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『トゥルー・グリット』-最高に楽しい&美しい冒険活劇!
True Grit

殺された父親の死体確認・引取りにシティに来た14歳の女の子マティは、父の元で働いていながら父を撃ち殺し、カリフォルニア・ゴールドを2枚盗んで逃げたCoward(卑怯者)のトム・チェィニーの首をこの手で取ろうと、父の死体だけを母の元へ送り、自分は飲んだくれの保安官・ルースターを雇って父の敵討ちに行くことを決意する。

True Grit
Produced:2010
Director: Ethan Coen, Joel Coen
Writing Credits: Ethan Coen, Joel Coen
Cast (voices):
Rooster Cogburn: Jeff Bridges
Mattie Ross: Hailee Steinfeld
LaBoeuft: Matt Damon
Tom Chaney: Josh Brolin
Lucky Ned Pepper: Barry Pepper
このマティを演じるヘイリー・スタインフェルド、すごいよ!助演女優賞にノミネートされていますが、案外メリッサ・レオを抑えて獲るかもしれない。本当に感心する位上手いもん。ちょっとしぐさとか芸風がフランシス・マクダーマンドに似ているので、コーエン兄弟の演技指導の賜物かな?とにかく、14歳にして賢く、意志が強く、まさに「True Grit」な感じが良く出ていて、最初の2、30分は、この娘を観ているだけで面白かった。

で、彼女が雇う飲んだくれのルースター保安官を演じるジェフ・ブリッジズ、『ラバウスキー』→『クレイジー・ハート』路線の十八番のしょ~もないおっさん。こういう役を演ってこの人が上手くないわけがない。

さらにそこに加わるのが、トム・チェイニーを別件で追っているテキサス・レンジャーを演じるマット・デーモン。この人はちょっとコミカルな感じで、『インフォーマント!』に引き続き見直した。なんか、撃たれたり、石で頭殴られたり、いつも血だらけなんだけどケロっとしている(笑)。

保安官を信用していないマティは一緒に行くとがんばるのだが、子供だし女の子だしと全く相手にしてもらえず、おいてかれてしまう。でも、なんとしてでも一緒に行くと、馬ごと河に飛び込んだことでルースターに認められる(テキサス・レンジャーにはお尻ぺんぺんされてしまうが)。

テキサス・レンジャーは、保安官と口論になって、別の道を行くんだけど、ここから、マティと保安官の二人旅が、なんか「冒険!」って感じでいいのよ。木から吊るされている死体がチェイニーじゃないか、マティが木に登って確認したり、貧しいインディアンの家を訪ねたり、あと、熊の毛皮を着て出てくるおっさん!!もー最高にコーエン兄弟な演出で、ひっくり返って笑ってしまった。

そうやって追跡の旅の途中で色々な出来事があり、対決シーンとかは突然起こるのではなく、西部劇よろしく前振りがあるんだけど、それが「始まりますよ~!」って感じでワクワクするんだよね~!なんか、西部劇って男ムサくてオーバーなのかと思ってたけど、この映画はなんか、子供の冒険活劇みたいな、なんだかイノセントな面白さがある。マティがドロシーで、保安官がライオンで、テキサス・レンジャーがブリキマンみたいな。

だって、旅をしていく内に、この全く共通点のない3人が、お互いに対するレスペクトを育んでいく様子が良くわかるんだよね。そして、最後、チェイニーを見つけて対決するシーンでは、3人で助け合って切り抜ける。

チェイニーの役がジョシュ・ブローリンだったのにも驚いたんだけど、チェイニーの親分のネッドを演じるのがバリー・ペッパーだったのには驚き!あんな個性的な顔なのに、エンドロールで名前見るまでブシェーミだと思ってたよ!でもすっごい印象的な悪役演ってたよ~。

マティはチェイニーを撃ち殺すんだけど、銃の勢いで洞窟に落っこって、毒蛇に手を噛まれてしまう。医者に連れて行くために、ルースターは、マティの馬、ブラッキーを一晩中走らせる。ブラッキーは疲れて疲れて、これ以上走れない。でもルースターは、ブラッキーのお尻にナイフを突き立てて、無理やり走らせる。マティはブラッキーのこと大好きだから、「No!」と叫ぶ。

もうこのシーン、涙が止まらなかった。砂漠のすごいきれいな星空の下、汗だくになって走るブラッキー。疲れて疲れて、もう観ているだけで可哀想になる。でもブラッキーも、マティが一大事だとわかっているに違いない・・・・。力尽きて倒れたブラッキーを、非情にも撃ち殺すルースター・・・・

でもね、最初の方のシーンで、ルースターはインディアンの子供にいじめられている馬を救うんだよね。だから、ブラッキーがこれ以上苦しまないように、ってわかっているんだけど、「No!」と言いながら泣くマティを観るともう涙が止まらない。

最後は、もう40歳のおばさんになったマティが、今はサーカスでドサ周りしているルースターを尋ねてくるところで終わるんだけど、(ここからネタバレ)

ルースターはマティが訪ねて来る3日前に息を引き取っていた。で、マティのナレーションで、今、テキサス・レンジャーはどうしているかもわからないけど、生きていたら会いたいと思う、と言う。で、カメラが引いていくと、マティは片腕がなく、どうやら毒蛇に噛まれたところを切断しなくちゃいけなかったみたい。さらにマティは、自分は独身を貫き通し、周りから偏屈な女と思われていると言う。

私はこの映画、純粋に面白い冒険活劇だし、登場人物が成長していく過程が良く出ていて素晴らしいと思うんだけど、余りにも現実的過ぎて、子供には見せられないかなあ。もちろん、コーエン兄弟だから暴力描写がすごいんだけど、でも現実的なだけなんだよ。子供向けの映画だったら、テキサス・レンジャーが投げ縄で捕らえられて馬で引きずり回されても、すぐに立ち上がって「大丈夫!」って言うところを、まあ歯はもげるわ、肩は撃たれるわ、もうボロボロ(そのボロボロさ加減が大人には可笑しいんだけど)。

でもあれが現実に起こったことなんだろうなあと思った。私は、テキサス・レンジャーは、死んじゃったんだと思う。あんなに色んなキズを負って、長生きできるわけないもん。

そして、キャラがみんな成長しているのはいいことなんだけど、成長の仕方も現実的だよね。勇敢で賢かった14歳の女の子は、片腕失って偏屈ババアになって結婚も出来なかった(しなかったのかもしれないけど、この時代で片腕なくて、お父さんいない家で、かなり苦労したのでは)し、保安官は落ちぶれてサーカスのドサ周りやってた。冒険活劇の主人公たちの将来が、こんななんですよ、って見せちゃってる。

そんな人生の中で、唯一輝いていた時間が、この捕り物帖で、時間にしたらほんの何日間?それだけしか一緒に過ごさなかった人が、その後の人生の中で唯一自分と繋がっているって思って生きてきたのかもしれない。なのに、その相手と再会できる機会も逃してしまう。

なんか、コーエン兄弟の映画って、こういう無情な、すごい辛いというかブラックな物が多いんだけど、同時にユーモアがあって面白いっていうか、人間の温かみみたいなものがあるよね。『ファーゴ』もなんか救われない話なんだけど、保安官のマーゴと旦那さんがなんかほのぼのしていたり、『ノーカントリー』も、すごいブラックなんだけど、保安官の不安と言うか恐怖がすごく人間らしくて体温がある。

今回の『トゥルー・グリット』は、そこにさらにすごくイノセントで美しいものを感じた。14歳の女の子が主人公なんだから、その子のイノセンスとか初々しい感じを最大限に表現しようとして、本当にそれが良く出ている感じ。登場人物たちの将来がちょっと悲しいんだけど、だからこそあの冒険が鮮明に際立って見えるというか、ブラッキーが死んだ時の星空が「アラビアンナイト」みたいにきれいだったのとか、コーエン兄弟の映画って、人生は非情で無情で辛いけど、その中にユーモアもあれば美しいものもあるって思わせてくれると思った。

私的には『トゥルー・グリット』にベスト・ピクチャー上げたいけど、十中八九それはないと思うので、脚色賞は取って欲しいなあ。原作はどんなもんだか知らないけど、本当に美しい映画に仕上がったと思う。


第83回アカデミー賞 | コメント(4) | 【2011/02/02 10:03】
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コメント
チュチュ姫さんが言う通り、ラ・ボーフ(マット・デーモン)は、その後、遅かれ早かれ死ぬ運命にあるのだと思います。ジョン・ウェイン主演の『勇気ある追跡』(1969年)では、ガラガラ蛇のいる穴からマティを助け出した直後にラ・ボーフが死んでしまうという展開なので、本作で愛すべきキャラのテキサスレンジャーを殺さずにいてくれたことは良かった。「登場人物たちの将来はちょっと悲しけれど、だからこそあの数日の冒険が鮮明に際立って見える…。人生は非情で無情で辛いけれど、その中にユーモアもあれば美しいものもあるって思わせてくれる…。」まさに同感です(拍手)。
【2011/02/02 17:48】 URL | SHIRO #-[ 編集] | page top↑
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2011/02/02 22:58】 | #[ 編集] | page top↑
SHIROさん、

やっぱり!なんか、いつも血出してボロボロなのに飄々としているんだけど、ああいうキャラをコーエン兄弟平気でコロすだろう、っていうか、この場合原作があるので逆に、死んでしまうキャラだから却ってあんなボンクラに描いたのかもね。

本当に久々に素直に感動し、人生の素晴らしさと虚しさを一度に見せられた映画だった。でもコーエン兄弟がこの映画をファンタジーみたいな、優しいタッチで描いているように思えて、なんていうのかな、美しいものに触れられて幸せなんだけど、美しいものは氷のように冷たいものだって知っちゃったって感じ。
【2011/02/03 09:29】 URL | チュチュ #-[ 編集] | page top↑
チュチュさん、こんにちは。お久です。
今、日本は震災で大変なことになっています。。私の住む西日本は物理的なダメージはないのですが、心理的にかなり喰らってます。
で、この映画だけどよかったよね~。いつもながらチュチュさんのレビュー、ホント言いたいことを言い切ってくれてて。
全面的に賛同します。私も拍手。パチパチ。

http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-1029.html
【2011/03/27 20:42】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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