Unleashed
この映画がアメリカで公開されたとき、NBCの"Today Show" という全国ネットの朝番組に、ジェット・リーとモーガン・フリーマンが呼ばれていた。普段、書斎を装ったセットのソファーに座ってインタビューすることが多いのに、なぜかこのときは、ガラス張りの部屋で朝のニューヨークをバックに、高いバー・スツールに座ってのインタビューだった。人気キャスターの、最近ちょっと禿げ上がってきたが色男マットと、かなり年寄りではあるが背も高くかっこいいモーガン・フリーマンが、スツールの下の方の輪っかに足をかけているのに、ジェット・リーは上の方の輪っかに足をかけてて、かっこ悪かった。そんで明らかにインタビューの内容を把握していない様子でニコニコしてて、その上よせばいいのに落ち着きなくスツールの上でもぞもぞ動いちゃったりして・・・。
役柄を考えたらやっぱジェット・リーがいいけどね。ギャングの親玉にファイティング・マシーンとして犬のように育てられたが、ホントは繊細で心やさしいダニーの役に、アジア人の屈託のない笑顔と小柄な体型はピッタリはまってましたね。ただやっぱ、ジェット・リーと聞いてカンフー的なアクションを期待しちゃったんで、単なる殴り合いはつまらなかった(お約束のワイヤーは使っていましたが・・・)。最後の方で、いかにもマーシャル・アーツやってますって感じの白人のスキン・ヘッドが唐突に出てきて、この人との対決が多分、(多分)メインのアクション・シーンなんだろうけど、なんかどーでもいいような人だったなあ。へんな着物まがいの白い衣装着ちゃってさ。二人がトイレで戦うシーン、狭い空間でこんなこともできます~的に見せたかったんだろうけど「だから何?」って感じだったし、その後の、わざわざ真正面からカメラ据付でキック・ブロック、パンチ・ブロックのドリルみたいの延々見せつけられて、一気に萎えました。 ストーリーの方もなんつーか、ダニーがモーガン・フリーマン演じるピアノ調律師と出会って、親しくなっていく過程がご都合主義っぽい。 モーガン・フリーマン演じる盲目のピアノ調律師サムが、ヒューマニティの代表として描かれているのだが、いくら何でも大怪我を追ったダニーをただ家に連れてきて介抱し、そのまま家族のように暮らすってことはあり得ないんじゃない?しかもベッドの下に隠れたり、スプーンを使わずスープを飲んだりするのをおかしいと思わないのかね?盲目だから見えないのかもしれないけど、ダニーは服も取り替えてもらえない、風呂にも入れて貰えないような扱いをされていたんだから、臭いだろうと思うんですが。それに、サムと一緒に暮らすヴィクトリア(ケリー・コンドン)が、そういうダニーを見てただ「可愛いっ」と思っている様子なのが異様。 だいたい、このヴィクトリア自体が異様です!設定としては、サムの実の娘ではなく、親友の孤児なのだが、家族同様に暮らしている。制服を着て、ブレイセス(歯科矯正器)を着けていることから、高校生かそれ以下の年齢と思われるが、顔だけ見てると30か40歳くらいに見える。 そして、なぜ舞台がアメリカではなくてイギリスなのか?これなんか意味あんの?私は、これは「アメリカ人を良く見せるための策略」と勘繰っています。ダニーを犬のように扱っているのはイギリス人で、人間としてやさしくしているのは、ニューヨークから来たアメリカ人のサムとヴィクトリア。なんか匂う、匂うなっ。 でも、先ほど指摘したように、スープをスプーンなしでズルズル飲んだり、ベッドの下に隠れて出て来なかったり、アイスクリーム食べたことなかったり、英語があんまりしゃべれなかったりってのをすんなり受け入れるってことは、「中国人(アジア人)だから」っていうことなんでしょうか。英語はいいよ、英語は。でもさ、絶対おかしいじゃない、40にもなろうっていう中国人の大人の男がよ(映画では20代くらいの設定かも知れないが)ベッドの下に隠れたりするってのは! だから私には、ダニーが彼を犬のように扱う「飼い主」から"unleashed" 開放されて、人間として扱ってくれる、サムとヴィクトリアのところへ来た、っていうより、「ひどい飼い主から逃げてきて優しい飼い主に拾ってもらったけど犬のまま」って感じがしたよ。 実際、アジア人のジェット・リーが首輪つけられてイギリス人に小突き回されているのを見て、腹が立ったよ、私は。なんというか、どんなテーマでも描き方一つで良くも悪くもなるもんですが、この映画は悪くなっていると思うね。出演者の演技は良かったもん。ジェット・リーは役者として見たら、ジャッキー・チェンより上手いんじゃないの?モーガン・フリーマンは、モーガン・フリーマンだし(想像つくでしょ、この人が演る、盲目のピアノ調律師って!) ダニーがサムとヴィクトリアと一緒に暮らさざるを得ない理由があったら、結構説得力あったと思います。そして、二人を守るために戦って死んだとかになると、さらにいいかな! 関連記事 ■音楽担当としてクレジットされているRZAの映画偉人伝 ■映画偉人伝その3~モーガン・フリーマン ■すいませんけど、こっちの方が100倍かっこいい『マッハ!』 ■かるまじろさんのカンフー入門編 ■デター!GOさんの『犬と言うより猿』レヴュー key Words 映画 アクション ダニー・ザ・ドッグ ジェット・リー モーガン・フリーマン
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TB&コメント、ありがとうございました
ジェット・リーがアクションよりも演技に力を入れているのがよくわかる作品でしたね。 私は結構ウルウルしてしまいました(/_;) ダニーの境遇とかには結構わたしも同情しました。ジェット・リーの演技は悪くなかったと思います。ただプロットがね。
こんにちは、TBありがとうございます。
もうベッソンが絡むとこうなっちゃうんですかねぇ、激しく突っ込みましたが今となってはそれなりに楽しめばいいのかな、程度でw TB返させて頂きました、また宜しくどうぞw TBありがとう
モーガン・フリーマンの名演技(?)も観れるし、ジェット・リーの新境地(?)も観れる。ある意味拾いもんの映画ですね。 二純さん、
そういう見方もありますね。座布団2枚です。 本日この作品を観たのですが、確かにヴィクトリアが年齢不詳な感じを受けました。
モーガン・フリーマンに演技を任せて、ジェット・リーがアクションという役割だと思っていたので、ちょっと驚きました。 Yukiさん、
ヴィクトリアに関しては、本当に多くの人がブログで年齢のことに言及しています。なのに、映画の製作者がなんとも思わなかったってのが、不思議です! それとも白人には、ああいう高校生って珍しくないのか?いや、そんなことないと思うが?! でもジョン・トラボルタ主演の『グリース』に出てくる高校生もほとんど若くなかったからなあ・・・ チュチュ姫さま
いやぁ~ 記事を読んでて 気持ちすっきりしましたぁ~(^^)v モーガンフリーマンしか目に入らない私・・・(^^)v ヴィクトリアが出てきたとき サムの奥さんかと思ったよぉ~(笑) ピアノを弾いてたおかあさんが亡くなる理由が明確で、そのピアノをサムが調律してただったらよかったかなぁ~ |
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●ダニー・ザ・ドッグを鑑賞。 5歳の時に誘拐され、悪徳高利貸しのバート(ボブ・ホ Blog・キネマ文化論【2005/11/20 23 : 51】
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