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『恋はデジャ・ブ』-スルーしかけた意外な佳作
Groundhog Day

町山さんの特電で聴いて「面白そうだなあ」と思って借りてきました。会社のアメリカ人に、「昨日、『Groundhog Day』を観たよ!」って言ったら、「えー!First time?!」って言われたので、相当有名な映画みたいだね。

恋はデジャ・ブ [DVD]
dvd on amazon.com
Produced: 1993
Director: Harold Ramis
Writing Credits: Danny Rubin, Harold Ramis
Cast:
Phil: Bill Murray
Rita: Andie MacDowell
Larry: Chris Elliot
主人公は、ビル・マーレイ得意のすっげーイヤなヤツで、TVのお天気お兄さんなのですが、ニコケイの『ウェザーマン』を思い出してしまいました。とにかくこのイヤーなヤツ、フィルが、番組の新しいプロデューサー・リタ(アンディ・マクダウェル)とカメラマンのラリー(クリス・エリオット)と共に、ペンシルヴァニアの田舎パンクサトーニーにGroundhog Day(聖燭節)の行事の取材に行く。

フィルは毎年この取材に来ていて、そうでなくともイヤ~なヤツなので、田舎は嫌いだの、このホテルはイヤだの、お前らとメシは食いたくないだの、なにかと文句が多い。で、取材が終わったらとっとと帰ろうとするのだが、大吹雪かなんかでもう一泊するハメになる。超不満ながらももう一泊するのだが、次の日目覚めてみるとまたもや同じ、Groundhog Dayで、これが毎日毎日繰り返されていくのだった・・・・・

毎朝起きると同じ日で、同じことばかり起こるのはやるせないな~と思ったのですが、フィル自身には制約がなく、例えば仕事休んじゃえ、とか好きなことができるんだからいいじゃん!私だったら、毎日ケーキとか好きなものいっぱい食べるな~、と思ったら、フィルもドーナツとかテーブルいっぱいに注文してた!やっぱみんな考えることは同じだな~。

なんて気楽に考えていたのだが、色々問題はある。フィルはリタを口説き落とそうとするのだが、そういうのは何日もかかってするものなのに、一日で相当な成果を出しても、次の日にはチャラになっている。で、今日中にヤっちゃわないと!なんてアセると、リタに「身体が目的なのね!」とひっぱたかれてしまう。

で、毎日ひっぱたかれて、もういやんなっちゃって、自殺を試みるのだが、朝6時になると目覚まし時計にセットした「I Got You Babe」でしっかり目覚めてしまう。私だったら、こんなことになるんだったらせめてこの曲じゃない曲を選んでおけば良かったと思うだろうな~。

で、もうこりゃしょうがないとありとあらゆる悪いことしたり、いろーんなことして、その上死ねないことがわかると、なんと不思議なことにフィルは段々まともな人間になっていくのだ。

なんかコレってさ、普通の人生もそうかなと思った。別に同じ日が繰り返されていかなくても、人生なんて結構退屈で、大概の人は毎日同じような生活しているわけじゃん。で、それを

「俺はこんなところにいるべきじゃない」とか

「なんて退屈な人生なんだ!こんなことでいいのか!」

なんて思うのを止めて、与えられた中で出来る限り楽しもう!って思い始めると、案外悪いもんじゃないっていうか。で、こういう退屈とかつまらない人生を楽しくするのは、実は他の人とコミュニケートすることだ、って気が付くんじゃないかなあ。

リタのことも、惚れてるんだけど、一日じゃどうにもならない、でも、時々すごく上手く行く一日もあるわけよ。それ以上、どうにもならないんだけど、もうそれがわかっているので、ただリタと楽しい一日を過ごしただけでいい、みたく、無欲になっていくんだよね。

ビル・マーレイってあんまり好きじゃないんだけど、ってきっとこういう役が多いから好きじゃないのかも知らんけど、この役は良かったよ。でもいい人になっても見た目いい人に全然見えないのですが(笑)。アンディ・マクダウェルって、ちょっとキレイ過ぎない?なんかこんな顔でこんなキレイなのに、時代物のドレス着た役とかじゃなくて、ラブコメ系ばっか出ているような気がするんだけど。昔憧れたなあ、この人のくりくりの髪。

町山さんがなんて言ってたのか忘れちゃったけど(これを書いてからもう一回聴こうと思って)、確かにいい映画だったよ。全然古臭くないし。でもこの邦題でビル・マーレイだから、町山さんが紹介してくれなかったら絶対観なかっただろーなー。

映画 恋はデジャ・ブ ハロルド・ライミス ビル・マーレイ アンディ・マクダウェル クリス・エリオット
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拾いモンの映画 | コメント(0) | 【2009/04/01 05:16】
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『危険な情事』-とにかくグレン・クローズです
Fatal Attraction

ニューヨークで弁護士をしているダン(マイケル・ダグラス)は、奥さんと行ったとあるパーティで、魅力的なキャリア・ウーマン、アレックス(グレン・クローズ)と出逢う。後日、仕事で再会したダンとアレックスは一緒に食事をし、食事が危険な情事にエスカレートして行く・・・・・。

Fetal Attraction
dvd on amazon.com
Produced: 1987
Director: Adrian Lyne
Writing Credits: James Dearden
Cast:
Dan: Michael Douglas
Alex: Glenn Close
Beth: Anne Archer
Ellen: Ellen Hamilton Lazten
このパーティ、ジャパニーズ・レストランが会場で、なんかわかんないけど世界的に有名なカラテの先生?が招かれていて、不必要にお辞儀しまくっているのをダンとダンの友達が

「サムライのなんちゃら!」

とか言ってマネをしてゲラゲラ笑ったり、今では考えられないほどすっごい無神経な日本レフェレンス満載で、時代を感じますね~。

男の浮気を容認する気はありませんが、このシチュエーションはちょっと厳しいなあ。たまたま魅力的な女が現れた週末に、奥さんと子供が実家に遊びに行っていないなんて!こんな状況じゃなかったらダンだって、浮気してなかったと思うよ。こういうのをまさに「魔が差す」って言うんでしょうね。

しかも魅力的な女の方がヤル気満々なんだからさ。公開当時は、「こんなババア顔の垂れパイ女のどこがいいんだろう」と思ってたんだけど、今観ると、グレン・クローズめっちゃキレイ!!!すっげー魅力的。ちょっと褐色系のメイクにちりちりの金髪がすごい似合ってて、腰がすげー細くて、当時流行った肩パッドの入った皮のコートがむっちゃ似合う!

このグレン・クローズ演じるアレックスってデキるキャリア・ウーマンで、自立してて、しかもすごい魅力的なので、一回くらい寝てもサバサバしていると思ったんだろうなあ、ダンよ。まあさ、ストーカーとかって、一見してストーカーってわからないので、気の毒ではあるのだが。

だが。

やっぱダンが悪者になっちゃうよねー。アレックスとご飯食べてて家族の話になり、「俺は(可愛い子供と奥さんがいて)本当にラッキーだ」と言うとアレックスが、

「じゃあ、あなたここで私と何やってるの?」

と突っ込まれてグウの音も出ない。そうなの、何やってんのよ!んで結局、アレックスは妊娠したと言ってダンに責任取れって迫るのですが、ダメだよ~、女が避妊していると想定して中で出しちゃ(笑)。それに、ダンもハッキリしない男なんだよね~。しつこく電話かかってきたりしてうざがる割には、会うと「キレイだよ」なんて言ったりさ。でも男って結構こういうところ煮え切らないでしょ?女だったら「メーワク!」って思ったらもう鼻にも引っ掛けないけど、男ってうだうだうだうだ未練がましいんだよね。それを優しさと履き違えてるんだろなあ。まあでも、アレックスってマジ切れてるから、男がどういう反応をしても、こういう結果になったんだろうけど。

で、どんどん怖くなってくるアレックスから逃れるため、電話番号変えたり、郊外に引っ越したりするのだが、アレックスは執念で追いかけてくるのですね~。怖いですね~。ダンの車に硫酸かけて台無しにし、レンタカーを借りて郊外の家に帰るダンの後をつけ、窓から家族団欒を盗み見ていたら、つわりで気持ち悪くなっちゃって、怒りに燃えながら茂みでゲロを吐くアレックス!もーわたしゃ笑い過ぎてカウチから落っこちました。。

ここまでもアレックスの魔女ぶりが超怖いのですが、やっぱりこの映画の一番の見所は、後半のアクション・シーンなんですよね。アレックスとダンの一騎打ちがすごい。マイケル・ダグラスに髪の毛引っ張られて、ガラスに顔をグリグリ押し付けられちゃうグレン・クローズ!今では女が映画で殴られるなんて当たり前なんだけど、そういう現在の感覚で見ても、このグレン・クローズ、すごい迫力だよ。

で、最後、アレックスがバスルームでダンの奥さんを襲うところなんて、すっげ~~~~怖い!サイコ・ホラーですよ。完全に狂っているアレックスが、自分の足にグリグリ包丁押し付けながら、ブツブツ文句言うところ、キ、キレてる。バスルームに蒸気が充満している中で・・・・。怖くて、心臓がドキドキしますよ~。

その後逆噴射して包丁振り回すアレックス!!奥さんの足首持って離さない!ひー。このシーン、ほんっと怖いのよ。で、最後銃で撃たれて浴槽の中に沈むグレン・クローズ、上手いんだよね。名優です。あ、その前に、一度浴槽に顔付けられて動かなくなったアレックスが水からざばあ!と起き上がってきてダンを襲うシーンもあるのだけど、カメラの位置が浴槽のまん前にシフトするので、「あ、ざばあ!と来るな」とわかっちゃって余りインパクトない。

DVDの特典に付いていたインタヴューが面白くて、グレン・クローズはこの役をやった後、良く男のファンに声掛けられて、「あの映画が僕の結婚を救った」って感謝されたんだって(笑)。グレン・クローズってすごい落ち着いた、しかもちょっとシャイ気な感じの人で、こんな激しい役が出来ちゃうって、やっぱ役者なんだなーと、当たり前ながら関心した。

あとね、もともとのエンディングは、アレックスが自殺するんだったんだって。自分で自分のクビを切り(それも怖いなあ)、ダンが殺したようにみせかけ、ダンが警察に捕まり、連行されていく車を奥さんが追いかける、という。このエンディングは映画祭かなんかで初公開したときのエンディングだったのだが、すげー評判悪かったのだって。観客は、最後、ダン一家の復讐を求めたとか!

で、エンディングを取り直すことにしたのだが、グレン・クローズが一番反対したそうだ。なんでも彼女はこの役を演じるに当たって、精神科医に会ったり、こういう女の生態を研究したが、家族を襲ったりすることはなく、自殺することが多いんだって。そういうリアリティを無視したエンディングはイヤ!って反対したそうです。

まあ確かに、このエンディングはハリウッドしているのですが、コレがストーリー全体をぐっと引き締めてると思う。マイケル・ダグラスも、奥さん役のアン・アーチャーもすごくいいし、それと忘れてはならないのが、7歳の娘役のエレン・ハミルトン・ラッツェン。この子は、愛くるしいし、お父さんとお母さんが口論しているときに泣くシーンなんか、信じられないほど上手い。

でも、とにかく、グレン・クローズです。

key Word
映画  危険な情事 エイドリアン・ライン マイケル・ダグラス グレン・クローズ アン・アーチャー エレン・ハミルトン・ラッツェン
ハリウッド映画 | コメント(6) | 【2009/03/15 21:21】
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『ギフト』-どこら辺がギフトなのか・・・
The Gift

ケイト・ブランシェット扮するアメリカ南部の小さな町の占い師が、「神からの授かり物(ギフト)」であるサイキック・パワーを持つために、地元で起こった殺人事件に巻き込まれていくという、「スーパーナチュラル・サイコ・スリラー」なんですと。監督はサム・ライミ、脚本はビリー・ボブ・ソーントンで、しかもビリー・ボブ・ソーントンのお母さんが実際に体験した超常現象が基になったらしい。そして競演がジョヴァンニ・リビシキアヌ・リーブスケイティ・ホームズヒラリー・スワンク、そして最近では『バーン・アフター・リーディング』や『ジュノ』に出てたJ.K. シモンズ、『ベティ・サイズモア』のメロドラマのお医者さんグレッグ・キニア、『スモーキング・ハイ』の悪役ゲイリー・コールという、なんつー映画なんでしょうか。

gift
dvd on amazon.com
Produced: 2000
Director: Sam Raimi
Writing Credits: Billy Bob Thornton, Tom Epperson
Cast:
Annie: Cate blanchet
Buddy: Giovanni Ribisi
Donnie Barksdale: Kianu Reeves
Jessica King: Katie Holmes
Wayne: Greg Kinner
Valerie Barksdale: Hilary Swank
Sherif Johnson: J.K. Simmons
こういう映画が、予算もスペースも限られているであろう図書館のDVDコーナーに何気に存在しちゃうというのは、なんなんでしょう、一体。最初、図書館にあるのはよっぽど流行った映画ばかりなのかと思ったら、全く知られていないインデペンドみたいのも結構あり、やっぱ図書館だから、教育的というか、内容で選んでいるのかなと思ったりもしたのですが・・・。最近は、バイトで雇ったヲタクくんが好みで選んでるとしか思えない。

だって、この映画、DVでしょ、幼児虐待、父親殺し、セックス殺人、やりまくり女、小学校の校長先生が殺人、間違った犯人が刑務所へ行く・・・・・。コレがあって、『セブン』や『アメリカン・ビューティー』がないって、どういうわけよ。

また笑っちゃうのがDVされる奥さんがヒラリー・スワンクで、する夫がキアヌ・リーブスだぜい!どー考えてもヒラリー・スワンクの方が強そうなのだが。またキアヌが南部のレッドネックで、ピックアップ・トラック乗り回して、女房に暴力を働き、しかもその女房に占いをしている霊媒師を脅かすとか、そーいうキャラなのが面白い。演技下手!とかハマってない!とかじゃないけど、「なんでキアヌなの?」という。

殺される金持ちの娘を演じるケイティ・ホームズもすごいですよ。田舎のヤリマン女で、フィアンセと一緒に行ったパーティで他の男とやっちゃうんだから。しかもトイレで!ヌードも披露してますが、すっげえいい身体してるし。おっぱいでかい!腰細い!この娘ってお茶目な顔しているから、なんでこんな好きモノ女の役なんか演じるのだろうと思ったけど、あのやらしー身体見て納得しました。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生』でCG合成された若いケイト・ブランシェットがキレイだってみんな言ってたけど、個人的にはブラピに比べて作り物感があるな~と思っていたので、9年前のこの作品での彼女は、「あー本物の若いケイト・ブランシェットだ」と思いました。なんとなく初初しいような可愛さがあって。CG合成のケイトって尖った顔をしているのですが、実際は若い時ってぷくぷくしてるじゃない?そういうぷるるん感がこのケイトにはある。

でも役柄が、旦那を事故で失い3人の男の子を育てている、非常に貧しい疲れた主婦なので、すごいブスに見えるときもあるけどね。この人は予知能力とかあるらしく、カードを使って占いをし、それに対する「お布施」を貰って生活しているのですが、踏んだり蹴ったりですよ(文字通り)。

キアヌ・リーヴスにDVされているヒラリー・スワンクや、父親に虐待されたために精神を病んでいる若者を演じるジョヴァンニ・リビシとかには救世主のように扱われ、彼らの状況が良くならないと「なんで助けてくれないんだ!」なんて責められたりする。

とにかく、占いや予知をしてあげればあげるほど人に恨まれる。キアヌにボディ・ブローされちゃうし。グレッグ・キニアに懐中電灯で頭カチ割られるし。『ヴェロニカ・ゲリン』でもそうだったけど、この人良く殴られる女優さんですよね。(『インディ・ジョーンズ』でも殴られてたっけ?)

それと、死んだ人とかが夢に出てきていろんなことを言ったりするので、気が狂いそう。サイキック・パワーは「ギフト」ってことになってるんですけど、全然嬉しくないギフトですよね。それがこの物語の教訓なのだろうか。

key Word
映画 サム・ライミ ビリー・ボブ・ソーントン ジョヴァンニ・リビシ ケイティ・ホームズ グレッグ・キニア ヒラリー・スワンク J・K・シモンズ
私が観た映画&DVD | コメント(3) | 【2009/03/01 20:10】
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『グッドフェローズ』-姫のオールタイム・フェイヴァリット第二弾!
Goodfellas

いやー、久々に観ちまった。これもすっごいお気に入りなんすよー。最高に面白いですよね。これを撮った頃って、ジョー・ペシレイ・リオッタロレイン・ブラッコ もあんま有名じゃなかったですよね?

goodfellas
dvd on amazon.com
Produced: 1990
Director: Martin Scorsese
Writing Credits: Nicholas Pileggi
Cast:
Jimmy Conway: Robert De Niro
Henry Hill: Ray Liotta
Tommy DeVito: Joe Pesci
Karen Hill: Lorraine Bracco
Paulie: Paul Sorvino
私は、レイ・リオッタ演じるヘンリー・ヒルっていう人が実在して、その人の自叙伝を基にこの映画が撮られたのかと思っていましたが、今回ウィキで読んだら、犯罪に関するレポをしていたニコラス・ピレッジと言う人の「マフィアの裏側暴露本」みたいのが原作なんだって。だから、ヒルだけじゃなく、他の人たちもみんなモデルがいるらしい。

なんつってもレイ・リオッタがかっこいい!それにこのヘンリー・ヒルって人は、マフィアなんだけど、なんだか普通の人で、それをレイ・リオッタが上手く演じているのですよねー。貧しいブルーカラーの家に育ったヘンリーは、近所でブイブイ言わせているマフィアを見て、自分もああなりたいと思う。で、マフィアの使いっぱになって学校に行かなくなると、父親が怒って、ヒドイ折檻をされる。

それでもマフィアになった気持ちがわかるなあ。ヘンリーのお父さんは、いくら働いても生活が楽にならず、いつもイライラしている。あんな人になりたくない!と思ったら、こうなっちゃうよねー。確か『ブロウ』では、レイがお父さん役で、「こんな風になりたくない」と思った息子役のジョニー・デップがドラッグ・ディーラーになっちゃうんだよね。面白いよなあ。

まだヘンリーが子供の時のマフィアって楽しそう。それこそ車の駐車から親分たちの経営しているピザ屋の手伝いから、かばん持ちまでなんでもやるんだけど、いつも笑顔でいきいきと仕事するヘンリー君。強盗が大好きなジミー・コンウェイ(デニーロ)のお手伝いをして警察に捕まって、刑を言い渡された時、親分のポーリーを初めとしてマフィアのおじちゃんたちが

「おめでとう!!これで一人前になったなあ!」

と裁判所の外で暖かく向かえてくれる!

このシーンは結構重要で、ヘンリーが

「ジミーさん、ごめんなさい。ヘマして捕まって・・・・」

と言うとジミーは、

「何言ってんだ。お前は捕まっても仲間を売らなかった。お前は正しいことをしたんだ。お前は本当の仲間だ。誇りに思うぞ」

と言ってくれるんですね。で、のちのち、30年後くらい?にマフィアのおっちゃんたちは、可愛がっていたヘンリーに売られて、獄中で死ぬことになるのですよ・・・・・。

あと、この映画って、ペシの出世作だよね!誰でもバンバン撃ち殺してしまう、サイコなモブ、トミー!すっごい面白いヤツで、飲んだりカードやったりしている間ずーっとジョーク言いまくってるんだけど、いきなり怒り出して、怒ったらバンバンぶっぱなしてしまう。ヘンリーとトミーは、ジミーの弟分として一緒に大きくなったので、トミーが誰か撃ち殺しちゃったりすると、ヘンリーとジミーが死体を埋める穴を掘るのを手伝ってやったりして、微笑ましいんだな~。

あと、ヘンリーの奥さん・カレン役のロレイン・ブラッコがいいの!ヘンリーにデートすっぽかされて、「あんた!何様だと思ってんのよ!」と、他のモブのおっさんたちの前でヘンリーを怒鳴りつける。今まで全然カレンに興味がなかったのに、この怒髪天を突いているカレンに魅力を感じるヘンリー。でも本当に、赤いドレスを着て怒っているロレイン・ブラッコ、すっごい印象的なんだよ。この娘が、最初は「肌は汚いし、安物の服を着て、子供を折檻しまくっている、信じられない」と思っていたモブの奥さんたちに段々感化されて、変わっていく様子を好演していたなあ。最初は本当に可愛らしい(舌足らずだし)んだけど、最後の方、マジでヤクザの奥さんしてます。

あと、サミュエル・L.・ジャクソン がちょい役で出てるんだよね。ちょい、と言っても結構重要っていうか、ジミーが成功させた一世一代のルフトハンザ・強盗に一枚噛んでいて、ヘンリーいわく

「スタックスは、いつもバーでギター弾きながら歌ったりして、気のいいやつ」

ってことで、すっごい若くてすっごい痩せている黒人の粋なにーちゃん、スタックスを好演。で、強盗に使ったトラックを運転する役目を仰せつかったのだが、マリファナでハイになってトラックをきちんと処理しなかったため指紋が見つかってしまい、トミーに撃ち殺されてしまうのだ。

このルフトハンザ・強盗の後、ジミーがナーバスになって、仲間を次々に殺していくあたりからちょっと「やっぱモブって怖い!」って感じになってくる。なんか、いつも一緒に遊んだりしているのに、いつそいつに殺されるかわからない、ってどんな気分だろう。トミーがスタックスを殺しに行った時一緒だった人が、トミーのツッコミに対してボケ役の人で、一緒にしゃべってるとすっごい可笑しいのだけど、この人がミートトラックの冷凍室に吊るされて死んでいるのを観るのは、何百回観ても辛い。

今回観てて思ったんだけど、マフィアの人たちって結局、親分に仕事貰って、それをやって稼ぐか、ジミーのように頭の切れる人は、自分で強盗とかを計画して、仲間を集めてやり、儲かったら親分に分け前を収めて、みたいに生活しているらしい。だから、一つの大きいグループのようでいて、中ではジミーの仲良しグループ(トミー、ヘンリー)が儲けてブイブイ言わせていて、お金を運んでくるからオヤビンのポーリーもジミーたちがお気に入り、みたいな。

でも、ヘンリーが刑務所に入っている間、ポーリーもジミーもヘンリーの家族の面倒は観てくれず、ヘンリーはムショでドラッグを売って、家族を支えるんだよね。涙ぐましい。それで「これは儲かる」と思ったのだけど、出所してくるとポーリーはドラッグに手を出すな、という。自分も大ボスのヴィニーもトシだから、ヘンリーから足が付いてムショで死ぬことにでもなったらイヤだから、かなり保守的になっている。

普通の会社と変わんないよね!ヘンリーはなんだかんだ言いながら結局誰もあてにならないことを悟り、ドラッグで大儲けするんだけど、運び屋に使っていたベビー・シッターの女の子とか、コカインの精製をやらしていた愛人とか、まーそういう素人が絡んでくると色々ユルくなってくるようで、足がついて捕まってしまう。この辺も、若い新入社員を使いこなせない部長クラスのようでなんだか笑える。

これって、当時すっごい新しいモブ映画だったと思うなあ。『ゴッドファーザー』みたいな、湿っぽい劇画調の「任侠!」みたいなアプローチをバサっと切り捨てて、すごくドライに、しかしリアルに、モブの世界を描いている。ヘンリーって普通の人、って書いたけど、みんな普通の人で、でも人を殺したり、殺し殺されが当たり前の状況で「普通の人」でいられる、っていうのが面白い。

劇画調っていえば、『ゴッドファーザーのテーマ』って映画観た事ない人でも知っているくらい有名じゃない?『グッドフェローズ』はああいうテーマ曲はなくて、当時のヒット曲をバックに使うんだけど、『レイラ』のエンディングをバックにピンクのキャディラックの中で撃ち殺されている夫婦とか、バーで「うーん、あいつは殺った方がいいな・・・・」なんて考えているデニーロのバックに『Sunshine of Your Love』のイントロがかかったりとか、すごく新鮮で印象的な音楽の使い方だった。

key Word
映画 グッドフェローズ マーティン・スコセッシ レイ・リオッタ ロバート・デ・ニーロ ジョー・ペシ ロレイン・ブラッコ
| コメント(2) | 【2009/02/21 21:36】
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『グラン・トリノ』-観終わった後しばらく席を立てませんでした
Gran Torino

この映画すごい。タイムリーな時事的背景、移民問題、家族問題、老人問題、青春、愛、生、死・・・・・全部なんでもかんでも詰まっているのに全然説教臭くなく、ストーリーなんか結構ベタなのに笑えるし泣けるし、なんんなの、コレ?!

Gran Torino
Produced: 2008
Director: Clint Eastwood
Writing Credits: Nick Schenk, Dave Johnannson
Cast:
Walt Kowalski: Clint Eastwood
Sue Lor: Ahney Her
Thao Vang Lor: Bee Vang
Father Janovich: Christopher Carley
Barber Martin: John Carroll Lynch
Trey: Scott Eastwood
ミシガンで撮影され、主人公のウォルトがフォードにン十年勤めていた人で、しかもお隣にアジア人の移民が住んでいる、という設定は、真実味もあり象徴的でもある、という本当に理想的な、映画的な設定。実はデトロイト近郊で、去年の終わりに日本車だけを狙って壊す事件が起こり、日系企業の社員は、「目立つ行動をしないように」というおふれがでていたのです。つまり、80年代に起こったジャパン・バッシングがまた起こるかもしれない、と言われていた。

今の不況は日本も不況だし、日本車と全然関係ないんだけど、この主人公のウォルトみたいな人の中には、誤解してしまう人も沢山いる。しかも、一生モンとして買った家の近所が荒れ果てて、移民の子供のギャングたちに荒らされているとなったら、そりゃあ移民憎し、にもなるでしょう。

で、このウォルトの役を『ダーティ・ハリー』を演じたクリント・イーストウッドが演る、っていうところに意義があるのよ。自動車工場のラインで働いているような男の人たち、タフでラフで、男らしいことを誇りに思っているような人たちは、アメリカの漢の象徴みたいなクリント・イーストウッドを見上げていると思う。そういう人が演じているからこそ、こういう男の人たちが真剣にこの映画について考えるわけじゃん。これがトム・ハンクスとかじゃダメなんだよね。

・・・・そういう意味で、この映画は、もしかしたらデトロイトで起こり得たかもしれない人種間抗争を食い止めたかもしれないのだ。

設定やシーン、登場人物の一人一人に意義があってものすごい深い反面、ウォルトの頑固オヤジぶりがストレートに可笑しい。特に床屋のマーティンとの対話なんて、場内大爆笑。なんかさ、"Politically Correct"とか言って、悪い言葉を使わなかったり、人種ジョークを言わなかったりってのが「臭いものにフタ」をしているだけで、それで人種差別や嫌悪が無くなるわけじゃないし、逆にジョークにできなくなることによって却って閉鎖的になるんじゃないかってのが良くわかったね。

だってさー、隣に住んでるアジア人の家の娘のスーと仲良くなって、

「ビール持ってきてくれよ、ドラゴン・レディ」

なんて言うんだよ!これってむちゃくちゃ人種差別的だし、性差別的なんだけど、なんか笑っちゃうんだよね。別にスーのことバカにして言ってるんじゃないってわかるから。このときも場内大爆笑でした。

あと、最初の方でスーの一家がパーティするとき、食べ物を持ってぞくぞくと集まってくるアジア人の人たちを見ていると、私もイヤだった。同じアジア人だけど、彼らはベトナムのモン族?って人たちらしく(映画の中で詳しく説明している)、やっぱ日本人とは違うじゃん。自分と違う(と思われる)人たちが大勢集まってくる、っていうのは、それだけでなんとなく恐いものなのですよ。

それがさ、ウォルトがスーの弟のタオを不良グループから救った、というニュースが流れると、ご近所のモン族の人たちが、ウォルトの家に食べ物をぞくぞく持ってきて、玄関先に置いて行っちゃう。同じ行為なのに、今度は違う人種、他人に対するお礼とか、尊敬の念を持ってしていると思うと、なんとも暖かい気持ちになってくるから不思議。

で、最初はウォルトは「ほっといてくれ、もう持ってこないでくれ」とか言うんだけど、「あ、それって、この間のチキン・ダンプリング(チキンシュウマイ?)か?・・・・ビーフジャーキーより旨いんだよな・・・・」なんて、わかる~!食べ物の力って強力だ。

また、モン族の子供たち、スーとタオの役者さんが良かったね。特にスーはいい!この娘は、デトロイトで見つけてきたらしいよ。他のキャストの人たちも、本当のモン族の人たちなんだって。イーストウッドって、『硫黄島からの手紙』の時もそうだったけど、この辺しっかりしてるよね。探せばいるんじゃん!しかもすごくいいじゃん!こういうの見ると『SAYURI』とか「なんだよ」と思う。

で、スーなんですけど、アジア人の女の子の典型的なボテっとした身体なんだけどすごい可愛いし、英語もすごい上手くて、態度とかすごいアメリカナイズされていて、ボーイフレンドは白人だ。

ちなみにこのスーのボーイフレンドである白人の男の子を演じているのがイーストウッドの息子のスコットで、スーが黒人の不良に絡まれたとき、おたおたして助けられない。そこにクリント演じるウォルトが現れて、スーを助ける!!で、スーに

「なんであんななまっちょろい男と付き合ってるんだ!?」

なんて説教する!!なんかこれも色んなことを示唆していて面白いなー。

とにかく、移民にもこういう世代が出てくると、人種間の理解ってやっと出てくるんだなあと思った。だって、スーのお母さん英語しゃべれないし、おばあちゃんはウォルトと一緒ですごい差別的なんだもん(意地悪ばあさんそのものでそれも笑えるのですが)。それじゃあ理解しようたって難しいよね。真ん中に位置する人がいないと。

でもスーやタオは逆に、二つのカルチャーの板ばさみになって、それはそれで面倒臭いというのがまた良くわかるんだなあ。スーはウォルトに

「あなたはいい人だ。私たちの実の父親よりいい人だ。父はトラディショナル過ぎて堅物だし」

と言うとウォルトは

「俺も古臭くて堅物だ」と言う。するとスーは

「でもあなたはアメリカ人だもん」

と言う。そーなんだよね。モン族もかなり厳しそうだけど、日本だって韓国だって、アジアの国のもともとのトラディションに比べても、アメリカの個人主義や自由って、やっぱり「いいなあ」と思うんだよね。

ウォルトは、実の息子たちよりも、スーやタオと心を通わせるようになる。なんかそれも、家族ってなんなんだろう、ってすごく考えさせられた。「遠くの親戚より、近くの他人」とか言うじゃん。一緒に過ごす時間が長かったり、声をかければすぐ会える距離にいることって、重要なんだなあと。もちろん、会う気がないのなら、愛がないなら、近くにいてもしょうがないんだろうけど。

でもウォルトは、教会に懺悔しに行くと、二人の息子とあまり親密な関係ではないことを懺悔する。これも深いよね。家族だからって一番愛し合っているとは限らない。タオやスーと結んだ人間関係の方が、ウォルトにとってはよっぽど意義があるように見える。二人の息子は、ウォルトのことこれっぽっちも気にしているようには見えない。でも、やはり血縁である家族と心が通わない、というのを人は懺悔するものなのだ。

で、この教会の神父さんが27歳の神学校出たての神父さんで、頑固オヤジのウォルトは、「頭でっかちの若造」という風にしか見ない。この神父役の男の子は、色白にそばかす、ぷくぷくしていてレッド・ヘアで、もー正にコテコテの白人。この人とウォルトも最初わかり合えない。同じ白人同士でも、年齢差や環境で解り合えないこともある。

それに、タオを引き入れようとしているアジア系のギャング。しかもタオのいとこだ。同じ人種でありながら、しかも血縁でありながら足を引っ張り合う。でもこのワルたちは、同じ近所の黒人の不良、ヒスパニックの不良、そういう奴らに虐められたくないと、必死で突っ張っている内にどんどん深みにハマってしまう、というのもわかる。

最後のオチはもーベタベタで、私にも予想ついちゃうし、わかっちゃいるんだけど、泣けて泣けてしょうがなかったね。これって、西部劇とかのエンディングのオマージュなんだろうか。なんつーか、コテコテの王道で、どうなるかわかってるんだけど、でもだからこそ感動するというか。

最後にかかった曲が、クリントともう一人の息子、カイル・イーストウッドがこの映画のために一緒に作った曲らしいんだけど、この曲が流れている間、席を立てなかった。いい映画って、「あ、終わった、帰ろう」って思わないじゃない。余韻に浸っていたいというか、浸らされちゃう、というか・・・・・。

key Word
映画 グラン・トリノ クリント・イーストウッド ビー・ヴァン アーニー・ハー
ヒューマン・人間ドラマ | コメント(10) | 【2009/02/15 23:31】
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『コレラの時代の愛』-あなたの幸福観にチャレンジするストーリー
Love in the Time of Cholera

とりあえずこの題名がすごいですよね。"コレラ"と"愛"ってのが私の中ではどうも相容れなくて、ジョークとしか思えなかったの。タケチャンマンとかで純愛映画のパロディやるときにつけるような題名じゃない?しかし映画が始まってみると、コテコテの純文学・純愛映画。ロミオとジュリエットみたいな、思春期の燃え盛る恋。手紙を交換し合うだけの仲。髪の毛を一房切り取って、手紙に忍ばせると、受け取ったほうは恍惚の表情で匂いを嗅いだりする!時代設定は1900年くらいで現代みたいにすぐセックスできないから、純愛の方が逆にエロい。このトチ狂った状態を、コレラとかけているのか?

cholera
dvd on amazon.com
Produced: 2007
Director: Mike Newell
Writing Credits: Ronald Harwood, Gabriel Garcia Marquez
Cast:
Florentino Ariza: Javier Bardem
Fermina Urbino: Giovanna Mezzogiorno
Juvenal Urbino: Benjamin Bratt
Hidebranda: Catalina Sandino Moreno
Transito Ariza: Fernanda Montenegro
Ricardo Lighthouse: Jhon Alexander Toro
Don Leo: Hector Elizondo
しかし娘の父親は金もない若造に大事な娘を傷ものにでもされたら困るってんで、田舎に引っ越してしまう。何年か経って娘がシティに帰ってきて、市場で再開する二人。しかし女の子は、「私たちの関係は愛じゃない。ただの幻想だったのよ」と男の子を袖にする。

女の子のフェルミーナ役は、一貫してジョヴァンナ・メッツォジョルノが演じるんですけど、男の子・フロレンティーノはウナクス・ウガルデという若い俳優が演じてて、市場でフロレンティーノがフェルミーナに声をかけるシーンでハビエル・バルデムに変わるんですけど、フェルミーナが突然冷めてしまったのは、久々に会ったフロレンティーノが激しく様変わりしていたせいか?!と思って一人で爆笑してしまいました。ウナクス・ウガルデも別にハンサムじゃないけど、アレが数年後にバルデムになってたら、私でも「あれは幻想だったのだわ」と思うよ。

で、フラれて失意のフロレンティーノが家でよよよと泣いてるところでまたひっくり返って笑ってしまいました。『宮廷画家ゴヤは見た』でも書いたけど、こういうヘタレな演技上手いんだよね~バルデム!この辺で「この映画ってマジでギャグなのかもしれない」と思い始める・・・・・。

傷心のフロレンティーノは、フェルミーナがいないところに行けば傷が癒えるだろうという母親の計らいで、遠いところに仕事を見つけてもらって、船で旅立つ。夜、フェルミーナのことを忘れられず、塞ぎこんで廊下を歩いていると、たまたま通りかかった部屋のドアが開き、一瞬にして部屋に引きずり込まれ、ズボンのチャックを下ろされ、女の人に乗っかられ、セックスさせられ、「これは起こらなかったことと思いなさい」と部屋から放り出される。全部で5分にも満たない出来事である。廊下で前を抑えて隠してボーゼンと立ち尽くすフロレンティーノ。このバルデムのあっけにとられた表情がが可笑しくて、またひっくり返る。振り返ってみると、犯されていたバルデムの表情も最高に可笑しかった。

やっぱりこの映画ギャグだ!

と確信した直後追い討ちをかけるように、今度は未亡人とのセックスシーン。ここも終始冷静なフロレンティーノに対して、すっげー大声で死んだ旦那のことをあえぎあえぎ話しながらヤリまくる未亡人が超笑う。

で、一夜明けて。

フロレンティーノは、この2回のセックス体験のことをノートに記録し、この後千人切り目指してヤリまくるのである・・・・・

キスもしたことない、手も握ったこともない女を50年間想い続ける傍ら、何百人という女と犯りまくる男っていう設定がもう既におちょくっていると思うのですが、ギャグがキツイだけで、内容は深いです。少なくとも、私とパティさんはこれを観た後、何時間も愛や人生や幸福について大議論を闘わせました。

フロレンティーノのキャラがおちょくってるのは、ものすごい保守的な結婚観・恋愛観・人生観・幸福観を持つ人たちだと思います。要するに、フェルミーナのような人生を歩む人たちだと思う。初恋は初恋であるがゆえに激しく官能的だけど、そんな一時の感情は幻想である。女のために安定した生活を約束してくれる生活力のある男と一緒になるのが、女の幸せである・・・・・。

これはすごく一般的な、今でも多くの人が無意識に信じていることだと思う。この映画は、こういう考え方を否定したり批判しているのではなく、フロレンティーノのようなナンセンスなキャラを突きつけることによって、本当にこの恋愛観、幸福観が自分の内から湧き出たものなのかどうかを、見ている人に自分で考えさせようとしているんだと思う。

それだけでなく、フロレンティーノと関係を持つ数々の女性たちを通して、セックスや恋愛に対する様々な解釈を提示しているんだと思う。船でフロレンティーノを襲った、愛もクソもない、ぶっちゃけ前儀もいらない、本当にちんこ突っ込むだけでいい女もいるし、セックスしたら、自分が一番でなくちゃヤダという、一番最後の大学生の女の子みたいのもいる。私とパティさんは、この色んな女の人の反応についてかなり盛り上がって議論しました。

加えてフェルミーナの夫となったフナベル、老いて気が狂ってしまうフロレンティーノのお母さん、フェルミーナのおおらかないとこイルデブランダ、フェルミーナのお父さん、フロレンティーノの下世話なおじさん、それぞれの登場人物一人一人が独自の恋愛感、幸福感を持っているのですが、みんな書くとくどいので、一番象徴的なフロレンティーノのフェルミーナへの手紙の一節を。

Think of love as a state of grace, not the means to anything, but the alpha and omega. An end in itself.

愛に目的なんかない、愛はそれ自体で完結している。愛は単に神の恩恵を受けている状態だと思えばいいのです。

これは、何かを愛することが幸福なのであって、愛することによって幸福が得られるわけではない、と言ってるんじゃないかと思う。つまり、フロレンティーノの場合、フェルミーナを愛したことによってかなり辛い思いもしたわけですよね。フラれるし、フェルミーナがフナベルと結婚したり、フナベルの子を身ごもったりする度に傷ついたりさ。ぶっちゃけ結婚もできなかったし、家庭も築けなかったし、回りからは男色家だと思われたりした。誰かを愛することはいいことばかりじゃない。辛いこともイヤなこともある。しかし人を愛する、ということ自体が幸福なのだ、とフロレンティーノは言ってるんじゃないかなあ。

フェルミーナは対照的に、初恋は幻想であると決定し、世間一般から見ればなんの不満もないような生活を送った。男前で優しく、生活力もある旦那。安定した生活、子供も持った・・・。しかし、フェルミーナは不幸なのよね。それはきっと、フェルミーナは愛を幸福を手に入れる手段にしたからだと思う。

でもさ、私も含めて、ほとんどの人はフェルミーナと同じだよね。だってさ、フェルミーナみたいなパターンってすごい多いじゃない。恋愛と結婚は違うって、長年連れ添っていけるような人を選ぶのだけど、上手くいかなくなると「ああ、やっぱりあの人と一緒になった方が幸せだったかな」みたいなの。アタシの友達にも今一人いるし、私も過去の彼氏にそう思ったことある。でもそれってさ、フェルミーナを見ていると「調子いいよな~」と思う。人の振り見て我が振り直せ・・・・。

フロレンティーノみたいな人の方がめずらしい。逆に言うと、フロレンティーノは愛でしか幸せになれないのよ。だからそれほどフェルミーナに執着するし、50年間も待てたんだと思う。フェルミーナが代表する私たち「普通の人」は、愛以外にも幸福になる手段があるから、恋愛をあきらめたりしても生きていけるんじゃないかなあ。だってフロレンティーノって愛のために死ねるなら本望だって言ってんだよ。私は死ねないもん。

だから却って、フロレンティーノが色んな女とやりまくるのは理解できる。フロレンティーノは、千人切りの話をおおらかに語れる友達のリカルドに「なんでお前はそう女にモテるのだ」と聞かれると、

「多分、私は愛が欲しいだけで、彼女たちを傷つける気がない、ということが、女たちにはわかるんだよ・・・」

なんて言う。つまりフロレンティーノは、男らしさを誇示するためのセックスはしないんだよ。セックスによって愛が欲しい、「神の恩恵を受けている状態」を一緒に体験したい、と思っているだけなんだと思う。愛しているのはフェルミーナであっても、愛がないと生きていけない男なんだから、フェルミーナから受けられないのであれば、他から調達してくるしかないもんね。

んーなんか取り留めないレヴューでごめん。愛とか幸福とかって、深く考え過ぎちゃうなあ。結局わかってないのよね、私。この物語を書いた人は、そういうこと一生懸命考えて、何らかの回答に達したんじゃないかと思うんだけど、それがこの映画で提示されているのかいないのか、私は良くわからない。でも自分の信じる愛だの幸福だのの捕らえ方にものすごいチャレンジされました。

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映画  マイク・ニューウェル ハビエル・バルデム ジョヴァンナ・メッツォジョルノ ベンジャミン・ブラット カタリーナ・サンディノ・モレノ ヘクター・エリゾンド フェルナンダ・モンテネグロ
映画紹介 | コメント(13) | 【2008/09/08 08:55】
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