Doubt
もーメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンの、まさに一騎打ちですよ!このキャスティングはどんぴしゃだったんじゃないでしょうか。ストーリーは簡単なんですよ。フィリップ・シーモア・ホフマン演じるフリン神父が、アルター・ボーイの一人で、神学校唯一の黒人の生徒、ドナルド(ジョセフ・フォスター二世)と「不適切な関係」を持っているのではないかと疑う(Doubt)シスター・アロイシアス(メリル・ストリープ)、ってそれだけなんです。
こういうキッツーイ女の先生っていたよね~。女の子が可愛い髪留めとかつけていると、取れって言う人。私が中学の時の体育の女教師を思い出したよ~。なんか顔もメリル・ストリープに似てたよ~今考えると!とにかくこの、メリルの鬼校長ぶりがサイコーです。 で、話が進むにつれ、フリン神父は生徒にも人気のある、気さくで開けた神父さんだってのがわかる。神父さんが授業を教えているのかわからないけど、バスケの時間があって、なんかさ、フィリップ・シーモア・ホフマン、マジな役演じてるっていうのはわかってるんだけど、この人がバスケット・ボール持って歩いていると『ポリー MY LOVE』の「アイスマーン!」を思い出しちゃって、クスクス笑ってしまいました。 あと、この映画は時代背景とかの使い方が上手いんだよな~と思った。男子生徒と不適切な関係を持ったんじゃないかと疑ったシスター・アロイシアスが、校長室にフリン神父とシスター・ジェームス(エイミー・アダムス)を呼ぶのですが、シスター・アロイシアスのオフィスなのに、フリン神父は自分が上座に座るのだよな。で、「ああ~まだ1964年だからか」なんて思わせるわけだ。 そして、あんなに先進的で開けた学校を!みたいなこと言っているフリン神父が、男女差別問題に関しては結構硬いんじゃん、とか思うと、「やっぱコイツ危ない奴なのかも」なんて思うわけだ。紅茶に砂糖3つも入れるし。 私はカソリックってどのくらい厳しいのか知らないけど、シスターたちの態度を見ていると、砂糖とかタバコとかの嗜好品は余り取らないように、要するに贅沢しないようにしているようなんだけど、フリン神父はその辺ユルくて、肉も食うし、タバコも吸うし、ディナーの時なんて同僚の神父たちとがははは笑って楽しく過ごしている。それに対してシスターたちのディナーのつまんなそうなこと!その対比だけでも笑えてしまう。 とにかく、一場面一場面全く無駄がなく、フリン神父とシスター・アロイシアスのキャラを描いていて、それがまた、「あ、この人いい人じゃん」と思ったすぐ後に「え!やっぱいい人じゃない」と思わせて、観客もずーっと「Doubt」の状態にさせて置くのがすごい巧み。 で、大どんでん返しが起こるのが、シスター・アロイシアスがとうとういたずらされているかもしれない男子生徒・ドナルドのお母さんに会いに行くところ。このお母さん役のヴィオラ・デイヴィスって助演女優賞にノミネートされましたよね。 お母さんは、ドナルドはお父さんに虐待されてるし、学校でも虐められてるし、フリン神父が優しいなら、例え性的に利用されててもいいじゃないかと言う。それに、来年には高校へ行くから、ソレまでの辛抱だ、と。本当はもっと色々あるんだけど、ネタバレになるから言いませんが、要するにお母さんが言いたいのは、黒人だし、とにかく問題を起こさず進学して、無事に大学まで行ければいいのであって、他の事は見て見ぬ振りでいいと。 この生徒のお母さんの話を聞くと、それまでの、フリン神父が犯っちゃったんなら悪い、犯ってないならシスター・アロイシアスが悪い、という図式から、「どちらにしろ、そっとして置いた方がいいんじゃないか」という風に観客の気持ちをシフトする。この辺が上手いな~と思った。「やった、やらない」で何時間も引っ張ると退屈だけど、ここでちょびっと別な見方をスパイス的に取り入れると、また興味が新たになる。 で、最後はもちろんフリン神父とシスター・アロイシアスが、感情を曝け出し合って怒鳴り合うシーンがあるのですが、これがすごい。やっぱ上手い役者さんだよ、この二人。ここに辿り着くまでも、ピンと糸を張ったような緊張感を保っているんだけど、このシーンは本当にテンション高い!この二人を使っておいて、こういう一騎打ちの絡みのシーンを演らせないなんてもったいないもんね。でも映画によってはすごいいい俳優さん使って置きながら、全く持ち味を生かしきれない映画も多い中で(『告発のとき』とか)、ここまでこの二人の名優の最後の一滴まで搾り取るような演出はもースバラシー!としか言いようがない。 この映画はたまたま劇場で観たのだけど、劇場で観て良かったなと思ったもん。DVDだとどうしても英語字幕付けたくなっちゃうのですが、そうすると読んじゃうんだよね。でも劇場ではもちろん字幕ないので、この名優二人の一挙手一投足、視線から何から、全て堪能することができた。 それと、話の内容とテーマがこれほどビタっと合っているというのも、当たり前のようでなかなかないよね。本当に最初から最後まで、一場面一場面が「Doubt」の連発で、どういう角度から見てもDoubtで、ちゃんとまとまっている。職人芸を楽しんだ!って感じでした。 映画 ダウト ~あるカトリック学校で~ ジョン・パトリック・シャンリー メリル・ストリープ フィリップ・シーモア・ホフマン エイミー・アダムス ヴィオラ・デイヴィス ジョセフ・フォスター二世 |
こんばんわ。
そんなに良かったんですか。フィリップ・シーモアさん好きなんです。 アカデミー賞の常連、メリルさんもでてますから、なかなか好さそうな映画ですねぇ^^/ 茶栗鼠
この映画は、マジで芝居の職人芸って感じです。監督も、舞台の人みたいだし。 chuchuさ~ん。
そうそう、すっごいキャストがはまってましたね! でも、PSHの「胡散臭い奴」はもう飽きたかも。。 ヴィオラ・デイビスの告白には「おお~、そう来たか!」という感じでしたね。 メリルとエイミー・アダムズがよかったわ~。 http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-652.html 真紅さん、
PSHは、結構ワン・パターンな人なんですよ、最初から。あ、2パターンだな。情けないデブといけ好かないデブ!!! |
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