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『パフューム ある人殺しの物語』-超面白いお話
Perfume: The Story of a Murderer

うわー。最初の5分くらいでがっつり人の心を掴む物語ですね。あの魚河岸の女、赤ん坊産んでそのまま魚の臓物とか捨てるところに蹴り飛ばして、仕事を続けるという、フランスってその昔、こんな汚いところだったんだろうなあ。良く聞くよね、ベルサイユ宮殿ってトイレと言うものがなくて、みんな部屋の片隅でうんこしてたとかって。フランスが優美だって誰が言い出したんだろう?

パフューム スタンダード・エディション [DVD]
dvd on amazon.com
Produced: 2006
Director: Tom Tykwer
Writing Credits: Andrew Birkin, Bernd Eichinger
Cast:
Jean-Baptiste Grenouille: Ben Whishaw
Richis: Alan Rickman
Giuseppe Baldini: Dustin Hoffman
あ、でもそんな汚いところだからこそ、香水がすごくポピュラーになったって話も聞くよね。そうかそうか。多分めちゃくちゃ臭かったであろう魚河岸に産み落とされたグルヌイユが自分は全く体臭がなく、その代わりものすごい嗅覚を持っている、という設定も上手い。孤児となったグルヌイユは労働力として売られていき、配達をしている途中で美しいプラム売りの娘の匂いに魅せられ、仕事も忘れて後をつけて行ってしまう。

この、触りもしない、キスもしない、グルヌイユと娘のシーンがちょっと狙ってるんじゃないかというくらい可笑しい。触れるか触れないかくらいの首筋をくんくん嗅いでいるグルヌイユに驚く娘!そりゃーキモイわな、あんな男がいたら。匂い嗅いで恍惚としているグルヌイユが娘の後ろにぬぼーと現れる度に噴き出してしまった。

グルヌイユは香水というものがあると知り、この娘の匂いをキープして置く方法を学びたいと、落ちぶれた香水職人、ジュゼッペ・バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に弟子入りする。ジュゼッペは、グルヌイユのものすごい嗅覚でレシピを作らせ、それを自分のものとして売り出し大もうけする。グルヌイユは香りをキープする方法を学びたいだけなのでお金はどうでも良く、ジュゼッペの方法では乙女の香りをキープできないと知ると、香水作りで有名な村へ行き、そこの香水職人に弟子入りし、ついに乙女の香りをキープする方法を見つける。

こうしてグルヌイユはベースになる12の香りと、13番目の特別な香りを抽出し、究極の香水を作る。それは嗅ぐ者を幸せな気持ちにさせ、グルヌイユが四肢を砕かれて処刑される様を見ようと集まった何千人という聴衆を集団セックスへと誘う。

グルヌイユは親もなく、住む家もなく、何もなく生まれてきたけれども、嗅覚があった。自分に体臭がないことを発見すると、自分で自分の匂いを作ることによって、他人に自分というものを示そうとする。これは明らかに自我の目覚め、自分発見への序章だと思うのですが、究極の香りを作ったグルヌイユは、その香りで他人を幸せにできても、自分はそれに影響され、他人を好きになったりしないことに気づく。

後で考えてみると、グルヌイユに関わった人ってみんな死んじゃうんだよね。生みの母親も、孤児院で面倒見てたおばさんも、労働力としてグルヌイユを買ったおじさんも、ジュゼッペも、村の香水職人も。彼は美しい香りをキープすることはできても、人間同士のつながりは得られないと知ると、自殺してしまう。

グルヌイユってすっごい可哀想な人だし、彼の犯した罪ってとんでもないのですが、なぜかこの映画はそういった感情移入をしないで、純粋に物語を楽しめる。役者さんたちもいいんだけど、完全に物語りに吸収されているというか、役者が取り立てて際立ったりもしない。やっぱりこれは超面白いお話なのだな。

key Word 映画 パフューム ある人殺しの物語 トム・ティクヴァ ベン・ウィショー ダスティン・ホフマン アラン・リックマン レイチェル・ハード=ウッド アンドレス・エレーラ
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★おすすめ映画★ | コメント(22) | 【2008/12/31 06:19】
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『ミスター・ロンリー』-なぜか嫌な気持ちにならない映画
Mister Lonely

ディエゴ・ルナが演じるマイケル・ジャクソンのそっくりさんとしてパリで生活するアメリカ人の男の子は、仕事で行った老人ホームで、マリリン・モンローのそっくりさんとしてやはり仕事で来ていた女の子(サマンサ・モートン)に出逢う。意気投合した二人は、カフェでワインを飲み、公園を歩きながら語り合う。マリリンは結婚していて一児の子持ち、夫はチャーリー・チャップリンのそっくりさんで、娘はシャーリー・テンプル。スコットランドのお城で、他のそっくりさんたちと共同生活して暮らしているという。

Mister Lonely
dvd on amazon.com
Produced: 2007
Director: Harmony Korine
Writing Credits: Avi Korine, Harmony Korine
Cast:
Michael Jackson: Diego Luna
Marilyn Monroe: Samantha Morton
Charlie Chaplin: Denis Lavant
Renard: Leos Carax
The Queen: Anita Pallenberg
「みんな有名人で、誰も年を取らない、すばらしいところよ」

明後日に帰るマリリンは、「一緒に行きましょう」とマイケルを誘う。

場面変わって、アフリカのとある村と思われる場所で、クリスチャンと思われる尼さんたちが飛行機に穀物を詰め込み、どこかの貧しい村に落としていく、という仕事をしているらしいシーンになる。空から食べ物を落としていると、尼さんが一人、誤って落っこちてしまう。尼さんは、

「私は神を信じている。きっと安全なところに着地させてくれるはずと信じている・・・・」

と空中で祈る。すると、本当に安全に着地する。

マリリンと共にスコットランドのお城に行ったマイケルは、みんなに紹介される。チャップリンとシャーリー・テンプル、ローマ法王、エリザベス女王(アニタ・パレンバーグ)、ジェームス・ディーン、サミー・ディヴィス・Jr.、 マドンナ、エイブラハム・リンカーン、赤頭巾ちゃん、三バカ大将・・・・どれもみな、有名人ではあるが、「今どき・・・・」な面子である。

このそっくりさんたちは、、羊を育て、畑を耕し、自給自足で共同生活している。自分たちで見世物小屋を手作りし、チラシを作り、ショウを演って客を呼ぼうとしている。そんな中、羊たちが悪い病気にかかり、射殺しなければならなくなる。

また場面変わって、尼さんたち。この間落っこちた尼さんが助かったのは奇跡だ、として、そこの尼さんはみんな飛行機から一度落ちてみることになる。オリジナルの「空飛ぶ尼さん」はみんなに、

「神を信じれば救われるというこのすばらしい体験を、みんなにもして欲しいの・・・・」と言う。

・・・って感じで延々と続いていくのですが、全くほにゃらららで、しょうがないから色んなレヴューを読んでみたのですが、この監督さんはインディー・フィルムで天才って言われるくらい有名な人で、ストーリーを語るというよりは、イメージを見せていくタイプの人だそうです。どのレヴューもズバリ書いている人はなく、「あーみんなわかんないんだな」と思いました。

それが、この映画が駄作だからなのか、それとも私たちに理解力がないのかわかりませんが。と言うのも、これもみんな書いていたんだけど、確かに何か無視できないものがある。ディエゴ・ルナってすっごい可愛い。なんか、変な顔してると思うときもあるんだけど(それゆえマイケル・ジャクソンの異様さが表現できているというか)、コケティッシュというか、イノセントというか、とにかく可愛らしい。サマンサ・モートンも、ハリウッドでは考えられないくらいムチムチした身体で、キレイだけど人間臭い可愛らしさがある。

あと、色がきれい。マリリンがマイケルの部屋にイチゴを持ってくるシーン。マリリンが頭にカーラーを巻いたままなのですが、カーラーの色がパステル・ブルーとイエローで、マリリンのセーターがブルー、マイケルのシャツか黄色、とコーディネートされていて、イチゴの赤、それを食べる二人の唇、そしてここは少しだけロマンティックなシーンで、すごくキレイ。あと、空飛ぶ尼さんたちの尼さん服が、ブルーと白で、空を飛んでいるときすごく合うの。

*****この先エンディングが書かれています*****

尼さんはみんな無事に空を飛び、奇跡が認められたのか、みんなでヴァチカンを訪問することになるが、その飛行機が墜落してみんな海で死んでしまう。そっくりさんたちは見世物小屋を完成させ、ショウを演るが、誰も観に来ない。チャーリーと不幸な結婚生活を送っていたマリリンは、首吊り自殺する。パリに戻ったマイケルは、もうマイケルであることをやめ、自分自身として生きようとするのだけど、孤独であることに変わりはない。

なんか余り救いのないラストなのですが、なぜか嫌な気持ちにはならない。マイケルがマリリンと出逢ったことがとても良かったなと思える。尼さんが空を飛べたことが良かったなと思える。なぜかそういう雰囲気のある映画だった。

key Word
映画 ハーモニー・コリン ディエゴ・ルナ サマンサ・モートン ドニ・ラヴァン レオス・カラックス アニタ・パレンバーグ
今日観た映画 | コメント(1) | 【2008/12/07 10:50】
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『ミスティック・リバー』-観る価値がある最後のミステリー?
Mystic River

一番印象に残っているシーンは、少年が3人、道端でホッケーやってたら、ボールが道の脇の排水溝に入ってしまって、そのあと、色々と事件が起こり、場面変わってティム・ロビンスが小さい男の子を連れて現れるシーンで、

「あの排水溝には、たくさんボールを落としたなあ。多分、あの中にはいっぱいボールがあるよ」

ミスティック・リバー
dvd on amazon.com
Produced: 2003
Director: Clint Eastwood
Writing Credits: Dennis Lehane, Brian Helgeland
Cast:
Jimmy Markum: Sean Penn
Dave Boyle: Tim Robbins
Sean Devine: Kevin Bacon
Whitey Powers: Laurence Fishburne
Celeste Boyle: Marcia Gay Harden
Annabeth Markum: Laura Linney
と言うと、男の子が

「ホント!?」

と言いながら排水溝を覗き込むシーン。これだけで、ティム・ロビンスが最初に出てきた少年たちの一人で、未だに同じ通りに住んでいて、今は自分がお父さんになっている、ということが一発でわかるという、映画ならではの技巧が素晴らしいなと思った。

ミスティック・リバー』ってなんかものすごい映画だって印象だったので、期待した割にはただの良くできたミステリーかしら、と思いましたがショーン・ペンティム・ロビンスの演技は鬼気迫るものがありましたね。特にショーン・ペンは良かった。娘が死体で見つかり、あれはお葬式のあとなのか、それとも近所の人が心配してやってきたのか、人でごったがえしている家の裏口に出てきて、ティム・ロビンスとタバコ吸いながら泣いてしまうシーン。本当にタフで、普段は絶対弱みなんか見せない人が泣くとこう泣くのかな、と思わせる、あれだけでそのキャラを良く表している演技だった。

ティム・ロビンスも、ショーン・ペンと同じ位に具体的にこのシーンがすごい!って思ったところがあったのだけど、もう観て1週間くらい経っちゃったから忘れちゃった。この人が演じたディブは、可哀想な人だったよね。踏んだり蹴ったりだ。こういう人生を送る人が実際にいるんだから、人生って不公平だよなと思う。

本当に偶然なんだけど、ショーン・ペン監督の『イントゥ・ザ・ワイルド』とバック・トゥ・バックで観て、デイヴの奥さん役を演じていたマーシャ・ゲイ・ハーデンが、『イントゥ・・・』でも主人公のお母さん役で出てたりして、『ミスティック・リバー』で知り合ったのかなあ、なんて思った。この女優さんもすごい雰囲気あるよね。顔がいかにもその辺にいそうな平凡な顔で、それが却って女優としては個性的。

もともとこの映画が観たかった一番の動機はローラ・リニーが出てたからなのですが、この人は今回はそれほどでもなかったです。しかしこの人はいろんな役をそれなりに演じるね。今回は元ヤクザ・ジミー(ショーン・ペン)の奥さんなのですが、ジミーが昔ワルで、刑務所に入っていたとかいうのはストーリーの中盤にならないと出てこないし、それと結婚したアナベス(ローラ・レニー)の一家がちょっとヤクザっぽい家、ってのも最初わからないし、アナベスもそういう感じ全然しないんだけど、最後、ジミーが娘の殺人者と思われる男を殺して帰ってきたとき冷静に

「あなたは父親としてしなきゃいけないことをしただけだから」

位のこと言ってるんですけど、このときいきなり顔というか化粧が筋モンのおかみさん、って感じになってて、「ああ!そうか!この人たちの世界では、こういうの当然なんだ!」とか妙にストーリーに納得いかせるんだよね。いやはや、なんだかんださすがローラ・リニー、とか思いつつ観てましたよ。

期待したほどでは・・・・と言うのは正直な感想なのですが、最近のミステリーはなんだか人物設定も謎解きもしょーもないものが多いので、このくらいのクオリティの観る価値があるミステリーって、この辺が最後かなあ、と漠然と思ったけど、どうでしょうか?

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key Word 映画 ミスティック・リバー クリント・イーストウッド ショーン・ペン ティム・ロビンス ケヴィン・ベーコン ローレンス・フィッシュバーン マーシャ・ゲイ・ハーデン ローラ・リニー
アメリカ映画 | コメント(4) | 【2008/10/18 08:41】
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『ラスト、コーション』-じと~っとしているところがステキです
Lust, Caution

エッチ・シーンがすごい!と言われていたのでスケベ心で観たのですが・・・・。私はもう少し

ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!

と景気のいいエッチが好きなので、この、トニー・レオンが腰を

むにっ むにっ

と動かしながらねちねち攻めるセックスは、エロ度からするとイマイチなんですけど、まあ、そんなことはいいとして。

Lust, Caution
dvd on amazon.com
Produced: 2007
Director: Ang Lee
Writing Credits: Eileen Chang, James Schamus
Cast:
Mr. Yee: Tony Leung Chiu Wai
Wong Chia Chi: Wei Tang
Yee Tai Tai: Joan Chen
Kuang Yu Min: Lee-Hom Wang
Tsao: Lar Lok Chin
濡れ場とか裸って、客寄せのためだけ、ってこともあって、良く女優が

「必然性のないものは演ません」

とかって言ったりするんですけど、『ラスト、コーション』の濡れ場は、必然性どころか、すごい多くを語ってるんですよね。2人の男女がいい感じになって、

「あ、こいつらやっちゃったんだな」

とわかればいいんじゃなくて、どういうセックスをしたか、どんな風にしたのかというのが、本当に重要という。

一番最初にエッチした時は、男が女の髪を引っ掴んで壁に叩きつけたりとか、ベルトでしばいたりとか、

「変態?!」

とか思ったんですけど、映画を全部観終わったあとで考えてみるとあれは、中国を占領している敵国・日本のために働いていて常に命を狙われている男が、誰にも心を許さずに生きてきたのに、どうしてもあがらえない、この女に魅かれてしまう、負けたくない、という気持ちが、あのような暴力的なセックスに出ちゃうのじゃないかしらと思いましたね。「俺がこの女を犯すんだ!俺は絶対に落ちないぞ!」と思いたかったんじゃないか。

で、あんだけヒドイ目に合わされながら、終わった後、「ニヤリ」と笑う女・・・・

この女はですね、大学で演劇部の部長にほのかな恋心を抱いて部員になったという、ウブな処女だったのに、部長が抗日活動にハマって行くのに引きずられて巻き込まれちゃうのですが、持ち前の演技の才能とその美貌のために、この売国奴である政府要人の男を誘惑するスパイにされてしまう。

この女の駆け引きの仕方が、セックスのシーンも含めて、男に近づくために化けたマイ夫人としてのリアクションなのか、ウブな女子大生・チアチーとしての彼女の本当の感情なのか、良くわかんないんですね。で、良くわかんないからセックスのシーンとかでも真剣に分析しちゃうんですよ。

2度目のセックスは、1度目の時より断然親密で、男は暴力とか振るわないんだけども、いつも女の目を見つめながらやってるのは、やっぱ今一歩信用していないようなんですが、よっぽどセックスがいいのか、イク時、完全に防御を下げちゃってるんですよね。女の方は、思いっきり中でされちゃって、自分もイッっちゃったんだか、イヤなのか、どちらでも取れるリアクションをしつつ、

「アパートを買って」

なんてあえぎながら絶妙のタイミングで言うのですが、これがスパイとして言ってるんだか、女としてこの男に陥落されてるのか、わからないんですよ!

で、スパイの上司に会って、男がアパートを買うと言った、と報告した時上司が、ここまで潜入できたんだから、すぐに男を殺すのはもったいない、もう少し愛人生活を続けて、色々情報を引き出そうと言うと、女はすごい告白をするんですね。

つまり、男は犯って犯って犯りまくらないとリアリティを感じられない男で、血が出るまで自分を攻める、こいつを受け入れる度に、男は私の身体だけでなく心にまで入り込んでくる、だから、私も疲れて動けなくなるまで男を攻め返す、それがこの男の心に入り込める唯一の方法だから。犯られる度に、いつスパイの仲間が飛び込んできて、こいつの頭を撃ち抜き、脳みそが私の身体に飛び散って、「ああ、これでやっと終わった」と思う日が来るのかと思っている、とか言うわけですよ。

これも最初は、血が出るまで犯られるって女としてはキツイし、早くこいつを暗殺しちゃってよ!と言ってると思っていたのですが、後々良く考えてみると、男が心の中に入り込んでくる、っていう下りは、好きになっちゃいそう、好きになりたくないから、早く殺しちゃって、というのと、好きになりかけている男がいつ殺されるかわからなくて辛い!と言ってるのか、両方に取れるんですよね。

その直後に3度目のセックス・シーンがあるんですが、そこでは女が男の拳銃をじーっと見つめながら上に乗っかっていると、男がそれに気付いたり、女が上になって男をイカせそうになると、男は慌てて上になって攻めたり、で、終わった後女が泣いたりするのですが、これはストレス泣きなんでしょうかね。

私的にクライマックスは、日本人街の芸者屋さん(って言わねーか)のお座敷で、女が男のために歌を歌うところ。やたらロマンチックな歌で、

あなたのハートと私のハートは一つ、辛いときに結ばれた二人は死んでも一緒

とかそういう歌詞で、女が振りつきで歌う。これがこの女優さん、振りの表現とか表情とか、すっごいいいんですけど、男も涙を拭いながら

ぱち、ぱち、ぱち

と淡白に拍手するところが、もう完全にこの女にホレちゃったな、と思わせるんですね。余談ですが、この時のトニー・レオンがすっげえオヤジ臭くて、私的にはがっかりしたのですが、役柄としてはこれ以上ない、という寂しい中年男を演じてました。

ここで男が女にホレた、というのははっきりわかっちゃうのですが、女の方は、まだ釈然としないんですね~。この辺のじらし方がまたさらにこの先どうなるのかハラハラさせて上手いんですけども。で、男が女に、この封筒を持ってしかるべき男に会いに行け、極秘だ、男がなにか言ったら俺に伝えろ、っていうんですね。これが「あれ?もしかして女がスパイってバレて、はめられるのか」とか思うと、実は女にすっごい高い指輪を買ってやるという下りだったりとか、こういうはずし方も上手いんですよ。

で、この指輪云々って言うのは、最初の方で男の奥さんがマージャンしながら「うちのだんなはあのダイヤモンドを買ってくれなかった」と言っていたダイヤよりデカい、ピンクのダイヤなんですよね。そういう伏線もさりげなく張ってあったりしていい。あと、原題の『色戒』って言うのは、英語題の『Lust, Caution(欲情、警戒)』という、要するに「欲情に気をつけろ」という意味と、「色の付いた指輪」っていう、ダブル・ミーニングなんだそうです。

このダイヤを指輪に作る注文をして、出来上がったものを男と一緒に取りに来るときに暗殺しようと言う計画なのですが、出来上がった指輪をはめてみて、取れなくなっちゃうんですよね。で、そん時女がなんとか取ろうとして取れなくて、涙ぐんできちゃうんです。

このときでさえまだ私は、「ああ~この指輪が取れないと、完全にこの男のものになってしまったような気がしてイヤなのかな~」なんて思っていたのですが、その後女が、

「逃げて」

と言ったときに初めて、「ああ、やっぱり惚れちゃったのか」と思ったんですね。

でもさ、やっぱ女は惚れたくなかったんだと思うんだな。最後、この事件に関わった大学の演劇部時代の友達が一列に並ばされて銃殺されるとき、女の隣に、かつてほのかな恋心を抱いていた部長が座るんだけど、こんな情けないヤサ男と恋愛ごっこしていたかっただろうなあと思った。

しかしアン・リー監督ってのは、あんな顔してすっごいロマンチストだよなあ。現代だったら、女スパイってちゃんと訓練されていて、敵と寝てもケロッとして、自分も楽しんじゃいそうなもんだけど、こんないたいけな処女が百戦錬磨の男を相手に、しかもただ絡め取られてセックス奴隷になっちゃうんじゃなくて、好きになりたくないのになってしまうという。じと~っとしているところがステキです。

key Word
映画 ラスト、コーション アン・リー トニー・レオン タン・ウェイ ワン・リーホン ジョアン・チェン チン・ガーロウ
この映画がすごい!! | コメント(5) | 【2008/07/06 20:24】
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『宮廷画家ゴヤは見た』-ナタポとバルデムがすごい
Goya's Ghosts

ノーカントリー』でキョーレツだったハビエル・バルデムを他の映画で観てみたい!というだけの理由で宅配レンタルのリストに入れといたので、送られて来た時、「気分じゃねーなー」と思いながらも、メシ食いながら一応点けとくか、くらいの気持ちで観てたんですけど、すっごい面白かったです。

goya's ghost
dvd on amazon.com
Produced: 2006
Directed by: Milos Forman
Writing Credits: Milos Forman, Jean-Claude Carriere
Cast:
Brother Lorenzo: Javier Bardem
Ines/Alice: Natalie Portman
Goya: Srellan Skarsgard
これって日本で出てないんだね。ナタリー・ポートマンが出てるのに。しかも半裸ですよ、半裸!乳は見えないけど、横ケツは見えます。まーそんなことは置いといても、ポートマン、ものすごがんばってるのに!

ストーリーはですね、えーっと、バルデムが堕落した神父、ロレンツォで、ゴヤという当時、王様もお妃様も肖像画を頼んでいた画家に自分の肖像画を描かせていたのですが、このゴヤが、教会批判みたいな悪魔的な絵を書くので、教会で問題になり、「なぜこんなやつに肖像画を描かせているのだ」と詰め寄られたロレンツォは、

「王様もお妃も使っている画家だからですよ。そんなことより、こういう悪しきものがはびこるのは、教会が手ぬるいからです。昔の方法を復活させるべきです」

とか言っちゃうわけなんですね。つまり、舞台はスペインで、昔の方法とは、魔女狩りを復活させようということなんですな。自分が色々責められるのがいやだから、話の矛先を変えるために、魔女狩り復活させちゃうとんでもない神父なんですよ、ロレンツォは。

で、ロレンツォ神父は自ら、「異教徒の見分け方」講座を開き、民衆の間にスパイとして送り込まれる牧師たちを教育する。

「排尿するときに性器を隠す男は、割礼しているのです!異教徒です!こういうやつを捕まえるのです!」

と真顔で説教しているバルデムがめちゃ可笑しい。

ナタリー・ポートマンは、蝶よ花よと育てられた、裕福な商人の娘・イネスで、ゴヤが彼女をモデルにある教会の天使を描いたくらいの美少女。イネスは、友達とレストランで食事をしているとき豚肉を食べなかったことで異教(ユダヤ教)とみなされ、Holy Office (教会)から呼び出し状を貰う。もう魔女狩りなんて行われてないと思っているイネスのお父さんは、イネスをHoly Officeまで送って行くが、何日も帰って来ないので心配になり、ゴヤにロレンツォ神父と会わせてくれという。

で、イネスのお父さんはゴヤとロレンツォ神父を豪勢な夕食に招待し、娘の状況を確かめようとするが、ロレンツォ神父にイネスは「The Question」の末に異教徒であることを白状したと伝えられ、愕然とする。「The Question」イコール「拷問」らしく、「The Questionされたら本当のことでなくても言ってしまう」というイネスの父親にロレンツォ神父は、

「いや、神を本当に信じていれば白状なんかしない」

とえらそーに言うと、お父さんは「私はサルです、オラウータンです」とかいう、要するに自分を卑下するような文章を書き、「これにサインしなければ、拷問する」と、ロレンツォの信仰心に挑戦する・・・・・で、まさかまさかと思っていると、イネスの父親は3人の息子と結託してロレンツォをその場で押さえつけ、後ろでに縛った腕をシャンデリアに縛ってつるし上げる・・・・・これが奇しくも前のシーンでイネスが実際にされる拷問と一緒で、イネス役のナタリー・ポートマンがぎゃーぎゃー叫んでいるのを見た後なので、一体ロレンツォ神父どーすんのかなーと思っていたら・・・・・

ほんの5分かそこらでギブアップし、すすり泣きしながらもさっさと署名する。この情けないバルデムが名演技!!!

で、痛い腕をさすりさすりしながらHoky Officeの偉い人に、イネスを釈放するように頼むのだが、あっさり断られ、獄中のイネスに会いに行くと、裸にひん剥かれたイネスが「神父様、神父様」と助けを求めてくる。するとこのロレンツォ神父、イネスのケツをつるん、と撫ぜて、やっちゃうんですね。なんと堕落した神父なのでしょう。

すんません、あんまり面白い話なので説明が長くなりましたが、なんでこの映画のナタポがすごいかっていうと、このイネスは結局15年間も獄中に閉じ込められ、ナポレオンがスペインに侵攻してきて、宗教裁判で監獄に入れられてた人たちを解放したときにはもう、ボロボロになって、頭も狂って出てくるんですけど、これがすげーんだ。ナタポって、こんな気持ち悪いブスにもなれるんだ、という。この役を演じためにかなり体重落としたと思われるのだが、げっそりやつれて、口は曲がってるし、肌は汚いし、本当に見る影もないほどひどいんですよ。

これが、冒頭、ゴヤのモデルをしているときは、本当にぷっくりして、すっごい可愛い。これがこれになれちゃうの?!というこの対比がすごい。これだけでもすごいのに、実はイネスは獄中でロレンツォの娘を産んでいるのだが、この娘は今は娼婦として暮らしている。この娘、アリスもナタポが演じているのだが、ものすごいすれっからしの、お品もなにもあったもんじゃない売女で、これも冒頭の無垢なお嬢様との対比がすっごい。要するに「一粒で3度おいしい」を見事に演じちゃってるわけですよ!

で、バルデムのキャラであるロレンツォも面白いキャラで、先ほどの「サルうんぬん」に署名したことがバレて(だったか)、逃亡してしまうのですが、ナポレオンの騎士の一人としてスペインに戻ってくる。優秀だが世俗的な騎士にすっかり様変わりしていて、なーんか調子いいヤツだなーってのを好演している。自分で魔女狩りを復活させたくせに、いまや捕らわれの身になったHoly Officeの長を「こんなヤツは死刑だ!」なんてのうのうとみんなの前で言って、拍手喝采されていい気になっていたりとか。

そんですごいのは、この頭の狂ったイネスは、ロレンツォのことを愛しているのだな。イネスにとってみれば、獄中(といっても本当に汚い洞窟みたいなひどいところ)に閉じ込められて不安なときに一緒に祈ってくれて、エッチしたのだって愛されているからだと思ったのかもしんないし、ロレンツォの子供まで生んだんだしさ。いやー、でも観てて悲惨よ。

題名の『Goya's Ghosts』のゴヤって、もしかして高島屋とかで良くやってた「ゴヤ展」とかのゴヤ?こんな絵描きさんだったんだ。この人が捕まって拷問されるんじゃないかとハラハラしていたが、最後まで傍観者的な立場の人だったなあ。最初、あー、こういう映画いや!拷問のシーンなんて見たくない、と思ったけど、イネスが吊るされる以外にはしつこくショック効果を狙ったような残虐なシーンはなく、ストーリーが面白くてすっごいいい映画でした。日本でも発売されるといいね!

key Word
映画 宮廷画家ゴヤは見た ハビエル・バルデム ナタリー・ポートマン
拾いモンの映画 | コメント(11) | 【2008/05/24 06:10】
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『Once ダブリンの街角で』-ラブ・ストーリーとは思わなかった
Once

この映画は、バンドで音楽を演奏すると言うことの素晴らしさを良く伝えているなあと思いました。主人公の男は、一人でじゃんじゃか、ギターを弾きながら唄っているストリート・ミュージシャンなのですが、この人の曲って、私の好みにはちと感情的過ぎてついていけないんですけど、ストリートで出会った女の子がピアノを弾き、コーラスに参加するだけで曲が深みを増して、それほど「感情垂れ流し~!」って感じじゃなく、完成されたものになって行く。

ONCE ダブリンの街角で デラックス版
dvd on amazon.com

sound track on amazon.com
Produced: 2006
Directed by: John Carney
Writing Credits: John Carney
Cast:
Guy: Glen Hansard
Girl: Marketa Irglova
で、フル・バンドでアレンジして演奏すると、これまた更に良くなる。曲が好みじゃなくても、「へえ~すごい」と思えるようになるし、クサイ、クサイと思いながらも感動してしまうのよ。やっぱ人間が協力してやると、パワーが倍増するのだな、と思いました。

で、彼と彼女の恋の行方なんですけど、彼女の方は若いのに子供もいるし、子供の父親と寄りを戻すのが最良と考えている。彼はロンドンに出て、プロのミュージシャンになるという夢があるから、現時点では、二人が付き合う、ということはあり得ない。なんとなく魅かれ合ってはいるのだが、二人ともその辺冷静で、私はこれ、ラブ・ストーリーだと思ってませんでした。

しかし最近ホントに、男と女が出会って、紆余曲折を経て、最後に結ばれる、という話が少なくなったと思いません?この話も、彼がロンドンに出て夢を叶えるためのデモ・テープ作りに彼女が協力してあげて、エモーショナルな葛藤もなく、彼はロンドンへ行く。彼女は、子供の父親と寄りを戻す。

でもね、彼の方は、この彼女に会うまではなんとなくくすぶっていたのよ。彼女は、貸しスタジオの料金を値切ったり、銀行でお金を借りるときとか押せ押せで、彼一人ではできなかったことを実現させてくれた人な訳。そして彼と音楽を演奏することによって自分の心の奥深くを見つめる機会が与えられた彼女は、それをきっかけに子供の父親と寄りを戻そう!ってがんばれた。

最後に二人が結ばれないラブ・ストーリーってすごい切ないんだけど、こういう出会いの方が大切なんじゃないかと思うよ、最近。自分の足で立って生きていくためのパワーを与えてくれて、そして通り過ぎて行く人達。その瞬間だけものすごい絆で結ばれて、その鮮烈さだけは一生忘れないのだろうけど、多分2度と会わないかもしれない。でも、あの時あの人に会ったからこそ今の自分があるんだ、と後年になって思い出すような。

Kay Words
ジョン・カーニー グレン・ハンサード マルケタ・イルグロヴァ
映画レビュー | コメント(1) | 【2008/01/12 10:12】
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「嫌いなら観なきゃいいじゃん」と言うほど馬鹿げた理論はない!とアジテイトする『姫のお楽しみ袋』

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