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『マイ・ブラザー』-メロドラマちっくに演出し過ぎ
Brothers

サム・カーヒル(トビー・マグワイア)は、妻のグレース(ナタリー・ポートマン)と二人の娘とアメリカの平凡な郊外に暮らしている。父親はヴェトナム・ベテランで、自らも軍人になったサムは、アフガニスタンに遠征する。映画は、強盗で入獄されてい弟のトミー(ジェイク・ジレンホール)をサムが迎えに行き、遠征前に家族全員で食事をするところから幕を開けます。

brothers
Produced: 2009
Director: Jim Sheridan
Writing Credits: David Benioff, Susanne Bier
Cast:
Sam Cahill: Tobey Maguire
Grace Cahill: Natalie Portman
Tommy Cahill: Jake Gyllenhaal
Hank Cahill: Sam Shepard
Elsie Cahill: Mare Winningham
Isabelle Cahill: Bailee Madison
Maggie Cahill: Cassie Willis
Joe Willis: Patrick Flueger
Cassie Willis: Carey Mulligan
サムが遠征してまもなく、グレースのところにサムの死亡通知が届く。トミーは、いままで家族の汚点だったけれども、サムの変わりになれるようにがんばろうと、善意で残されたグレースと二人の娘を面倒見る。高校時代から不良だったトミーを嫌っていたグレースだったが、娘たちにも優しいトミーに次第に心を許していく。

そのころサムは、アフガニスタンで事故にあったヘリコプターからなんとか脱出したのだが、幼馴染みで一緒に助かったジョーと共に、テロリストの捕虜にされる。拷問され、心に大きな傷を負ったサムは、のちにアメリカ軍に救出され、家族の下に帰って来るのだが・・・・。

一緒に観てた友達が「『ハート・ロッカー』よりは楽しめた」と言うのを聞いて、なるほどと思いました。アタシはこの映画と『ハート・ロッカー』と比較する気なんか全然なかったんだけど、町山さんと宇多丸さんがラジオで『ハート・ロッカー』対決」したときに、町山さんが、「『ハート・ロッカー』の主人公がまた戦場に戻るのは、、国に帰ってきても居場所がないとか、刺激がないとか、そういう理由でじゃない」って言ってたんだけど、『マイ・ブラザー』の主人公・サムは、まさに居場所がなくて戦場に戻りたがる。

サムは拷問されている時に一つの選択を迫られる。それは人間として究極の選択なのだけど、サムは、家族に会いたい、愛する人のために、と思って決断をし、そして生きて帰ってくるのだが、家族の方は、トミーを信頼していて、自分の居場所が感じられない。しかも、アフガニスタンで受けたトラウマのせいで自分が以前の自分とは違うし、家族もそれを察知して少し退いている。

大人はともかく、子供はアレだな~と思いました。サムが、自分の女房が弟と寝たんじゃないかとパラノイドになって夜中に家を飛び出したりなどの奇行をし始めると、10歳くらいの長女は心配し始める。で、庭で遊んでいるときに父親が帰ってくると、硬直してしまって上手く話せない。

「小さい時、こういう思いした事ある?」って一緒に観てた友達に訊いたら?「どういう思い?」って訊き返されて、「ああ、この人わかんないんだ」って思ったよ~。アタシはこのシーン、身に詰まされた。うちの親父がアル中っぽかったんで、飲み始めると人が変わってしまい、怖いんだよね。私に暴力を働いたりするわけじゃなく、向こうは少し酔っ払ってリラックスしてコミュニケーションしようとしてくるんだけど、こっちは怖いの。で、子供の自分としては、父親が仲良くしようとしているのに自分はイヤって思ってることとか、怖いって思っていることとか、自分の父親なのに好きになれないこととか、罪の意識を感じるというか、すごい複雑な心境になって、泣きたくなる。でも泣くと父親に自分のネガティヴな気持ちを悟られ、がっかりされたり、苦しめたり、怒られたりするんじゃないかと、必死にガマンする。

まあサムの場合、戦争に行ったせいでこうなってしまったのはかなり気の毒ではある。サムは、ヘリコプターに乗り込む前にグレースに手紙を書いていて、「君がこれを読んでいるってことは、I didn't make it」って書いてるんだけど、これは「生きて帰ってない」って意味でのI didn't make it だったけれども、実際は生きて帰ってきたけど「I didn't make it」、「結局ダメだった」ってことになっちゃったのだなあと、戦争に行って負うトラウマの重さをひしひしと感じました。

このようにテーマとしてはすごく興味深いのですが、演出の仕方がこのテーマを上手く表現しているとは思えませんでした。特に音楽!!なんか『ブロークバック・マウンテン』を思わせるギターのメロドラマちっくな音楽が、「可哀想でしょ?辛いでしょ?」って感じで、いやにカンに触るし、子供たちとトミーが心を触れ合わせるスケートのシーンに使われる軽快な音楽はすごいセンスないし。

それと、子供たちがすごい名演技なんだけど、使い過ぎじゃないかと思った。私的には、子供って無力で、両親とか大人のトラブルに振り回されてるのに何もできないという「静」な部分でジーンと来るのだけど、この映画では子供が主張するっていうか、大人みたいなこと言ったりしたりし過ぎるので、なんか「演出し過ぎ」感がある。

あと、ジェイク・ジレンホールが、ダメ人間なんだけど面白いヤツ、みたいな、ちょっとユーモアのあるところを見せようとしてるんだけど、全部コケていると思う。特に台所のペンキを塗っているシーンとか。ジェイクだけじゃなく、ナタポもトビー・マグアイアもジェイクも、役になりきってる感じしなくて、そこら辺も違和感ありました。特にナタポは、どうがんばってもひなびた郊外に住む高卒の二児の母に見えない。こういうの上手いのはジェニファー・アニストンだよな!とか思いながら観てました。

しかしイラク戦争関係の映画ってたくさん出てきましたね。『ハート・ロッカー』も、『Men Who Stare at Goats』もそうだもんね。しかもみんな切り口が違うし。これだけ戦争のトラウマとか空虚が表現されていて、今更戦争に行こうなんて気にはとてもなれないと思うのだけど、それでも行かなくちゃならないアメリカの職業軍人の人たちは本当に気の毒。

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Key Word
ジム・シェリダン トビー・マグワイア サム・シェパード ベイリー・マディソン テイラー・ギア キャリー・マリガン
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映画紹介 | コメント(1) | 【2010/04/06 00:13】
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『マイレージ、マイライフ』-不覚にも泣いちまった
Up in the Air

これ、いい映画だなあ。あんまり良すぎて、何も書けないよ。こんな気持ちになったのは、『ディス・イズ・イングランド』以来だなあ。もう、最初から最後まで、全部書かないと気が済まないってくらい、全部いい!!

up in the air
dvd on amazon.com
Produced: 2009
Director: Jason Reitman
Writers: Jason Reitman, Sheldon Turner
Cast:
Ryan Bingham: George Clooney
Alex Goran: Vera Farmiga
Natalie Keener: Anna Kendrick
Craig Gregory: Jason Bateman
Kara Bingham: Amy Morton
Julie Bingham: Melanie Lynskey
Bob: J.K. Simmons
人生とはなんなのか、生きがいとは、人と人との関わりとは、家族とは。そして、主人公のライアン(ジョジクル)がリストラ請負人を仕事にしていることから、仕事ってなんなんだろう?本当にお金のためだけにやってるんだろうか?ということも考えさせてくれる。

監督は、この脚本を、まだ景気が良かった2002年に書き始めたんだけど、『サンキュー・スモーキング』や『ジュノ』の話が持ち上がったりして伸び伸びになってしまい、今、映画化するには、世相が余りにも違いすぎるので、今の不況を反映するためにかなり内容を変えたようなんだけど、それが物語りにすごい深みを与えていると思う。

リストラされる会社員の役でJ.K.シモンズが出てくるんだけど、この人がハマってたね。本当にこのワン・シーンだけなんだけど、すごく印象深い。家族のために一生懸命働いてきたお父さん、「子供たちになんて言えばいいんだ」って言うんだけど、ライアンは、この人の履歴書にフランス料理のシェフ、っていう履歴があるのを見逃さず、「夢をあきらめたのはいつなんだ?いいか、これはチャンスなんだ。自分の夢を追いかけてみたらどうだ」なんて言うんだよね。

このライアンってキャラにものすごく共感する。人や物に執着したくない、心から自由でいたい。恋愛や家族や友達は、彼を幻滅させるのだ。人間関係ってのは、コツコツ溜めれば少しずつでも増えていくマイレージみたいなもんじゃない。努力しても報われないこともあれば、簡単に壊れてしまうこともある。そんなことに翻弄されたくない。自分独りでいる自由の方が確実だ。

でも、こういう人に限って、本当の愛を求めているんだよね。だって、この人は、ドライで冷たく振舞っているけど、本当は優しい人なんだよ。だからインターネットのヴィデオ・チャットでリストラを宣告するなんてアイデアは許せない。リストラされる人の痛みがわかるからこそ、この仕事が出来る。

インターネットのヴィデオ・チャットでリストラを宣告するなんてアイデアが出てくるのは、大学出たてでヤル気満々のナタリー。この娘がまたいいんだよね。非常に納得が行くキャラ。アナ・ケンドリックむちゃくちゃハマってる。仕事はバリバリ、ドライにこなすけど、彼氏にテキスト・メッセージで振られてわんわん泣いたり。

この娘と、ライアンと深い仲になるキャリア・ウーマン、アレックス(ヴェラ・ファーミガ)の、理想の男性像の比較が面白い。トシ取ると、「こういう人がいいなあ」って思う男性像が変わってくるのが、すごくリアルに伝わってくる。あと、ものすごく上手いなあって思ったのは、ナタリーが、アレックスとライアンに言った言葉。

あなたたちの世代がしてくれたことはすごい尊敬するし、感謝もしている。でもアタシは、やっぱ愛する人がいないってのは人生の負け組って感じがしちゃうのよっ

つまり、今40歳くらいの女たちが、男と対等に仕事したい!って、恋愛も結婚も家庭も子供もなげうってがんばってきたからこそ、ナタリーみたいに大学行って、就職して、女性が自立できる世界になったのはありがたいけど、やっぱりアタシは愛が欲しい!って。

そして、ライアンの妹の結婚式のシーンがあるんだけど、またこれがいいんだなあ。お金がなくてハネムーンに行けない、会場は地元の古くて小さいホテル。でも古くて味があるホテルじゃなくて、本当に田舎の、だっさい、壁とか合板の、ひなびた感じのホテルでさ、自分が呼ばれたら、「なんだこんなところかよ」と言いたくなっちゃうような。

でも、私は不覚にも泣いてしまった、このシーン。結婚して、色んな責任や足かせを背負う。バックパックに入りきらないくらいの。肩にストラップが食い込んで、早く歩けなくなる。人生を駆け抜けるってことが出来なくなる。でもでも!!なぜこんなに感動してしまうんだろう?

***ネタバレします***

明らかに恋に落ちていくアレックスとライアンを見て、いいなあ、中年になって、「本物の愛なんかないよ」って思ってた人たちが、もう一度ソレを信じられるようになるんだ、って思ってたから、アレックスがライアンを「現実逃避」って呼んだときはもう、ライアンの気持ちを考えるとツラかった。アレックスみたいな結論に達する人もたくさんいると思う。家庭や子供は素晴らしいけど、大仕事だ。恋愛は楽しみたい。でもわかるよ、今の旦那と結婚したのも恋愛の末なわけなんだから、誰と恋愛したって最後こうなっちゃう。だったら恋愛は分けて考えるしかない。

原題の『Up in the Air』は、このラストでのライアンの状態を示しているんだと思った。やっぱり愛が大事なんだ、と気が付いたけど、結局、またなんの足かせもない、出張ばかりで人間同士の繋がりのない世界に引き戻されてしまったライアン。前のように「これが俺の人生だ、生きがいだ」って確固たる信念を持つことはできない。それは「Up in the Air」、どっちつかずの状態。

このラストがまた上手いなあと思った。アレックスとライアンがくっついたら、「ハリウッド的大団円」って感じで、ベタだもんね。それにこういうエンディングにしたからこそ、色んなこと考えさせられていい。

私は、ライアンはいつか誰か見つけると思うなあ。アレックスは、ライアンに人と繋がるってことが幸せなんだよ、ってことを知らせるために現れた人なんだと思う。人は、求めているものは無意識に探しているものなんだよ。だから、それを意識させられたライアンは、今までと違って逃げたりせずに、探し始めると思うんだ。みんな避けてるものってのは傷ついたりがっかりしたりするのが怖いから避けるんだと思うけど、勇気を出して見つけようと思うと、探し物は簡単に見つかったりするものだと思うの。


ジェイソン・ライトマン アナ・ケンドリック ジェイソン・ベイトマン
オススメですっ! | コメント(6) | 【2010/02/02 09:38】
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『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』-人生訓がいっぱい
Marley & Me

これって、犬が面白いことするのとかを楽しむコメディかと思っていたら、意外にも人生や結婚に対する洞察が深くて、すごい面白かったです。原作のエッセイ集の著者・ジョン・グローガンがそのまま主人公で、レポーターになりたくて新聞社に入るのに、コラムを書かされて、いやいや書いたコラムが大当たりした、というのがストーリーの中核なので、この映画は自叙伝みたいなものなのでしょうね。

Marley & Me
Produced: 2008
Director: David Frankel
Writing Credits: Scott Frank, Don Roos
Cast:
John Gorgan: Owen Wilson
Jennifer Gorgan: Jennifer Aniston
Arnie Klein: Alan Arkin
Sebastian: Eric Dane
Ms. Komblut: kathleen Turner
とにかくこのジョン・グローガンって人が可笑しい。レポーターになりたかったのにコラムニストにされちゃったのもそうだけど、話を聞いていると、大学に行く気もなかったのに何気なく入ったら主席で卒業しちゃったり、すっごい惚れて結婚した奥さん・ジェニーは、「人生プランのリスト」をすでに持っていて、ジョンはジェニーのリストを一つずつ叶えて行くためにがんばる・・・。要するに、このジョンって人は、自分の大志もなけりゃ、計画もなく、ただ流れるように生きているのだけど、その中で結構成功しているのよね。

この冴えない、というか、まったりしたキャラ、オーウェン・ウィルソンがハマってて上手いんですよね。もともととぼけた役が多いんじゃないかと思うんだけど、この役はスケコマシとか、世をすねた役じゃなくて、すっごい真っ当に素直に生きている人で、ジェニーが子供欲しいというのを叶えてあげたいとか、編集長にコラムを見せる時のおどおどした感じとか、すごく可愛い。

編集長役のアラン・アーキン、この人も最高!どーも気になるなあ、と思ったら、『リトル・ミス・サンシャイン』のじーさん役演じた人じゃん!この人いいねー。一番笑ったのは、ジョンのコラムを読んでいるところ。

「すっごい面白い!頭の中で笑い転げてるよ!」

って言うんだけど、すっごい詰まんなそうに、難し~い顔して読んでる。なんか感情を出さない人なんだけど、すごいジョンのこと好きで、結婚や子供を持つことにアドヴァイズしてくれたり。ジョンが退職する時も、

「ハグするなんて俺らしくない」

だかなんか言うんだけど、結局ハグしたりさ。

あと、子供ができて、ジェニーが専業主婦になった後の話がすごい面白かった。こっちの方が『レボリューショナリー・ロード』よりよっぽど「結婚生活の現実」を現していると思った。

ジェニーはすごく才能のある新聞記者なんだけど、子供欲しかったから、自分から仕事を辞めて、子育てに専念する。

でも、自分で選んだ道であっても、すごく大変で、ジョンに当り散らして「そんなこというんなら、あんたが会社辞めて家にいてみなさいよ!」みたいなことまで言ってしまう。

そんなイライラしているジェニーと毎晩ケンカになっちゃうのがイヤで、家に帰りたくないなジョン。家の前まで来ているのに、家に入りたくない・・・・。

良く日本でも、サラリーマンのおじさんとか、いつまでも飲んだくれてないで早く家に帰ればいいのに!とか思うけど、子育てでストレス溜まりまくっている奥さんが、待ち構えていたようにうっぷんをぶつける対象にされちゃあ敵わない。こういう事情があったんですなあ。

ジェニーの方も、子育てのストレスを語る。

「いままで、自分というものを形成してきたものを全て捨てなきゃならない。自分が自分って気がしない。子供がいなかったら・・・って思う度に罪悪感を感じるの」

大好きな記者の仕事も辞め、女であることも辞め、母として生きる。最初はジェニーも全部やろうとしていたんだけど、2人目が生まれたところで「できない」と悟り、子育てに専念しようと、仕事を辞めた。

「誰もこんなに大変だって教えてくれなかった!」

やっぱり結婚ってのは「仕事」なんだと思ったよ~。この人たちは、自分でしたくてしたし、がんばってはいるんだけど、それでも力及ばず、しょっちゅう夫婦喧嘩みたいになってしまう。「上手く行く結婚ってないのかしら?」って思ってたけど、無い!みんなこういう時を経て、これを超えられるか、超えられないかしかないんじゃないかと思った。

「でも私は、自分で選んだから。それに、あなたとここを乗り越えて行きたいの」

とジェニーが言った時に、ジ~ンときたね。恋愛と結婚が違うって言うのはこういうことなんだな~って。恋愛は楽しむことが前提だけど、結婚は苦労することが前提なんだな~。お互い自分を捨てて、「結婚」のためにがんばる。それによって、一人では得られない何かが得られる。

でも、かといって結婚だけが成功でもない。ジョンの親友のセバスチャンは、マーリーが仔犬のときとか、ジョンの子供がまだ赤ちゃんの時、女を引っ掛けるための小道具として使ったりするスケコマシで、ジョンが子供3人持つ頃になってもまだ独身。でもセバスチャンは家族を持たなかったおかげで記者としてあっちこっち飛び回れる自由があり、タイム誌の記者として成功し、今でもプレイボーイの生活を楽しんでいる。幸せは人それぞれってことね。

ジョンの人生って、すごく現実的だなと思った。さっき、流れるように生きてきた、って書いたけど、この人は、いつも、他の人によって自分が一番向いてることを見つけてきた。自分で見つけてきたわけじゃない。そこがすごく、現実的だなと思った。社会に出て2、3年って、「なんでこんなことしてるんだろう」とか、「自分のしたいことはこんなことじゃない」とか色々思うのだけど、社会の中で他人と関わりあって、面倒くさいことや納得行かないことをしている内に、自分ってどういう人なのか見えてくる。ジョンみたいに、納得行かない移動とかさせられても、それを一生懸命やることによって、自分の本当に向いていることが見えてきたり。

犬の方はさ、私はマーリーのバカっぷりはあんまり可愛いと思わなかったけど、最後、具合悪くなってきちゃってからはもうずーっと泣きっぱなし。今書いてても涙目になってしまう。あれは反則だよ~~~!!!一番上の男の子だけが事情を察知して、泣きそうになるところとか、獣医に連れて行かれるマーリーを抱きしめてジェニーが泣くところとか、もーどーすんのよ!

しかも、安楽死をさせる前に、獣医さんはペットと飼い主にしばらく時間をくれる。ジョンはマーリーに「世界で一番おバカな犬って言ったけど、ウソだよ。お前は最高の犬だよ」なんて言っちゃってたけど、アタシがあの場面で、テツと二人きりにされたらどうしよう?なんて言うの?そしてその後、クスリを打って死ぬまで、一緒にいてあげたいけど、死んでいくテツを見ていられるだろうか・・・・・。まーベタと言えばベタだけど、これで泣かない人は人非人だよぉ~。

これから社会人になる人とか、結婚しようと思っている人が見たら、色々参考になるかも。もちろん、犬好きの人にもいいけど、ティッシュをたくさん用意した方がいいです。

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映画 マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと デヴィッド・フランケル オーウェン・ウィルソン ジェニファー・アニストン エリック・デイン アラン・アーキン キャスリーン・ターナー
拾いモンの映画 | コメント(5) | 【2009/05/30 02:36】
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『ミスト』-思いもよらないビターなラスト・・・・・
大きな台風が来た次の日、木が倒れて窓を割ってたりとか結構被害が出て、街に息子と隣に住んでる人と買出しに行ったデヴィッドは、スーパーで買い物しているときに、街の住人ダンが血まみれで駆け込んできて、近所の人が霧の中に引きずり込まれて殺された!と告げるところに出くわす。買い物客が困惑していると、スーパーの外は一寸先も見えないほどの濃い霧で覆われて行く・・・という設定は、霧の中に何がいるのか全くわからないところが売りなので、この先ネタバレになります。

mist
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Produced: 2007
Director: Frank Darabont
Writing Credits: Frank Darabont, Stephen King
Cast:
David: Thomas Jane
Mrs. Carmody: Marcia Gay Harden
Amanda: Laurie Holden
Ollie: Toby Jones
Jim: William Sadler
Irene: Frances Sternhagen
Dan: Jeffery DeMunn
最初に殺されるのは若い男の子なんですけど、「出たら危ないよ」って言ってのに「大丈夫だよ」って出ちゃうキャラがいるのは、ホラー映画の約束ですよね~。で、こういう人が必ず殺されるんです。なのに怖いの!しかも、いかにも「作り物」というタコの足みたいなのに「わー!!!」とか引きずられて行くだけなのに、なんかすごい盛り上がる!

で、次は巨大な蚊、というくだらねー設定なのにも関わらず、ソレがスーパーのガラスを割って入り込んできて、ぶんぶん飛び回ってるところなんか、ぎゃー!怖いよー!とか叫びながら観てしまった。しかも、あの若くてキレイな女の子が刺されて、顔がぶんぶくれになって死ぬところとか最高!

「ああ~、蚊ってちっちゃいからアレだけど、あんだけ大きかったらああなるな~」

って妙に納得したりとか。

この後も、隣の薬局では巨大蜘蛛が人間の身体にタマゴを産み付けたりとか、それをわざわざ見せたりとか、かなりB級色漂ってるのに、怖いのよね~。バカくさいと思いながらも頭の片隅で、「いや、でももしこれがマジに起こったら怖い!」って思ったりして。「早く!早く逃げるのよ!」とかソファの上で足をバタバタさしちゃったりとか。

あと、革ジャンにバンダナというマルボロマンみたいな男が

「俺がショットガンを取ってくるぜ」

と外の駐車場に止めてある車に行くと申し出る。で、何かの時のために、とロープを腰に巻きつけて行く。もうこの時点で、この人が霧の中にいる怪獣に食べられて、ロープで引き戻したときには無残な死体が戻ってくるだけ、って読めちゃうのに、この人の下半身だけするするっと戻ってきたときには素直に「ぎゃー!怖いー!」とか叫んでいる自分が可笑しくて笑っちゃった。

キャラもすごい良くて、マーシャ・ゲイ・ハーデンが演じるミセス・カーモディがたまりません。「ミセス」って、旦那が気の毒!というくらいウザい、神がかりなおばさんで、「神に背いた報いだ。私は神の代弁者だ」とか言ってウザがられるのだけど、巨大蚊が胸にとまったのに刺されなかったことから信者が出きて、主人公のデヴィッドとかが理性的に何とかしようとしているときにスーパーの隅で演説を始めてしまい、小さなカルト集団を作ってしまう。

それから、ジムっていう、虚勢を張ってるおっさんがすげーいい!演じるウィリアム・サドラーって人は、色んな映画で観たことある気がするのですが、「コレ」って言えるほど印象がないという、典型的な脇役キャラの人で、こういうチンケな、しょーもない人の役がめちゃくちゃ上手い。最初は主人公のデヴィッドに、

「おめえ何様だと思ってんだよぉ。偉い芸術家だかなんだかしんねえが、俺たちに命令するんじゃねぇ!」

とか言って、外へ出ると言い張るんだけど、若い男の子が襲われると、何も出来ずに震え上がって「I'm sorry, I'm sorry」って連発するところとかサイコー。それが中盤にミセス・カーモディが宗教カルトみたいになって行っちゃうとき、一番熱心にお祈りしてたりして。もーこの小心者ぶりが最高です。

あと、スーパーのアシスタント・マネージャーのオリー。背低くて、冴えない容貌で、しかもスーパーのアシスタント・マネージャーというキャラなのに、実は射撃の名人で、たった一つしかない拳銃を任される。冷静に物事に対応するし。この人といいジムといい、物語りが進んで行くに従って印象が変わっていくようなキャラを置くところが上手い。

で、もっとすごいのは、何をやってもほとんど何も上手く行かないんだよね。だからお約束が生きているのかしら、この映画って。なんか、マルボロマンがショットガンを取りに行くとき、ミセス・カーモディが、「あんたは外で死ぬわよ」って言って、「なんだよ、このババア!」って思うんだけど、その通り死んじゃうし、ミセス・カーモディみたいなイヤ~なキャラってどっかで仕返しされるはずなのに、どんどんこの人の言うとおりになっていっちゃうのよ!

この手の映画って、周りの状況が緊迫してる割りには主人公とその一派が色々頭を捻ってやることが成功し、最後は逃げられるんじゃないか、と希望が見えてくると逆に「なんだよ~たいしたことないんじゃん!」ってすごく興ざめなんだけど、この映画は全然状況が改善されない。

それどころか、スーパーの中にいる人たちが揉め出す。このお話は、つまりこういう状況になったら人間ってどういう行動を取るだろうか、という発想から生まれた話らしいけど、それがリアルでいいですよね。神だなんだと言い出す人、全く非現実的なのに、そういうものに惹き付けられる大多数の人たち、そして仲間割れし始めたり、違う行動を取ろうとすると責めたり、誰かをスケープゴートにして、普通の人が普通の人を殺したり。

で、常に冷静に対処していた主人公とその一派が逃げ出すのですが、この人たちが助からない。この手の映画観てると「当てもないのに車で、どうしようってんだろう?」って思うことない?「どこに逃げるんだよ」みたいなさ。まさにその通りで、せっせと走って行くのですが、何もこれといって救いは見つからず、ガソリンがなくなってしまう。全くドラマも何もなく、ガソリンがなくなってしまうという地味さがリアル。

最後は、ネタバレしますと言いながらもこの衝撃のラストは言いたくない、というほどの・・・・。衝撃、ってそれほどドラマチックじゃないんだよね。肩透かしというか、やっぱ地味なんだけど、これ痛いよね~。最初のアホな巨大化した昆虫から、こんなビターなラストは想像付きませんでした。

映画 フランク・ダラボン トーマス・ジェーン マーシャ・ゲイ・ハーデン トビー・ジョーンズ ウィリアム・サドラー
DVDレビュー | コメント(5) | 【2009/04/11 11:21】
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『ミルク』-オスカー納得です
Milk

しかしコレを観てつくづく思ったのですけど、政治家に向いている人っていいなあ~。いくら世の中を変えたいという情熱があっても、政治家になるというのはたくさんの人を動かせなきゃダメだし、特に自分の方がマイノリティであるからこそ政治家になりたいと思ったら、本当に人間的魅力がなかったらできないですよ。ショーン・ペンは、そういうハーヴェィ・ミルクという人を、魅力的に演じてましたね。こういう人がたまたまゲイだったことは、ゲイの人たちにはラッキーでしたよね。映画でも言われていたけど、ゲイのマーチン・ルーサー・キングですよ。

Milk
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Produced: 2008
Director: Gus Van Sant
Writing Credits: Dustin Lance Black
Cast:
Harvey Milk: Sean Pann
Cleve Jones: Emile Hirsch
Dan White: Josh Brolin
Jack Lira: Diego Luna
Scott Smith: James Franco
Michael Wong: Kelvin Yu
Anne Kronenberg: Alison Pill
もう一つ思ったのは、やっぱり何かに情熱を燃やして心血注いで活動していると、恋愛関係ってダメになっちゃうものなんだなあ、という。ミルクの恋人、スコットは、ミルクの政治活動について行けなくなって彼のもとを去ってしまう。スコットを演じるジェームズ・フランコ、いいなあ!『スモーキング・ハイ』ですげー好きになったんですけど、コレでもいいです!

ご近所の84歳のおばあちゃんが『ミルク』を劇場に観に行って、大画面で男同士がチュッチュ、チュッチュするのがもう耐えられないっ!ってこの映画大嫌いになっちゃったのですが、確かに赤裸々に描いてますよね。でも私はおばあちゃんよりはまだまだ若いので、「これって、普通の男女のカップルだったらやり過ぎでもなんでもないよな~」と思った。なんかさ、もーミルクとスコットが超 in love で、「可愛いぃぃぃぃぃぃ~~~~」って思っちゃった。

マイ・プライベート・アイダホ』でも書いたけど、ガス・ヴァン・サント、趣味丸出しだし!実在の人物がモデルなのに、エミール・ハーシュジェームズ・フランコディエゴ・ルナ!もーみんな超可愛い!!!

ディエゴなんて、もう絞め殺したくなっちゃう可愛さです!むぎゅー!って絞ってしまいたくなるよーな!でもこの人演じるジャックは、可愛いけどなんかすげー我がまま女みたいな、子供っぽくて精神的に不安定な人ですね~。なんかミルクさんって、そういう人を呼び寄せちゃうのね。ゲイだといって差別されたり脅かされたりしているのに小さくならず、自分をしっかり持って人生をエンジョイしている人なので、それが出来ない人たちの嫉妬や憧れや、色んな感情の対象になってしまう。

エミール・ハーシュもなんだかイヤに生き生きと演じてて、すげえ面白い。若くて可愛くて、そんでちょっとぽっちゃりしているところが時代を表していて上手い!と思った。70年代くらいの子って、まだエクササイズとかダイエットがブームになる前だから、ぷくっとしているんだよね。『イントゥ・ザ・ワイルド』ではがりがりに痩せてたのにね~。

みんなしぐさとか本物のゲイの人みたい!って思ったけど、ゲイの人は「演技」ってわかっちゃうんだってね。そりゃそうだよね、本物の日本人が演じてない日本人の役ってわかっちゃうもんな。でもガス・ヴァン・サントがOK出してるんだから、すっごく信憑性あるんだろうなあ。

でもね、これってゲイの映画というより、一人の偉大な政治家の映画だと思った。たまたま私生活がゲイで、政治家になるモチベーションがゲイの人権だったというだけで、あとはとにかくミルクの政治家としての才能というか、情熱というか、魅力に圧倒されますよ。

演説なんかさ~、感動しちゃうもん。この人は同性愛者にクローゼットから出て来い、ゲイであることを隠すな、ってアジるんだよね。友達や家族に言えと。

この人が繰り返し言っている、個人の利益のためじゃなく、グループとして政治的なパワーを勝ち取りたいなら、カミング・アウトすべきだ、という理論はすごく賛成したし、感動した。この人が現れる以前のゲイに対するバッシングは相当ひどかったみたいで、それこそ『ブロークバック・マウンテン』じゃないけど、ゲイの人が道端で殺されてもたいした事件にならないので、ゲイの人はみんな警報笛を持ち歩いている。ミルクも、一度夜道でつけられていると思ってパニくる場面があるのですが、こんな風に生きなきゃならないって本当に気の毒だ。

しかもゲイだというだけで職を追われたりする。そんな状況の中でカミング・アウトするってすごい勇気のいることなのだが、まさに「自分だけリンチされなきゃいいや、自分だけ仕事を失わなければいいや」と思っていたら、「ゲイの人権」はあり得ないんだよね。

ミルクは、暗殺されるんじゃないかと怯えていたし、お金もほとんどなかったらしいけど、自分が犠牲になっても、他のゲイたちと、ゲイと同じように人権を無視されている人たちが、「希望を持って生きられる」世の中にしよう!っていう情熱があって、そこに多くの人が動かされちゃうんだよね。

ジョシュ・ブローリン演じるダン・ホワイトは、ミルクがゲイであるというユニークさで成功した、と思って嫉妬しているんだけど、本当はダン・ホワイトには政治家として情熱を賭けるほどのテーマが自分にないから、人がついて来ない、ってことがわからないんだよね。

これはいい映画だわ。アカデミー最優秀主演男優賞、なんでミッキー・ロークじゃないんだよぉぉぉぉと思ったけど、このショーン・ペンはすごいいいです。町山さんも言ってたけど、普段のショーン・ペンって、全くこういう人じゃないわけじゃない?どっちかっていうと「漢」系じゃん?それがまー、超おネエなの!演技とは思えないよ。本当に成りきっていた。ショーン・ペンが見えないもん。これはオスカー納得です!

key Word
映画 ミルク ガス・ヴァン・サント エミール・ハーシュ ジョシュ・ブローリン ジェームズ・フランコ ディエゴ・ルナ アリソン・ピル
第81回アカデミー賞 | コメント(9) | 【2009/03/14 21:36】
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『マイ・ライフ、マイ・ファミリー 』-ダメ家族演らせたら最高の配役
The Savages

苗字が「野蛮人」、妹がローラ・リニー、お兄さんがフィリップ・シーモア・ホフマンと来ちゃあ観ないわけには行きません。

savages
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Produced: 2007
Directed by: Tamara Jenkins
Writing Credits: Tamara Jenkins
Cast:
Wendy Savages: Laura Linney
Jon Savages: Philip Seymour Hoffman
Lenny Savages: Philip Bosco
Larry: Peter Friedman
Jimmy: Gbenga Akinnagbe
フィリップ・シーモア・ホフマンは、『Before the Devil Knows You're Dead』ではイーサン・ホークと兄弟だったし、なんか縁があるなあ。

ウェンディ(ローラ・リニー)とジョン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は非常に疎遠な兄妹で、お父さんもお母さんも別々の人と同棲していて、はっきりどこにいるかもわからない。お父さんのレニー(フィリップ・ボスコ)が同棲している女性の娘から電話があり、その女性が突然亡くなり、お父さんはボケたらしいと聞く。ジョンとウェンディが行ってみると、お父さんは入院中、しかも二人が住んでた家を家族が売却するので、お父さんには出て行ってもらわなければならないという。

で、お互いも疎遠だったジョンとウェンディがなんとか協力し合って、ボケたお父さんを養老院に入れるのだが、冷静で感情を差し込まないジョンと、20年もほとんどコンタクトのなかった父親に深く同情してしまうウェンディのズレ加減が可笑しくもあり、悲しくもある。

いや、しかし、可笑しいかも!特にフィリップ・シーモア・ホフマンは持ち味全開で、『ポリー MY LOVE』の時の「アイスマーン!」とかあの辺の、最高に笑えるフィリップ・シーモア・ホフマンです。例えば、ウェンディが、ジョンの家に泊まりこむことになり、リビングのカウチで寝てもらうことにしたのだが、大学でドラマを教えているジョンのカウチには、本が山済み。それをまずどかさないと寝られないので二人で本を動かすのだが、ジョンは「それはそっちに置くな」とか結構うるさい。

「そうは見えないかもしれないけど、これにはちゃんとシステムってものがあるんだ」

というジョンをウェンディが鼻で笑っていると、ジョンが、やはり本やらで汚いコーヒー・テーブルの上にあった、シリアルを食べたボールとスプーンを片付けるべく持ち上げるのだが、そのあとどうしていいのかわからなくて、結局またコーヒー・テーブルの上に置いちゃう。そのタイミングがもう絶妙で、ソファから落っこちて笑ってしまった。

それとか、二人がテニスをするんだけど、ウェンディの最初のサーブは網にひっかかり、二度目のサーブをバック・ハンドで打ち返そうとしたジョンが「あううう!!」とか言っていきなり肩をだか首だか捻ってしまい、「大丈夫?」というウェンディに

「No!大丈夫じゃないよ、ファック!!!」

って言うところとかもう爆笑!で、その後、頭の重みから来るプレッシャーを取る装置に繋がれたジョンを見て笑うウェンディに「笑うな」とか言いながら自分も笑っちゃうとことかも、異常に可笑しい。

この映画は、昨日レヴューを書いた『ジュノ』とおんなじ頃に公開されたらしく、オリジナル脚本賞かなんかで、『ジュノ』とともにノミネートされてたでしょ?アカデミーで。で『ジュノ』が取っちゃうんだもんなー、全く。

まあさ、この映画の方が年齢層的に感情移入できちゃうし、いくらエレン・ペイジが悪くない役者だと言っても、こういう人間の心のひだみたいなの演らせたら、ローラ・リニーフィリップ・シーモア・ホフマンには適わないだろうしさ、比べるのもどうかと思うんだけど。

でもね、『ジュノ』も『ザ・サヴェジズ』も、何かやんごとなき状況に直面させられた人間を描いているという側面で切れば、同じわけじゃない。『ザ・サヴェジズ』の監督で脚本も書いたタマラ・ジェンキンスは、自分のお母さん(だったと思う)が実際にボケてから死ぬまでの様子を記録した日記を元にこのお話を書き、それを「ドキュメンタリー風に録りたかった」とDVDのインタヴューで言ってたんだけど、そこが、私が『ジュノ』イマイチだなーと思った原因かな、と思った。

お父さんがボケちゃって、「親父のおしめなんて換えたくないだろう?」とあっさり老人ホームに入れてしまおうとするジョンと、そんなところで死ぬなんて可哀想、と同情してしまうウェンディ。お父さんをサンクス・ギビングのショッピングに連れ出してあげながら、兄妹ゲンカを始めて、お父さんが補聴器のスイッチを切って寂しげにしている。そんな可哀想なお父さんも、昔は子供たちを見捨てて家を出て行った。みんなみんな、どこかしらダメ人間。人が一人死のうっていうときだって、特に素晴らしいことができるわけでもない。『ザ・サヴェジズ』は、そういう人たちを正確に描写しているんだけど、その人たちに良い・悪いというレッテルは貼ってない。「ドキュメンタリー風」と監督が言っているとおり、ひたすら描写するだけだ。

でも『ジュノ』は、「この娘、いい娘でしょ?彼女は正しい判断をしたでしょ?こうでなくっちゃね!」っていうようなオーラがあるんだよな。なんか保健体育の時間に見せたくなるような映画じゃない?それとさ、さっき「心のひだ」って言ったけど、『ジュノ』の方は、役者は悪くなくても、そういう細かい心の動きってあんまり見せなかったように思う。ティーンエイジャーの生態とか、そういう方に力入れちゃってて。

とにかく、最後は、お父さんの死をきっかけに少し兄妹間に交流ができて、おおきな起承転結!があるわけじゃないんだけど、それなりにハッピー・エンドというか。私は、人間の死って、結構重みないなあと思った。つか、この家族、疎遠だったから、お父さんが可哀想とか思う心はもちろんあるけど、死んじゃったからって余り自分たちの生活とか精神状態に影響ないっていうか。「遠くの血縁より近くの他人」って言うけど、しょっちゅう会って話したりしてる人が死ぬ方が、喪失感あるのだろうな、と思った。だってさ、ウェンディが不倫している相手の飼い犬が年取ってきて、安楽死させようというくだりの方が、よっぽど感情的になってたもん。毎日一緒にいる犬が死ぬ方が落ち込むよな。

映画 ザ・ヴェジズ タマラ・ジェンキンス ローラ・リニー フィリップ・シーモア・ホフマン フィリップ・ボスコ

PS:
これ、やっと日本発売になったようですが、どうよ、この邦題・・・・。こんなおざなりな邦題だったら、『サヴェジズ』のままでも変わらないんじゃないでしょうか。
★おすすめ映画★ | コメント(1) | 【2008/05/02 08:23】
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「嫌いなら観なきゃいいじゃん」と言うほど馬鹿げた理論はない!とアジテイトする『姫のお楽しみ袋』

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