外人が日に来たときわざわざこっちの方から空港まで追っかけて行って☆やっちゃう☆っていう感じがありますが、ニューヨークのシーンでの女の子達は、バンドの友達であり、彼女であり、その中でくっついたり離れたり浮気したり、普通の私達が持つような関係を持っている。

もちろん、私が持っていたグルーピーという観念そのままの話もたくさんあります。例えば、ドールズ時代のジョニー・サンダースと恋に落ちたセイベル・スター。この娘はLAのグルーピーなんですけど、13、4歳で既にイギーとストゥージーズのメンバー全員とチョメチョメ関係、ジミー・ペイジ、デヴィッド・ボウイともウハウハ。「私がまだやってないロック・スター」というリストを持って歩いていて、その中にゲイのウェイン・カウンティの名があり、「やってくれなきゃ自殺する」と言われたウェイン・カウンティが「俺はホモなんだってば!」って言って断ったら当に自殺しようとした、というエピソードにはひっくり返りました。

セイベルは、ジョニー・サンダースの大ファンで、ジョニーはセイベルのことを雑誌で見て気に入っていて(当時は有名グルーピーもロック雑誌に良く出ていたそうな)ドールズがLAに来たときセイベルが空港まで迎えに行き、お互い一目惚れで、セイベルはグルーピー引退宣言をし、ニューヨークに来ちゃうけど、ジョニサンの暴力が原因でLAに帰ってしまう。この後セイベルはキース・リチャードとも付き合い、何年かしてニューヨークに遊びに来たとき、すでにハートブレイカーズを結成していたジョニサンと再会。しかし、その時ジョニサンに紹介されたリチャード・ヘルと恋に落ちてしまう。

それから、モデルとして生計を立てていたシリンダ・フォックス。この人はドールズのデヴィッド・ヨハンセンの彼女で、短い間結婚していたこともあったようですが、デヴィッド・ボウイとも浮名を流し、またジョニサンと浮気したこともあったらしい。生粋のニューヨーカーで、シルベインから「6人目の女ニューヨーク・ドール」と言われるほどバンドとは親しかったのだけど、後にエアロスミスのスティーブン・タイラーと結婚して、確か子供ももうけたはずですが、後に離婚。

私がシリンダのこと大好きなのは、この人はジョニサンとジェリー・ノーランの死に目に立ち会っていることです。彼女の離婚後と思われる「人生で一番辛かった時期」、多分80年代中盤から後半くらいに、シリンダはジョニサンと交友を持ち続け、ニューヨークに家のないジョニサンを泊めてあげたり、ドラッグでヘロヘロのジョニサンをお風呂に入れてあげたり、ずーっと友達でいた。それだけでもこの人いい人なんだろうなと思うんですが、ジェリー・ノーランが病院で昏睡状態に陥ったときもそこにいて、朦朧と意識がない状態のジェリーがシリンダを見て、「I remember...」と、「あの頃のこと憶えているよ」と言ったってんだから、そうとう親しい友達だったと思われる。

それから、べべ・ビュエル(Bebe Buell)というモデル。この名前を聞いてもピンと来ないかもしれないけど、この人が女優リヴ・タイラーのお母さん。彼女は、レブロンやエイボンなどの有名化粧品メーカーのモデルだったんですけど、パティ・スミスに勧められてプレイボーイで脱いじゃったことからまっとうな仕事がグっと減ったというエピソードを持つ人。パティ・スミスとの出会いは、当時トッド・ラングレンの彼女だったべべを、トッドが自分の元カノであるパティに紹介したのがきっかけだとか。べべの方がずっと年下だったので、トッドとケンカしたりするといつもパティに相談しに行ったらしい。パティはいつも詩を書いたりしているのだけど、べべが訪ねて行くと追い返したりせず、時にはヘア・ブラシをマイク代わりにレコードに合わせて二人で歌を歌ったりしたそうな(これはパティが歌い始めるずーっと前のエピソードだそうです)。

べべは17歳のときトッドと知り合い、かなり長い間一緒に住んでたみたいなんですけど、付き合いだした当初からトッドは浮気三昧なくせに、「私がドールズを見に行き過ぎだっていつも文句言ってた」と、全くフツーのカップルらしい話もある。そして、そんなとき出逢ったイギー・ポップと2、3週間不倫(?)したこともあったそうな。

そのエピソードが面白い。ドラッグでへべれけになってドールズのギグに来ていたイギーを誰も面倒見て上げなかったんで、べべが介抱してあげたら、次の日、しらふのイギーがべべとトッドが住むアパートを訪ねてきたんだと。「あんなにへべれけだったくせに、私の住所を憶えていたなんて!」と、べべ。イギーは、リビングのソファにのうのうと座り「君達は昨夜、当に良くしてくれて、感謝しているよ・・・。いいアパートだねここ・・・そういえば俺、何日もお風呂に入っていないんだ・・・。ちょっと一っ風呂浴びていいかな?」とシャワーを使い、トッドがツアーに行ったのをいいことにべべとデートしたそうな。「イギーはものすごい人を操るのが上手かった」とべべも言っているけど、ヘロイン中毒の人はみんなそうだったみたい、この本を読むと。

べべはリヴが生まれてすぐ、トッド・ラングレンの子供だってウソをついていたらしい。スティーヴン・タイラーとの話は、この人にしてもシリンダにしてもほとんど載っていないから、なぜなのかとかはわからないけど。

パティ・スミスも、結果的にミュージシャンとして成功したからそうは見えないけど、元々はこのグルーピーのような女の子たちとあまり変わらなかったよう。ストーンズにかぶれていて、ブライアン・ジョーンズが死んだときには大騒ぎだったらしい。アパートにロック・スターの神棚みたいのが祭ってあって、ミュージシャンだけでなく、有名な男のアーティストをファックすることで自己を発見していくというようなコンセプトを持っていたと、友達だか、バンドのメンバーだかが言っていた。

しかし、当時、ロックバンドはほとんど男ばっかりだったわけで、女としてシーンに関わって行くということは、男のロッカーたちと深い関係になること、と思ったとしても不思議はない。パティはそんな中にいてもアーティストとして浮上してきたのだから、やはり才能があったんだね。彼女のインタヴューですごく印象に残ったのは、

「私の書く詩はほとんどが女のことを書いている。だって、女の方が刺激的だもん。でもほとんどのアーティストは男でしょ?男は誰に刺激を受けるのか?女に受けるのよ。でも私は男と恋に落ちるし、男は私を支配する。私はウーマン・リブって好きじゃないの。だから男のことは書けない。だって私は男の手の平で踊らされているだけだもん。でも女に対しては、私は男のように振舞える。男のように、女を女神として崇め、自分のアートを創るために利用しているの。」

これって、すごい!私も同じようなことを感じていたけれども、これほどはっきりと、言葉にできるほど固まった概念として意識に浮上してこなかった。こんなに明確にこのコンセプトに気がついていたとは。やはりスゴイ人なのだな、パティ・スミスは。

それと最後に、コニーというグルーピー。この人はドールズのべーシスト、アーサー・ケーンと付き合っていて、アーサーに逃げられた後は、ディーディー・ラモーンの彼女だった。

コニーは上記3人とは全然違くて、ストリートで客を拾うような売春婦だったそう。背が高く、胸もお尻も大きく、がははと下品に笑い、ジャンキーで、容姿もあまり良くなくて、売春でお金があったので、ミュージシャンにヘロインを買ってあげることで彼女として納まっていたらしい。アーサーの親指を切り取ろうとしたとか、アーサーやディーディーに言い寄ってくる女と割れたビール瓶でケンカしたとか、クレイジーなイメージのエピソードが耐えない人。付き合ってた男ともいつも殴りあいのケンカをしていたらしく、ディーディーなんか、25セント玉を指の間に挟んで突き出した拳でコニーを殴っていたという話もある。

しかし、コニーは、そんなクレイジーな面からは考えられないほど女らしかったんではないかと、ディーディーと後に結婚した女の人の話から想像される。コニーは、ディーディーに家庭を作ってあげたいと思って、お金もないのにカウチを買った。それが唯一彼女が考え付く家庭というイメージのものだったから。しかしそれをディーディーはナイフでビリビリに引き裂いた、という話し。また、ディーディー自身も、「あの頃、なんでコニーなんかと付き合っているんだって言われたけど、俺は住むところもなかったんだよ。コニーだけが、ご飯ちゃんと食べたの、とか、今夜寝るところはあるの、とか聞いてくれた。俺のこと気にかけてくれるのは、コニーだけだった」と言っている。

この人は身よりもなく、90年代にビルの踊り場かなんかでオーバー・ドーズで死んでいるのが見つかったそう。ニューヨークでは昔、廃屋になったビルでジャンキーが死んでいるのって当たり前だったらしい。コニーは、シリンダやべべやパティと違って、成功もしていなければ、きれいでもなければ、尊敬もされていず、かえって馬鹿にされていたような存在なのだが、当時にニューヨークではモデルや女優やミュージシャンとして成功して生計が立てられる女の子なんか一握りで、ドールズのギグに来ている娘達は、マッサージ・パーラーやストリップ・クラブで働いている娘ばっかリだったと言うから、きっとコニーみたいな境遇の人はいっぱいいたんだろうと思う。コニーには、キレイに生まれてこなかった女の子の悲哀とか、ニューヨークの下衆な感じ、タフさ、なんかそんなものを全て感じさせられて、とても印象に残っている。

私はこの本、当時のニューヨークがどんなだったのか、マックス・カンサス・シティやマーサー・アーツ・センターにドールズを観に行くということがどういう感じだったのか、ラモーンズが出てきたとき、CBGBってどんなところだったのか、全然知らない街や人々に想いを馳せ、自分をそこに当てはめて、こういう人と友達だったらこんな感じだったのかなあ、とか、ここに自分がいたら、こうだったかなあなんて想像を巡らせて、楽しんだ。だから、こういった女の子達の話がすごく身に染みて共感できたんだけど、男の人が楽しむんなら、『パンク』誌の創設の話しなんか絶対共感すると思うよ(マンガと、女の子と、ディクテイターズと、ラモーンズとマクドナルドが好きな人のための雑誌って、ないよな?よし、作っちゃおう!みたいな)。

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Key Wordsロック パンク プリーズ・キル・ミー
| コメント(2) | 【2006/11/06 06:37】
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『セックス・アンド・マネー』-げげ!更年期障害だってよ!
Friends with Money

あー、またやっちまったよ。監督の二コール・ホロフセナー(読みが合っているか自信ない)って、『ラブリー・アンド・アメイジング』の監督だってよぅ・・・。

friendswithmoney.jpg
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CAST & CREDITS
Produced: 2006
Directed by: Nicole Holofcener
Writing credits: Nicole Holofcener
CAST
Christine: Catherine Keener
Franny: Joan Cusack
Jane: Farances McDormand
Olivia: Jennifer Aniston
こういうのいつも、観てから「あー観なきゃ良かった」と思うんだけど、繰り返し繰り返し同じ過ちを犯してしまうのはやはり、同じ年頃の女の人たちの生態っていうかさ、生き方に共感したい!っていう気持ちがあるんだろうなあ。

今回は特に、原題から判断して、テーマがお金というところに興味をそそられた。ジェニファー・アニストン演じるオリビアは四十路を向かえても定職についておらず、結婚もしていなければ、将来どうするかもわからず、メイドとして他人の家を掃除して生計を立てている。高校からの親友であるクリスティーン(キャサリン・キーナー)、ジェーン(フランセス・マクドーマンド)、フラニー(ジョアン・キューザック)はいずれも既婚、自分のキャリアがあるか、フラニーはお金がいっぱいあって、学校に2ミリオンも寄付しちゃう位の金持ち。

私はお金でも物でも、「持つ」ってことにあまり美学を感じないんで、なきゃないでいいんですけど、お金は単に「安心したい」がためにいっぱい持っていたい。やっぱこの世は金よ!いや、マジで。この世はお金がないとどうにもならないようにできているのよ。

でも、いつもこういう映画では、幸せそうに見える人でも必ず悩みがあることになっているんで、脚本家としてのキャリアがあるクリスティーンは離婚するハメになるし、デザイナーのジェーンは更年期障害でホルモンのバランスが崩れて疲れやすく、人生に限界を感じて落ち込み気味、髪の毛を洗うのを止めてしまう。一番お金持っているフラニーが一番気楽で、なんの問題もなさそうなところが憎たらしい。あ、でもフラニーが一番老けて見えるけど。っていうか、ジェニファー・アニストンとジョアン・キューザックが同年輩の友達ってのが解せないんだけど、このくらいの年齢になると若く見える人と、年齢どおり老けちゃう人が出てくるから、こんなもんか。

それにしても、この監督の二コールさんは、「女性の生態を描く」のが十八番らしいんですけど、これって、女である私が見るから面白くもなんともないんであって、男が見たら面白いと思うもんなのかね。

例えば、夜顔洗っているとき、鏡を覗いて「うー、なんかシワが目立ってきたな~」とか思って、シワ取りクリームの試供品をもらいにデパートに行ったりとか、女同志でしゃべっているときには、読んでいるわけでもないのに雑誌をめくっているとか、高級なシワ取りクリームを気分で足に塗ってみたりとか。

それとかさ、ちょっとテーブルの角にぶつかって「いて」って言ったときとかに、旦那さんが絶対「大丈夫?」って聞いてくれないのにものすごいフラストレーション感じちゃうとか、よって集まれば、いない人のウワサ話しているとか、男女関係が上手く行ってないとついアイスクリームとか食べ過ぎちゃうとか・・・

いや、その通りなんだけどさ、「だから何!?」って言うかさ。なんかこの映画はストーリーらしいストーリーがなくて、個々のキャラクターの描写だけなの。で、こういう淡々とした、ドラマチックな展開のない映画だったらさ、一つ一つの描写がすっげえ可笑しいか、なんか、そういうのないと、ダメじゃん?! 監督のコメンタリーとか聞いてると、上記のような描写がすごい可笑しいと思っているようなんだけど、あんまり面白いと思わなかったなあ。

それにしてもさー、更年期障害だってよ!げー、それってもう遠くない将来の話なの?! やだねー、全く。というか、せーりなんか面倒くさいからないならないでいいんだけど、それに伴うホルモン・インバランスでイライラしたり、哀しくなったり、無気力になったりってのがやだな。ああ、そうやっていやなおばさんになって行くのかしらん・・・。

追記:邦題の『セックス&マネー』・・・ひどすぎます。

Key Words 映画 Friends with Money Nicole Holofcener セックス・アンド・マネー
映画レビュー | コメント(1) | 【2006/11/05 21:13】
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『指定バトン』-チュチュ的お気に入り映画監督
Baton: Who the fuck is your favorite movie director?.... Oh, shit...

真紅のthinking daysの真紅さんから直々にいただきました『指定型バトン』、ありがたく頂戴させていただきます。言っておきますが真紅さんは、TBできない、コメントも残せないという二重苦でありながらも、ずーっとお楽しみ袋を読んでくれているという、今どきなかなかいない誠実な人なんですぞ!君たちも、見習うように!!

さて、バトンのルールは以下の通り。

回してくれた人からもらった「指定」を下記の「」の中に入れて答えること:

■最近思う「」
■この「」には感動!
■直感的「」
■こんな「」はいやだ!
■次に回す人5人!指定付き

また次に回す時、指定を考える事

真紅さんの指定は「いちばん好きな映画監督」。私、監督映画観る人じゃないんで、困りましたよー、これ。でも唯一「コイツが監督だから」と借りまくったのはデヴィッド・リンチとクェンティン・タランティーノ。インパクトが強かったのはリンチの方なんだけど、『ツイン・ピークス』以外は訳わかんな過ぎて書けないし。あ!『エレファント・マン』は暗くてディスタービングだけど、いい映画よね。

とにかく!タラちゃんの作品の方がまだえろえろ言うこともありそうなので、そっちにしやした。

■最近思う「タラちゃん」
キル・ビル Vol.1 & 2 ツインパック キル・ビル
最近のタラちゃん監督作品っつったら『キル・ビル』と『シン・シティ』しか観てないんですけど、どっちも「うーん」って感じでしたね。『キル・ビル』の方はかなり期待して観て、1作目は結構良かったんだけど、2作目が好きになれなかったなー。1作目の方も2回観たいとは思わないし。
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■この「タラちゃん」には感動!
トゥルー・ロマンストゥルー・ロマンス
これはタラちゃん監督作品ではなくって、ホンを書いています。処女作らしいんだけど、お金がなくって泣く泣く売ったんだって。今回調べてみたら、これを監督しているトニー・スコットって、『ドミノ』の監督じゃん。へぇぇ。とにかく、この映画はいいよ!内容は、本当にトゥルー・ロマンスだし、配役がハマリ過ぎ!このキャストで、それぞれにすんごいインパクト強い見せ場が満載で、かっこ良過ぎる!長くなっちゃうんで、この映画については後日レヴューしよう!dvd on amazon.com


■直感的「タラちゃん」
レザボア・ドッグス スペシャルエディションレザボア・ドッグス
直感的にタラちゃんと言えばそりゃもう、サザエさんなんですけど、そーいうことでないんだったら、『レザボア・ドッグス』です。始まった途端に絶対この映画は面白い、と直感的に思わされてしまうあの緊迫感!配役も抜群じゃない。ブシィーミとか、ハーベイ・カイテルとか、それからほら、いつも忘れちゃう、Mr.オレンジとかさ!

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■こんな「タラちゃん」はいやだ!
さっき言ったけど、最近のタラ監督作品て、タラちゃんの独特のハードボイルド観念がかなり日和って来ているような感じがしてやだなー。まー、時代の波もあるのでしょうが。

■次に回す人5人!指定付き
ワタクシの指定は「これまでで最もインパクト強いアーティスト」。好き/嫌いでもなく、良い/悪いでもない、とにかく度肝抜かれました、とか、横っ面張られました、という類の、俳優でも、監督でも、ミュージシャンでも画家でもなんでもいいス。回す人はこちら。

アノラックとスノトレのGOさん
その日暮らしの音楽日記のリュウさん
Yellow and BluesのSlow-hand Jerry さん
とりあえず生態学+のtrichopteraさん
極楽三十路生活賛歌のLASFさん
メタル馬鹿一代の桃ちゃん
ジョニーからの伝言の hiro さん

んじゃよろすく!

Key Words 映画 バトン 監督
映画監督 | コメント(14) | 【2006/11/04 23:56】
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ラモーンズ、あっぱれだ!『エンド・オブ・ザ・センチュリー』(ドキュメンタリー・フィルム)
End of the Centuryシェアブログ1116に投稿

一番印象に残っているのは、すっごい初期の頃と思われる白黒のCBGBでのギグの映像。どの曲か忘れちゃったけど、わーっと前奏を演奏して、ジョーイが歌おうとした瞬間、ディーディーがジョーイのマイクのコードを踏んずけたらしく、マイクがスタンドごと倒れちゃったりとか、ジョーイが「次は、I don't wanna go to the basement だ!」って曲紹介してんのに、

endofcentury.jpg
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ごめん、このジャケはアメリカ版。日本版は写真なし
CAST & CREDITS
Produced: 2003
Directed by: Jim Fields, Michael Gramaglia
Writing credits:
CHAPTERS
1. Opening
2. We were real
3. Childhood
4. Summer of '75
5. 1976 - London
6. 1977 - Pied Pipers
7. 1978 - Integrity
8. 1979 - Phil
9. Beginning of the End
10. The '80s
11. Calling it Quits
12. End Credits
CAST
John Cummings: Johnny Ramone
Douglas Colvin: Dee Dee Ramone
Thomas Erdely: Tommy Ramone
Jeffery Hyman: Joey Ramone
Mark Bell: Marky Ramone
Richie Reinhart: Richie Ramone
Christopher Ward: CJ Ramone
トミー「やだ!Loudmouth やる!」
ジョーイ「ふぁあ~っくゆぅ~」
ジョニー「ふぁっけ、ふぁっけ!」
ディーディー「俺もBasement がやりたい」
ジョーイ「2対一でBesement の勝ち!」
トミー「ふぁっくゆーおーる」

とか、ケンカ始めちゃう。『Please Kill Me』で、ラモーンズのギグのことを「あんなに面白いものはかつて観たことがない」と言っている人がたくさんいたんだけど、これのことを言っていたのか!やーこれは可笑しいです。

笑ったのはここくらいで、あとはわりかしシリアスな、インタヴューを中心としたラモーンズドキュメンタリー。全員が「ラモーンズ」を名乗り、イメージも21年間ずーっと変わらず、さぞや絆の強いバンドなのかと思いきや、内部ではものすごい葛藤があったらしい。

インタヴューに答えていたブロンディのメンバーは、「いやー、ラモーンズはものすごいきっちりしたバンドでねえ。軍隊みたいだったよ」と言っていたが、そういう統率力を持っていたのがジョニー・ラモーンで、ブロンディのお兄さんは「野球狂らしいから、ジョニーは。野球ってチーム・スポーツだし・・・」とわかったようなわからないような分析を披露しておられましたが。

そのジョニーの統率力、そしてビジネスに対するセンスが、ラモーンズが20年以上も持続し、現在でも尊敬されるようなバンドに成り上がった原動力だったようなのだが、メンバーが辞める原因も、インタヴューでの答えの一つ一つまで「こいういうことは言うな、お前はしゃべるな」と決めていくような、ジョニーの「管理」に対する反発だったようだ。

CBGBのドア・ガールだった女の人が、ラモーンズと親しかったようで、あっちこっちでインタヴューに答えているんだけど、このフィルムではディーディーがハートブレイカーズに憧れていたという話をしている。「ディーディーは、あのお玉アタマや、ユニフォームみたいに皮ジャンばっかり着ているのにうんざりしていた。パンクのツンツンアタマにしたがってたし、ジョニー・サンダースやジェリー・ノーランみたいなスタイリッシュな格好に憧れていた。ディーディーは、ベースボールカード集めている人より、ジャンキーとプレイしたかったんじゃないかと思うよ」

また、ラモーンズのツアーの日程はいつも厳しくて、トミー・ラモーンは「このままじゃ植物人間になる」と思い、バンドをやめようと思ったんだって。また、「プロデューサーとして、スタジオでは俺は一応何がしかの人間だったけど、ツアーに出ると人間扱いされなかった。基本的に、命令されて、ああしろこうしろって言われて」

トミーでさえ、ラモーンズの一員として認められたことはなく、トミーの後釜として入ったマーキー・ラモーンは、あまりにバンドの中が暗いのに耐えられず、酒飲み過ぎてジョニーにクビにされて、その後入ったドラマーのリッチー・ラモーンも、5年いてもラモーンズの一員として認めてもらえず、「都合のいいときだけラモーンズの一員で、Tシャツセールスのお金を分けるときはヘルプだからって、もらえなかった」と言っている。そしてディーディーがやめた後参加したベースのCJは、「ジョーイとはいい友達になれたけど、ジョニーはお父さんみたいでとっつきにくかった。ジョーイが具合が悪かったんで、ツアー・スケジュールがきつ過ぎるってジョニーに言った方がいいよって言ったら、次の日ジョニーに、お前何様のつもりだ、言われたことを黙ってやればいいんだ、って言われたよ。ジョニーは目がうるうるするくらい怒っていた」と語っている。

で、極め付けが、ジョーイの彼女がジョニーと恋に落ちてしまったこと。ジョーイの実のお兄さんで、バンドと深く関わっていたミッキー・リーだったかな、この人が「ジョニーとリンダは、結婚して今でも一緒にいるから、あれはジョニーがジョーイの彼女を奪ってやろうとしたのではなく、自然の成り行きで二人は恋に落ちてしまったのだろうけど・・・」

パンク』誌の創設者の1人で、ラモーンズと親しいレッグス・マクニールも「リンダは、ジョーイにとって、自分が気持ち悪いフリークなんだということを思い出させる存在なんだよ。俺は気持ち悪いフリークだから、この素晴らしい愛を持つことが出来なかったという」

この確執はずーっと続き、マーキー・ラモーンが何年か振りにラモーンズに復帰したときもまだ続いていて、「あんなに長く恨みつらみを抱いていられるなんて驚く」と言っていた。『パンク』誌のもう1人の創設者(名前忘れた)は、「ジョーイは恨みは絶対忘れないやつだった」と語っている。

でもサ、私はジョーイの気持ちわかるナ。十代で自ら精神病院に入りたいって言った子供だったジョーイがよ、バンドをやることで自分に対する自信をつけてさ、初めて本当に好きになった女の子が、よりによって一番嫌いなやつとくっつくなんてさ。ジョニーが本当に嫌なヤツで、ジョーイにあてつけるために彼女を奪ったならまだ良かったと思うの。それが本当に恋して、結婚までしちゃうとはさ。

ジョーイは、ジョニーの上から押さえつけるような管理がイヤな反面、なんでもきちきち片付けて行くジョニーのこと尊敬してもいたんだと思うんだ。でもそれゆえ、コンプレックスも持っていたのでは?そして、リンダの一件によって、「俺はやっぱりジョニーには敵わないんだ」って思ったとしたら、それって辛いよなー。

それともう一つ、生きるって辛いことね、と思ったのは、ロックンロール・ハイスクールの頃からバンドがギクシャクしてきて、その後フィル・スペクターのプロデュースしたアルバムを出したときから「仕事だから。他に何も出来ないから」バンドを続けて行こうとがんばった、というジョニーのセリフ。どんなにどんなに好きでやっていても、私みたいに惰性で仕事している人と同じく、結局は「しょうがないから、他にできることもないから」という風になってしまうのかなあと思ったら、辛かったね。

ディーディーが「こういう風になりたくないんだけど、ラモーンズのことを考えるとイヤな気持ちになる」と言っているのも悲しかったし、それにジョーイが死ぬとき、ジョニーもディーディーも、バンド時代の確執が原因で会いに行かなかったみたい。

このジョーイが死ぬときの話を、ラモーンズの美術を担当していた人(また名前忘れた)がしていたんだけど、「ジョーイは、絶対自分は死なないと思っていたね。死ぬ4日前、ご飯が食べられなくなって、喉にチューブを通して食事を入れようとしたんだけど、ジョーイはそれを拒否した。ボーカル・コードを傷つけたくないからって」と言っていたけど、ジョーイは生きられる、また歌えるからボーカル・コードを傷つけたくなかったんじゃなくて、ボーカル・コードが傷付いて歌えなくなるんだったら、生きていてもしょうがないと思ったんじゃないのかなと私は思ったよ。

ロード・マネージャーをしていた人も、「ジョーイはお金はあったんだから、ジョニーのことが嫌いなんだったら辞めることもできたんだ。でもやっぱり、ステージに上がって、演奏しているときは、すごく気分が良かったんじゃないかな。それが二人がお互いを嫌っていても止めなかった理由だと思う」と語っていたけど、きっとジョーイにとって、ジョーイ・ラモーンでいるときが最高の自分だったんだろうなあ。どんなにツアーがきつくてしょっちゅう具合悪くなっても、これに変わるものはなかったという。

ジョニーにとっても同じだったのかもしれない。どんなに回りに性格悪いのなんのと言われても、中途半端なことしてラモーンズを失うようなことにならないように、必死にがんばってきたんだと思う。

ジョーイが死ぬとき会いに行かなかったことに対して質問されたジョニーは、「俺だったら、大嫌いだったやつに死に目に会いに来てもらいたくないから、俺も行かなかったっだけだよ」と言った後、「全く気にならないですか?」と聞かれて、「気になるよ。あんなに嫌いだったのに、ジョーイが死んだ後一週間も落ち込んでさ。すごいイヤだったね、こんな気持ちにさせられるなんて」と答えている。そしてさらに「なんでそんなに気になると思いますか?」と聞かれて、「うーん、わからない・・・わからないけど、ジョーイはラモーンズの一員だったから。ラモーンズは俺にとってすごく大事なものだから、その一員だったジョーイに何かあれば、イヤなんだよ」と答えていた。

この回答をしているジョニーを見て、この人はすっごくマジメな人なんだなアと思った。実直で、マジメ過ぎちゃって、ストレート過ぎちゃって、周りの人には冷たい、管理主義者に映ってしまったんだろうけど、この人はこの人なりに一生懸命やっていただけだったのよね。

このフィルムを見て、相手のことを好きかどうかって言うことと、自分にとってかけがえの無い人かどうかってことは関係ないのかも知れないと、しみじ~み思ったね。それから、幸せって言うのは、一瞬かもしれないけど、そのために嫌なことや辛いことを続ける必要があるかもしれないのかもなあと。ジョーイもジョニーも、音楽を演奏するその一瞬の幸せのために辛いツアーに耐え、イヤなヤツと一緒にいたんだもんね。

大変だったんだなあ、と思ったけど、これっていい人生だったんじゃん?ジョーイもジョニーもディーディーも早死にしちゃったけど、長生きすることが幸せとは限らないし。人一倍辛いこともあったんだろうけど、幸せも大きかったんじゃないかなあ。

あ、そうそう、南米ではラモーンズって、ビートルズ並の扱いで、3万人も収容するでっかいスタジアムで演奏するくらいなんんだって(ラモーンズとスタジアムってのがマッチしないけど、実際フィルムで観た南米でのコンサートはすごかった)。それは、南米って貧しいから、親に捨てられたり家出したりして、ラモーンズの歌の通り接着剤嗅いだりしてる子供がうようよいて、この子たちは盗みや強盗をやって生き延びているんで、ビジネスのオーナー達が人を雇って、こういう子供達を殺させるような、タフな環境なんだって。だからラモーンズの曲のメッセージが、この子たちには本当に真摯に響いてくるらしく、それでものすごい人気なんだって。

やっぱ、自分の好きなことのために色々犠牲を出してもがんばってきた人たちだからこそ、こんな辛い状況で生き抜いていこうとする人たちの心に訴えるんだろうなあ。そういう風に生きるのって、理想だけど、なかなかできることじゃないもんね。ますます好きになっちゃった(書きながらちょっと涙ぐんじゃったし)。

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Key Words 音楽 パンク ドキュメンタリー ラモーンズ エンド・オブ・センチュリー
| コメント(2) | 【2006/11/04 23:40】
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『ダヴィンチ・コード』-DVD発売は11月3日
The Da Vinci Codeシェアブログ1571に投稿

宗教的なバック・グランドが日本人には馴染めない、というような感想が多いこの映画ですが、アメリカ的なエピソードを一つ。

キリストの真実に関するネタバレに興味がある人はダヴィンチ・コードの書評の方に、ずずずぃーっと。
20060524073613.jpg
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dvd on amazon.com 11月3日発売
CAST & CREDITS
Produced: 2006
Directed by: Ron Howard
Writing credits: Akiva Goldman, Dan Brown
Cast:
Robert Langdon: Tom Hanks
Sophie Neveu: Audry Tautou
Sir Leigh Teabing: Ian McKellen
Captain Fache: Jean Leno
Silas: Paul Bettany
Bishop Aringarosa: Alfred Molina

ダ・ヴィンチ・コード コンプリート・ボックス (完全初回限定生産)
ダ・ヴィンチ・コード コンプリート・ボックス (完全初回限定生産)
すっげーこれって7千円もするの?!こんなの買うやついるのかね。on amazon.com
今回一緒に観に行ったのは、日本人のF恵ちゃん、M子さん、そしてF恵ちゃんのダンナ、アメ人のKくん。行く前から敬虔なカソリックであるKくんの母親が「あんな映画は見に行っちゃダメだ」と言っているという話で盛り上がり、Kくんの上司のPくんが「お前が観ていい映画は『パッション・オブ・クライスト』だけだ!」とか言って爆笑していたのですが。

F恵ちゃんによると、観に行ったあと電話で『ダヴィンチ・コード』を観たと言ったら、Kくんのお母さんマジで激爆!電話口で、「あれはタダのエンターティメントなんだから!」と必死に言い訳してたらしい。あわわ。『ブロークバック・マウンテン』も一緒に観に行っちゃったし、息子の信仰の妨げになるような作品ばかりに誘う「日本人は悪魔の申し子だ!」とか言われたらどうしよう。受けて立とうかな、カソリックのおばさんよぅ。

M子さんとF恵ちゃんは全く意味不明だったようです。私はまだ、原作を読んでいたから良かったけど、ありゃ字幕なしじゃキツイわ。この話の一番面白いところは、絵画の解釈とか、パズルの解き方なんだけど、そこがなかなか、知らないとわかんないよ。日本で字幕つきで観た人の感想を読むと、良くわかったと言う人と意味不明という人の両方がいるから、どんなものか判断つきませんが。

書評でも書きましたが、著者のダン・ブラウンは、映画化狙いでこれを書いたんじゃないかというくらい、原書の方も映像的なシーンが多いのですが、読んで想像したのと、映画でのシーンがあまりにもぴったりで驚きました。私はプレヴュー等は一切観ていなかったのですが、殺されたおじさんのオフィスの感じとか、ストーンが預けてある銀行の部屋の様子とか、ラングドン(トム・ハンクス)とソフィー(オドレイ・トトゥ)が密談するルーブルのトイレとか、リー(イアン・マッケレン)のお城の感じとか、サイラス(ポール・ベタニー)がアリンガローサ司祭(アルフレッド・モリナ)を撃っちゃうところとか(おっと)まんま想像した通りで「どっかで観たっけ?」と思ったんだけど、観てないよ!書評で「書き手としてはたいしたことない」とエラソーに言ったワタクシですが、もしかして描写は上手い人なのかな。情景がありありと浮かんできたもんね、読んでいるとき。

ああ、あと、もう一つアメリカ的なエピソードとしては、ラングドンとソフィーがルーブルから逃げるとき、ソフィーの車を使うのですが、その車が写った途端、アメリカ人から失笑がもれた。あれはスマート・カーと呼ばれる、ヨーロッパでは大流行(らしい)2人乗り小型車で、スピードもあんま出ないんだけど、燃費が抜群にいいらしい。何事も大きければ大きいほどいいというアメリカではこの車、相手にされず、こんなにガソリン代が高くなっているのに、未だにどこの車会社もアメリカで売ろうとしていない(チュチュ注;2006年8月現在で、どうやらダイムラー・クライスラーが1,2年中にアメリカでも売り出そうとしているらしいというウワサを聞きました)。普段、意味もなくでかいSUVなんか乗り回してるおばさんや、Jeep Libertyなんかに乗っちゃってる若いねーちゃんたちが、スマート・カーを見て「クスッ」と笑っていたけども、私は非常に冷酷に「んー、君たちの尻は、あの車に入らないかもよ」とか思っちゃいました。きっと向こうは「なによ、ぺちゃパイ!」と思っていることだろうが。

ストーリーの方はですね、本の方が面白いかなあ。私は単に、キリストに関する解釈が面白いなあと思っただけなので、それを楽しむのなら、本の方が断然面白い。この辺のウンチクはかなり端折ってあるようだし、映画にしたことによって新たな面白さが生まれた、と言うことはないようです。

ただ、白子の殺し屋、サイラスが現れるところとか、ソフィーの家族が交通事故に会うシーンのスクリーン・プレイがすごい。M子さんが「ひゃぁぁぁ!」とか言ってましたから。それから、ラングドンとリーが例のキリストの真実について議論するシーンなんかは、さすが演技派同士の絡みだな、と思ったほど上手かったね。

でも、ラングドンが「そういう仮説があるだけだ」とか「そう思って見れば、そう見えるものだよ」とかやたら連発するところをみると、一応、この説に神経質になっている教会やKくんのお母さんみたいなキリスト教の人たちに気を使っているんだなと思いました。

こういうミステリーを見るといつも思うのですが、真犯人が捕まった後、嫌疑をかけられていた人たちはなぜ簡単に無罪放免になってしまうのでしょうか?今回も、最初、容疑者として逃走したラングドンとそれを助けたソフィーは、真犯人逮捕の現場にいたにも関わらず、歩いてその場を立ち去り、この事件の解決よりもっと重要な謎解きに、そのまま出かける。その足で!警察が事情聴取しないし、保護しないのもおかしい。こういう場合、嫌疑が晴れていても保護されて、まず病院に送られて、それから事情聴取されて、開放されまで何日もかかるだろう。しかもその後、取材攻撃に会うはずなのだが、パパラッチさえ現れない!

もうこれって、ミステリーとか刑事もんの不文律なんだけど、納得行かないなー。

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■ネタバレ目当てならこっちの方が早いチュチュのダヴィンチ・コード書評(でもストーリーの最後は書いてないよ)

Key Words
宗教 カソリック 映画 ダヴィンチ・コード ダン・ブラウン トム・ハンクス イアン・マッケレン ポール・ベタニー アルフレッド・モリナ キリスト

ダヴィンチ・コード関連の書籍
謎解き本がいっぱい


【5/23/06】
ダ・ヴィンチ・コード | コメント(18) | 【2006/11/03 10:19】
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オーリーの『キングダム・オブ・ヘブン』-ディレクターズ・カット発売は12月1日

Kingdom of Heaven


オーランド・ブルームって、いい男だなあ・・・でも鼻がデカイ!鼻の穴がでかいのか・・・LOTRの時から、でかいでかいと思ってはいたけど、なんだかすごーく気になる・・・

キングダム・オブ・ヘブン
dvd on amazon.com
ディレクターズ・カット発売は12月1日 CAST & CREDITS
Produced: 2005
Directed by: Ridley Scott
Writing credits:
William Monahan
Cast:
Liam Neeson, Eva Green, Orlando Bloom, Edward Norton
最後のエンドロールでも説明されているとおり、この映画の背景になっているのは、現代までも綿々と続くクリスチャン対イスラムの争いの発端になった歴史的事実なわけでして、ホントならすんごい面白い話なはずなんだが、どーも私は、オーランド・ブルームの鼻の穴が気になって気になって仕方なかった。

衣装とか、小道具とか、建物とかもすげーウツクシーし、絵もすごいきれいだったのですが、なぜかお話に引き込まれて行かない。

とにかく、オーランド・ブルームって、大根役者なんだよな~どーでもいいけど。この人が演じるバリアンだっけ?は、フランスの貧しい鍛冶屋で、子供が死んだことに耐えられず、女房も自殺。苦悩してるしてる~という感じなのだが、全然伝わってこない~!! そこへ、今まで見たことのないおじさんがやってきて「実は私は、君のお母さんとXXXしたんだ。私が君のお父さんだよ」なんて人が現れて、まあいろいろ事情もあってこの人と一緒にエルサレムへ渡るわけなんだけど、このお父さんのことどう思ってるのかも良くわからないし。

それに、このお父さんの七光りで騎士になり、裕福にもなるバリアンなのだが、この突然の変わりようが納得行かないっ。なんでも、当時のエルサレムはすごく繁栄していて、逆にバリアンが住んでいたヨーロッパは不景気だったので、みんなエルサレムで一発当てたがっていたのだとか。そんな風にどんな生まれでも実力で出世できるところなんだから、鍛冶屋がいきなり騎士になって、国王にも気に入られちゃうなんてことが、「あり得るんですよ」とか言われてもなぁ~。

戦闘シーンは、LOTRのパクリみたいっちゅーか、もうこういう映画につきものの「お約束」って感じですか。なんかあきたよ、こういうの。出てる人も『トロイ』にも出てた人とか、もうだいたい決まっちゃってるし。クリスチャンの王様の役がエドワード・ノートンだったそうですが、全然気がつかなかった。マスク被ってたし、そうでなくてもあまり印象的な演技でもなかったしなあ。

まあそんなわけで、なんとか集中して観ようと、3回観たけど、一向に入りこめない映画でした。とか思ったらセーリ始まったんで、そのせいでぼけーっとしてたのかも。オーリーの演技のせいだけじゃない?! [11/06/2005]

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アメリカでは、イラクと戦争しているせいなのか、全くパブリシティが得られなかったこの映画、日本のサイトで紹介されているのを見て知ったくらいです。オーリーは雑誌 GQ の表紙になったりして、人気あるのに、戦争には勝てなかったか。

大根ながらもがんばってるオーリー映画
この『ロード・オブ・ザ・リング』は高そうに見えるが、実際はお買い得だ。DVDはエクステンデッド・バージョンの方が絶対面白いし、損しませんよ!しかも一本ずつ買うより割安だ。『トロイ』の情けないスケこまし役のオーリーは、大根ながらも結構はまってて好き。いや~ん、守ってあげたいああいうなよなよくん!あ、鼻の穴も良く観察してみてください。


Key Words
映画 キングダム・オブ・へヴン オーランド・ブルーム
映画の席 | コメント(12) | 【2006/11/01 00:00】
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